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更新 更新:2023.11.16

損害保険とは?生命保険との違いや選ぶ際のポイントをわかりやすく解説

損害保険とは?生命保険との違いや選ぶ際のポイントをわかりやすく解説
所有資格
ARM(米国リスクマネジメント士資格)、CPCU(米国保険士資格)、PhD(博士)、MBA(経営学修士)
専門分野・得意分野
生命保険全般、リスクマネジメント、ファイナンス、経営学
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級, 日商簿記検定3級
専門分野・得意分野
保険全般・不動産関連・税金・投資

損害保険には、自宅が燃えて損害を負ったときの補償である「火災保険」や、交通事故を起こしたときの損害を補償する「自動車保険」などがあります。

また他人の身体やモノに損害を与えて、損害賠償責任を負ったときの「個人賠償責任保険」も損害保険の一種です。

ご自身や家族が抱えるリスクに応じた損害保険に加入することで、事故に遭ったときの金銭的な負担を軽減できます。

本記事では、損害保険の種類や生命保険との違い、選ぶときのポイントなどをわかりやすく解説します。

保険の種類について、一覧と概要を知りたい方は以下の記事をご参照ください。

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損害保険とは

損害保険とは、日常生活で偶然起こってしまった事故によって生じた損害をカバーできる保険です

例えば、隣の家で火事が起きて自宅に燃え移り、建物を建て直す費用や壊れた家具・家電などの買い換え費用などで1,500万円が必要になったとします。

火災保険に加入していると、補償範囲や保険金額の設定次第では、1,500万円の損害を保険会社から支払ってもらえる保険金でカバーできます。

損害保険のほとんどは、加入時に決めた保険金額を上限に、実際に生じた損害額と同じ金額が支払われる「実損払い方式」です。

ただし損害保険の補償対象になるのは「偶然」「突発」「外来」によって生じた損害のみです。例えば、経年劣化によって生じた損害は、基本的に補償されません。

監修者からひとこと
前田 祐治
  • 前田 祐治
  • 関西学院大学教授
損害保険は、「偶発」「突発」「外来」の事故や災害による物の損害(建物、家財、設備など)を実損填補で補償するものです。よって、経年劣化による損害は補償されません。また、実損填補の意味は「被害金額または損害金額が保険金として支払われる」ということです。
損害保険は「ダブルトリガー」といわれ、「対象となる災害」と「損害」という2つの要件が揃ってはじめて支払いの対象となります。

さらに、「新価」または「再調達価格」で支払われます。この「再調達価格(新価)」とは、壊れた物を再度元の状態に戻すための復旧費用や価格のことです。この点、生命保険のような給付金の支払いとは異なるので、気を付けましょう。

損害保険と生命保険の違い

保険は、以下の通り3つの分野に分かれており、火災保険や自動車保険などの損害保険は、第二分野に分類されます。

保険の特徴 保険の例
第一分野:生命保険 亡くなったときや一定期間まで生存したときに保険金が支払われる
第二分野:損害保険 事故によって損害が発生したときに保険金が支払われる
第三分野:その他の保険 病気やケガをしたり、介護状態になったりしたときに保険金が支払われる

保険を検討するときは、何に備えるのかを考えることが重要です。

例えば、亡くなったときに備えたいのであれば生命保険を、交通事故を起こしたときの高額な損害賠償に備えたいのであれば損害保険の一種である自動車保険を検討します。

第二分野の損害保険を扱えるのは、損害保険会社のみで、第一分野の生命保険は生命保険会社でしか加入ができません。

そこで損害保険会社の中には、子会社として生命保険会社を設立し、生命保険を取り扱っているところもあります。

損害保険は、保険金の支払額が損害額と同じである「実損払い方式」なのに対して、生命保険は一定額の保険金・給付金が支払われる「定額払い方式」である点が異なります。

第三分野の保険については、損害保険会社と生命保険会社のどちらも取り扱えますが、商品のラインナップや補償内容に違いがあります。

例えば傷害保険を取り扱っているのは、主に損害保険会社です。

また損害保険会社で取り扱う医療保険やがん保険の中には、実際に支払った治療費に応じて給付金額が決まるタイプもあるのです。

監修者からひとこと
前田 祐治
  • 前田 祐治
  • 関西学院大学教授
個人が買うような家計分野の火災保険は、一般的には「火災総合保険」のことを言います。
火災・雷・爆発だけでなく、水災・衝突・風災などすべての災害(オールリスク)が対象ですが地震は対象になりません。地震は広域災害なので、1つの保険会社ではすべての地震被害を補償できないからです。地震による津波・噴火・火災を補うためには、「地震保険」に入らなければいけません。自動車保険も地震による自動車の補償は除外されているので気を付けましょう。

損害保険の種類

損害保険には、以下の通りさまざまな種類があります。

損害保険の種類
車に関する損害保険 自賠責保険
任意保険
ドライバー保険
住まいに関する損害保険 火災保険
地震保険
家財保険
からだに関する損害保険 傷害保険
国内旅行傷害保険・海外旅行傷害保険
その他の損害保険 個人賠償責任保険
所得補償保険
ゴルファー保険
ペット保険

ここでは、損害保険の中でも主要なものをわかりやすく解説します。

車に関する損害保険

車に関する損害保険は、車を運転しているときに起こった事故による損害を補償する「自動車保険」が代表的です。

自動車保険に加入すると、事故相手にケガを負わせたり相手のモノや車両を壊したりしたときの損害賠償に備えられます

また、ドライバーや同乗している方が負ったケガに備えることも可能です。

自動車保険には、法律によって加入が義務付けられている「自賠責保険」と、加入の判断が個人に任されている「任意保険」の2種類があります。

それぞれの補償の違いは、以下の通りです。

自賠責保険

自賠責保険は、事故相手のケガや後遺障害、死亡によって法律上の損害賠償責任を負ったときの補償です。

交通事故によって相手を死傷させたときは、以下の金額を上限に実際の損害額が支払われます。

自賠責保険の保険金額(保険金の支払上限額)

  • 傷害による損害:最高120万円
  • 死亡による損害:最高3,000万円
  • 後遺障害による損害:後遺障害の程度に応じて最高75万〜最高4,000万円

自動車やバイクなどは、自賠責保険への加入が法律によって義務づけられています。

自賠責保険に加入しないまま公道を走行すると「50万円以下の罰金または1年以下の懲役」「免許停止処分(違反点数6点)」の両方が課せられます。

任意保険

任意保険とは、自賠責保険ではカバーしきれない交通事故による損害を補償する自動車保険です

任意保険に加入すると、事故相手を死傷させたことで負った法律上の賠償責任額のうち、自賠責保険の上限を超過した金額を補償してくれます。

また、自賠責保険では補償の対象外である「事故相手のモノを壊したときの賠償責任」や「ドライバーまたは同乗者のケガ・後遺傷害・死亡」「運転した車の損害」なども、任意保険でカバーできます。

そのため事故相手から賠償額が高額になったときや、自分自身または家族の事故によるケガなどに備えるためには、任意保険に加入する必要があります。

住まいに関する損害保険

住まいに関する損害保険に加入すると、補償の対象となっている建物やその中にある家財(家具・家電・衣類など)が損害を負ったときに保険金が支払われます。

住まいの損害保険は「火災保険」と「地震保険」が代表的です。

火災保険

火災保険は、火災によって建物や家財が負った損害を補償する保険です。

火災だけでなく、落雷や風災(台風や突風などによる災害)、水災(洪水や土砂崩れなどによる災害)、盗難なども補償の対象です。

火災保険に加入するときは、保険会社が用意したプランの中から1つを選択して、補償が適用される事故や災害の範囲を指定します。

どのプランにも、火災や風災は基本補償に含まれています。

一方で水災や盗難などは、補償の対象に含めずに加入することも可能です。

火災保険の保険金額は、建物を建て直したり、家財を買い直したりするために必要な金額(再調達価額)をもとに算出されるのが一般的です。

火災や風災などで損害が生じたときは、保険金額を上限に実際の損害額が支払われます。

特に持ち家を所有している方にとっては、必要性の高い保険といえるでしょう。

地震保険

地震保険は、地震や噴火、津波などで生じた損害を補償する保険であり、政府と損害保険会社が共同で運営しています。

地震が原因で発生した火災や、津波による水災による損害は、地震保険に加入しなければ補償されません

地震保険で設定できる保険金額は、火災保険の30〜50%です。

また建物は5,000万円、家財1,000万円が保険金額の上限となります。

支払われる保険金の額は、地震によって建物や家財が負った損害の程度に応じて決まります。

からだに関する損害保険

からだに関する損害保険は「傷害保険」が代表的です。

本来であれば傷害保険は、第三分野の保険ですが、主に損害保険会社が取り扱っているため、損害保険の一種として紹介されることがあります。

また傷害保険の中には、国内や国外を旅行中に負ったケガを補償するものもあります。

傷害保険

傷害保険は、骨折や打撲など日常生活で起きたケガによる入院や手術、通院などを補償する保険です

傷害保険に加入することで、日常生活におけるさまざまなケガのリスクに備えられます

また、ケガを負ってから一定期間中に亡くなったり、後遺障害が残ったりしたときも保険金が支払われるのが一般的です。

傷害保険に加入すると「急激」「偶然」「外来的」のすべてを満たした事故によるケガが補償されます。

例えば「不意に転倒して骨折した」「階段から落ちて足首をねんざした」などは、傷害保険で補償されます。

一方で、疲労骨折のように緩やかに発生するケガや靴擦れなどは、傷害保険に加入しても補償されません

国内旅行傷害保険・海外旅行傷害保険

国内旅行傷害保険は、日本国内を旅行しているときに負ったケガによる入院や手術などを補償する保険です

カメラやバッグなどの持ち物が、壊れたり盗まれたりしたときに保険金が支払われる場合もあります。

海外旅行傷害保険は、海外を旅行中に負ったケガによる入院や手術などを補償します。

他の傷害保険とは異なり、病気による入院や手術、死亡も補償される点が特徴的です。

国内旅行傷害保険や海外旅行傷害保険に加入することで、ケガだけでなく旅行におけるさまざまなリスク備えられます。

その他の損害保険

損害保険には、自動車保険や火災保険、地震保険、傷害保険以外にもさまざまな種類があり、日常生活やレジャーにおけるさまざまなリスクをカバーできます。

個人賠償責任保険

個人賠償責任保険に加入すると、日常生活で負った損害賠償責任を幅広くカバーできます

例えば、自転車を運転中に通行人と接触してケガをさせ、法律上の損害賠償責任を負ったとき、個人賠償責任保険に加入していれば保険金が支払われます。

また、個人賠償責任保険に自分自身や家族などがケガを負ったときの補償を組み合わせた保険は「自転車保険」として取り扱われています。

所得補償保険

所得補償保険に加入していると、病気やケガなどで働けなくなったとき、毎月のお給料のように保険金が支払われます

所得補償保険に加入すると、働けなくなってから7日ほどの免責期間が経過したあと、保険金の支払いが開始されます。

保険金が支払われる期間は、1年または2年が一般的です。

ゴルファー保険

ゴルファー保険は、ゴルフ場やゴルフの練習場などでプレーしているときに起こった損害を補償する保険です

例えば、自分自身が打ったゴルフボールが他人に当たってケガをさせて損害賠償責任を負ったときに保険金が支払われます。

またゴルフのプレー中に自分自身が負ったケガの治療費や、ゴルフ用品の破損なども基本的に補償されます。

ペット保険

ペット保険は、飼っている犬や猫などが病気またはケガで入院したり手術をしたりしたときに保険金が支払われる保険です

日本国民は原則として公的医療保険に加入しているため、病院で病気やケガなどを治療したとき、自己負担する金額は実際にかかった医療費の3割以下で済みます。

しかしペットが病気やけがなどの治療を受けても、公的医療保険は適用されず治療費は全額自己負担しなければなりません。

ペット保険に加入していれば、ペットが治療を受けたときの治療費を保険金でカバーできます。

法人向けの損害保険

損害保険の中には、以下の通り法人が契約者となるものもあります。

法人が契約者である損害保険の例

  • 火災保険:火災や風災などで法人が所有する建物や設備が負った損害を補償する保険
  • 賠償責任保険:事業活動で他人の身体や財産に損害を与えたときの賠償責任を補償する保険
  • 貨物・運送の保険:運送中や保管中の貨物に生じた損害を補償する保険
  • 興行中止保険:コンサートやスポーツ大会などが悪天候や交通機関の事故などで中止になったときの損害を補償する保険

監修者からひとこと
前田 祐治
  • 前田 祐治
  • 関西学院大学教授
家計分野での「地震保険」は、損害保険会社の背後に日本政府が再保険という仕組みを整えております。つまり、保険会社のための「保険システム」を提供しているのです。このようにして安い保険料で地震被害を補償してくれるシステムになっています。
また、地震に対しては「実損填補」ではなく、「一部損」、「半損」、「全損」と3つに段階が分けられており、損害査定を簡素化して、支払いが円滑にされるように配慮されています。

損害保険を選ぶときのポイント

損害保険を選ぶ際は、まず自分自身が備えるべきリスクについて考えてみましょう。

わかりやすい例でいえば、マイホームを購入する予定なのであれば、建物や家具、家電などが損害を負ったときに備えて「火災保険」や「地震保険」を検討します。

また自転車をよく運転するのであれば、「個人賠償責任保険」や「自転車保険」に加入すると、事故相手から損害賠償を請求されるリスクに備えられます

備えるべきリスクと加入する損害保険の種類が決まったら、以下をもとに商品や補償プラン、保険会社を決めましょう。

損害保険を選ぶ際のポイント

補償範囲

損害保険の多くは、補償が適用される範囲を選択できます。

備えるべきリスクをもとに、補償範囲を適切に決めましょう

例えば、火災保険の場合、マイホームに洪水や土砂崩れなどで被害に遭うリスクがないのであれば、水災補償を外して加入すると良いでしょう。

また任意の自動車保険であれば、交通事故でご自身が乗っている車が大破しても、生活に支障がないのであれば、車両保険を付帯しない選択もあります。

補償を手厚くすると、保険料負担も増えます。備えるべきリスクを考えたうえで、補償範囲と保険料のバランスをみながら契約内容を決めましょう。

保険料

損害保険の多くは、保険会社によって保険料の計算方法や適用される割引が異なります

また損害保険の中には、ネットで加入の手続きをすると保険料を安くできる場合があります。

備えるべきリスクと加入する補償内容をある程度決めたら、複数の保険会社から見積もりを取り寄せて保険料を比較し、加入先を決めると良いでしょう。

特約・付帯サービス

保険会社によって損害保険に付帯されているサービスや、付帯できる特約の種類が異なります。

例えば、自動車保険に加入するときは、保険会社ごとに「ロードサービス」の内容を比較することが大切です。

ロードサービスは、パンクの修理やキー閉じ込みなどの応急処置をしてくれるサービスです。

保険会社によって、サービスの内容や利用できる回数などに違いがあるため、よく比較して自動車保険を選びましょう。

また保険会社によって、自動車保険や火災保険などに付帯できる個人賠償責任特約の補償額が異なります。

特約や付帯サービスも保険会社ごとに比較することで、よりご自身に合った損害保険を選びやすくなります

まとめ

損害保険は、日常生活における偶然の事故で生じた損害を補償する保険であり、損害保険会社のみが取り扱えます。

火災保険や地震保険、自動車保険、傷害保険など、種類はさまざまです。

保険会社によって、損害保険のラインナップや補償内容、保険料の計算方法などが異なります。

まずは、ご自身が備えるべきリスクを考えたうえで加入する損害保険の種類と必要な補償を考えましょう。

そのうえで複数の保険会社のプランや保険料を比較することで自分自身に合った損害保険に加入できます。

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前田 祐治
前田 祐治
関西学院大学教授
インディアナ大学ビジネススクールにてMBA(ファイナンス)取得。その後、マーシュ株式会社、東京海上日動保険会社、滋賀大学国際センター特任准教授を経て、現在の関西学院大学 経営戦略研究科 教授に至る。
所有資格
ARM(米国リスクマネジメント士資格)、CPCU(米国保険士資格)、PhD(博士)、MBA(経営学修士)
専門分野・得意分野
生命保険全般、リスクマネジメント、ファイナンス、経営学
品木 彰
品木 彰
ファイナンシャルプランナー
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後、人材会社で転職コンサルタントとしての勤務を経て、2019年1月よりwebライター/監修者として独立。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級, 日商簿記検定3級
専門分野・得意分野
保険全般・不動産関連・税金・投資
ナビナビ保険編集部
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ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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