【図解で分かる】終身保険とは?
終身保険とは、契約者が死亡または高度障害状態などになると保険金が支払われる生命保険で、一生涯の死亡保障を得ることができ、加入時の保険料が変わらず継続されるのが大きな特徴です。
葬儀費用や身辺整理代・遺された家族の生活費保障として活用されるのが主な加入目的で、保険料の一部は積み立てられるため、途中解約した場合も解約返戻金を受け取ることが可能です。
その他の保険の種類を知りたい方は、一覧でまとめて確認できますのでぜひご参照ください。
終身保険の保険料払込み期間
終身保険の保険料払込期間は「終身払い」「短期払い」「一時払い」の3種類に分類され、それぞれの特徴は以下のとおりです。
※1 … 10年、15年、20年・60歳、65歳など
一般的には、保険料は支払いを早く終えれば終えるほど、支払う総額が割安になります。
より高い貯蓄性を求めるのであれば終身払いよりも短期払いを選ぶべきですが、その分、毎月や毎年支払う保険料負担は高額となるため、生活に無理がない範囲で可能な支払方法を検討して下さい。
退職金の運用などでまとまった資金などがある場合については、一時払いなども検討しましょう。

- 前田 祐治
- 関西学院大学教授
よって、積み立てたお金は契約者のお金なので、解約をすればそのキャッシュバリュー(現金価値)が返ってきます。最近では長生きのリスクに対応するため、キャッシュバリューを利用して退職金を目的とした終身保険を利用する人が多くなりました。
終身保険の種類と特徴
終身保険には、例えば「低解約返戻金型」や「積立利率変動型」といった種類があり、仕組みが異なります。それぞれの種類について、分かりやすく解説します。
終身保険の種類(例)
終身保険(円建て)
終身保険は、何歳で亡くなっても保障が続いている限り死亡保険金を受け取れる、もっともスタンダードな保険です。特約を付帯すれば、その他の保障をつけることも可能です。

- 前田 祐治
- 関西学院大学教授
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻金が低く抑えられた保険です。
途中で解約した場合の返戻率が従来の終身保険に比べて低くなるものの、代わりに割安の保険料で一生涯の保障を受けられます。
子供の教育資金の準備のために、従来は学資保険に加入する方が多かったのですが、最近では学資保険を販売停止している保険会社も多く、代わりに低解約返戻金型の終身保険を活用されるケースも増えています。
積立利率変動型終身保険
積立利率変動型終身保険は、契約後も積立利率が市場金利に応じて定期的に見直しされ、将来受け取れる保険金や解約返戻金が変動する終身保険です。
払込期間中に金利が低下した場合、解約返戻金が増加し、金利が上昇した場合は解約返戻金が減少する傾向にあります。
現在では、積立利率変動型終身保険の多くは米ドルなど外貨建ての商品が主流です。
保険金や解約返戻金は、受け取り時点の為替の影響を受け、損失が生じる可能性がありますので、加入検討の際は把握しておきましょう。
外貨建て終身保険
保険料、死亡保険金が外貨建てになっている終身保険で、米ドルやユーロなど、円より金利の高い通貨で積み立てることにより、高い貯蓄性が期待できます。
積立利率変動型終身保険と同じく、死亡保険金や解約返戻金を受け取る際は、受け取り時点の為替の影響を受けます。
変額保険(終身型)
終身型の変額保険は、運用実績に応じて、将来受け取れる保険金や解約返戻金が変動する仕組みです。基本保険金に上乗せされる変動保険金額が、特別勘定の運用実績によって増減します。
運用結果が好調の場合、保険金や解約返戻金の額が増えます。
保険金に関しては最低保証が設定されている商品も多く、最低保証がある場合、運用実績がマイナスだった場合でも最低限の保険金をご家族に遺していただけます。
しかし、解約返戻金に関しては運用結果が低調だと元本割れとなるリスクがあるため、老後資金の準備などで加入する場合、期待した金額を受け取れないこともあるため、加入前によく検討するようにして下さい。
終身保険のメリット・デメリット
終身保険の最大のメリットは、加入時の保険料で一生涯にわたって死亡保障が得られる点です。
また、解約する場合も返戻金が戻ってくるため、払い込んだ保険料が無駄になりません。
(契約後、短期間で解約した場合は元本割れする場合もある)
また、終身保険の保険料は生命保険料控除の対象となるため、所得税と住民税の対象となる所得から、払込保険料のうち、一定額を控除できます。
終身保険のデメリットは、保険料は掛け捨て型の生命保険と比較すると割高である点や、途中解約すると、解約返戻金が元本割れする点が挙げられます。
また、長期保障を前提としており、物価上昇などによって受け取る保険金や返戻金が実質的に目減りするインフレリスクもあります。
終身保険の必要性が高い人・低い人
自分、あるいは家族に終身保険が必要かどうかの目安は、以下のとおりです。
必要性が高い人 | 必要性が低い人 | ||
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必要な人の特徴1. 自身の葬儀費用を準備したい人
鎌倉新書が実施した「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、全国で行われた葬儀費用の平均は約111万円でした。
一生涯の保障が得られる終身保険は葬儀費用や身辺整理代の準備に向いています。
お葬式代の準備として終身保険を活用する場合は、なるべく若いうちの加入を検討しましょう。
高齢になってから加入した場合は、支払う保険料が受け取る保険金より高くなる場合があるためです。
必要な人の特徴2. 保障を受けつつ、子供の教育資金を準備したい人
子供の教育資金が必要になる時期までに払い込みが終わるように終身保険に加入することで、受け取った解約返戻金を子供の教育資金に充てられます。
「終身保険を解約すると保障がなくなるのでは?」と考える方もいるかと思いますが、終身保険は一部解約(減額)という方法があり、保障を継続しながら解約返戻金の一部を受け取ることが可能です。
似ている仕組みの保険として「学資保険」がありますが、学資保険との違いは親(契約者)の死亡保障にもなり、万が一の場合も保険金を受け取れる場合があります。
必要な人の特徴3. 老後資金の不足をカバーしたい人
参照:家計の金融行動に関する世論調査 [二人以上世帯調査] 令和4年 | 知るぽると
老後2,000万円問題などを背景に、老後生活を公的年金のみに頼るのが現実的でなくなりつつある中、老後資金や介護費用の積み立てとしても終身保険は有用です。
ご自身に万が一のことがあった場合の死亡保障として備えつつ、子供の独立などで保障が必要なくなった場合に解約して老後資金に充てることができます。
必要な人の特徴4. 計画的な貯蓄が苦手な人
終身保険は保険料が変わらず、貯蓄性が高いのが大きなメリットです。
加入さえしてしまえば、その後は自分で解約しない限り、強制的に毎月の保険料が支払われていき、その一部が解約返戻金として積み立てられます。
そのため、コツコツ計画的に貯蓄するのが向いていないと感じる方におすすめです。
不要な人の特徴1. 一時期だけ手厚い保障が欲しい人
終身保険は一生涯の保障が得られるのがメリットですが、保険料は掛け捨て型保険と比較とすると割高になり、一時期だけ手厚い保障が欲しいという場合には不向きです。
結婚・出産などで家族の生活保障を見直す場合、終身保険よりも定期保険や収入保障保険などで一定期間保障を上乗せする方が、家計を圧迫せずに保障を最適化できます。
不要な人の特徴2. 途中解約の可能性が高い人
途中解約する可能性がある場合は、終身保険への加入はおすすめできません。
保険料の払い込みを満了する前に途中解約してしまうと、解約返戻金は支払った保険料より少ない金額になることが大半です。
終身保険の活用は長期にわたり契約を継続できることが前提です。
就職したばかりで収入が安定しないなどの場合は、必ずしも終身保険がベストな選択肢とは限らないことを覚えておきましょう。
ご自身にとって終身保険が必要かどうかの判断が難しいという方は、一度ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。


終身保険に関する調査データ
ナビナビ保険で調査した終身保険の月額保険料の相場と、死亡保険金の設定金額は以下の通りです。
月額保険料の相場 | 死亡保険金の設定金額 |
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調査概要 | インターネットによる調査 | ||
期間 | 2020年6月9日~6月16日 | ||
エリア | 全国 | ||
サンプル数 | 887名 | ||
調査機関 | Fastask |
終身保険に関する口コミ
終身保険についてよくある質問 Q&A
終身保険に関する質問
Q. 終身保険の払込満了後はどうなるのですか?
A. 終身保険に満期はありません。
したがって、終身保険の保険料払込期間満了後も契約を継続すれば、一生涯にわたって保障が受けられるようになります。
終身保険の払込期間についての詳しい解説はこちらをご覧ください。
Q. 終身保険の保険金受取人とは?
A. 終身保険の保険金受取人には、戸籍上の配偶者と二親等以内の親族を指定することができます。
基本的には血のつながった親族のみを含み、婚姻によって家族となった相手側の親族はこの範囲に含まれていません。
Q. 保険料が安い終身保険はどこですか?
A. 終身保険の保険料は、保険会社や支払い方法によっても異なります。
一般的に、支払いを早く済ませれば済ませるほど総額の保険料は低くなり、毎月支払いのように時間をかけるほど総額の保険料は高くなります。
保険会社ごとで比較してみたい方は、終身保険ランキングをご参照ください。
Q. 終身保険とは、いつまで保障してくれる保険ですか?
A. 終身保険の保障期間は、一生涯で被保険者が死亡または高度障害状態になるまで保障が継続します。
まとめ
終身保険は、一生涯の死亡保障を得ることができ、加入時の保険料が変わらず継続される点が大きな特徴で、以下の種類があります。
終身保険の種類(例)
貯蓄性もあり、ご自身の万が一に備えるだけでなく、学資保険の代わりに教育資金の準備として活用する方法など、多岐にわたります。
一方で、掛け捨て型の保険と比較すると保険料が割高であったり、早期に解約すると解約返戻金が元本割れしてしまうなどのデメリットもあり、一時期だけ手厚い保障が欲しい方などには不向きです。
詳しくは終身保険のメリット・デメリットを参照して下さい。
必要性が高い人 | 必要性が低い人 | ||
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その場合は、「定期保険」や「収入保障保険」など、他の生命保険を比較検討した方がよいでしょう。
終身保険の仕組みが分かったら、下記のシミュレーション機能を利用して実際の商品を確認しましょう。
それでも商品を選ぶのが難しいと感じられる方は、FPへの無料相談または電話によるお問い合わせをお気軽にご利用ください。