老後2,000万円問題が話題となり、現時点で全く貯金ができていないことで焦っている方や、過去に貯金しようと思ったものの挫折してしまった方も多いのではないでしょうか。
金融広報中央委員会が行った令和4年度の「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、老後に対する漠然とした不安はあるものの、現在の収支状況を意識しておらず、将来に向けての貯蓄を考えていない世帯が多いといえます。
調査結果より抜粋
- 家計の資産と負債のバランスについて「意識したことがない」と回答した世帯が81.4%と過半数以上いる
- 「老後生活に対して心配である」と回答した世帯は2022年度には79.2%、内72.5%は「十分な金融資産がないから」と回答
- 「今後の生活設計を立てていない」「現在は立てていないが今後は立てるつもり」と回答した世帯の合計は67.1%
出典 : 家計の金融行動に関する世論調査「家計の資産負債バランス評価」
お金が貯められない方は「効率の良いおすすめの貯金方法」を知らないだけで、お金を貯めるための考え方を身につけられれば今の収入のままでも十分なお金を貯めることに繋がります。
今から、お金をすぐに引き出して使ってしまう方でも簡単に始められる「お金を貯めるために意識すべきポイント」と「効率の良くお金を貯める方法」をご紹介します。
お金が貯まらない人の特徴
お金が貯まらない人には、以下のような特徴があります。
お金が貯まらない人の特徴
- ひと月あたりの収支(収入と支出)を把握していない
- 自分へのご褒美や趣味に使うお金が多い
- 買い物をする際に予算を決めておらず、衝動買いが多い
- 収入が高いためについついお金を使いすぎてしまう
- 残ったお金で貯金をしようと考えている
現状の収支を把握できていない方や残ったお金で貯金をしようと考えている方は、あるだけのお金を使ってしまうので、なかなか上手く貯金ができません。
上記の5つの特徴に思い当たる節がある方は、まずこの機会に自分自身の行動を見直してみるといいでしょう。
- 丸山 晴美
- 消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格)
一方、日々のお金の管理ができている人は、将来設計も立てやすく、老後の生活にかかるお金もあらかじめ準備しているためそれほど不安に感じないのでしょう。つまり、毎月のお金の管理ができず短期のお金の流れの見通しが立てられない人が、長期の老後のお金の見通しを立てることはとても難しいことであると言えるでしょう。
お金を貯めるために意識すべきポイント
お金を貯めるには、「貯金をする目的(目標)」と「貯金したお金を使う時期」を決めて、そこから逆算して毎月貯めておかなければならない金額を計算するのがポイントです。
たとえば、2年後に約100万円の費用が必要な引っ越しをする場合を例にみてみましょう。
約100万円の費用が必要な引っ越しをする場合
- 100万円 ÷ 24ヵ月 = 約4.2万円/月
毎月4.2万円を捻出して貯金に回すことができれば、2年後には100.8万円の貯金ができる計算となります。
このように「貯金をする目的(目標)」と「貯金したお金を使う時期」を明確にすれば、そこから逆算することで毎月の貯金額を決めることができます。
また、一定金額を「最初から持っていないお金」と認識して貯金に回してしまうこともおすすめです。
まず、目的と時期から毎月の貯金額を決定し、毎月の収入が得られるタイミングで真っ先に貯金して、残ったお金で生活してみましょう。
効率良くお金を貯める6つの方法と意識したいコツ
お金を貯めるためのコツと効率の良い貯蓄方法は以下の通りです。
お金を貯めるコツと効率良くお金を貯める6つの方法
今すぐにとりかかれる方法ばかりなので、ぜひこの機会にお試しください。
1. 家計の収支を把握して生活コストを見直す
まず初めに実践できることとして、家計の収支を把握して生活コストの見直しをしてみましょう。
「お金が貯まらない人の特徴」で解説したように、現時点における資産と負債のバランスを把握できていない世帯は非常に多く、毎月の収入額はなんとなく分かっていても、支出額まで把握できている人は少数です。
収入額と支出額を把握できていなければお金の使い方を節約することはできないので、ざっくりとで構いませんので現在の家計の収支をリストアップしてみてください。
リストアップしておくと便利な項目
- 収入額(給与額、副業収入など)
- 食費
- 趣味・娯楽費
- 住居費(住宅ローン、家賃など)
- 水道光熱費、通信費など生活のために必要な支出
- 交通費
- 医療費、保険料
リストアップし終えたら、支出額を見直して節約できそうな項目にチェックを入れていきましょう。
具体的には以下のようなことが考えられます。
- 食費が多い人 → お弁当やマイボトルを持参してコンビニなどでの買い物を減らす
- 水道光熱費が多い → 料金が安い事業者に乗り換える
- 通信費が多い人 → 格安SIMに乗り換える など
また、固定費(毎月変わらず支払う金額)は一度見直しをすることで節約効果が長く続くのでおすすめです。
固定費は、保険の契約内容を見直してプランを変更する、行かなくなってしまったジムを退会する、定期購入品やサブスクリプションサービス(商品ごとに料金を払うのではなく、一定期間の利用権として料金を払うサービスの総称)を見直すなどが挙げられるので、ぜひこの機会におためしください。
- 丸山 晴美
- 消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格)
レシートには、日付、時間、店名、商品名、金額など多くの情報が記載されています。レシートを見ながらその日1日のお金の振り返りをすることで、ムダだと思う出費はどんなものなのか、それはどのお店でどの時間帯に買っているのか、これらの出費を抑えるにはどうすればいいのかを考えることが、家計に寄り添う一歩となります。
継続する家計簿のつけ方のコツは、以下の記事を参考にしてください。
家計の見直し方法とポイントは以下の記事を参考にしてください。
2. 先取り貯蓄(積立貯蓄口座や財形貯蓄制度への加入)
貯金をするには、先取り貯蓄(天引き貯蓄)を利用するのも有効です。
先取り貯蓄の例
- 積立(定期)貯蓄口座
- 財形貯蓄制度(勤務先による)
これらを利用すれば、毎月決まった日に給与振込口座から自動的に貯蓄用口座へ振り込まれるようになるので、自分で手続きを行うことなく貯蓄ができます。
また、満期保険金や解約返戻金のある貯蓄型保険(「個人年金保険」や「養老保険」など)に加入するのもおすすめです。
これらの保険に加入すると、毎月の保険料で貯蓄をしていくことになります。保険料の支払い方法はクレジットカード払いや自動引落であることが大半なので、保険商品の特徴を理解した上で契約すると将来に向けた貯蓄へと繋がります。
貯蓄型保険に加入するメリット
- 満期を迎えた場合にはボーナスとして保険金がもらえる
- 万が一解約する場合でも支払ってきた保険料が返ってくる
- 満期以降はそれ以上の金額が解約返戻金として返ってくる可能性がある
貯蓄型保険のデメリット
- 満期を迎えるまでに早期解約すると、支払ってきた保険料の全額が返ってこないリスクがある
保険の知識がない人や自分では判断できない人は、お金のプロであるファイナンシャル・プランナーへご相談ください。
豊富な保険知識を活かして、あなたの目的や収支状況に合わせた最適なアドバイスをしてくれます。
3. 目的別に口座を分けて管理する
将来の目的に合わせて、複数の金融機関に貯蓄用口座を分けておく方法もおすすめです。
ひとつの口座にお金をまとめてしまうと、ついつい引き出してしまい貯金ができなくなってしまいがちです。
銀行口座を分けて貯金しておくと、目標の金額まであとどれくらい足りないかが判断できるようになるので、貯金に対するモチベーションの維持に繋がります。
金融機関の大半は「自動振込予約」の機能があるので、一度設定すれば給与の振込口座から目的別の貯蓄用口座への振込を自動化できて手間がかかりません。
毎月自動的に貯金ができるようになるので非常におすすめの方法です。
4. 借金や住宅ローンなどの借入条件を見直して利息負担を減らす
借金や住宅ローン、車の購入ローンがある方は、借入条件を見直して利息負担を減らすことに挑戦してみましょう。
特に、住宅ローンを組んでから一度も見直しをしたことがない方や、何年間も見直しをしていないという方は、ローンを組んだ当時よりも低金利の金融期間が登場している可能性が高いです。
金融機関の借り換えには審査が必要ですが、無事に審査を通過して借り換えが完了すると大きな節約効果が得られるので、ぜひこの機会に借入条件の見直しをしてみてください。
仮に、金融機関の審査が通過できなかった場合でも、現在の金融機関に対して金利の引き下げ交渉をすると対応してもらえる可能性があります。
どのように交渉すればよいかわからない人は、専門家の目線で的確なアドバイスをしてくれるファイナンシャル・プランナーにご相談ください。
5. 副業で複数の収入源を持って世帯年収を増やす
時間に余裕がある方は、副業で複数の収入源を持って世帯年収を増やすことにも挑戦してみましょう。
お金を貯めるための基本的な原則は「収入>支出」とすることです。
自分自身で勤務先の給与を上げることは難しいので、簡単な副業から始めてみることをおすすめします。
たとえば、今では着なくなった衣類をフリマアプリで販売したり、クラウドソーシングサイトで業務を請け負ったり、ポイントサイトの活用などが挙げられます。
逆に、在庫を抱える必要がある「せどり(転売)」や、知識がない方にとって大きなリスクがある「株式投資」「FX」などは大きな初期費用が必要で損失が出る可能性も高いので、ご自身で慎重に判断するようにしましょう。
お金を増やす方法については、以下のコンテンツで詳しく解説しています。合わせて参考にしてみて下さい。
6. 各種控除、iDeCoやふるさと納税、NISAなどの制度を活用する
お金を貯めるには、日本の所得控除制度を活用するのも賢い方法です。
たとえば、年間10万円以上の医療費を支払っている方は「医療費控除」、保険に加入している方は「生命保険料控除」や「地震保険料控除」などで納める税金が少なくなります。
会社員の人は、毎月の給与から税金が差し引かれた金額が振り込まれているので、上記に該当する支出がある人は個別に確定申告をすることで納めすぎた税金が返ってくる可能性があります。
また、節税効果がありつつ地域の特産品がもらえる「ふるさと納税」、老後資金の効率的な貯蓄ができる「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「NISA」などもお金を貯めるための効率的な方法です。
- 丸山 晴美
- 消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格)
投資運用は、「長期」、「積立」、「分散」を意識することで、元本が減るリスクを軽減させることができます。「NISA」「iDeCo」「ロボ投資」など、少額から投資運用ができる制度やサービスを利用すると始めやすいでしょう。お金を貯めるなら、貯まる仕組みを面倒臭がらずに作ることが近道です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)を開設するのであれば、ネット証券の中でも国内株取引シェアが最も多く、顧客満足度も高いSBI証券がおすすめです。
また、手数料の安さや取引の際にTポイントが貯まることもおすすめ理由の1つです。
もちろんメリットもあればデメリットも存在するので、以下の記事を読んで特徴や注意点をしっかり理解してから申し込みましょう。
貯金についてよくある質問 Q&A
貯金についてよくある質問
Q. 自然にお金が貯まる方法と言われる先取り貯金とは?
A. 先取り貯金とは、振り込まれた収入からまず貯金する金額を別の口座に移すことです。
このように最初に強制的に貯金を作ることによって、意思に関わらず自然にお金を貯めることができます。
Q. お金が貯まる人の特徴とは?
A. お金が貯まる人の特徴は、以下の5つがあります。
お金が貯まる人の特徴
- 自分の収支を把握している
- 趣味やご褒美での出費を抑える自分の収支を把握している
- 予算を設定している
- 自分にとって不要なものを買わない
- 使う前に貯蓄を考える
まとめ
計画的にお金を貯めるには、以下の3つの手順で毎月の貯金額を算出しておくことが大切です。
お金を貯めるための3つの手順
- 現状の収支状況を把握する
- 貯金をする目的(目標)と貯金を使う時期を明確にする
- 貯金を使う時期から逆算して毎月の貯金額を算出する
貯金額が算出できたら、ご紹介した「お金を貯めるためのコツと効率の良い6つの貯蓄方法」をお試しください。
漠然としたイメージで貯金を始めるよりも、「何のために貯金をするのか」という明確な目的を持って貯金をした方が確実にお金は貯まります。
いま自分が入っている保険や借入条件の見直し、活用できる制度について詳しく知りたい人は、ファイナンシャル・プランナーへの無料相談を検討しましょう。
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