「投資を始めてみたい。でも、何から手をつければいいのかわからない」という初心者におすすめなのが外貨預金。
大きな資金がなくても大丈夫で知識や経験がなくても始められるハードルの低さが魅力です。
今回は、そんな外貨預金のしくみや選び方、メリットだけでなくデメリットもしっかり紹介していきます。
外貨預金とは
「外貨預金」という名前は聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。
米ドルなど外国の通貨建て預金のことで、米ドル、ユーロ、オーストラリアドルを中心にイギリスポンドやスイスフラン、香港ドル、南アフリカランドなど、さまざまな通貨建ての預金があります。
通貨ごとに、その国の経済状況を反映した金利設定になっており、低金利が続く円預金よりも高い金利で預金ができるケースもあります。
現在、国内の多くの銀行で取り扱われていますし、全国どこからでも利用できるインターネット専業銀行もありますので、誰でも手軽に始めることができます。
外貨預金のしくみ
外貨預金は、「預金」と名前に付いているだけに、基本的なしくみは円預金と似ています。
外貨ベースでは元本と利息が保証されており、円預金と同じように普通預金もあれば定期預金もあります。
大きく異なるのは、預け入れるときに外貨を買い、引き出すときに外貨を売るという、円と外貨を交換する取引が発生する点です。例を見てみましょう。
外貨ベースでは、米ドル建ての定期預金(1年)に、1,000米ドル預けると、1年後に利息10米ドルと元本の1,000米ドルを受け取ることになります。ここまでは円預金と変わりありません。

そこに外貨預金の場合は、預けるときに米ドルを買い、引き出すときには米ドルを売るというステップが加わります。
その際の売買価格(為替レート)が日々変動するので、損をすることもあれば利益を得ることもあるのです。預け入れたときよりも”円高になれば損””円安になれば得”です。

預け入れるときの為替レートが1米ドル=100円の時に、1,000米ドルの預金をすると10万円を預金したことになります。
1年後、預金の元本と利息の合計は1,010米ドル。このときの為替レートが1米ドル=80円なら8万800円にしかなりませんが、1米ドル=120円なら12万1,200円になります。
※ここでは、わかりやすくするために税金や為替手数料を考慮していません。為替手数料については後述します。
外貨預金の主な特徴
- 外国の通貨建ての預金である
- さまざまな通貨建ての預金がある
- 外貨ベースでは、元本と利息が保証されている
- 預け入れと引き出しの際の為替レートによって、損をすることも利益を得ることも
- 普通預金や定期預金がある
外貨預金のデメリットとおすすめしない理由
外貨預金のメリットとデメリットをそれぞれみてみましょう。
外貨預金を利用するデメリット
デメリット1. 円高になると為替差損が生じる
先ほどメリットとして、円高の時に外貨を購入し、円安の時に外貨を売ると為替差益が出ると説明しましたが、もちろんその逆をしてしまうと損失(為替差損)が出てしまいます。
金融商品には、将来の価格が変動する「不確実さ」がつきものです。為替レートの不確実さを「為替変動リスク」と呼んでいます。
為替レートの動きは、外貨預金のメリットでもありデメリットにもなってしまうということを覚えておきましょう。
デメリット2. 為替手数料がかかる
為替手数料は、円とドル、円とユーロなど2つの通貨を交換するときに金融機関へ支払う手数料のことです。
為替手数料は、〇円、〇銭などわずかな金額だと思われがちですが、金額が大きくなるほど高くなり、預け入れと引き出しを繰り返すほど大きなコストになります。
なお、為替手数料は通貨ごと金融機関ごとに異なります。
テレビや新聞などで伝えられる為替レートは、実は金融機関同士の取引に使われるもので、私たちが外貨預金をするときには、各金融機関が用意した為替手数料を上乗せしたレートが使用されます。
外貨預金を始めるときに適用されるレートを「TTS」 、引き出すときに適用されるレートを「TTB」といいます。
一般的な円預金に手数料はかかりませんが、外貨預金には手数料がかかります。それは、交換するための外貨を準備したり、専用のシステムや人員を配置したり、また刻々と変化する為替レートに対応したりするための費用が必要だから、という事情があります。
デメリット3. 預金保険制度の対象外
外貨預金は、預金保険制度の対象ではありません。
- 「預金保険制度」とは?
- 銀行などが破たんした場合に預金者を保護する仕組み。政府、日本銀行、民間金融機関の出資で設立した預金保険機構が運営している。
預金保険制度といえば、「ペイオフ」という言葉でもおなじみですね。一般的な円預金など対象となる預金について、1金融機関ごと、1預金者あたり元金 1,000 万円とその利息が保護されます。
外貨預金はこうしたセーフティネットの対象外なので、大金を1つの金融機関に預けない、預け先の金融機関の経営状態を気に掛けておく必要があるなどの注意点があることを覚えておきましょう。
外貨預金のメリットとおすすめする理由
外貨預金を利用するメリット
メリット1. 円に比べて高金利の通貨もある
国外に目を向けてみると、日本より金利の高い国もあります。ただし、その中には、好景気に沸く国もあれば、政治や財政に不安を抱えているために金利が跳ね上がる国もあります。
そのように高金利の通貨があり、リターンが期待できることはメリットですが、その分リスクも大きいことも事実です。
よって、それぞれの国や通貨への理解を深めた上で円預金よりも金利の高い通貨を選ぶことで、メリットを享受しやすくなるでしょう。
メリット2. 円安になると為替差益が得られる
利息以外に利益を得られる可能性があるのは、円預金にはないメリットです。為替差益とは、外貨安(=円高)の時に外貨を買い、外貨高(=円安)の時に外貨を売ることで得られる利益です。
外貨預金のしくみでも例を紹介しましたが、1米ドル=100円の時に、1万米ドル(=100万円)を年利1%で米ドル預金した場合、1年後には利息が付いて10,100米ドルになります。
この10,100米ドルを円に戻して引き出す時には為替レートによって、以下のように受取り金額が変わります。

このように、受け取る利息を上回る利益になることもあるのが、外貨預金の一番の魅力と思われがちですが、為替レートの変動を捉えて利益を得るのはそれほど簡単なことではありません。
特に、外貨預金を始めたばかりの初心者は、“おまけ”程度に考えておく方が良いでしょう。
メリット3. 外貨のままで使うことができる
外貨預金は、金融機関によって異なりますが、外貨の現金として引き出して海外旅行の際などに使うことができます。
旅行や出張、留学などの予定が決まったら、早めに外貨預金を始めておくと、出発直前の為替レートにやきもきせずに済むので安心です。
うまくいけば円高の時に円と外貨を交換しておくことができるかもしれません。
外貨預金の上手な使い方(普通預金と定期預金)
外貨預金には大きく分けて「普通預金」と「定期預金」があります。
それぞれに合わせた便利な使い方や特徴を説明しておりますので、参考にしてください。
外貨普通預金
出し入れが自由な点や適用される金利が変わる「変動金利」である点は、円普通預金と共通した特徴でしょう。
外貨普通預金にしても円普通預金にしても、一番大切なのは必要なときに「いつでもいくらでも引き出すことができる」ということ。
そのため、原則として金利の水準は定期預金よりも低くなります。
海外旅行に持って行くために外貨をプールする
海外旅行に持って行くために外貨をプールしておくのも外貨普通預金の使い方の1つです。
出発前に空港で両替をするという人が多いのですが、為替レートの急変に備えて6ヶ月~3ヶ月位前から少しずつ外貨に交換しておくのがオススメです。
普通預金(または期間の短い定期預金)に預けておけば、出発までの間に利息がつきますし、余った外貨を再び預けることもできます。
※外貨のままでの引き出しや外貨の預け入れについては、金融機関ごとに対応が異なるため、詳細は各金融機関へお尋ねください
円安になるのを狙う
為替レートの動きに合わせて預けたり引き出したりして、為替差益を得たいという場合にも外貨普通預金が活躍してくれます。
例えば、1米ドル=100円のときに1万円を預けたとします。その後、1米ドル=110円になったときに引き出すと1万1,000円ですから、その差額が利益ということになります。
いつ動くか分からない為替レートに合わせるなら、出し入れ自由な外貨普通預金が便利です。
※ここでは、わかりやすくするために税金や為替手数料を考慮していません。為替手数料については後述します。
外貨定期預金
一定期間引き出さないと約束することで、普通預金よりも高い金利を得ることができるのが定期預金です。
期間は1ヶ月、3ヶ月、半年、1年などさまざまで、使う予定に合わせて選ぶことができます。中には1~2週間という短期間の定期預金もあります。
通常は、期間が長くなるほど金利が高くなるのですが、経済の状況や金融機関が行うキャンペーンなどによっては、期間の短い定期預金の方が金利は高くなることもあります。
使う時期がきまっていない余裕資金なら、異なる期間の定期預金金利を比べてみるのがオススメです。
高金利でふやす
定期預金は、一定期間預けることを約束することで、その分高い金利を得られます。
よって、金利に注目して上手に使うことをおすすめします。注目ポイントは2つあります。
1つ目は、常時高めの金利を提示している金融機関を探すことです。店舗を持たないネット銀行などは、地代や人件費などのコストがかからない分、総じて金利は高めです。PCやスマホなどの扱いに慣れている人には便利ですね。
2つ目は、金融機関の金利優遇キャンペーンを利用することです。特に、ボーナスシーズンにあたる6月と12月、新入社員が初めてお給料を受け取る4月は、キャンペーンを開催する金融機関が多いので狙い目です。各月の初旬に金融機関のwebサイトをチェックするとよいでしょう。
外貨預金を始めるための銀行の選び方
金利表や手数料表でも見た通り、どの金融機関を選ぶかによって、金利や為替手数料などの条件が異なります。
通貨が決まっている場合は、金利が高く為替手数料が安い方がよいというのが原則です。
これまで取引のなかった金融機関に新しい口座を開くのは面倒だという場合は、すでに取引のある金融機関で外貨預金の口座の開設手続きをする方が便利です。ただし、その場合も他の金融機関と比べて著しく条件が悪くないかはチェックするようにしましょう。
外貨のままで使いたいという希望があるなら、外貨現金での引き出しやクレジットカードなどで外貨決済が可能かどうか事前に確認しましょう。
米ドルやユーロなど主要な通貨であれば、外貨のままで引き出したり預けたりできる都市銀行や大手地方銀行があります。
通貨の種類
多くの金融機関で扱われている代表的な通貨は、米ドル、ユーロ、オーストラリアドルの3種類です。
なじみが深いのはやはり米ドルです。海外旅行などで実際に両替をしたり、チップを払ったりする機会が多いのが身近に感じる理由の1つかも知れません。
この他に ニュージーランドドル、イギリスポンド、カナダドル、スイスフラン、香港ドル、南アフリカランドなど、金融機関ごとに通貨のラインナップは異なります。
先進国の通貨と、南アフリカなど新興国の通貨を比べると、先進国の通貨の方が流通量は多く為替レートも安定しています。
一方で、新興国の方が金利は高い傾向があります。そうなると通貨選びに迷ってしまいそうですが、特に初心者の場合は米ドルなど先進国の通貨を中心に考えた方が無難でしょう。
なぜなら、外貨預金は不確実な金融商品ですので、継続的にその国の状況をニュースなどで把握しやすい通貨の方が安心であるためです。慣れてきたら、複数の通貨を組み合わせるのもよいでしょう。
外貨預金の金利と手数料
先にもお伝えした通り、外貨預金の金利は通貨ごとに異なります。また、これは円預金にも言えることですが、同じ通貨であっても金融機関ごとに金利の水準は異なります。
いくつかの金融機関の金利と為替手数料をご紹介しておきましょう。
| 三菱UFJ銀行 | じぶん銀行 | ソニー銀行 | 東京スター銀行 | 住信SBIネット銀行 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 米ドル | 0.6% | 0.160% | 0.100% | 0.10% | 0.200% |
| ユーロ | 0.001% | 0.002% | 0.001% | 0.03% | 0.001% |
| 豪ドル | 0.02% | 0.050% | 0.010% | 0.10% | 0.011% |
※三菱UFJ銀行米ドル・豪ドルは「外貨定期優遇プラン」適用
| 三菱UFJ銀行 | じぶん銀行 | ソニー銀行 | 東京スター銀行 | 住信SBIネット銀行 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 米ドル | 0.25円 | 0.25円 | 0.3円 | 1円 | 0.08円 |
| ユーロ | 0.5円 | 0.25円 | 0.3円 | 1円 | 0.26円 |
| 豪ドル | 0.5円 | 0.5円 | 0.9円 | 1円 | 0.5円 |
※三菱UFJ銀行は、米ドル・豪ドルは「外貨定期優遇プラン(インターネットバンキング)」適用※東京スター銀行はインターネットバンキング利用時
外貨預金以外の外貨での資産運用方法
外貨の金融商品は外貨預金だけではありません。
以下、外貨預金以外での資産運用方法をご紹介します。
外貨建て保険
保険は目的に応じてさまざまな種類がありますが、中には外貨建てもあります。
例えば、個人年金保険は支払った保険料を長期に渡って運用し、将来的に年金として受け取ることを目的とした貯蓄性を重視した保険ですが、米ドルなど外貨建ての個人年金は、円建てのものに比べて利回りが高いのが特徴です。
受け取りの際には、外貨のまま受け取るか円に戻して受け取るか選ぶことができたり、その時点の為替レートが円高でしばらく外貨のままで様子を見てから円に戻したりといった選択肢が用意されているのが一般的です。
また、中には外貨のままで保険料を支払うことができる商品もあります。
詳しくは以下の記事で説明してますので、参考にしてください。
その他の外貨投資
保険以外にも、外貨建ての金融商品としては、外貨建ての債券や投資信託、外国の証券取引所に上場する株式、FXなどがあります。
仕組が難しくなりますが、もしも興味が沸いたら、理解しやすいものから徐々に、少額でチャレンジしてみるのもよいでしょう。
外貨預金に関してよくある質問 Q&A
外貨預金に関してよくある質問
Q. 外貨預金はどこの銀行が良いですか?
A. 銀行によって金利や手数料が異なります。
原則では、金利を高く、手数料を安くするようにするものです。
すでに取引のある講座を持っている場合は、他の銀行と比較して現在の条件が悪すぎないかをチェックしてみましょう。
外貨預金の金利と手数料の項目でも紹介したように、米ドルでの金利が高いのは三菱UFJ銀行、手数料が安いのは住信SBIネット銀行でした(2021年10月)。
Q. 外貨預金のおすすめのタイミングは?
A. 基本的に外貨預金は円高の時ほどチャンスだと言われています。
円の価値が高く米ドルの価値が低い時は安く仕入れることができるため、日本に資産を持っていると有利になります。
まとめ
外貨預金は、その価値が日々変動します。
自分のお金の価値が変わるのを目の当たりにすると、これまで気に留めていなかった経済ニュースにも自然に興味がわいてきます。
仕事や家事に追われる中でも、インターネットやスマホなど便利なツールを活用すれば、きちんと管理しながら投資を続けることができるでしょう。
外貨預金をきっかけに、自分や家族のための長期的な資産形成についてもゆっくり考えてみてください。