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更新 更新:2023.03.09

生命保険の見直しタイミングとは?注意点やメリットを解説!

生命保険の見直しタイミングとは?注意点やメリットを解説!
所有資格
ARM(米国リスクマネジメント士資格)、CPCU(米国保険士資格)、PhD(博士)、MBA(経営学修士)
専門分野・得意分野
生命保険全般、リスクマネジメント、ファイナンス、経営学
所有資格
AFP資格、証券外務員Ⅱ種
専門分野・得意分野
生命保険全般、資産運用
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級, 日商簿記検定3級
専門分野・得意分野
保険全般・不動産関連・税金・投資

生命保険は加入後も、定期的な見直しが必要です。

就職や結婚、出産などの人生の転機は、備えるべき保障も大きく変化します。

これらのライフステージの変化に合わせて生命保険を見直すべきポイントは、以下のとおりです。

保険の見直しを行う際のポイント

どんな保険も、加入してからずっとそのままでいいというわけではありません

この記事では、年齢やライフステージ、家族の生命保険の見直し方と注意点について、分かりやすく解説します。

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保険見直しのベストタイミング

保険の契約内容を見直すのにおすすめのタイミングは、以下のとおりです。

冒頭のとおり、生活環境や家族構成に変化がある大きなライフイベントの時期は、必要な保障も変化するため、保険を見直すベストタイミングであると思って下さい。

それぞれのライフイベント毎の保険見直しの考え方について、分かりやすく解説します。

就職した時

就職後に、初めてご自身で保険加入を検討される方も多いと思います。

新社会人の方は、万が一の際や病気になってしまった時に備え、最低限の医療保障が準備できていると良いでしょう。

生命保険文化センターの令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯主が29歳以下で医療保険や医療特約に加入している人の割合は、90.8%です。30〜34歳の方の場合でも、94.2% が医療保険や医療特約に加入しています。

病気やケガによる急な入院時にまとまった費用を捻出できない方は、入院日額5,000円などの「医療保険」に加入しておくと安心です。20代など若いうちに終身型に加入すれば、お手頃な保険料で一生涯の保障を確保することができます。

ご両親にお金を遺したい場合は

仕送りなどでご両親の生活費を負担している場合には、「ご自身が万が一の場合に不足する金額 × 必要年数」を算出して、その分を死亡保障として備えられるようにしましょう。

その場合、保険料が割安なネット生保の「定期保険」から、ご自身に合った商品を選ぶのがおすすめです。10年ごとの更新にしておけば、その都度、必要性を見直すこともできます。

貯蓄が苦手な方は

将来の老後資金のことを考え、保険料が家計にとって負担にならない範囲で、貯蓄型保険への加入を検討してもよいでしょう。

「個人年金保険」「終身保険」「外貨建て保険」「変額保険」など様々な種類がありますが、その時の運用環境によって自身に適した商品は変わるため、FP相談などを活用して、自身に合った商品の提案を受けることをおすすめします。

払込保険料が負担になりすぎるのはよくないですが、お金を貯めるのが苦手な人にとっては、保険料が自動的に引き落とされることにより、貯蓄の習慣づけにもなるはずです。

結婚した時

結婚時に保険を見直すのであれば、ご自身が万が一のことがあった場合の配偶者の生活を考えましょう

この際の夫婦の死亡保障、医療保障は、妻の働き方によって目安が異なります、以下の表を参考に備えられると安心です。

妻の職業 死亡保障額の目安
会社員 500万円~1,000万円
パート・専業主婦 1,500万円程度
職業に関係なく、子供なしの場合 300万円~1,000万円
職業 入院日額の目安
会社員 5,000円程度
自営業 10,000円程度
職業に関係なく 5,000円程度

また、結婚したらなるべく早く確保したいのが、妻の医療保障です。

妊婦の方は新規に医療保険への加入が難しく、加入できたとしても子宮・卵巣部位の保障がされない「部位不担保契約」になってしまう場合があるためです。

死亡保障の確保は2パターンあり、ひとつは全額を「定期保険」で準備する方法で、一生涯の死亡保障が必要ない場合におすすめです。
もうひとつが「終身保険」をベースに、残りの金額を「定期保険」で上乗せする方法です。前者と比較して保険料は割高になりますが、一生涯の保障を得られます。

また、万が一の際に遺された家族に毎月お給料のように一定額が支給される「収入保障保険」も選択肢のひとつです。保険期間の経過とともに受け取れる金額が少しずつ減少する仕組みで、定期保険と比較して保険料が割安なのが特徴です。

出産した時

子供が生まれた際に、まず考えたいのが死亡保障の増額です。

夫に万が一のことがあった場合には、遺された妻と子を受取人として遺族年金が支給されますが、遺族年金だけで生活費や教育費をすべてまかなうのは現実的ではありません

生命保険文化センターの令和3年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、40歳未満の夫婦のみ世帯が加入している普通死亡保険金額は、平均1,983万円であるのに対し、末の子どもが保育園児や幼稚園児である世帯が加入している普通死亡保険金額は、平均2,846万円です。

夫婦のみの世帯よりも、子どもがいる世帯の方が、加入している普通死亡保険金額が高い傾向にあります

増額するべき死亡保障額の目安は、

  • 会社員か自営業か
  • 賃貸住まいか持ち家か
  • 共働きか

などによって変わってくるため、ご自身の家族に適切な必要保障額を知りたい場合は、FP相談なども検討しましょう。

一般的に、子供が成長するにつれて必要保障額は減っていきます

ですので、保険期間の経過とともに受け取れる金額が減っていく「収入保障保険」は相性がよく、保険料も定期保険と比較して割安に抑えることが可能です。

一生涯の死亡保障も確保したい方は「終身保険」をベースに「収入保障保険」を上乗せする方法もありますが、保険料は割高となる点に注意して下さい。

シングルマザーの場合は

離婚などでシングルマザーになった場合は、より子供への責任が増すため、結婚当時、もしくはそれ以前に加入していた保険の内容を見直す必要があります

主に見直すべきなのは、万が一の際の死亡保障と子供の教育資金についてです。

まず、基本的に死亡保険には必ず加入して、保障の上乗せに保険料負担が軽い「収入保障保険」を合わせて検討することをおすすめします。また、病気やケガに対する医療保障についても厚くしておくと安心です。

教育資金については、小学生など、お金がかかりづらい時期から養育費の半分を貯蓄することを目的に、払込期間を5年~10年で設定し、終身保険に加入するなどして、子供の大学進学時の教育費に備えるなども選択肢のひとつです。

住宅購入時

住宅購入時も、保険を見直すのにいい機会です。

基本的に、多くの民間金融機関において、住宅ローンを組む際に団信(団体信用生命保険)に加入するのが一般的です。団信に加入していることで、万が一の際にローンの残債が相殺されるため、その分の死亡保障を減額できます。

しかし、フラット35や一部金融機関では、団信が任意加入の場合があり、その場合は死亡保障を増額する必要があります

ご自身に合った死亡保障額の目安は、夫婦の働き方や年齢、子供の有無によって変わるため、必要であればFP相談などを活用して把握するようにしましょう。

また、団信は基本的に死亡時にローンの残債が相殺されるのみで、働けない状態になったとしてもローンの支払いは続きます

ですので、死亡以外に、働けなくなった際のリスクにも別途備える必要があります。この際、所定の就業不能状態になった際に給付金が支払われる「就業不能保険」がひとつの解決手段となります

住宅ローンの返済期間、あるいは子供が独立するまでの間、就業不能保険に加入することで、保険料負担を軽減しつつ上記のリスクに備えることができます。

自営業の場合は

働けなくなった際のリスクは、会社員と自営業者で大きく異なります。

例えば、「傷病手当金」などの給付が受けられない自営業の方は、収入がなくなるだけでなく、療養生活中の医療費負担も大きくなるので、特に自営業の人は「収入保障保険」や、「就業不能保険」の検討が大切になります。

収入保障保険は、契約者の死亡時に遺された遺族に対して保険金が支払われます。

就業不能保険は、名称のとおり所定の就業不能状態になることで、毎月のお給料のように給付金が受け取れるのが特徴ですが、就業不能の定義は保険会社によってさまざまです。

商品によってはうつ病などの精神疾患は保障対象外という場合もありますので、ご自身の働き方や生活に合った商品を検討するようにしましょう。

合わせて、医療保障についても入院日額の増額の検討、治療費が高額になりがちな三大疾病に対する払込免除特約などを付帯できるとなお安心です。

夫婦でローンを組む場合は

共働き世帯の増加によって、夫婦で住宅ローンを組むのも選択肢のひとつです。

この場合、2人で住宅ローンを組むことでそれぞれの負担が軽減され、1人で組むより多くの融資を受けやすくなる点がメリットです。一方で、片方が死亡した場合に団信でローンの残債が相殺されても、もう片方のローンは残ったままといったデメリットもあります。

遺された方は、自身のローンを返済しつつ、育児や家事も行っていく必要があり、金銭的にも精神的にも負担が増してしまうため、死亡保障は予め手厚くしておくことが肝心です。

一方の死亡時に備えて、もう一方の残債が相殺されるような設定で「定期保険」や「収入保障保険」をローン返済期間分だけ加入するなどしておくと安心です。

子供の独立

子供が成人して独立した後は、それまで子供のために備えていた保障を減らすことができます。そこで、老後の生活資金を意識して必要な保障に絞ることで、保険料を抑えることができます。

医療保障や介護保障を必要に応じて検討してもよいでしょう。

ご注意いただきたい点として、保障を削減すると新たに保険に入りなおすには健康状態の告知が必要になり、再度加入を検討した場合に診査に通らないといった可能性もあります。

保険会社ごとに診査基準は異なり、ある会社では加入できなくても、また別の会社であれば加入できる場合もありますので、保険の引受基準について熟知したFPなどへ相談することをおすすめします。

監修者からひとこと
前田 祐治
  • 前田 祐治
  • 関西学院大学教授
一世帯あたりの生命保険の年間支出額は、約40万円だと言われています。10年間で400万円、20年間で800万円と高額な出費になります。その生命保険を安易に決めていませんか?
例えば、「知り合いに入ってくれと頼まれたから入りました」「保険は必要だと思ったので、とりあえず安いのに入りました」とかいう理由で決めていませんか?生命保険は損害保険と違い長期契約が多いので、一度決めたら長く付き合わなければなりません。じっくり人生設計に合わせてから契約することが重要です。

年代別保険の見直しポイント

この章では各年代別での保険を見直す際に押さえておきたいポイントを解説していきます。

30代の保険の見直し

30代は結婚や出産などのライフイベントが多い世代です。

自分自身だけではなく家族のために生命保険を検討するにも適したタイミングといえます

また、年齢が若いうちに生命保険に加入しておくと毎月の保険料が安くなるといったメリットもあります。

以下のコンテンツで詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。

40代の保険の見直し

40代は家庭環境の変化や健康リスクが高まりはじめる世代です。

すでに生命保険に加入しているという方も、今までと同じ契約内容では保険料を無駄に支払っていたり、本当に必要な保障を準備できていなかったりとさまざまな問題が発生してしまう可能性もあります。

今は病気やケガをしていなくとも、「自分自身の健康リスクへの備え」「家族ができたことによる万が一のときの備え」といった視点で、以下の記事を参考に、40代に必要な保障を見直してみましょう。

50代の保険の見直し

50代は、子どもが独立したり役職定年を迎えたりと、若い頃に次いでライフイベントが多い年代です。

さらに、若い頃と比較しても病気やケガに対するリスクも高くなってくるため、今の年齢や環境に合わせた保障への見直しを検討してもよいでしょう

結婚や子どもの有無によって、備えるべき保障は大きく変わってきますので、下記のコンテンツを参考にしつつ必要であればFPへの無料相談なども活用しましょう。

60代の保険の見直し

60代は多くの方が定年退職を迎え、老後生活がはじまる年代です。

一方で、身体機能の低下により、健康状態に不安を抱える方も少なくありません。

主な収入源は年金となり、これまでに貯蓄してきた老後資金と併せて生活していくことになります

貴重な貯蓄を減らさないためにも、現在加入している保険の種類と保障内容をして、必要であれば見直しを検討してください。

60代でおさえておくべきリスクや保険を以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご参考ください。

保険の見直しをするメリット

保険を見直しを行うことで得られるメリットとして、以下の2つが挙げられます。

保険の見直しをするメリット

  • 余分な保険料負担が軽減する可能性がある
  • 万が一の際に本当に必要な保障を受けられる

保険料がかさむと、まとまった出費となり家計にも負担がかかってしまいます。

そこで、保険を上手に付き合っていくためには、「必要な保障に対して、必要な金額だけ支払っているか?」という意識が大切です。

保険に加入する際、よく理解しないままに内容を決めてしまうと、実際には必要のない保障内容に対して料金を支払ってしまっていたという可能性もあります。

一方で、保険の加入当時は必要がなかった保障が、現在は必要になっているというケースもあるでしょう。

保険の見直しを行い、今の自分に必要な保障・必要ない保障を精査することで支払う保険料負担が軽減されれば、貯蓄や積立に回せるお金が増やせます

生命保険を見直す際の確認ポイント

生命保険の見直しで確認したい以下の5つのポイントについて、分かりやすく解説します。

生命保険を見直す際の確認ポイント

  1. 保障内容
  2. 保険金額
  3. 保障期間
  4. 保険料払込方法
  5. 保険金の受取人

生命保険証券の例

1. 保障内容

生命保険の加入目的と対応する主な保険種類一覧

ご自身の求める保障のニーズやライフプランと、その中で想定されるライフリスクが、加入している保険の種類がマッチしているかを確認しましょう。
保障のニーズに対する主な保険種類は上記の図を参考にして下さい。

生命保険に加入していても、その保障内容をすべて把握できているという方は少ないです。
受けたい保障と加入している保険にズレがあると、必要なタイミングで思うような保障が受けられない可能性があります。

これまでの通りライフステージの変化によっても、必要な保障は変動してくるものです。
そのため、今の自分の生活状況に適切な保障プランになっているのか定期的に見直しを行うことをおすすめします。

2. 保障金額

生命保険の主な加入目的には以下の3つが挙げられます。

生命保険の主な加入目的

  1. 万が一の際に、遺された家族の生活費保障
  2. 子どもの教育資金、老後資金などの積み立て
  3. 病気やケガによる経済的リスクへの備え

何のために生命保険に加入するのか加入目的を明確にし、ライフステージに応じて必要な保障金額はいくらになるのかを確認しましょう。

また、公的保障でカバー出来る部分と保険でしか補えない部分を明確にし、必要以上の保険料を支払ってしまっていないか?も見直してみるといいでしょう。

必要保障額に対する基本的な考え方は以下の通りです。

必要保障額の考え方
死亡保障額の場合 病気・ケガに対するリスク保障額の場合
必要な死亡保険金額(必要保障額)の計算式
  • 生命保険の必要保障額の考え方

一般的には、家計の主な収入源となっている男性の方が死亡保険金額や、入院給付金日額の設定を高くしているケースが多いです。

監修者からひとこと
前田 祐治
  • 前田 祐治
  • 関西学院大学教授
例えば、若い時に安いという理由で定期保険に入る人が多いと思います。しかし、一般的な定期保険は10年後に更新があり、更新保険料は1.5倍から2倍にも跳ね上がるケースがあります。
したがって、保険料と自分の懐を鑑みて見直すことになります。間違った保険に入るとせっかくの人生設計が保険のせいで狂わされることも考えられます。契約前に主な目的が保障なのか貯蓄なのかを分けて考えていくといいと思います。

3. 保障期間

多くの生命保険は、その保障が適用される期間に応じて「終身型」「定期型」に分けることができ、それぞれの特徴は以下の通りです。

生命保険の保障期間は2種類
終身型 定期型
  • メリット:一生涯の保障を受けられる
  • デメリット:毎月の保険料は定期型に比べると高め
  • メリット:毎月の保険料は割安
  • デメリット:あらかじめ決まっている保障期間が過ぎると更新が必要

ご自身の生活環境や家族構成、年齢などで、同じ種類の保険でもどちらのタイプに加入するべきかは異なりますので、詳しくは保険会社、FP相談などを活用しましょう。

4. 保険料払込方法

保険料の払込期間を見直すことで、月々の保険料負担を軽減できる可能性があります。
月々で払っている保険料を「年払い」や「半年払い」に変更することで、1回の負担は大きくなりますが、総支払保険料を安くすることができます

また、もしまとまったご資金がある場合は保険料を前納(前払い)することで、さらに総支払保険料を軽減できる可能性がありますので、保険会社に問い合わせてみましょう。

そして、現在、保険料の支払いを口座振替にしている方は、クレジットカード払いに切り替えることで効率的にポイントを貯めることも可能です

保険会社によって対応状況が異なるため、詳しくは、ご自身が契約している保険会社や代理店の担当者に問い合わせてみて下さい。

5. 保険金の受取人

保険には、以下の3者が存在することになります。

保険に関わる「被保険者」「契約者」「保険金受取人」とは

  • 被保険者:保険の対象者。被保険者の身に起きた事象に対し、保険金の支払いが行われる。
  • 契約者:保険会社と契約を結ぶ者。
  • 保険金受取人:保険金を保険会社から受取る者。

保険金は課税対象となり、保険金受取人を誰にするかによって課税の額や種類が異なります
そのため、特に「保険金受取人」を誰にするか?は重要です。

また、契約時と現在では、家族構成や状況が変わっている場合もあります。

繰り返しにはなりますが、保険の見直しを行う際は、「誰のどんなリスクに備えたいのか?」に応じて保険金受取人も見直しておくと安心です。

生命保険を見直す際の注意点

生命保険の見直しに伴う4つの注意点について、分かりやすく解説します。

保険の内容も医療事情や、時流の変化に応じて最適化されていくものですが、一方で、原則として年齢を重ねると保険料は高くなる傾向にありますので、ご自身の現在の契約内容を理解した上で、慎重に判断しましょう。

1. 現在の保険を解約する際に、元本割れを起こすリスクがある

解約返戻金が支払い保険料を下回る時に元本割れを起こす

保険を見直すからといって、現在加入している保険をすべて解約する必要はないのですが、解約を伴う場合は、元本割れの可能性を考慮しておきましょう

保険解約時に戻ってくる解約返戻金は、保険会社が保険金を支払うために積み立てているお金(責任準備金)のうち、解約控除が差し引かれた金額です。

そのため、保険の契約期間によっては支払った保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなってしまう、いわゆる元本割れが起こりやすくなります。

2. 利率の良い貯蓄型保険は、無理に解約しない方がよい場合も

ひと昔前に契約したり、親からもらった終身保険や養老保険といった貯蓄型保険の中には、現在に比べて契約時の予定利率が非常によい場合があります。

これらの保険は「お宝保険」と呼ばれ、無理に解約せず、できるだけ継続するのがおすすめです。

必要ないからといってよく検討せずに解約してしまうと、利率の面ではこのような有利な保険には二度と加入できない可能性があるため、注意が必要です。

3. 保険商品によって、保険金が支払われない免責期間がある

がん保険の免責期間と責任開始日

免責期間とは、保険金が支払われない期間のことで、「待機期間」や「待ち期間」とも呼ばれます。

特に、がん保険では多く設定されており、「申込書の提出、健康状態の告知、1回目の保険料払込み」のいずれか最後に行われた日から数えて約90日間、などと定められていることがあります

保険に加入しているのにも関わらず、保険が適用されないという事態を避けるためにも、免責期間は確認しておきましょう。

4. 健康状態によっては、新たに加入できない場合もある

新しい保険にすぐ加入するからといって、現在加入している保険を解約してしまうと無保険状態の期間が生じる可能性があります。自分に合った保険を見つけたとしても、健康状態や年齢などによっては、加入審査に通らない可能性があります

審査に通らなければ、他の保険に加入するまでの期間は無保険状態となり、その際にケガや病気になってしまうと、医療費は自己負担になってしまいます。

ですので、基本的に保険を解約する際は、次の保険に加入してから行うようにしましょう。

保険の見直しシミュレーション

実際に、具体的なイメージがわくように、生命保険見直しの手順をシミュレーション例になぞって紹介します。

保険の見直しシミュレーションの例

  • 契約者:夫(35歳)
  • 家族構成:妻(共働き)、子供2人(4歳・2歳)

夫が現在加入している保険の保障内容は、以下の通りです。

現在加入している総合保障保険の内訳
保障内容 保障額 月払い保険料
死亡保障(定期保険) 3,000万円 16,456円(10年更新)
死亡時の収入保障 20万円/月
入院給付金 1万円/日
手術給付金 10万円~40万円

子供が小さいうちは高額な死亡保障が必要ですので、一見すると十分な保障に加入しているように見えますが、毎月の保険料負担が高額なため、10年後に同額更新すると保険料負担がさらに上昇することもあり、この家族は保険の見直しを考えています。

見直しにあたり、ご家庭が必要としている保障は以下の通りです。

万が一の際に、必要となる保障

  • 万が一、夫が死亡した際、子供が独立するまでの家族の生活費用
  • 万が一、夫が死亡した際の葬儀費用・身辺整理代
  • 夫が入院や手術をする場合の医療費

また、夫に万が一のことがあった場合の遺族年金や、病気・ケガによる入院・手術の際に活用できる健康保険制度を考慮すると、さらに以下のことが分かりました。

遺族年金や健康保険制度を鑑みた上で、あると安心な保障

  • 夫の死亡時に子供が独立するまで必要な生活費・教育費は毎月15万円
    ⇒遺族年金額と妻の収入を考慮
  • 手厚い医療保障は不要
    ⇒夫の会社の健康保険に「付加給付」があり、ひと月の医療費の自己負担額が25,000円で済む

このような点に留意した上で保険を見直すと、適切な保障内容は以下のようになります。

保険見直し後の保障内容例
必要な保障 加入する保険 保障額 月払い保険料 保険料合計
遺族の生活費 収入保障保険 15万円/月 2,800円
(55歳満了)
11,556円
葬儀・身辺整理代 終身保険 300万円 6,954円
(65歳払済)
入院費用・手術代 医療保険
  • 入院給付金 : 5,000円/日
  • 手術給付金 : 10万円
  • 先進医療特約
1,812円
(終身払い)

夫に万が一のことがあった場合の生活費・教育費は、保険期間満了まで保険金を毎月受け取れる収入保障保険でカバーします。保険期間は、下の子供が独立する(22歳)20年後まで保障することにするため、夫が35歳から20年後の55歳で保険期間が満了するように設定します。

夫の葬儀費用・身辺整理代は一生涯の死亡保障がある終身保険でカバーし、医療保険も最低限の保障にして老後も継続できるように終身払いとしました。

今回の保険の見直しで毎月の保険料が4,890円安くなり、年間で58,680円が節約できたことなります。見直し後の保険には更新型のものがないため、将来同額更新した場合に保険料が上がる心配もありません。

監修者からひとこと
前田 祐治
  • 前田 祐治
  • 関西学院大学教授
例えば、独身から結婚時までは保障を中心に定期保険を加入し、子供ができてからは保障と貯蓄を並行して見直す。子供がある程度大きく成長し、自身の長生きリスクや疾病リスクが気になりだしたら、貯蓄タイプの終身保険と医療保険(終身)に移していくというのがいいと思います。

保険を見直す際の主な相談先

保険の見直しを決断したとしても、世の中にはたくさんの保険商品があるため、ご自身だけで最適な商品を選定するのは至難の業です。

かつては、保険会社の営業社員から加入提案を受けるのが一般的でしたが、最近では複数の保険会社の選択肢の中から商品の提案をしてくれる保険ショップ、訪問型の保険代理店が増えてきています

それぞれ、保険を見直す際の主な相談先とメリット・デメリットは、以下の表のとおりです。

保険の見直しの主な相談先とその特徴
相談先 特徴 向いている人
保険会社の営業社員
  • 保険会社(支社)の窓口などで手続きできる
  • 担当職員が契約後もアフターフォローを担当してくれる
  • 比較する保険が、その会社の商品のみとなる
  • 懇意にしている営業職員がいる人
  • 契約の管理や保険金の請求なども担当者に任せたい人
銀行窓口
  • 銀行の職員が保険提案をしてくれる
  • 保険も含めた総合的な資産運用を相談したい人
  • お金の窓口をひとつにまとめたい人
通信販売・ネット完結商品
  • インターネットや郵送で手軽に加入手続きができる
  • 選べる保険商品はシンプルで、料金も割安なものが多い
  • ある程度加入したい保険が決まっていなければ、比較が難しい場合も
  • 手軽に保険に加入したい人
  • ある程度、加入したい商品が決まっている人
来店型の保険ショップ
  • 複数社の保険商品から比較して提案してくれる
  • ショッピングモールなど、身近な場所に店舗がある
  • 場合によって、待ち時間が発生する場合も
  • 複数社の保険商品から比較検討したい人
  • 気軽に保険相談したい人
訪問型の保険代理店(訪問相談・FP相談)
  • 複数社の保険商品を取り扱っている
  • 自宅や職場、最寄りのカフェなど都合の良い場所まで担当者が説明に来てくれる
  • 複数社の保険商品を比較して選びたい人
  • 保険ショップに行く時間を確保するのが難しい人

また、近年は各保険会社がオンラインでの申し込みに力を入れており、ネット完結で加入できる保険も増えてきています。

対面では、ZOOMなどのツールを利用してオンラインで保険相談ができる保険代理店、また訪問型代理店は、顧客の都合がよい時間帯、場所まで説明に来てくれるため、移動の手間や時間を省けます。

「仕事が忙しくて都合がつけにくいが、保険はしっかり見直したい」という人におすすめです。

保険の見直しに関するよくある質問 Q&A

Q. 保険の見直しをするベストタイミングは?

A. 基本的には、ライフステージに変化があるときに見直すことで、新しい環境に合わせて保障を最適化できると思っていただければ問題ありません。

特に、住宅を購入して団体信用生命保険に加入した際と、子供が独立した後に関しては影響金額が大きくなるため保険の見直しは忘れず行うようにしましょう。

Q. 保険の見直しはどこでできる?

A. 保険商品は世の中に多くあり、種類や保障内容もさまざまですので、いざ保険の見直しを検討する際は、中立の立場で相談に乗ってくれる保険ショップ、もしくは訪問型の保険代理店(訪問相談・FP相談)がおすすめです。

中でも、訪問型代理店は、顧客の都合がよい時間帯・場所まで説明に来てくれるため、移動の手間や時間を省くことができ「仕事が忙しくて都合がつけにくいが、保険はしっかり見直したい」という人におすすめです。

生命保険に関する調査データ

ナビナビ保険で調査した生命保険に関する調査データは以下のとおりです。見直しの際の参考にして下さい。

保障内容の把握 加入目的 死亡保険金の設定 入院給付金の設定 保険期間
生命保険加入者の加入している保険の補償内容の把握度の調査結果グラフ 生命保険加入者の加入目的の調査結果グラフ 生命保険加入者の死亡保険金の金額設定の調査結果グラフ 生命保険加入者の入院給付金日額設定の調査結果グラフ 生命保険加入者の保険期間設定の調査結果グラフ
  • 自身が加入している保障内容をしっかり把握できていない人が約55%いる
  • 加入目的は「医療保障(病気・ケガなど医療費に備えたい)」と回答した人が最多の85.0%
  • 家計の主な収入源となっている男性の方が、死亡保険金額・入院給付金日額の設定金額を高く設定しているケースが多い
  • 「終身型」の生命保険に加入している人は36.7%、「定期型」の生命保険に加入している人は57.6%
調査概要 インターネットによる調査
期間 1. 2020年5月21日~5月23日
2. 2020年6月9日~6月16日
エリア 全国
サンプル数 1. 300名
2. 1,136名
調査機関 Fastask

まとめ

保険見直しの必要性と、具体的なタイミングから確認したいポイントまで分かりやすく解説しました。最後に振り返りです。

保険は定期的に契約内容を見直し、保障内容と生活背景を合わせることが大切です。以下のライフステージに変化があるタイミングは、家族構成や居住環境の変化に伴い、必要保障額が変わるため、特に保険の見直しに適していると言えます。

保険を見直す際に特に重要なポイントは以下です。また、合わせて注意点にも目を通しておきましょう。

生命保険を見直す際の確認ポイント

保険の見直しを決断したとしても、世の中にはたくさんの保険商品があるため、ご自身だけで最適な商品を選定するのは至難の業です。最近では複数の保険会社の選択肢の中から商品の提案をしてくれる保険ショップ、訪問型の保険代理店が増えてきており、またZOOMなどのツールを利用して面談することも可能です。

近年は、各保険会社がオンラインでの申し込みに力を入れており、ネット完結で加入できる保険も増えてきています。

自分や家族にとって適切な契約内容が分からない人は、FPの力も借りて、ご自身や家族の状況に合わせたプランを提案してもらいましょう。あるいは、ご自身で加入する商品を決めたいという方は、ネット完結の保険を検討してみてもいいかもしれません。

LINE友だち追加でプレゼント
保険についてよくわかる
無料マガジン配布中
パンフレット
前田 祐治
前田 祐治
関西学院大学教授
インディアナ大学ビジネススクールにてMBA(ファイナンス)取得。その後、マーシュ株式会社、東京海上日動保険会社、滋賀大学国際センター特任准教授を経て、現在の関西学院大学 経営戦略研究科 教授に至る。
所有資格
ARM(米国リスクマネジメント士資格)、CPCU(米国保険士資格)、PhD(博士)、MBA(経営学修士)
専門分野・得意分野
生命保険全般、リスクマネジメント、ファイナンス、経営学
藤田 匡紀
藤田 匡紀
新卒で日本生命保険相互会社に入社し、販売企画・代理店営業など多様な業務に従事。13年間勤務した後「もっと多くの人に、保険の必要性を正しく理解してもらいたい」という思いを胸にエイチームフィナジーに入社、ナビナビ保険の運営に参画。金融機関における顧客向け相続セミナー・研修会の実績も多数あり。
所有資格
AFP資格、証券外務員Ⅱ種
専門分野・得意分野
生命保険全般、資産運用
品木 彰
品木 彰
ファイナンシャルプランナー
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後、人材会社で転職コンサルタントとしての勤務を経て、2019年1月よりwebライター/監修者として独立。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級, 日商簿記検定3級
専門分野・得意分野
保険全般・不動産関連・税金・投資
ナビナビ保険編集部
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