払い済み保険とは
払い済み保険は、保障金額が減額となる代わりにそれ以降の保険料支払いを済ませる仕組みのことです。
例えば、保障額が1,000万円の終身保険を払い済み保険に変更すると、保障額が500万円や600万円などに減額される代わりに、保険料を支払う必要はなくなり一生涯の保障は継続できます。
保険料の払い込みが難しくなったときや、保障内容の見直しをしたいときなどに活用できる制度といえます。
払い済み保険は、現在の健康状態の告知や医師による診査など不要で手続きができるので、手間も時間もかかりません。
健康状態が悪いために新しい保険に加入することが難しい場合でも、保険料を節約するための選択肢としておすすめの方法です。
一方で保障が減ることで、万が一のときの不安が増えてしまう恐れもあるため、慎重に検討することが大切です。
払い済み保険のメリット3つ
払い済み保険のデメリット3つ
払い済み保険の対象にできる保険
払い済み保険の対象にできる保険は、終身保険や養老保険、個人年金保険など解約返戻金がある保険です。
貯蓄型保険しか払い済み保険にできない理由は、変更時点の解約返戻金を元に保障を買い直す仕組みであるためです。
そのため、元手となる解約返戻金がない掛け捨て型保険は、原則として払い済み保険に変更できません。
また、契約内容によっては、解約返戻金がある商品でも払い済み保険に変更できない場合があるので注意が必要です。

- 諏澤 吉彦
- 京都産業大学教授
払い済み保険を利用する主な理由
払い済み保険が利用される主な理由は、以下の2つが挙げられます。
払い済み保険を利用する主な理由
保険料の払い込みが難しくなった時
長い人生を送る中で、子供が生まれたり親の介護が必要になったりしたりなどで、支出が増えて家計が苦しくなることがあります。
しかし、保険料の支払いが苦しいからといって保険を解約してしまうと、必要な保障まで失ってしまうかもしれません。
「払い済み保険」へ変更すれば、保険料負担を軽減しつつある程度の保障は確保しておくことができます。
保障内容の見直しをしたい時
払い済み保険に変更することで保障金額は減額となる代わりに、毎月の保険料負担がなくなります。
その分で保険料が割安な別の保険に加入することで、保険料負担を抑えながら必要な保障を確保したり、さらに手厚くしたりすることが可能です。
そのため、保障内容の見直しをするときも払い済み保険を活用できることがあります。
実際に払済保険を利用している方は、以下のようなきっかけで払い済み保険を利用し始めたようです。



- 諏澤 吉彦
- 京都産業大学教授
払い済み保険の主なメリット・デメリット
払い済み保険の主なメリットとデメリットは以下のとおりです。
払い済み保険のメリット3つ
払い済み保険のデメリット3つ
それぞれの項目について、分かりやすくお伝えしていきます。
メリット1. 変更時点から保険料の負担がなくなる
払い済み保険に変更すると、変更した時点から保険料の負担がなくなります。
様々な理由で保険料の捻出が難しくなった場合に払い済み保険へ変更すれば、保険料負担がなくなり、家計が楽になる可能性があります。
メリット2. 保険料の負担を減らしながら主契約の保障期間が継続できる
解約とは異なり、払い済み保険は保険料の負担をなくしながら主契約の保障期間が継続できます。
保障金額は減額となりますが、契約した当時の保障期間はそのままに保険料負担だけを減らせるので、ある程度の保障だけを確保することが可能です。
保険料負担を減らしつつ、万が一の事態に備えて保障期間を保持しておきたいという人は、払い済みを検討すると良いでしょう。
メリット3. 変更後も責任準備金は運用されるので解約返戻金は増えていく
払い済み保険に変更すると、その時点での解約返戻金が以降の保険料に充てられるので、変更したタイミングでは解約返戻金が0円となります。
しかし、それまでの期間に支払っていた保険料(責任準備金)の実績は残ったままで、保険会社によって責任準備金が運用され続けるので、その運用益に応じた解約返戻金が増えていきます。
そのため、保険契約を解約した際には解約返戻金を受け取れることがあります。
ただし、保険加入当時に想定された金額と実際の受取額が異なる点には注意しましょう。
実際に払済保険を利用している方は、以下のようなメリットを感じているようです。


デメリット1. 保障金額が下がる
払い済み保険は、保障額が減額る代わりに毎月の保険料支払いをストップできる制度です。
そのため、万一の事態が発生した場合に保障額が不足してしまうかもしれません。
払い済み保険に変更したあとでも、元の契約内容に戻す「復旧」の手続きができます。
しかし、健康状態の告知と診査などが必要となるため、必ず復旧できるとはかぎりません。
また、復旧を取り扱っていない保険会社もあります。
保険料を抑えるために有効な方法ではありますが、保険料が減額となった分の費用で、別の安価な保険(掛け捨て型保険)に加入し、不足した保障内容を補填することも視野に入れてご検討ください。
デメリット2. 特約や配当金がなくなる
払い済み保険に変更すると、それまでの保険に付けられていた特約や配当金が一切なくなります。
医療特約や介護特約、収入保障特約などを付けた保険契約において払い済み保険へ変更する場合は、特約の保障は受けられなくなってしまいます。
なお、払い済み保険に変更しても「リビング・ニーズ特約(余命6か月以内と宣告された場合に死亡保険金を先に受け取れる)」だけは継続できる場合があります。

- 諏澤 吉彦
- 京都産業大学教授
デメリット3. 保険会社が定める所定の期間を過ぎると、元に戻せなくなる
保険会社が定める所定の期間内(一般的に1~3年)であれば、変更前の契約に戻すことができますが、期間を過ぎてしまうと復旧ができなくなります。
また、復旧する際には改めて健康状態の告知と医師による診査などが必要となります。
加えて積立額の不足分の支払いが必要なだけでなく、保険会社によっては利息も負担しなければなりません。
そのため、払い済み保険に変更する前にこれらの注意点をしっかりと認識し、よく吟味した上で検討されることをおすすめします。


払い済み保険に関する口コミ


まとめ
払い済み保険には以下のようなメリットとデメリットがあります。
払い済み保険のメリット3つ
払い済み保険のデメリット3つ
これらのメリットとデメリットを踏まえて、払い済み保険の特徴を認識したうえで検討することが重要です。
毎月の保険料を抑えるために払い済み保険にするか迷っている方は、お金のプロであるファイナンシャルプランナーへご相談されることをおすすめします。
専門家の視点で、あなたの現状に見合った最適なアドバイスを無料で受けられるため、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

