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更新 更新:2023.07.24

低解約返戻金型終身保険とは? 注意すべきデメリット・メリットと必要性の高い人を解説します

低解約返戻金型終身保険とは? 注意すべきデメリット・メリットと必要性の高い人を解説します
所有資格
博士(商学)、Master of Business Administration (Hons.)、Master of Science
専門分野・得意分野
保険、リスクマネジメント、社会保障
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

低解約返戻金型終身保険とは?

低解約返戻金型終身保険の仕組み

低解約返戻金型終身保険とは、保険料払込期間中の解約返戻金が低く抑えられている終身保険です。

低解約返戻金型終身保険の保険料払込の満了後は、支払った保険料よりも多くの解約返戻金を受け取れる商品があります。

解約をしない限り死亡や所定の高度障害状態に一生涯備えられる保険のことを「終身保険」といいますが、その中でも通常の終身保険と比較して、保険料払込期間中に解約した場合の解約返戻金が低く抑えれている代わりに、割安な保険料で一生涯の保障を準備することが可能です。

保険の期間

低解約返戻金型終身保険の保険の期間は、保険を解約しない限り、その一生涯が対象となります。

また、保険料の払込期間については、以下の2つの種類があります。下記のどのような払込期間を指定しても、解約しない限り保障は一生涯続きます。

保険料の払込期間

  • 払済:ある一定の年齢や期間までに一生分の保障を受けるための保険料を払い終えるタイプ
  • 終身払い:一生涯にわたって保険料を払い続けるタイプ

貯蓄性

低解約返戻金型終身保険は、貯蓄性があると言えます。

解約返戻金があり、掛捨てではないため支払いが将来の貯蓄の一部になるという考え方ができるためです。

しかし低解約返戻金型終身保険は、保険料を支払っている間は解約返戻金が少ないため、短期の貯蓄を目的とした保険選びには適しません。

保険料

低解約返戻金型終身保険の保険料は、他の終身保険と比較すると割安に設定されています。

解約

低解約返戻金型終身保険は終身保険ですが、途中で解約することもできます。

その際には、解約返戻金という返金が行われます。しかし、保険料を支払っている間は解約時の返金が少ないという特徴があるため、解約を考える場合は注意しましょう。

通常の終身保険との比較

通常の終身保険と低解約返戻金型終身保険の違いは、次の通りです。

通常の終身保険と低解約返戻金型終身保険の違い
通常の終身保険 低解約返戻金型終身保険
保険料払込期間中の解約返戻金 多い 少ない
保険料払込期間中の保険料 高い 低い

低解約返戻金型終身保険は、保険料の払込期間中に解約した場合の解約返戻金が、通常の終身保険の約7割程度に抑えられています。

その代わり毎月の保険料負担は通常の終身保険よりも抑えられていることが特徴です。

一方で保険料を短期払いで払い込む場合、払込期間を満了したあとは通常の終身保険と同水準の解約返戻率となります。短期払いは「30年間」や「60歳まで」のように期間を決めて保険料を支払う方法です。

保障内容は通常の終身保険とほぼ同等であるため、長い目で見た場合は「低解約返戻金型終身保険」を選んだほうが毎月の保険料を抑えることができます。

監修者からひとこと
諏澤 吉彦
  • 諏澤 吉彦
  • 京都産業大学教授
満期保険金のある生命保険のうち、低解約返戻金型終身保険は、被保険者の死亡を保険事故とした生命保険ですが、記事にもあるとおり老後資金や、子どもの教育資金の備えとしても利用できるものです。例えば、保険料払込期間を老後資金に備える場合は65歳までと、教育資金に備える場合は子供の進学時点までと、それぞれ設定しておけば、その後の解約返礼率は、一般的な終身保険と同水準に引き上げられますので、必要に応じて解約し、返戻金を受け取ることができます。一方で、保険料払込期間中に解約した場合の返戻金は、一般の終身保険より低いため、それまでの累計保険料を下回るおそれもあります。保険料払込期間終了時まで確実に契約を継続することが可能であると判断されれば、死亡保障を手当てしつつ、老後・教育資金に備えられる保険として、低解約返戻金型終身保険を選択できるでしょう。

低解約返戻金型終身保険のメリット・デメリット

低解約返戻金型終身保険には、次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット デメリット
  • 終身の死亡保障が確保できる
  • 通常の終身保険と比較して、保険料が割安
  • 将来に向けた貯蓄にもなる
  • 途中解約すると返戻金が目減りする
  • 定期的な保険の見直しがしづらい
  • インフレに対応しづらい

低解約返戻金型終身保険は、一生涯の保障を備えられる終身保険でありながら、毎月の保険料負担が抑えられます。

保険料の払込期間を満了すれば、その後は通常の終身保険と同水準にまで返戻率が上がるため、将来のための貯蓄方法としても活用できます。

一方、保険料の払込期間中に解約をすると、基本的には払い込んだ保険料の総額を下回る解約返戻金しか受け取れません

保険料の払い込み途中で見直しをして、他の保険商品に乗り換えることもしづらいといえます。

低解約返戻金型終身保険を契約した時点で保険金や解約返戻金の金額が確定するため、将来的にインフレが起きて貨幣の価値が相対的に下がった場合に損失を被る可能性があります。

監修者からひとこと
諏澤 吉彦
  • 諏澤 吉彦
  • 京都産業大学教授
老後資金の備えとして低解約返戻金型終身保険への加入を検討する際には、記事にもあるようにこの保険がインフレーションに脆弱であることに留意する必要があります。保険料払込期間は通常長期にわたりますので、その間に物価水準が大きく上昇すれば、支払われる返戻金の実質的価値が目減りすることになります。その反面、自らが払い込んだ保険料が、将来の返戻金に充てられますので、現在社会的問題となっている少子高齢化には強靭であると言えます。同様に個人年金保険などの生存給付型の生命保険も、事前積立方式に基づいているため、物価変動からの影響は受けやすいものの、年齢別人口構成の変化からはあまり影響を受けません。低解約返戻金型終身保険に限らず生命保険への加入を検討する際には、このような利点と留意点を十分理解しておくことが望まれます。

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低解約返戻金型終身保険の活用例

低解約返戻金型終身保険は、次の3つのケースで活用されるのが一般的です。

低解約返戻金型終身保険の活用例

葬儀費用の準備

低解約返戻金型終身保険は、被保険者が死亡したとき、契約時に決めた保険金受取人が保険会社に請求をすると通常数日で死亡保険金が支払われます。

遺産の分け方を決める話し合い(遺産分割協議)が終わっていなくても死亡保険金を受け取れるため、葬儀費用や遺品の整理費用などに充てやすいです

途中で解約をしない限り一生涯の保障を得られるため、葬儀費用や遺品の整理費用などを準備するために低解約返戻金型終身保険を活用する人は少なくありません。

老後資金の準備

低解約返戻金型終身保険は、保険料の払い込みを終えたあとに解約をすると、払い込んだ保険料を上回る解約返戻金を受け取れます。

現役として働いている期間中は毎月の保険料負担を抑えつつ、定年退職を迎えた後は、低解約返戻金型終身保険を解約して受け取った返戻金を老後資金に充てることが可能です。

なお、解約返戻金は、加入期間が長くなるほど金額が増えていくので、本当に必要となったタイミングを迎えるまでは解約せずに置いておくと良いでしょう

教育資金の準備

低解約返戻金型終身保険は、子供の教育資金を準備するために活用されるケースも増えてきています。

多額の教育資金が必要になるときまでに、保険料の払い込みを終えられるようにして低解約返戻金型終身保険に加入すると、保険料の払込総額を上回る解約返戻金を受け取って、教育費の支払いに充てられます

また、被保険者が親である場合、万が一途中で亡くなった場合は、死亡保険金という形で子供に教育資金を残せます。

監修者からひとこと
諏澤 吉彦
  • 諏澤 吉彦
  • 京都産業大学教授
先に述べたとおり、低解約返戻金型終身保険や個人年金保険などの生命保険は、少子高齢化には強靭であるものの、インフレーションには脆弱であるという特徴を持っています。一方で公的年金は、勤労世代の払い込む保険料が、その時点の老齢世代の年金に充てられるという賦課方式が採用されています。このため、インフレーションの影響を受けにくいと言えます。しかしながら、少子高齢化により若年齢層の人口が減少すると同時に老齢世代の人口が増加すれば、年金の原資が十分確保しにくくなるおそれがあります。このことからも、公的年金(公的保障)と各種生命保険(私的保障)が相互に補完し合う二層構造を持つ老齢保障システムには、一定の合理性があると言えます。したがってわれわれ個人も、公的年金のみに頼るのではなく各種生命保険を組み合わせて老後に備えておくことが望まれます。

学資保険の代わりに低解約返戻金型終身保険を選択するのも方法

子供の教育資金は、進学ルートによって1,000万~2,000万円かかるといわれています。特に大学の入学費や受験料、授業料などは高額であるため、計画的に資金を準備するのが望ましいです。

低解約返戻金型終身保険であれば、学資保険とは異なり子供を被保険者に指定する必要がないため、出産前から加入して資金の積み立てを始めることも可能です

教育資金が必要になったとき手持ち資金に余裕があるのなら、低解約返戻金型終身保険を解約せずに置いておくことで、さらに解約返戻金を増やすという選択もできます。

学資保険は、子供が成長して保険契約時に定めた年齢に達した場合に保険金が受け取れます。しかし、近年は返戻率が低下傾向にあり、低解約返戻金型終身保険のほうが返戻率が高くなるケースもあります。

子供の教育資金を準備しようと考えている方は、学資保険だけでなく低解約返戻金型終身保険も検討してみてはいかがでしょうか。

低解約返戻金型終身保険の必要性が高い人

低解約返戻金型終身保険の必要性が高い人は、次のとおりです。

保険料負担を抑えつつ一生涯の保障を持ちたい人

低解約返戻金型終身保険は、保険料の払込期間中は、通常の終身保険よりも解約返戻率が低めですが、その代わりに毎月の保険料負担が安く抑えられます。

保障内容は通常の終身保険と差はないので、割安な保険料で一生涯の保障が欲しい人は低解約返戻金型終身保険を選ぶと良いでしょう。

死亡リスクに備えつつ必要な資金を準備したい人

低解約返戻金型終身保険は、万一のリスクに備えつつ、将来に向けた老後資金や教育資金などを準備したい人に向いています。

保険料を短期払いで払い込み、払込期間を満了すると、通常の終身保険よりも返戻率が高めに設定されています

契約期間中に万一のことがあれば死亡保険金が受け取れるので、死亡リスクに備えつつ、老後に向けて着実に資金を貯蓄することが可能です。

低解約返戻金型終身保険に関してよくある質問 Q&A

Q. 低解約返戻金型終身保険で10年払いを選択するメリットは?

保険商品にもよりますが、保険料を10年払いに設定すると保険の貯蓄性が高まる場合があります。つまり、解約時に受け取れる解約返戻金が増えるということです。

保険料の払込期間が短いほど返戻率が高まることがありますので、60歳、65歳払や10年、15年払いなど保障だけではなく、払い方を比較し検討しましょう。

低解約返戻金型終身保険の活用例も合わせてご覧ください。

Q. 低解約返戻金型終身保険の契約者変更はできますか?

低解約返戻金型終身保険の契約者変更は可能です。変更時には特にお金はかかりませんが、保障の受け取り時に税金がかかることがあります。

ここでかかる税金は被保険者と旧契約者・受取人の関係によってどのような税金がかかるのか変わってくるため、契約者変更が本当にメリットがあるのかプロに相談するのがおすすめです。

Q. 低解約返戻金型終身保険を解約したいです。

終身保険を解約すると、解約返戻金を受け取ることができます。

しかし、この返金額は契約期間が長いほど高くなる傾向にあります。

あまりに早い解約は、返金される金額がかなり低くなってしまうので注意しましょう。

Q. 低解約返戻金終身保険とは、わかりやすくいうと?

低解約返戻金終身保険とは、契約してから一定期間、解約時の返金を少なく設定することで月々の保険料が抑えられている保険です。

一定期間を超えると解約払戻金は増額され、支払った保険料より解約払戻金が上回る商品もあります。

詳しくは低解約返戻金型終身保険とは?の章をご参照ください。

まとめ

低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻金が、通常の終身保険よりも低く抑えられている保険です。

毎月の保険料負担が低く抑えられているので、一生涯の死亡保障を割安な保険料で準備することができます。

また、保険料の払込期間を満了した後は、払い込んだ保険料を上回る解約返戻金を受け取れることがあるため、将来に向けた資金の貯蓄にも活用できます。

保険料負担を抑えつつ一生涯の保障を持ちたい人や、万が一に備えながら資金を準備したい人は、低解約返戻金型終身保険を検討してはいかがでしょうか。

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諏澤 吉彦
諏澤 吉彦
京都産業大学教授
米国St. John’s University College of Insurance(現 Peter J. Tobin College of Business)において経営学修士(優等学位)および理学修士、そして一橋大学大学院商学研究科において博士(商学)を取得。損害保険料率算出機構に勤務した後、京都産業大学経営学部専任講師、准教授を経て現在は教授。Asia-Pacific Risk and Insurance Association理事などを歴任し、現在は生活経済学会理事、日本保険学会評議委員。
所有資格
博士(商学)、Master of Business Administration (Hons.)、Master of Science
専門分野・得意分野
保険、リスクマネジメント、社会保障
中村 翔也
中村 翔也
ファイナンシャルプランナー
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般
ナビナビ保険編集部
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ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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