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更新 更新:2022.10.21

出産資金に必要な費用と自己負担額は? 医療保険の適用範囲と活用できる補助制度を一挙解説

出産資金に必要な費用と自己負担額は? 医療保険の適用範囲と活用できる補助制度を一挙解説
執筆者

中村 翔也

ファイナンシャルプランナー
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

子供の出産費用は健康保険や国民健康保険が使えません。

代わりに、出産時に一時金が受け取れる制度や、各市区町村が用意するさまざまな補助制度が利用できますが、これらは自己申告する必要があります。

一度の妊娠で50万円ほどの出産資金が必要で、それに加えて健診費用やマタニティ用品の費用もかかります。

新しい命を授かって家族が増えるのは喜ばしいことですが、現実的に考えて高額な出産費用は決して無視することができない非常に大きな問題です。

出産資金として必要な費用や、出産時に利用可能な補助制度を紹介します。また、妊娠時の保険について知りたい方は、ぜひ下記の記事も合わせて参考にしてください。

将来的に出産を考えているご夫婦の参考になれば幸いです。

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出産資金として必要な費用一覧

出産費用の一覧(平均)

はじめに、出産資金として必要な費用をざっくりと一覧で確認していきましょう。

冒頭でもお伝えしたように、妊娠が判明してから出産に至るまで、おおよそ50万円前後の出産資金が必要です。

これらには健康保険や国民健康保険が適用されないので、全額を自己負担で賄わなければなりません。

それぞれでどれくらいの出産資金が必要になるかを解説していきます。

妊婦健診費用

妊婦健診費用は、妊娠が判明してから出産に至るまでに行われる定期検診のことです。

厚生労働省によって妊婦健診は14回程度と取り決められており、病院や産婦人科によって異なるものの、一度の健診で3,000〜5,000円前後の費用がかかります。

また、特別な検査が必要となった場合は、検査費用だけで1〜2万円程度の費用がかかるケースもあります。

ただし、妊婦健診を受ける際には各市区町村が用意する補助制度を利用することで、健診費用を節約できる可能性が高いです。

保険適用が可能な病気や症状が見つかった場合は、それらの治療費や検査費用については健康保険を使うこともできます。

分娩費用と入院費用

分娩費用は、私たちがよくイメージする出産にかかる費用全般のことを指します。

具体的には、出産前後の入院費用や分娩料、検査や処置費用などが含まれます。

国民健康保険中央会が公表する最新版のデータを参照すると、妊娠してから出産に至るまでのトータルの費用はおよそ50万円前後で、分娩費用は全国平均で25万円程度となっています。

出産費用の一例(平成28年度)
項目 平均値 中央値
入院日数  6日 6日
入院料 112,726円 102,000円
室料差額 16,580円 0円
分娩料 254,180円 250,000円
新生児管理保育料 50,621円 51,500円
検査・薬剤料 13,124円 10,000円
処置・手当料 14,563円 5,560円
産科医療補償制度 15,881円 16,000円
その他 28,085円 18,440円
妊婦合計負担額 505,759円 493,400円

参照:正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)|国民健康保険中央会

なお、正常分娩(自然分娩)の場合は保険が適用されませんが、異常分娩で帝王切開などを行う場合は「分娩介助」にあたることから健康保険が適用されます。

平成28年度の診療報酬改定案では、緊急帝王切開を行う際の出産費用は22.2万円となっており、健康保険の適用(自己負担3割)で6.6万円にまで費用を下げることが可能です。

なお、出産時には健康保険や国民健康保険から「出産一時金」として1児あたり42万円が支給されます。

出産後に受け取る方法のほか、事前に手続きを済ませておくことで出産費用から直接差し引くこともできるので、事前に担当医と相談しておくのが良いでしょう。

マタニティ・ベビー用品代

出産する際にはマタニティ用品やベビー用品代も必要です。

妊娠後はお腹がどんどん大きくなることから、そのサイズに合わせたマタニティ用の衣類を用意しておかなければなりません。

入院する際にも多くの衣類が必要になりますし、体のケアをするためのマタニティクリームや骨盤補正ベルトなどの購入費用もかかるでしょう。

当然のことながら、生まれてくる赤ちゃん用の衣類やおむつ代、ベビーカーやおもちゃ、抱っこ紐などのベビー用品も必要です。

出産時に適用可能な医療保険の範囲

冒頭でもお伝えしたように、出産費用については健康保険や国民健康保険などの「公的医療保険」は適用されません

その理由は、妊婦や赤ちゃんが正常な状態での妊娠や出産は、病気とはみなされないためです。

そのため、正常分娩(自然分娩)における出産費用は公的医療保険を使うことができず、全額を自己負担で賄う必要があるのです。

ただし、公的医療保険から支給される「出産育児一時金」や「出産手当金」、各市区町村が用意する補助制度から支給される分については、正常分娩も対象となるのでご安心ください。

一方、正常分娩にあたらない異常分娩(帝王切開など)の場合は、公的医療保険の療養給付に該当する「分娩介助」が行われたとみなされます。

分娩介助が行われた場合、その費用については公的医療保険が適用されるので、自己負担3割の支払いに抑えることが可能です。

また、異常分娩の場合には民間医療保険も保障対象となるケースが多いので、出産費用による妊婦の経済的負担を大幅に緩和することができます。

出産資金や出産後の費用を補助する制度

出産資金や種産後の費用を補助する制度としては、次のようなものが挙げられます。

これら以外にも、お住いの市区町村によっては独自の施策を行っている場合があります。

詳細については、各市区町村の公式ホームページや役所の窓口にて確認してみてください。

妊婦健診などの助成金

妊婦健診の医療費は健康保険が適用されないので、基本的に自己負担で支払うことになります。

ただし、数多くの市区町村では妊婦健診の助成を行っているので、事前に手続きを行っておくことで医療費を節約することができます。

具体的には、妊娠が判明したらお住まいの市区町村役場にて妊娠届けを提出します。

その際、母子手帳とともに妊婦健診の補助券と受診票が配布されるので、その補助券を使うことで一部の医療費負担が軽減されます。

助成される金額は済んでいる地域によって異なるので、詳細については妊娠届けを提出する際に担当窓口まで確認しておきましょう。

傷病手当金

傷病手当金は、一般的には病気やケガなどが理由で働けない期間の生活を保障するための手当金のことです。

通常、妊娠や出産は病気にはあてはまりませんが、妊娠による合併症やつわりが酷く、医師から働けない状態にあると判断された場合に健康保険へ申請ができます。

傷病手当金を受け取るためには、連続する3日を含む4日以上就労できない状態にあることが条件で、それに加えてその期間中に給与の支払いがない場合に手当金が支給されます。

また、会社に所属している人が加入する「健康保険」から支給される手当金なので、専業主婦やフリーランスとして働いている妊婦さんは残念ながら受け取ることができません。

会社で働いている妊婦さんは、万一の場合に備えて、傷病手当金の申請方法等を勤務先に確認しておくのが良いでしょう。

出産育児一時金

出産育児一時金は、公的医療保険(健康保険・国民健康保険)に加入している人に対して、1児につき一律42万円の給付を行う制度です。

上述の通り、出産をする際は健康保険が適用されませんが、妊婦の経済的負担を緩和することを目的として一時金が支給されています。

日本では誰もが公的医療保険に加入することになっているので、基本的には誰もが出産育児一時金を受け取れます。

ただし、加入中の健康保険組合に自分で申請手続きを行う必要があるので、妊娠が判明した段階で手続き方法について詳しく調べておくようにしましょう。

出産手当金

出産手当金は、会社の健康保険に加入している人だけが受け取れる手当金のことです。

妊娠から出産を終えるまでの期間中は休業せざるを得ないケースが一般的で、働けない期間中はどうしても収入が減ってしまいます。

そうなると妊婦さんの経済的負担が大きくなってしまうので、出産までの期間中や出産後の生活を支えることを目的として健康保険から手当金が支給されます。

なお、出産手当金を受給するためには、事前に「出産手当金支給申請書」を用意して、加入中の健康保険組合や協会けんぽに提出しなければなりません

出産の準備で忙しいかとは思いますが、会社に勤めている妊婦さんは忘れずに申請手続きを行うようにしましょう。

育児休業給付金

育児休業給付金は、会社の雇用保険から支給される給付金のことです。

育児休業を取得した後に復職することを条件に、子供が1歳になるまでの期間中は、育児休業に入る前の「休業開始時賃金月額」の最大67%相当が支給されます。

また、特定の受給要件を満たせば、子供が2歳になるまで給付金を受け取ることができ、受け取った給付金に対しては税金が課されることもありません。

長い期間に渡って受給できる可能性のある給付金ですが、さまざまな諸条件をクリアしておく必要があるので、必ずしも給付金を受け取れるわけではないということを覚えておきましょう。

基本的には勤務先で申請手続きを行う必要があるので、妊娠が判明した時点で担当部署まで確認を取るようにしてください。

出産費貸付制度

出産費貸付制度は、健康保険から支給される「出産育児一時金」が支給されるまでの間、無利子で利用できる貸付制度のことです。

貸付金額の上限は出産育児一時金の支給見込額の8割相当額となっており、1万円単位で貸付金額を設定できます。

貸付金額は、本来支給される予定だった出産育児一時金の給付金から返済され、残った分の出産育児一時金については申請書で指定した金融機関まで振り込んでもらえます。

なお、出産費貸付制度を利用できるのは「出産予定日まで1ヶ月以内」で、且つ「妊娠4ヶ月(85日)以上で病院・産院等に一時的な支払いが必要な人」に限られます。

また、出産費貸付金借用書や出産育児一時金支給申請書、出産費用の請求書等を提出する必要があるなど、諸々の手間がかかる点にも注意が必要です。

乳幼児医療費助成制度

乳幼児医療費助成制度(通称「マル乳」)は、各市区町村内に住んでいる乳幼児の医療費や薬剤費などを助成する制度です。

健康保険や国民健康保険に加入している乳幼児が対象で、病院にかかる際に保険証とマル乳医療証を提示することで助成が受けられます。

マル乳医療証は、住んでいる地域を管轄する役所や役場の窓口で申請手続きを行うことで交付されます。

なお、乳幼児医療費助成制度を利用する際には、保護者に対する所得要件があるので、詳細については担当窓口まで確認しておくようにしましょう。

児童手当制度

児童手当制度は、子供が生まれてから中学校を卒業するまでの間、子供の年齢に応じた手当が受け取れる制度のことです。

児童手当制度で支給される金額は、次のとおりです。

児童手当の支給額

  • 0歳〜3歳未満:一律15,000円/月
  • 3歳〜12歳(小学校終了前):10,000円/月(第3子以降は15,000円に増額)
  • 13〜15歳(中学校終了前):一律10,000円/月

ひと月あたり5,000〜15,000円の手当が受け取れるようになるので、子供の養育費を負担する保護者にとって非常に嬉しい制度といえます。

ただし、保護者には所得要件が設けられているので、所得制限限度額を超過している場合は児童手当を受け取ることはできません

また、児童手当は毎年6月・10月・2月の年3回のタイミングで、それまでの前4ヶ月分がまとめて支給されます。

1ヶ月ごとに受け取れるわけではなく、住んでいる地域によって支給日も異なるので気をつけましょう。

出産の資金を節約する方法

出産資金はおよそ50万円前後が必要となりますが、少しでも節約するために次の3つのポイントを抑えておきましょう。

出産費用は病院や産婦人科によって大きく変わる

出産費用には、分娩費用や入院費用などが含まれていますが、これらは病院や産婦人科によって金額が大きく変わってきます。

タクシーや電車を使わなければならないような場所にある病院や、あまりに高額な出産費用がかかる病院を選んでしまうと、ただでさえ高額な費用がさらにかさんでしまいます。

一般的には最初に妊婦健診を受けた病院で出産するケースがほとんどなので、自宅から通いやすい場所にある産婦人科などの出産費用について調べておきましょう。

確定申告で医療費控除を行う

妊婦健診を受けた際の医療費や出産時の入院費、分娩費や交通費については、医療費控除として申告が可能です。

医療費控除として申告をすると、税金を計算する際の課税所得から控除分を差し引くことができるので、大きな節税効果が期待できます。

納めることになる税金が少なくなれば、その分だけお金を手元に残しておくことができるので、その後の子供の養育費や自分自身の老後資金の貯金へ充てることもできるでしょう。

医療費控除を申告するためには自分で確定申告を行う必要があるので、出産をした年の翌年3月15日までに忘れずに申告を行うようにしてください。

ベビー用品はレンタルやお下がりを活用する

出産費用のうち、意外と多くの割合を占めるのがベビー用品です。

赤ちゃん用の衣類はもちろんのこと、ベビーベッドやベビーカー、おもちゃ、食事をする際の食器類など、準備すべきベビー用品はたくさんあります。

特に、初めての出産の場合は何を揃えれば良いかわからないことも多いので、ついつい余計なものまで買ってしまいがちです。

また、子供の成長は非常に早いので、ほぼ毎年、衣類を買い換える必要も出てくるでしょう。

自分の両親や知り合いのママさんに相談するなどして、事前に揃えておくべきものを確認しておき、必要に応じてベビー用品をレンタルしたり、お下がりを譲ってもらったりしてみてください。

出産後の養育費を確保する方法

内閣府の「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」によると、0歳〜15歳までの子供の養育費はおよそ2,000万円が必要であることがわかっています。

出産費用に備えておくことも大切ですが、出産を終えた後のことも視野に入れて、早いうちから子供の養育費を貯金しておくことも重要です。

出産後の養育費を確保する方法としては、主に次の制度や保険を活用するのがおすすめです。

出産後の養育費を確保する方法

  • 児童扶養手当:ひとり親家庭等を対象に、生活の安定と自立の促進を目的として手当金を支給する制度
  • 児童育成手当:ひとり親家庭等を対象に、児童の心身の健やかな成長を目的として手当金を支給する制度
  • 学資保険:子供が一定の年齢に達するとお祝い金が受け取れる保険。保護者に万一のことがあるとそれ以降は保険料の支払いが免除される
  • 終身保険:一生涯の死亡保障を備えられる生命保険。解約時にはそれまでに払い込んだ保険料が返還される
  • 財形貯蓄制度:会社の給料から天引きで自動的に貯金ができる制度。勤務先が導入している場合のみ利用可能
  • つみたてNISA:積み立てに特化した貯蓄制度。年間40万円×最長25年の最大1,000万円までを非課税で運用できる

これらの制度はいずれも併用が可能なので、上手に活用することで出産後の養育費を準備する際の助けになるでしょう。

特に、会社員として働いている人は勤務先で「財形貯蓄制度」が導入されていないか確認してみることをおすすめします。

また、つみたてNISAは金融庁が厳選した金融商品から投資先を選んで、少額から始められる人気の高い制度なので、積極的に活用してみてください。

まとめ

国民健康保険中央会のデータを参照すると、出産資金として必要な金額はおよそ50万円前後であることがわかりました。

ただし、公的医療保険に加入していれば「出産育児一時金」として、1児につき一律で42万円の一時金が支給されるので、実際の自己負担額はもっと少なくなります。

また、出産手当金や育児休業給付金など、出産を終えてからの生活を支えることを目的とした制度もたくさん用意されています。

特に、初めての出産を迎える夫婦にとって金銭面の不安は大きいと思いますが、日本では子供を育てるための補助制度が充実しているので、安心して出産に専念していただければ幸いです。

マンガ・イラスト付き

保険は本当に不要なの??

パンフレット その保健不要論本当に正しいですか?
中村 翔也

中村 翔也

携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
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ナビナビ保険編集部

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ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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