突然の病気やケガに備えるための医療保険には、「掛け捨て型」と「リターン型」の2種類があります。
どちらのタイプにも一長一短の特徴があり、個人の考え方によって選ぶべき医療保険のタイプは異なるため、掛け捨て型・リターン型のどちらが優れているか一概には言い切れません。
この記事では、医療保険の掛け捨て型とリターン型の違いやメリット・デメリットを解説していきます。
この記事で分かること
掛け捨て型の医療保険とは
掛け捨て型の医療保険とは、支払った保険料に対して解約返戻金や満期保険金等が支払われない保険です。
保険会社や保険商品ごとに10年や15年などの年数で保険期間(契約期間)が設けられており、その期間中に病気やケガなどで医療費が発生すると、保険会社から保険金を受け取れます。
掛け捨て型の医療保険の種類
掛け捨て型の医療保険は、大きく分けて2つの種類があります。
終身型 | 定期型 | |
---|---|---|
保障期間 | 一生涯 | 一定期間(満期あり) |
保険料 | 割高 ※同等の保障内容の定期保険と比較した場合 |
割安 ※同等の保障内容の終身保険と比較した場合 |
満期保険金 | なし | なし |
終身型
終身型の医療保険は、契約時に定めた保険料が変わらず、一生涯にわたって医療保障を受けられます。
一般的に保険料は契約時の年齢で決まるため、若いうちに加入するほど保険料を抑えられる傾向です。
ただし、保険料は定期型よりも高めであり、若いうちに加入すると長期間支払い続けることになるため、契約前にライフプランを見据えて検討することが大切です。
定期型
定期型の医療保険は、一定の契約期間(5年、10年、20年など)ごとに更新が必要なタイプです。
保険料は比較的安く、特に若年層や短期的な保障が必要な方に適しています。
ただし、更新時には年齢や健康状態に応じて保険料が上がることもあり、将来的に負担が増加する可能性があります。
定期型は、結婚や子育てといった特定のライフイベントに合わせて一時的な保障を確保したい方や、終身型に比べて安価な掛け捨て保険を求める方に向いています。
医療保険の掛け捨て型とリターン型はどっちがおすすめ?違いを比較
医療保険は大きく分けて、掛け捨て型保険とリターン型保険の2種類があります。
掛け捨て型医療保険 | リターン型医療保険 | |
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メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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医療保険の掛け捨て型とリターン型の違いは、主に「保険料」です。
同じ加入年齢・保障内容で比較した場合、掛け捨て型の医療保険はリターン型よりも保険料が低くなります。
そのため、毎月の保険料負担を軽減しながら医療保障を備えられます。
同じ掛け捨て型医療保険でも更新タイプの定期型の場合、更新時の年齢に応じて保険料が値上がりしていきます。
なお、一定期間ごとにお祝金が受け取れる商品もあります。
掛け捨て型の医療保険に向いている人
掛け捨て型の医療保険が向いている方の特徴は、次の通りです。
掛け捨て型の医療保険に向いている人
- 毎月の保険料を抑えたい人
- ライフプランに合わせて保険の見直しをしたい人
掛け捨て型の医療保険は、解約返戻金や還付給付金などの貯蓄機能がない代わりに、割安な保険料で保障を準備できることが特徴です。
また、中でも定期型の保険期間は10年や15年などの形で一定期間に限定されており、保険期間の満了を迎える際に契約が更新されます。
そのため、子どもが生まれてから独立するまでの期間や、住宅ローンを完済し終えるまでの期間など、一定期間の医療保障を特に手厚くしたいと考えている方に向いています。
保険期間が満了を迎えるタイミングで保障内容の見直しがしやすいことも特徴です。
その時々で保障内容を見直して、可能な限り保険料を抑えたい方も、掛け捨て型保険を検討しましょう。
ただし、一般的に掛け捨て型の医療保険は解約返戻金の受け取りが期待できないため、老後資金や介護資金など、将来的に必要となるお金については別の方法で貯蓄をする必要があります。
リターン型の医療保険に向いている人
一方、リターン型の医療保険に向いている方の特徴は次の通りです。
リターン型の医療保険に向いている人
保険料を掛け捨てにしたくない人
リターン型の医療保険は、一定期間ごとにお祝金が受け取れることが特徴です。
一部の商品では、給付金の受け取りがなかった場合、払い込んだ主契約の保険料の全額が戻ってくるものもあります。
しかし、リターン型の医療保険は掛け捨て型と比較して保険料が割高なので、支払えるだけの経済的余裕が必要です。
掛け捨て型医療保険のメリットとデメリット
掛け捨て型の医療保険のメリットとデメリットを紹介します。
掛け捨て型医療保険のメリット
掛け捨て型の医療保険のメリットは、次の通りです。
掛け捨て型医療保険のメリット
- リターン型保険と比べて保険料が低い
- 保障内容を見直しやすい
同じ加入年齢・保障内容で比較した場合、貯蓄機能がない分だけ掛け捨て型のほうが保険料が低くなります。
また、保障内容を見直しやすいというメリットがあります。
掛け捨て型医療保険のデメリット
一方、掛け捨て型の医療保険のデメリットは、次の通りです。
掛け捨て型医療保険のデメリット
- 満期保険金や解約返戻金(※1)がない
- 保険契約の更新で払込保険料が上がる(※2)
- 更新を繰り返すことで払込保険料の総額がリターン型よりも高額になる可能性がある
※1 金額は少ないが戻ってくる場合もある※2 同じ保障で更新した場合
掛け捨て型の医療保険は、その名前からも分かるように保険料が掛け捨てです。
場合によっては払戻金が発生することはありますが、保障内容に該当する事案がなければ受け取れるお金はありません。
掛け捨て型の医療保険についてよくある質問 Q&A
最後に、掛け捨て型の医療保険で聞かれることが多いよくある質問に回答します。
掛け捨て型の医療保険についてよくある質問 Q&A
Q. 掛け捨て型の医療保険は途中解約できますか?
A. 掛け捨て型の医療保険は、保険期間の途中でも解約可能です。
ただし、掛け捨て型の場合は基本的に解約返戻金が受け取れず、仮に解約返戻金を受け取れる場合でもごくわずかな金額しか受け取れないことを覚えておきましょう。
Q. 掛け捨て型の医療保険のデメリットはありますか?
A. 掛け捨て型の医療保険には解約返戻金や満期保険金などがなく、支払った保険料が戻ってこない点がデメリットです。
デメリットの詳細については「掛け捨て型医療保険 デメリット」で解説しています。
払い込んだ保険料を掛け捨てにしたくない場合は、保険料負担は大きくなりやすいものの、還付給付金を受け取れるリターン型の医療保険を検討しましょう。
まとめ
医療保険を検討する際に比較されがちな「掛け捨て型」と「リターン型」には、次のような違いがあります。
掛け捨て型医療保険 | リターン型医療保険 | |
---|---|---|
メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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家族構成やライフステージによって選択肢は異なるため、それぞれのメリット・デメリットをしっかりと把握した上で、自分に適した医療保険をご検討ください。



- 石田 成則
- 関西大学教授
解約をすると短期保険では解約返戻金はほとんどのケースでありませんが、長期保険では解約返戻金を受け取れる権利が組み込まれていることになります。
医療保険に限定すると、その保険料は大病をするなど健康状態が悪化すると高くなるので、長期貯蓄型の契約メリットは大きくなります。