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マイホームを購入した場合、火災保険に加入して災害に備えるのが一般的です。
火災保険の保険料は、一戸建てとマンションで異なります。また、火災保険の補償内容や建物があるエリアなども保険料の計算に影響します。
本記事では、戸建住宅とマンションそれぞれの火災保険料の目安や保険料の計算に影響する要素、火災保険料を抑える方法を解説します。
火災保険料をできるだけ抑える3つの方法
火災保険料の相場
火災保険料は、建物の所在地や補償内容、建物の構造などさまざまな要素をもとに算出されます。
また保険会社によっても、保険料の計算方法が異なるため、相場を算出するのは困難です。
そこで、今回はモデルケースを設定したうえで、保険料の目安を解説していきます。
火災保険料の相場
1. 一戸建て住宅の火災保険料
まずは、一戸建て住宅の保険料の目安を建物の構造ごとに試算します。試算結果は、以下の通りです。
| 構造 | 保険料(10年契約) |
|---|---|
| 木造など(H構造) | 約8万〜約29万円 |
| 鉄筋・鉄骨(T構造) | 約4万〜約18万円 |
※試算の条件:建物の所在地・東京都、建物保険金額・2,000万円、建築年月日・2022年4月、延べ床面積・100㎡
木造の一戸建て住宅は、鉄筋・鉄骨で作られたものよりも燃えやすいため、火災保険料は割高に設定されます。
2. マンションの火災保険料
次に、マンションの火災保険料の目安を見ていきましょう。
マンションのほとんどは、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造であるため、建物の築年数ごとに保険料の目安を算出しました。
| 築年数 | 保険料(10年契約) |
|---|---|
| 新築 | 約3.4万〜約5.3万円 |
| 築5年 | 約4.0万〜約5.9万円 |
| 築10年 | 約4.7万〜約6.6万円 |
※試算条件:建物の所在地・東京、建物保険金額・1,000万円、家財保険金額・500万円
築年数が経過したマンションほど、災害によって建物が損害を負いやすいため、火災保険料は割高となります。
3. 賃貸物件の火災保険の相場
賃貸住宅の入居者が加入する火災保険は、基本的に保険期間は1年です。
賃貸住宅の場合、保険金の支払上限額や保険会社にもよりますが、保険料は1年あたり約7,000円〜約1.5万円が目安です。
- 前田 祐治
- 関西学院大学教授
そもそも火災保険とは?
火災保険とは、火災や風災などで建物や家財が負った損害を補償する保険です。
建物と家財の定義は、以下の通りです。
火災保険の「建物」と「家財」が指すもの
- 建物:建物本体、門、塀、車庫、物置、設置済みのアンテナなど
- 家財:建物内の家具・家電・衣服・貴金属 など
火災保険に加入する際は、補償の対象について「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3パターンから選択するのが一般的です。
賃貸物件の入居者は、室内にある家具や家電、衣類などが損害を被ったときに備えて火災保険に加入します。
建物が損害を負ったときの補償は、オーナーが加入する火災保険でカバーされるためです。
また、賃貸住宅の入居者は、オーナーに対する損害賠償に備えるためにも火災保険に加入します。
オーナーに損害賠償する事例としては「タバコの不始末で室内の壁紙を焼損させた」「洗濯機のホースが外れて部屋中が水浸しになり、床の張り替えが必要になった」などのケースがあります。
火災保険料を決める5つの要素とは?
火災保険料は「純保険料」と「付加保険料」に分かれています。
火災保険料の内訳
- 純保険料:事故が発生したときに保険会社が支払う保険金の原資となる保険料
- 付加保険料:人件費や店舗の運営費、代理店手数料など、保険会社の運営コストを賄うために契約者から徴収される保険料
純保険料は、損害保険料算出機構が算出する「参考純率」をもとに、各損害保険会社が決めています。
どの保険会社も純保険料と付加保険料を分けて算出していますが、火災保険料の算出方法は、保険会社ごとに異なります。
以下、保険会社が火災保険料を算出する際の5つの要素について解説します。
火災保険料を決める要素1. 建物の構造
火災保険は、建物の構造が保険料計算に影響します。
個人の住宅が補償の対象である火災保険の場合、建物の構造は、下記の通りに分かれています。
火災保険の保険料に影響する建物の構造
- M構造:鉄筋コンクリート造のマンションなど
- T構造:鉄骨造やツーバイフォー構造の一戸建てなど
- H構造:木造の一戸建てなど
建物が燃えにくい構造であるほど、火災による被害に遭うリスクは小さくなるため、火災保険料が安くなります。
そのため火災保険料は、燃えにくいM構造の建物がもっとも安く、燃えやすいH構造の建物は高くなります。
火災保険料を決める要素2. 建物の延べ床面積
延べ床面積は、建物各階の床面積を合計したものです。
ロフトやバルコニーは、延べ床面積に含まれません。
建物の延べ床面積が広いほど、災害が発生したときの被害も大きくなりやすいため、火災保険料は高く設定されます。
火災保険料を決める要素3. 建物の所在地
建物が災害に遭うリスクは、エリアによって異なります。
被害に遭いやすいエリアの建物ほど、火災保険料は高くなる仕組みです。
例えば、近くに海や河川がある建物は、洪水をはじめとした水害にあうリスクが高い可能性があります。
また住宅が密集しているエリアは、火災が発生したときに火元が他の住居へ燃え広がりやすいため、火災のリスクは相対的に高いです。
さらには、台風による被害状況もエリアによって異なります。
このようにエリアによって災害のリスクが異なるため、構造や延べ床面積が同じであっても、建物が建っているエリアの災害リスクが高いと火災保険料も高くなるのです。
火災保険料を決める要素4. 補償内容
火災保険は、基本補償の中に火災や落雷、風災などの補償が含まれています。
一方で水災や水濡れ、盗難、破損・汚損などの補償は、付けるかどうか選択できるのが一般的です。
補償範囲が広いほど、火災保険料は割高になっていきます。
また火災保険の多くは、特約(オプション)を付帯して補償を手厚くできますが、保険料は高くなります。
火災保険料を決める要素5. 保険会社
火災保険料を計算する基準は、保険会社によって異なります。
そのため補償内容や建物の構造、エリアなどの条件が同じであっても、火災保険料も同じであるとは限りません。
また、大手損害保険会社とネット系損害保険会社で、火災保険料の相場は異なります。
ネット系損害保険会社は、店舗の運営費や人件費などがかからない分、大手損害保険会社よりも保険料は割安な傾向にあります。
さらに保険会社によっては、独自の割引制度を実施している場合があります。
例えば、ホームセキュリティを設置した住宅や、オール電化を導入する住宅が補償の対象であると、火災保険料が割引となる保険会社もあるのです。
- 前田 祐治
- 関西学院大学教授
火災保険料をできるだけ抑える3つの方法
「火災保険には加入したいけれども保険料はできるだけ抑えたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
ここでは、火災保険料の負担を抑える方法について解説します。
火災保険料をできるだけ抑える3つの方法
1. 補償範囲を適切に設定する
火災保険は、契約者自身がある程度の補償範囲を選択できます。
ご自身が住んでいる住宅のリスクに応じた補償に加入することで保険料を抑えられる可能性があります。
例えば、高台にある戸建て住宅やマンションを購入するのであれば、洪水や高潮などの水災に遭うリスクは低いかもしれません。
そのため、水災補償を外して火災保険に加入することで保険料を抑えられる可能性があります。
ただし、土砂崩れで自宅が被害に遭う可能性があるのなら、水災補償は必要であると考えられます。
お住まいの自治体の公表しているハザードマップを確認し、ご自身にとって水災補償が必要かどうか検討してみましょう。
また、防犯性能が高いマンションに住んでいるのであれば、盗難補償は不要かもしれません。
お住まいの住宅に抱えるリスクを考えたうえで、補償範囲を選ぶことで、余分な保険料の支払いを防げます。
2. 家財の補償額を適切に設定する
火災保険に家財の補償を付ける場合、加入するときに建物だけでなく家財についても保険金額を設定します。
保険金額とは、保険金の支払上限額のことです。
家財の保険金額を設定するときは、住宅内にある物が燃えたり流されたりして失ったとき、必要な物を買い直すための金額を試算すると良いでしょう。
例えば、必要なものを買い直すための金額が500万円であるなら、家財の保険金額も500万円に設定することで、余分な保険料の支払いを避けられます。
3. 複数の保険会社から見積もりを取り寄せる
保険会社ごとに、火災保険料の算出基準や適用される割引の種類などが異なります。
そのため火災保険を選ぶときは、複数の保険会社から見積もりを比較して選ぶと良いでしょう。
ただし、いくら保険料が安い火災保険に加入できたとしても、万が一のときに必要な補償が受けられないようでは加入する意味がありません。
火災保険を検討するときは、必要な補償や保険金額を決めたうえで比較することが大切です。
- 前田 祐治
- 関西学院大学教授
火災保険料は2022年10月に値上げされる予定
損害保険料算出機構は、2022年1月からの火災保険の参考純率を全国平均で10.9%引き上げました。
その影響により、損害保険各社は、2022年10月から火災保険料を全体的に値上げがされました。
なお参考純率の改定率は、建物があるエリアや構造、築年数ごとに異なります。
災害の被害に遭うリスクが高いと想定される場合は、30%以上も参考純率が引き上げられています。
一方で、自然災害の被害に遭いにくいと想定されるエリアの建物は、参考純率が引き下げられている場合もあります。
火災保険料が値上げされる背景
火災保険料が値上げされるのは、豪雨や台風などの大規模な自然災害が原因です。
2018年度は、平成30年台風21号をはじめとした大規模な自然災害が発生したため、火災保険から支払われた保険金は合計で1.3兆円を超えました。
2019年度についても、台風や大雨により被害で9,000億円超の保険金が支払われています。
※出典:損害保険料算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」
このように大規模な自然災害によって火災保険から多額の保険金が支払われたため、保険会社の収支が悪化しました。
そのため、火災保険料の値上げが実施されることになったのです。
火災保険の契約期間も最長5年間に短縮
かつての火災保険は、最長36年で契約できましたが、2015年10月から最長10年、2022年10月以降は最長で5年契約と契約期間が短縮され続けています。
火災保険は、保険期間が長いほど保険料に割引が適用される仕組みですが、最長保険期間が10年から5年に短縮されることで割引率が低下し、保険料の払込額が割高となっています。
まとめ
火災保険の保険料は、補償範囲や保険金額、建物の構造、建物があるエリアなどさまざまな要素で決まります。
また保険会社によって保険料の算出方法や、適用できる割引などが異なるため、火災保険を検討するときは複数社を比較すると良いでしょう。
一方、保険料を安くできても、火災や風災などで自宅が被害にあったとき、必要な補償が得られなければ火災保険に加入する意味がありません。
火災保険を検討する時は、自宅の災害リスクを確認し適切であると補償を考えた上で保険料を抑えるようにすると良いでしょう。