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更新 更新:2022.08.01

マンションに火災保険は必須? 必要性や選び方を分かりやすく解説します

マンションに火災保険は必須? 必要性や選び方を分かりやすく解説します
監修者

前田 祐治

関西学院大学教授
所有資格
ARM(米国リスクマネジメント士資格)、CPCU(米国保険士資格)、PhD(博士)、MBA(経営学修士)
専門分野・得意分野
生命保険全般、リスクマネジメント、ファイナンス、経営学
執筆者

小宮 崇之

(株)コミヤ保険サービス代表取締役/損害保険プランナー
所有資格
CFP®(公認ファイナンシャルプランナー) 、TLC(生命保険協会認定FP)、損害保険プランナー、証券外務員一種、日商簿記検定簿記2級
専門分野・得意分野
損害保険、生命保険、投資、税金

マンションの購入時に、火災保険の加入を検討した人は多いと思います。

大半の人がマンション購入のタイミングで火災保険に加入し、そのまま継続しています。

必ずと言っていいほど、銀行や不動産会社などから火災保険の案内を受けるのですが、火災保険の補償内容を正しく理解した上で加入した人は少ないのが実態です。

中には、火災保険は商品内容が複雑であるにも関わらず、詳しい説明を受けずに案内された通りに加入をしてしまった人も多いのではないでしょうか。

不動産購入時には、火災保険のこと以外にも様々な手続きがあるため、火災保険のことまで精査する時間的な余裕が無かったというケースもあるでしょう。

この記事では、改めて、火災保険が本当に必要なのかどうかを説明し、選び方まで分かりやすく解説していきます。 

マンションに住む場合、火災保険加入は事実上必須

持ち家の火災保険・共済の加入件数と割合(割合)

  • 火災補償あり:2,800万件(82%)
  • 水災補償あり:2,307万件(66%)
  • 地震補償あり:1,732万件(49%)

参照:内閣府「平成29年度版 防災白書」 

内閣府から発表された資料によると、火災保険の加入率は共済も含めると約8割を超えており、多くの人が加入していることがわかります。

ではなぜ、ここまで多くの人が加入しているのでしょうか?

ほとんどの金融機関では、住宅ローンの返済期間中の火災保険加入を融資の条件としている

金融機関としては、様々なリスクに備える必要があります。

そのため、住宅ローンでは必ず融資した物件の担保をとり、住宅ローンの契約者の保証人の代わりに保証会社への加入を必須にしています

さらに、住宅ローン対象物件が火災で全焼し、住宅ローンの契約者が返済できなくなっても問題がないように火災保険への加入を融資の条件としているのです。

以前は質権と言って、金融機関が火災保険を担保にとっていたこともあります。

現在では、火災保険を担保にとることは、担保を取りすぎているとの指摘が金融庁からあり、質権設定までしない金融機関が一般的になりました

上記の経緯より、マンションに住む場合の火災保険加入は、義務ではないが必要性は非常に高く、事実上必須だと言えるでしょう。

隣家からの類焼にも備える必要がある

火災のリスクは、何も自らが火元になるだけではなく、隣家から類焼の被害を受けるケースもあります。

隣家から類焼の被害を受けた場合、日本には失火責任法があるため、隣家に対して賠償請求することができないのです

自分の身は自分で守らないといけないため、火災保険の加入率は8割を超えるのです。

賃貸の場合もリスクは同じなので同様に必要性は高い

賃貸の場合では、借主は貸主に対して賃貸借契約上の義務が発生するため、保険の必要性は高いでしょう。

一例ですが、借主が賃貸物件で火災を発生させてしまい多額の修繕費用が発生した場合、賃貸借契約に基づいて貸主から損害賠償請求を受けるため、修繕費用を払う義務が生じてしまうことになります

こうした場合に、火災保険の借家人賠償責任特約に契約していれば、その特約から全ての修繕費用を保険で払ってもらうことが出来るので安心でしょう。 

 

マンションの場合、火災保険は「専有部分」を補償範囲にする

火災保険の補償対象範囲

マンションは、建物の共用部と専有部に分かれています。

皆様が加入する火災保険の対象となるのは、専有部についてです。

共用部は管理組合の所有物となるため、管理組合で火災保険に加入しています。

補償対象は基本的に「建物」と「家財」

火災保険は、自動車保険のように商品名称から保険の対象が分からないため、分かりにくいのですが、「建物」と「家財」の2つの対象があります。

どちらか一方を加入すれば良いという訳ではなく、両方とも必要な保険です。 

一家族あたりの家財の補償金額の目安

家族構成 2名(大人のみ) 3名(大人2名/子供1名) 4名(大人2名/子供1名) 5名(大人2名/子供3名) 独身世帯
世帯主の年齢 30歳前後 700万円 790万円 880万円 970万円 300万円
40歳前後 1,130万円 1,220万円 1,310万円 1,390万円
50歳以上 1,550万円 1,660万円 1,730万円 1,820万円

※参照:損保ジャパン株式会社 火災保険のパンフレット

上記は保険会社の資料に掲載されている、家財の必要な目安の保険金額です。

ただし、この資料は保険会社の資料になるので、家財の金額が高めに記載されていますので、参考程度に捉えて下さい。

人それぞれ自宅の中にある家財の金額は異なっていますので、ご自身にとっていくらの補償額があれば安心なのかを考えてみて下さい。

補償額を考える際は、自宅の物が全て全焼してしまった場合、新居に住むにあたりいくらの金額が必要かどうかを検証してみると良いでしょう

家財は、テーブル、TV、冷蔵庫などの大きな物だけではなく、洋服や靴などの衣類も全て含まれますので、漏れなく確認してみて下さい。

賃貸なら家財のみの選択肢も

賃貸住宅の場合には、保険の対象に建物を含める必要はあらず、家財のみ火災保険に加入していれば問題ないでしょう

一方、特約として大家さんに対する賠償責任を補償する保険である、借家人賠償責任特約を付帯する必要があります。

また、下の階に漏水を起こしてしまう可能性もあるので、個人賠償責任特約も付帯しておくと安心です

 

前田 祐治
ナビナビ保険監修
関西学院大学教授
前田 祐治

マンションの賃貸の場合には、火災保険に「個人賠償責任保険」を特約として付帯することをおすすめします。たとえば、ご自宅の水漏れで下の階の人に被害があった場合の物損や、物を落として人にケガをさせた時などに補償されます。個人賠償責任保険は、単独では契約できないことが普通です。火災保険や自動車保険に特約として契約するものです。この特約をつけても保険料の上昇はそれほど大きくないので、付帯することをおすすめします。

壁・天井・床など、専有部分の定義は建物により異なる

専有部分の定義は、マンションによって異なります。

例えば、バルコニー・ベランダは専有部または共用部のどちらになると思いますか?

正解は共用部です。※マンションの管理規約によっては異なるケースもあります。

火災保険の建物を補償対象に含めた場合で、バルコニー・ベランダは補償対象になります

バルコニー・ベランダは確かに共用部ですが、専有使用権が与えられており、何か損害が発生した場合には修復義務があります。

そのため、火災保険では事故発生時に専有者に修復義務が生じる場合に限り、火災保険の適用としています

但し、保険金の請求にあたり、管理組合の承認が必要になりますので、ご注意ください。

マンションの主な損害リスクと火災保険のカバー範囲

火災保険の対象事故 補償内容(事例)
火事・破裂・爆発 火災により部屋の中および家財が焼失した。
自然災害(台風・落雷・風水害・雪災・雹災) 台風により窓ガラスが割れた。
水災 台風による洪水で床上浸水した。
漏水 上階の部屋から漏水の被害を受けて、クロスの張替えをした。
盗難 窓ガラスを割れて、家財の盗難の被害を受けた。
不足かつ突発的な事故 誤って、ドアにぶつかって壊してしまった。

専有部に加入する火災保険では、部屋の外にある共用部分の損害は対象になりません。


火災保険の対象にならない事故 対象となる保険または特約
機械設備・共用部分の設備等の損害 保険対象が共用部になる火災保険
施設の破損 保険対象が共用部になる火災保険
第三者および居住者に対する損害賠償 個人賠償責任特約
地震 地震保険

また、火災保険の基本補償では賠償責任の補償がありません。

そのため、管理組合にて共用部分が対象となる火災保険に加入する必要があります。

マンションは共同住宅なので、住んでいると様々な賠償責任が発生するリスクがあります

例えば、下の階へ漏水をしてしまった場合や、ベランダの植木鉢を落として駐車場の車に損害を与えてしまったなど、様々なケースがあります。

そうした損害を補償するのは、個人賠償責任特約です

この特約は火災保険の特約として加入することが可能なので、火災保険の加入時に検討しましょう。

年間保険料も保険会社によって異なりますが、概ね2,000円以下で加入できるので、必ず付帯して下さい。

火災保険で備えるリスクは、住まいの特徴で選ぶ

マンションの事故の大半を占めているのは、漏水事故です。

築年数30年以上のマンションを中心に、床の下にある通称「横菅」と言われる給排水管が破損して、下の階に漏水の被害を与えるという事故が急増しています。

「横菅」は専有部の床の下にあるので、大規模修繕の際にも交換ができない困難な場所に設置されており、老朽化してもそのままになっているケースが多いのです。

築年数の古いマンションを購入される人は、配管の状況は目に見えないため、確認ができないので、注意しましょう。 

また、水災の補償は火災保険を加入する際に外すことができるので、本当に必要かどうかハザードマップなどでお住まいのエリアを確認してから決断しましょう。

ですが、水災は被害を受けると大きな損害額になります。

床まで浸水すると、床を剥がしフローリングを張り替えるなどリフォーム費用が高額になりますので、実際に水災の補償を外す人は慎重に決断しましょう

上階にお住まいの方は当然、水災の補償は必要ないので外しておきましょう。

尚、風災については、多くの保険会社で火災保険を加入する以上自動付帯となっており、外すことができません

地震保険は火災保険とセットで加入検討する

地震保険は、単独で加入することができない仕組みになっています

そのため、火災保険とセットで加入をしなければなりません。

更に、地震保険は火災保険金額の半分までしか加入が出来ない仕組みになっています。

隣家への延焼は「失火見舞金」「類焼損害補償」などを確認する

仮に隣家へ類焼をさせてしまっても、日本には失火責任法があるため法的に賠償義務が生じるリスクは低いです。

ただし、隣家と揉めない為にも、「失火見舞金」や「類焼損害補償」は付帯していた方が安心でしょう。

「失火見舞金」とは?
自宅で火災が発生し、近隣の住宅の所有物に被害を与えてしまった場合にお見舞金のこと
    • 「類焼損害補償」とは?
      自宅で火災が発生し、近隣の住宅や家財に類焼させてしまった場合の住宅や家財に対する損害補償のこと

    「失火見舞金」と「類焼損害補償」の違いは補償額です。

    お見舞金費用は被害が大きくても小さくても、一律にお見舞金として金額が決まっています。

    ところが、類焼損害では実際に必要な修繕費用を補償することができます。 

    前田 祐治
    ナビナビ保険監修
    関西学院大学教授
    前田 祐治

    日本における「失火責任法」は、日本特有な法律で、「火災を起こした家主が、火災の延焼に対して賠償責任を課されない」というものです。日本の家は木造がほとんどで、隣接していることが多いため、類焼の責任を家主に課せば、過大な負担になるために、本法令は明治時代に制定されました。したがって、類焼のリスクが高いマンションは全世帯が火災保険に入った方がいいのです。

    マンション住まいで火災保険料を抑えるには?

    マンション住まいで火災保険を抑える方法は様々ありますので、11つ説明していきます。

    特約などの不要な補償を外す

    例えば、上層階に住んでいる人は水災のリスクがないので水災を外すなど、不要な補償を外していくことは大切なことです。

    また、特約についても様々なものがあるので、ご自身にとって本当に必要な特約かどうかを精査しましょう。

    長期契約を検討する

    火災保険は契約期間が長くなれば長くなるほど、保険料は割安になります。

    なぜなら、長期契約をすることで先に長期間の保険料を一括して払うことになるため、保険会社が割引をしてくれているのです。

    現在の火災保険の最長の契約期間は10年ですが、2022年10月から5年に改定されますので、長期契約を希望される人は2022年9月末までに加入をしましょう

    「築年数が浅い」「耐震等級が高い」マンションを選択する

    火災保険は、築年数別の料率体系を採用しており、古い物件は保険料が高くなる傾向にあります

    また、耐震等級3のマンションは地震保険料が50%割引されることになっているので、地震保険料が割安になります。

    火災保険のみを考えてマンションの住み替えをする人はいないと思いますが、覚えておきましょう。

    保険会社の割引制度を確認する

    保険会社によっては様々な割引制度が用意されています。

    各保険会社に共通の割引としては、地震保険料の割引である建築年割引や耐震等級割引があります。

    建築年割引は、1981年6月1日以降に建築された建物については、建築年月を証明する書類(謄本など)を提出すれば地震保険料が10%割引となる制度です

    また耐震等級割引は、耐震等級3:50%、耐震等級2:30%、耐震等級1:10%の割引率となっています。

    耐震等級割引を受けるには、耐震基準適合証明書などを提出することが必要です。

     まとめ

    ここまで、火災保険の必要性と補償内容の選択方法や各種割引制度を説明しました。

    まずは、火災保険は簡単な保険商品ではなく、複雑な商品であることがご理解頂けたのではないでしょうか。 

    近年火災保険はインターネットからも加入が出来るようになりました。

    然しながら、これだけの複雑な仕組みになっている火災保険をご自身で補償内容や保険金額を選択していくのはとても難しいです。

    火災保険は保険のプロに対面で相談をした上で、加入をする方が安心して納得した内容で加入が出来ることでしょう。

    また、銀行や不動産会社などの副業で営業している保険代理店ではなく、保険を専業とした保険代理店から加入をした方が、契約後のサポート(事故の相談)を受けることができるので安心です。

     火災保険は決して、マンション購入時に事務的に入るものではありません。

    火災保険は安くない保険ですので、ご自身で正しく補償内容を理解した上で納得して加入をしましょう。

    ご自身が補償内容を正しく理解していないと、事故があった際に保険の対象になる事故なのかどうかが分からず、保険金の請求漏れになってしまう可能性もあります。最低限、火災保険の補償内容は必ず理解しましょう。

    前田 祐治

    前田 祐治

    インディアナ大学ビジネススクールにてMBA(ファイナンス)取得。その後、マーシュ株式会社、東京海上日動保険会社、滋賀大学国際センター特任准教授を経て、現在の関西学院大学 経営戦略研究科 教授に至る。
    所有資格
    ARM(米国リスクマネジメント士資格)、CPCU(米国保険士資格)、PhD(博士)、MBA(経営学修士)
    専門分野・得意分野
    生命保険全般、リスクマネジメント、ファイナンス、経営学
    小宮 崇之

    小宮 崇之

    大学卒業後、信用金庫に入社。金融機関から独立して、中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。保険会社の代理店営業職を経て、損保ジャパンの研修生を5年間経験し、2020年9月に㈱コミヤ保険サービスという保険代理店を設立致しました。現在は、損害保険、生命保険の代理店を経営しております。また、保険代理店の実務経験を生かして、FPとして執筆業や講師業にも取り組んでおります。
    所有資格
    CFP®(公認ファイナンシャルプランナー) 、TLC(生命保険協会認定FP)、損害保険プランナー、証券外務員一種、日商簿記検定簿記2級
    専門分野・得意分野
    損害保険、生命保険、投資、税金
    ナビナビ保険編集部

    ナビナビ保険編集部

    ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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