総務省が公表している「家計調査報告書 家計収支編(2021年)」によると、1ヵ月の平均生活費は155,561円と言われており、その内訳として、家賃、食費、光熱費など、さまざまな項目が存在します。
この記事では、総務省のデータから一人暮らしの生活費の平均と、その内訳を分かりやすく解説します。また、上手な節約方法や、貯蓄のコツについても合わせて紹介しますので、新生活の準備や、生活費の見直しにお役立て下さい。
一人暮らし以外の生活費については下記のコンテンツで解説していますので、合わせて参考にしてみて下さい。


一人暮らしの生活費の平均と内訳
まず、家計調査のデータから、単身・勤労者世帯の人における生活費の平均額を表にまとめました。
項目 | 平均 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
勤め先収入 | 331,649円 | 362,099円 | 286,657円 |
住居 ※家賃地代、設備修繕・維持、設備材料、工事その他のサービス等 |
34,918円 | 34,136円 | 35,948円 |
食費 | 35,801円 | 39,800円 | 33,489円 |
電気代 | 3,407円 | 3,384円 | 3,432円 |
ガス代 | 2,589円 | 1,997円 | 3,445円 |
上下水道代 | 1,474円 | 1,508円 | 1,411円 |
その他光熱費 | 69円 | 94円 | 36円 |
家具・家事用品代 | 7,050円 | 6,705円 | 7,550円 |
被服および履物代 | 6,604円 | 3,819円 | 10,515円 |
保健医療費 ※医薬品、保健医療サービス等 |
4,718円 | 3,571円 | 6,336円 |
交通費 | 3,741円 | 4,265円 | 2,956円 |
自動車等関係費 | 9,263円 | 9,655円 | 8,709円 |
通信費 | 6,882円 | 5,726円 | 8,521円 |
教養娯楽費 | 18,594円 | 20,509円 | 15,762円 |
その他 ※理美容、身の回り品、趣味嗜好品、交際費等 |
20,451円 | 17,192円 | 25,085円 |
消費支出 | 155,561円 | 152,361円 | 163,195円 |
※34歳未満の単身・勤労者世帯における生活費内訳を記載しています
参照:「家計調査報告書」(単身者)2021年(令和3年)|総務省統計局e-Stat
消費支出の平均が減少した理由は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や外出自粛の影響であると考えられます。
この中で「住居費」については、お住まいの地域や物件によって大きく金額が異なるため、あくまで目安として参考にしましょう。
安定した貯蓄をしながら一人暮らしをするには、生活費の内訳を項目ごとに把握して、収支を適切に管理していくことが重要になります。特に、把握しておくべき項目は以下のとおりです。
これから一人暮らしをされる方が、これらの項目をどう考えるべきかを分かりやすく解説します。

- ナビナビ保険監修
- 消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格)
- 丸山 晴美
家賃
家賃は、生活費の中でも最も大きな割合を占めており、賃貸物件での相場は、収入の3分の1以内と言われています。また、さらに着実に貯蓄をしていきたい場合は「全体収入の25%以内」に抑えるのが理想とされています。
家計調査のデータでは、一人暮らしにおける家賃の平均額は男性が約33,000円、女性が46,000円ですが、家賃はお住まいの地域や物件の間取りなどによって大きく金額が変わりますので、上記の数値はあくまで参考です。
一般的に、家賃相場は郊外の物件の方が都心部よりも安くなる傾向にあります。広い部屋に住みたいけれど家賃は抑えたい、という方は通勤時間なども考慮して、ご自身に合ったエリアの物件を探すようにしましょう。
食費
一人暮らしの人の1ヶ月あたりの食費の平均額は、男性約40,000円、女性は約30,000円です。
食費は、節約しすぎると人によっては大きなストレスとなってしまうため、基本的には自炊を心掛け、外食は週1回にするなど、生活の中でメリハリをつけるのがおすすめです。
今すぐ実践できる食費の節約方法は下記のコンテンツにまとめていますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

- ナビナビ保険監修
- 消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格)
- 丸山 晴美
光熱費
一人暮らしの生活費における光熱費の平均額は以下の通りとなっています。
性別 | 平均 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
電気代 | 3,407円 | 3,384円 | 3,432円 |
ガス代 | 2,589円 | 1,997円 | 3,445円 |
上下水道代 | 1,474円 | 1,508円 | 1,411円 |
※34歳未満の単身・勤労者世帯における生活費内訳を記載しています
参照:「家計調査報告書」家計収支編2021年(令和3年)|総務省統計局e-Stat
水道光熱費は、季節によって大きく金額が変動し、例えば、電気代に関しては夏場や冬場にはエアコンやストーブの使用機会が増えることで、それ以外の月よりも高額になりやすいです。
水道代やガス代も同様に、湯船にお湯を張ったり、追い焚きを利用することで高くなります。光熱費の節約についても、下記コンテンツを合わせて参考にしてみて下さい。
通信費
一人暮らしにおける通信費の平均額は、男性が1ヵ月あたり約5,700円、女性が約8,500円です。ここで言う「通信費」とは、スマートフォンの月額利用料金だけでなく、自宅の固定回線や、WiFiなどの費用も含みます。
まず、スマホの料金は大手キャリアで契約しているのであれば、格安SIMに乗り換えることで、5,000円ほど節約することができます。また、最近では大手キャリアも料金のシンプル化を進め、20GBが月額3,000円程度で使えるプランを発表しています。
固定回線も、利用している携帯キャリアとのセット割がある光回線やWiFiを選ぶことで、月額料金を抑えることができます。
総務省の調査によると、携帯電話の通信料金(音声通話料・データ通信料金など)は、2019年9月時点で約4,287.3円だったのが、2021年3月現在では約3,297.1円となり、1,000円ほど安くなっています。
格安SIMや低料金プランの普及により、通信料金は低額化していると考えられます。※出典:総務省「携帯電話の料金等に関する利用者の意識調査 」
一人暮らしを始めるタイミングは、これらの通信費を見直すいい機会です。ご自身の契約状況に合わせて最適化できる部分がないか検討してみるとよいでしょう。
日用品代・理美容品・趣味など
日用品代や理美容品、趣味などにかける費用の平均額は、男性が約17,000円、女性が約25,000円となっています。
日用品代には、シャンプーやトイレットペーパー、洗剤類などの消耗品が挙げられます。
また、理美容品や趣味趣向品にまつわる費用も含まれており、女性の方が理美容品にかける費用が多いと考えられるため、金額に差があります。
これらの費用を抑えるには、日用品はコンビニではなくスーパーやドラッグストアのタイムセールを狙って安く購入することや、趣味にかける金額はあらかじめ決めておくことが大切です。
交遊費
一人暮らしを始めると、知り合いや会社の同僚と飲みに行ったり、遊びに行ったりする機会が増えることでしょう。
一度の食事代で5,000円前後の費用がかかることも多いので、1~2週間に1回程度の頻度に留めるなど意識するようにした上で、毎月の上限額をあらかじめ決めておくことで、お金の使い過ぎを防ぎましょう。
医療費・保険代
一人暮らしにおける医療費や保険代は、男性の平均額が約3,500円、女性の平均額は約6,700円程度です。
一人暮らしの場合、体調を崩した際に、頼れる人が近場に住んでいるとは限りません。ですので、万が一の事態に備えて、薬を常備したり、病気や大きなケガで働けなくなったときに備えて、保険への加入も検討してみてもよいかもしれません。
ケガや病気への備えが万全か不安な方は、現在のご自身の状況から最適なライフプランを提供してくれるFP相談がおすすめです。


一人暮らし世帯における貯金額の平均
金融広報中央委員会の情報サイト「知るぽると」によると、『2021年における年間手取り収入(税引き後)』は、20歳代で平均230万円と公表されています。
同じ統計データから20代の収入からの貯蓄割合を確認してみましょう。
※記載の金額は20歳代の年間手取り収入(税引き後)の平均値230万円と想定した場合の割合に対する金額です
参照:1. 金融資産の状況等|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると
上記のデータによると、もっとも割合の大きいのは年間収入の35%以上で、年間80.5万円を貯蓄しており、1ヶ月あたりの金額は67,083円になります。
あくまで目安のデータですが、ご自身の収入と照らし合わせて貯蓄の参考にしましょう。
また金融中央広報委員会の別の調査では、単身世帯に保有する金融資産額を尋ねたところ、中央値は以下の通りとなりました。中央値とは、データを小さい順にならべたときに真ん中に位置する値であり、平均値よりも実態を把握しやすいです。
- 20歳代:100万円
- 30歳代:294万円
- 40歳代:440万円
- 50歳代:675万円
参照:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」|1. 金融資産の状況等
年齢を重ねるごとに、金融資産の保有額が増えていることがわかります。貯蓄がまったくないという方は、上記の中央値を目標に金融資産の積み立てを始めるのも方法でしょう。
また同調査によると、金融資産の保有目的としてもっとも多かった回答が「老後の生活資金(63.3%)」であり、次いで「病気や不時の災害の備え(49.3%)」となりました。
一方で「とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心」と回答した人が25.8%いました。
目的が明確であると、お金はきちんと貯まっていくものです。貯蓄が苦手な方は、何のためにお金を貯める必要があるのか考えてみると良いでしょう。
一人暮らしで生活費を節約するための4つのポイント
一人暮らしで生活費を節約するために、以下の4つのポイントを意識するようにしましょう。
一人暮らしで生活費を節約するための4つのポイント
- 目標とする貯金額を決める
- 毎月の支出を把握する
- 家計簿をつける
- 先取り貯金をする
まず、生活費を節約する目的や目標貯金額を決めておくことで、日々のお金の使い方を見直すことにつながります。そのうえで、毎月の支出を把握することが大切です。
支出を把握するのにおすすめなのが家計簿をつけることです。支出を見える化することで、生活費の項目の中でより節約できる箇所を見つけやすくなります。
家計簿をつけるのが苦手という方は、レシートを簡単にまとめておくなどでも大丈夫です。大切なのは、あくまで支出を把握する手段を確保することです。家計簿の上手な付け方については、以下のコンテンツを合わせて参考にして下さい。
また、給料が入ったらあらかじめ一定額を貯金に回し、残ったお金で生活する「先取り貯金」も非常におすすめです。
これらを意識するだけで、一人暮らしであってもお金を貯めていくことができるので、ぜひ実践してみて下さい。

- ナビナビ保険監修
- 消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格)
- 丸山 晴美
まとめ
一人暮らしの生活費と、上手な貯蓄と節約のコツについて解説しました、最後に振り返りをしましょう。
総務省が公表しているデータによると、1ヶ月の平均生活費は152,575円と言われており、その内訳として、家賃、食費、光熱費など、さまざまな項目が存在します。それぞれの項目は以下のとおりです。
安定した貯蓄をしながら一人暮らしをするには、生活費の内訳を項目ごとに把握して、収支を適切に管理していくことが重要になります。
また「20歳代の一人暮らし世帯における貯金額の平均」「一人暮らしで生活費を節約するための4つのポイント」も参考に、ご自身の生活に合った貯蓄の参考にしましょう。
一人暮らしであっても、生活費はちょっとした工夫をするだけで簡単に節約できるものも多いです。ただ、節約しようと意識しすぎるのも人によっては大きなストレスになる可能性があるので、たまには贅沢してみるなど、メリハリをつけるのが大切です。
これから初めて一人暮らしをする人は、ご紹介した金額を目安にして効率良く生活費を節約してみてください。