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人身傷害保険は、任意加入の自動車保険に付けられる補償です。
人身傷害保険を付けていると、交通事故でドライバーや同乗者がケガをしたとき、保険金が支払われます。
相手がいる事故では、相手方からケガに対する損害を賠償してもらえます。
しかし、損害のすべてを賠償してもらえるとは限らないため、交通事故に備えるためには人身傷害保険にも加入しておくことが大切です。
本記事では、人身傷害保険の補償内容や必要性、搭乗者傷害保険との違いをわかりやすく解説します。
人身傷害保険とは事故でのケガや死亡を補償する保険
人身傷害保険(人身傷害補償保険)とは、ドライバーまたは同乗者のケガや後遺障害、死亡による損害を補償する保険です。
相手がいる事故の場合、自分自身や同乗している方がケガ・後遺傷害を負ったときや死亡したとき、基本的には相手方から賠償金が支払われます。
しかし賠償金だけで、ケガや後遺傷害、死亡による損害のすべてをカバーできないことがあります。
- 「過失割合」とは?
- 過失割合とは、自分と相手のどちらにどれだけ非があるのかを示す割合
例えば、交通事故にあって後遺障害が残り、治療費や将来の介護料などで3,000万円の損害が発生したとしましょう。
過失割合が、自分:相手=30:70であった場合、相手から賠償してもらえる金額は、3,000万円×70%=2,100万円です。
残りの900万円は自己負担しなければなりません。
人身傷害保険は、事故の過失割合にかかわらず実際の損害額が保険金として支払われます。
そのため、本来であれば自己負担が必要な900万円を保険金でカバーできます。
保険金の決まり方
人身傷害保険の保険金は、契約したときの保険金額を上限に実際の損害額が支払われます。
損害額は、実際にかかった治療費だけでなく、休業による損害、精神的な損害などをもとに保険会社が約款にもとづいて算定をします。
損害額の算定基準 | |
---|---|
ケガで入院・通院をしたとき |
|
後遺障害が生じたとき |
|
死亡したとき |
|
人身傷害保険の保険金の支払額は、上記をもとに算出した損害額から、相手方の賠償金などを差し引いた金額です。
ただし、人身傷害保険の契約時に定めた保険金額が上限です。
保険金額は、3,000万円〜無制限のあいだで設定します。
また損害額は、保険会社ごとに作成される約款にもとづいて決まるため、示談や調停で認定された金額とは異なる場合があります。
示談交渉を待つことなく保険金が支払われる
人身傷害保険は、相手方との示談交渉を待たずに、保険金が支払われるという特徴があります。
交通事故が発生したときは、当事者や保険会社などで示談交渉をして、過失割合や賠償金額などを取り決めます。
しかし話がまとまらず、示談交渉が難航して長引くケースは少なくありません。
示談がまとまらなければ、相手方から賠償金を支払ってもらえません。
賠償金を払ってもらわなければ、治療費の支払や収入の減少などを貯蓄で賄わなければならなくなる可能性があります。
人身傷害保険の保険金は、保険会社が独自に計算をします。
そのため、示談交渉が長引いたときは、保険会社に請求して保険金を先払いしてもらうことが可能です。
人身傷害保険が役立つケース
人身傷害保険が役立つのは、以下のようなケースです。
人身傷害保険の補償が役立つケースの例
-
事故相手からの賠償金が長期間にわたって支払われない
-
後遺障害が残り長期にわたって介護が必要な状態になった
-
入院や通院が長引き、貯蓄や加入中の民間保険だけではカバーできない
- 事故相手が保険に加入しておらず賠償してもらえない
交通事故でケガをしたとき、すぐに保険金を受け取って治療費の支払いや収入減少に充てたい方は、人身傷害保険に加入すると良いでしょう。
ケガの治療が長引いたときの治療費や、後遺障害で長期間の介護が必要になったときの介護費用などを賄いたい方にとっても、人身傷害保険は心強い保険です。
また、人身傷害保険に加入していれば、事故相手が任意の自動車保険に加入しておらず、ご自身や同乗していた方のケガに対する損害を十分に賠償してもらえないときに、保険金で損害分をカバーできます。
人身傷害保険の必要性
損害保険料算出機構の調査によると、2020年3月末時点で車検が有効となっている車両のうち、人身傷害保険に加入している割合は以下の通りです。
人身傷害保険の加入率(カッコ内は対人賠償保険の加入率)
-
自家用普通乗用車:81.7%(82.6%)
-
自家用小型乗用車:77.0%(78.5%)
-
軽四輪乗用車:76.6%(77.9%)
-
二輪車:17.3%(46.7%)
- 合計:70.8%(75.2%)
※出典:損害保険料算出機構「2023年度 自動車保険の概況」
自動車保険に加入するとき、対人賠償責任保険は基本的に付けなければなりません。
そのため自家用乗用車や軽四輪乗用車については、自動車保険に加入している方のほとんどが人身傷害保険を付けているといえます。
自分自身に過失がなければ、人身傷害保険は不要と思われた方もいるかもしれません。
しかし、交通事故の過失割合が自分:相手=0:100になるのは「赤信号で停車中に追突された」など限られたケースです。
交通事故では、相手だけでなく自分自身にも過失があると認定されることが多いため、車を運転する人は基本的に人身傷害保険に加入したほうが良いといえます。
人身傷害保険は2種類ある
人身傷害保険には、「車内のみ補償」「車内・車外ともに補償」の2種類があります。
それぞれの違いは、以下の通りです。
車内のみ補償 | 車内・車外ともに補償 | |
---|---|---|
契約車両に搭乗中の事故 | 〇 | 〇 |
友人が運転する車に搭乗中の事故 | × | 〇※ |
タクシーやバスなどに搭乗中の事故 | × | 〇※ |
歩行中や自転車搭乗中の自動車事故 | × | 〇※ |
※基本的に記名被保険者とその家族のみが補償の対象です。
種類と補償範囲の違い
車内のみ補償する人身傷害保険では、契約車両に乗っているときの交通事故でしか補償が受けられません。
一方で車内・車外ともに補償する人身傷害保険は、記名被保険者とその家族が、歩行中に他の自動車にはねられて死傷したときも保険金の支払対象となります。
また、契約車両以外の車やタクシー、バスなどに乗っているときの自動車事故の補償の対象です。
なお補償範囲が広い分、車内・車外ともに補償するタイプのほうが保険料は高くなります。
補償の重複に注意
車内・車外ともに補償するタイプの人身傷害保険に加入するときは、補償の重複に注意が必要です。
例えばご家族が、車内・車外ともに補償するタイプの人身傷害保険に加入しているのであれば、歩行中や自転車搭乗中、バス・タクシーなど契約車両以外の車に搭乗中の事故で負ったケガはすでに補償されています。
にもかかわらず、新たに車内・車外ともに補償する人身傷害保険に加入すると、補償が重複し、保険料を余分に支払ってしまうことになります。
「人身傷害保険」と「搭乗者傷害保険」の違い
事故によるドライバーや同乗している方のケガや後遺障害、死亡による損害を補償する保険は、人身傷害保険のほかにも「搭乗者傷害保険」があります。
搭乗者傷害保険は、人身傷害保険の上乗せ補償に位置づけられる保険と考えるとわかりやすいです。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いは、以下の通りです。
人身傷害保険 | 搭乗者傷害保険 | |
---|---|---|
保険金の支払額の決まり方 | 実損払い | 定額払い |
保険金が支払われるタイミング | 保険会社による損害額の算定後 | 即時 ※医師の診断による入院及び通院の合計日数が5日以上を経過した時点など保険商品によって異なる |
補償範囲 | 商品によっては契約車両にのっていないときの自動車事故による死傷も補償される | 原則として契約車両に登場しているときの自動車事故による死傷のみを補償 |
上記のうち、保険金の支払額の決まり方と保険金が支払われるタイミングについて詳しくみていきましょう。
支払われる保険金の決まり方
人身傷害保険は、契約時に保険金額を上限に、ケガや後遺障害、死亡などによって生じた実際の損害額が支払われます。
ただし支払額は、損害額からすでに相手方から支払われる賠償金を差し引いた額となります。
保険金額は、3,000万円〜2億円、あるいは無制限に設定が可能です。
ケガや後遺障害、死亡に対する損害を過不足なくカバーしやすい点が、人身傷害保険の特徴です。
一方の搭乗者傷害保険は、契約時に決めた定額の保険金が支払われます。
治療費や休業による損害、葬儀費用などは保険金の支払額に加味されません。
搭乗者傷害保険の保険金額は、500万〜2,000万円のあいだで設定するのが一般的です。
事故時に支払われる保険金は、次の通りです。
搭乗者傷害保険の保険金
-
死亡:保険金額のすべて
-
後遺障害:後遺障害の程度に応じて保険金額の4〜100%程度
- 医療保険金:入院または通院が5日以上のときは10万円、4日以下は1万円
※保険金の種類や支払額は保険会社によって異なります
なお事故相手から賠償金を受け取っても、保険金の支払額は変動しません。
支払われるタイミング
人身傷害保険と搭乗者傷害保険は、どちらも保険会社に請求をすることで示談交渉の終了を待つことなく保険金を支払ってもらえます。
ただし人身傷害保険の保険金は、保険会社による損害額の算出が終わったあとでなければ受け取れません。
対して搭乗者傷害保険は、「医師の診断による入院及び通院の合計日数が5日以上を経過した」などの要件を満たしたとき、保険会社に請求をすることで保険金を即座に支払ってもらえます。
人身傷害保険を使うと等級はどうなる?
自動車保険は、事故歴に応じた等級によって保険料に割引や割増が適用される仕組みです。
事故を起こして自動車保険の保険金を請求すると、基本的に翌年の等級が下がって保険料が上昇します。
しかし、人身傷害保険のみを請求する事故は「ノーカウント事故」に該当し、翌年の等級が下がらず保険料は上昇しません。
他にも、以下の保険金のみを請求した事故はノーカウント事故となります。
ノーカウント事故の対象となる補償
-
搭乗者傷害保険
-
無保険車傷害保険
-
弁護士費用特約
-
ファミリーバイク特約
-
被害者救済費用特約
- 個人賠償責任特約
保険会社によっては、上記以外もノーカウント事故に該当する場合があります。
自動車保険に加入するときは、どのようなケースがノーカウント事故となるのかを確認すると良いでしょう。
ただし、対人賠償責任保険や対物賠償責任保険などの保険金もあわせて請求すると、翌年の等級が下がり保険料は上昇します。
人身傷害保険の保険料を節約する方法
人身傷害保険は、多くの保険会社が自動車保険の基本補償に含めています。
そのため、人身傷害保険を付けずに自動車保険に加入するケースは稀でしょう。
一方で、人身傷害保険の保険料を抑えることは可能です。
ここでは、人身傷害保険の保険料を節約する方法について2つご紹介します。
保険金額を高く設定しない
人身傷害保険は、保険金額を低く設定するほど保険料が安くなります。
自動車事故でご自身や同乗中の方がケガをしたときは、保険会社が算出した損害額が保険金として支払われます。
加入時に設定した保険金額が、そのまま支払われるわけではありません。
すでに生命保険や医療保険、傷害保険などに加入しており、治療費や収入減少にある程度備えられているのであれば、保険金額を無制限ではなく3,000万円や5,000万円にして保険料を抑えるのも方法です。
補償範囲を限定する
人身傷害保険は、車内のみを補償するタイプのほうが、車外も補償するタイプよりも保険料は安いです。
運転者の状況や車の使用状況によっては、車内のみ補償する人身傷害保険を選ぶことで、保険料を節約できる場合があります。
とくに、ご自身やご家族が加入している自動車保険に車内と車外の両方の自動車事故を補償する人身傷害保険が付いていた場合、新たに同じタイプに加入すると補償が重複します。
ご自身やご家族が、車外での事故も補償する人身傷害保険に加入しているのであれば、車内のみを補償するタイプを選ぶことで保険料を余分に支払わずに済みます。
まとめ
交通事故でケガを負ったとしても、事故相手から支払われる賠償金は過失割合に応じて相殺されるため、損害のすべてを賠償してもらうのは困難です。
人身傷害保険に加入していると、ケガや後遺障害、死亡による損害を過失割合にかかわらず補償してくれます。
示談交渉が長引いたときや、事故相手が保険に未加入であるときは、人身傷害保険の保険金で損害をカバーできます。
また人身傷害保険は、タクシーやバスなどに乗っていたときの事故、歩行中や自転車搭乗中の事故も補償してもらうことも可能です。
交通事故が発生したときのお金の心配を少しでも減らしたいのであれば、保険金額や補償範囲などを適切に設定して人身傷害保険に加入することが大切です。