国民健康保険とは
国民健康保険は、個人事業主やフリーランスなどの自営業者が加入する健康保険です。
国民健康保険に加入することで、病気やケガで病院にかかる時や、出産・死亡に治療等や現金の給付が受けられるようになります。
これを「保険給付」と呼び、給付される金額は場面に応じて異なります。
項目 | 内容 | 金額 |
---|---|---|
病院にかかる時 (療養の給付) |
病気やケガで病院等にかかるとき、窓口で保健証を提示することで医療費の一部を負担するだけで診療が受けられる。 病院等の窓口で支払う金額(自己負担金額)は年齢や所得によって異なる。 |
|
入院した時の食事代 | 入院中の食事代については、診療や薬にかかる費用とは別に、一部を自己負担し、残りは国民健康保険が負担。 |
|
いったん全額自己負担した時 (療養費の支給) |
次に該当する場合、いったん全額が自己負担となるが市区町村の窓口に申請して認められれば自己負担分を除いた金額が支払われる。
|
医療内容に応じて異なる |
子供が生まれた時 (出産育児一時金) |
国民健康保険に加入している方が出産した時、50万円が支給される。 支給を受ける方法は、市区町村等が直接病院に出産育児一時金を支払うことで、国保加入者は出産費用から差し引いた金額を病院に支払う「直接支払制度」が利用可能。 出産費用が出産育児一時金の金額未満の場合や直接支払制度を利用しない場合は、お住まいの市区町村の窓口で申請をする必要がある。 |
500,000円(令和5年4月より) ※妊娠週数が22週に達していない場合や産科医療補償制度の対象外となる出産時は488,000円 |
亡くなられた時 (葬祭費) |
国民健康保険に加入している方が亡くなった時、葬儀を執り行った方に葬祭費が支給される。 金額等についてはお住まいの市区町村の窓口で確認。 |
市区町村窓口で要確認 |
移送された時 (移送費) |
病気やケガなどで歩行が困難な方で、医師の指示により治療上必要であり、緊急でやむをえず別の病院に移送した時などに、移送に要した金額が支給される場合がある。 | 市区町村窓口で要確認 |
交通事故に遭った時 | 交通事故などの第三者の行為によりケガをした場合の治療費は、本来は加害者が負担すべきものであるが、状況により保健証を使って診療を受けられる。 国保の保健証を使って治療をする場合は、必ずお住まいの市区町村の窓口に届け出る必要がある。 |
市区町村窓口で要確認 |
医療費が高額になった時 (高額療養費) |
1か月の医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合、申請して認められると限度額を超えた分が高額療養費として後から支給される。 ただし、入院中の食事代や保健がきかない差額ベッド代、歯科の自由診療などは非対象。 限度額は70歳未満の方と75歳未満の方で異なり、所得区分によっても異なる。 |
市区町村窓口で要確認 |
国民健康保険の保険料は、前年の所得金額に、住んでいる都道府県の市区町村によって決められた料率をかけた金額を納めます。
似た言葉として「国民年金保険」がありますが、国民年金保険の保険料は定額であるのに対し、国民健康保険の保険料は前年の所得金額に応じて変わります。
保険料の計算方法については「国民健康保険料の計算方法」で解説するので、自営業者の方は自分がどれだけの保険料を支払うことになるのか確認しておきましょう。
国民健康保険は公的医療保険の内のひとつ
日本では「国民皆保険制度」のもと、日本国民は全員が何らかの公的医療保険に加入しています。
加入対象 | 運営者 | |
---|---|---|
国民健康保険 |
|
お住まいの市区町村(2018年からは都道府県も含まれる)国民健康保険組合 |
健康保険 (社会保険) |
|
|
共済組合 |
|
各種共済組合 |
船員保険 |
|
全国健康保険協会 |
後期高齢者医療制度 |
|
後期高齢者医療広域連合 |
上記の通り、日本には様々な種類の公的医療保険があります。
会社員や公務員の方は勤務先の健康保険に加入し、全ての手続きを勤務先の会社が代わりに行ってくれますが、自営業者の場合は全ての手続きを自分で行わなければなりません。
一方、会社を退職したり自営業者となったりした場合は、「健康保険」から「国民健康保険」への切り替え手続きを行う必要があります。
健康保険(社会保険)との違い
国民健康保険と健康保険(社会保険)の違いは以下の通りです。
国民健康保険 | 健康保険(社会保険) | |
---|---|---|
対象者 | 個人事業主、フリーランスなどの自営業者 | 会社員や公務員、その家族 |
保険料支払い | 全額自己負担 ※家族が増えた時は保険料が変わる |
勤務先との折半 (自己負担分は給与から差し引かれる) ※家族が増えても保険料は変わらない |
保険料計算 | 前年所得に応じて住んでいる都道府県が計算 | 給与額に応じて会社が計算 |
医療費の自己負担 | 3割負担 | |
高額療養費制度 | あり | |
出産一時金 | 50万円 ※産科医療補償制度に未加入の医療機関での出産の場合は48.8万円 |
|
出産手当金 | なし | あり |
傷病手当金 | なし | あり |
保険者 | 市町村の国民健康保険組合など | 勤務先が所属する団体(協会けんぽなど) |
国民健康保険と健康保険(社会保険)の違いで最も大きなポイントは、支払うことになる保険料の金額です。
会社員や公務員の方は勤務先の健康保険(社会保険)に加入し、毎月の給与から天引きという形で、勤務先との折半で保険料を支払います。
一方、個人事業主やフリーランスの方は、前年の所得に応じた保険料を全額自己負担で、自分で手続きを行って納めることになります。
保険料の支払い方法は、お住まいの市区町村から6月頃に送られてくる納付書を使って、6月から翌年3月までの計10回に分けて支払います。
支払うことになる保険料の金額以外にも、申請可能な制度やもらえる一時金などに違いがあるので覚えておきましょう。

- 山中 伸枝
- (株)アセット・アドバンテージ代表取締役/FP相談ねっと 代表
国民健康保険の加入要件
国民健康保険の加入要件は以下の通りです。
国民健康保険には脱退要件もあるので、合わせて覚えておきましょう。
国民健康保険の加入要件
- 他の市区町村から転入してきた時(引っ越しなど)
- 子供が生まれた時
- 生活保護を受けなくなった時
- 職場の健康保険をやめた時(退職など)
- 職場の健康保険の被扶養者から外れた時
- 外国籍の方が加入する時
国民健康保険の脱退要件
- 他の市区町村へ転出する時(引っ越しなど)
- 国保の被保険者が死亡した時
- 生活保護を受けるようになった時
- 職場の健康保険に入った時(転職など)
- 職場の健康保険の被扶養者になった時
- 外国籍の方が脱退する時
なお、上記に該当する場合は、要件を満たしたタイミングから14日以内に手続きを行う必要があります。
また、以下のような場合でも14日以内に手続きを行わなければなりません。
14日以内に手続きを行わなければならない場合
- 住所、世帯主、氏名が変わった場合
- 保健証が汚れて使えなくなったり失くしたりした場合
就職・退職に伴う切り替えの手続き
就職や退職に伴う国民健康保険の手続きは、お住いの市区町村窓口に届け出をする必要があります。
なお、国保組合(同種の事業者で組織されている組合)の方は、国保組合の窓口に届け出ましょう。
上述の通り、国民健康保険の手続きは要件を満たしたタイミングから14日以内に手続きを行わなければなりません。
万が一、加入する届け出が遅れてしまうと、保険料を遡って収めなければなりません。
また、脱退する届け出が遅れてしまい、本来なら健康保険の保健証で治療を受けるところを、国民健康保険の保健証を使って治療を受けた場合、支払った医療費(国保が負担した分)の金額を返金することになります。
いずれにせよ、手続きが煩雑となるため、加入要件や脱退要件を満たした場合は速やかにお住いの市区町村窓口に届け出るようにしてください。

- 山中 伸枝
- (株)アセット・アドバンテージ代表取締役/FP相談ねっと 代表
国民健康保険料の計算方法
国民健康保険料は、3つの分類それぞれで計算した金額の合計金額を納めることになります。
国民健康保険料の分類
また、それぞれの金額は「所得割・均等割・平等割」などの計算方法で算出された金額の合計額となります。
国民健康保険の計算における「所得割・均等割・平等割」とは
- 所得割:前年中の所得金額によって負担金額が変わり、一般的に高所得者ほど多くの保険料を収める必要がある
- 均等割:世帯あたりの国保加入者の人数によって均等に負担する。所得の多少に関わらず均等に負担しなければならない
- 平等割:国保に加入する全世帯が平等に負担する。高所得者でも低所得者でも同じ国保加入者なら同じ金額を負担
つまり、「医療分」で所得割・均等割・平等割の3つを計算し、「介護分」「後期高齢者支援金分」についても同様にそれぞれの計算を行います。
そして、それぞれの金額を全て合計した金額が「国民健康保険料」として納税する金額となります。
お住まいの市区町村によって所得割・均等割・平等割の保険料率は異なるので、詳細は市区町村の窓口で確認するのが確実です。
この記事では、東京都杉並区における国民健康保険料を例に挙げて計算していきます。
東京都杉並区では平等割における保険料率が0円と指定されているため、「所得割」と「均等割」の2つで解説します。
先に結論として、東京都杉並区において前年の総所得金額が500万円で単身世帯の国民健康保険料は以下の通りです。
項目 | 保険料 |
---|---|
医療分 | 379,839円 |
介護分 | 118,940円 |
後期高齢者支援金分 | 128,114円 |
国民健康保険料(医療分+介護分+後期高齢者支援金分) | 626,893円 |
※上記の金額は2023年度における東京都杉並区の国民健康保険料です※お住まいの市区町村によって保険料率や最高限度額が異なるため、詳細は市区町村の窓口でご確認ください参照:令和5年度の国民健康保険料の簡易計算方法|杉並区
参照:杉並区国民健康保険に加入している方へ(料率等のご案内)(5年4月1日)|杉並区参照:令和5年度特別区国民健康保険料一覧表|東京都福祉保健局
それぞれにおける計算式は、各項目で解説します。
医療分
国民健康保険料における「医療分」とは、主に病院に行った時に発生する医療費などで国保が負担する分の金額です。
東京都杉並区における「医療分」の保険料は以下の通りです。
保険料率 | 計算式 | |
---|---|---|
所得割 | 7.17% | (前年の総所得金額 - 33万円)× 7.17% |
均等割 | 45,000円 | 45,000円 × 加入者人数 |
※東京都杉並区における医療分の最高限度額は65万円/年となります参照:令和5年度の国民健康保険料の簡易計算方法|杉並区
参照:杉並区国民健康保険に加入している方へ(料率等のご案内)(5年4月1日)|杉並区
参照:令和5年度特別区国民健康保険料一覧表|東京都福祉保健局
上記の計算式をもとにすると、たとえば前年の総所得金額(総収入から必要経費を差し引いた金額)が500万円だった場合、医療分の保険料は以下の通りになります。
前年の総所得金額が500万円だった場合の医療分の保険料
- 所得割:(500万円-33万円)× 7.17% = 334,839円
- 均等割:45,000円 × 1人= 45,000円
- 国民健康保険料:所得割334,839円 + 均等割45,000円 = 379,839円
介護分
国民健康保険料における「介護分」とは、介護保険制度を利用する際に国保が負担する分の金額です。
介護保険制度に運営にかかる費用の負担割合は、公費から約5割、40〜64歳の日本国民から約3割、65歳以上の日本国民から約2割となっています。
国民健康保険の保険料として支払うのは、介護保険第2号被保険者(40〜64歳の日本国民)がいる世帯に限られます。
東京都杉並区における「介護分」の保険料は以下の通りです。
保険料率 | 計算式 | |
---|---|---|
所得割 | 2.2% | (前年の総所得金額 - 33万円)× 2.2% |
均等割 | 16,200円 | 16,200円 × 加入者人数 |
※東京都杉並区における医療分の最高限度額は17万円/年となります※介護分の負担は40〜64歳の方のみとなります参照:令和5年度の国民健康保険料の簡易計算方法|杉並区
参照:杉並区国民健康保険に加入している方へ(料率等のご案内)(5年4月1日)|杉並区
参照:令和5年度特別区国民健康保険料一覧表|東京都福祉保健局
上記の計算式をもとにすると、たとえば前年の総所得金額(総収入から必要経費を差し引いた金額)が500万円だった場合、介護分の保険料は以下の通りになります。
前年の総所得金額が500万円だった場合の介護分の保険料
- 所得割:(500万円 - 33万円)× 2.20% = 102,740円
- 均等割:16,200円 × 1人= 16,200円
- 国民健康保険料:所得割102,740円 + 均等割16,200円 = 118,940円
後期高齢者支援金分
国民健康保険料における「後期高齢者支援金分」とは、主に高齢者世代を日本国民全員で支えることを目的とし、後期高齢者医療制度を運営するために国保が負担する分の金額です。
負担割合は、公費が約5割、現役世代の納める「後期高齢者支援金」で約4割、加入者本人の保険料が約1割となっています。
東京都杉並区における「後期高齢者支援金分」の保険料は以下の通りです。
保険料率 | 計算式 | |
---|---|---|
所得割 | 2.42% | (前年の総所得金額-33万円)×2.42% |
均等割 | 15,100円 | 15,100円×加入者人数 |
※東京都杉並区における後期高齢者支援金分の最高限度額は22万円/年となります参照:令和5年度の国民健康保険料の簡易計算方法|杉並区
参照:杉並区国民健康保険に加入している方へ(料率等のご案内)(5年4月1日)|杉並区
参照:令和5年度特別区国民健康保険料一覧表|東京都福祉保健局
上記の計算式をもとにすると、たとえば前年の総所得金額(総収入から必要経費を差し引いた金額)が500万円だった場合、後期高齢者支援金分の保険料は以下の通りになります。
前年の総所得金額が500万円だった場合の後期高齢者支援金分の保険料
- 所得割:(500万円 - 33万円)× 2.42% = 113,014円
- 均等割:15,100円 × 1人 = 15,100円
- 国民健康保険料:所得割113,014円 + 均等割15,100円 = 128,114円
国民健康保険料の支払いについて
国民健康保険料の支払い方法は大きく分けて3つあります。
国民健康保険料の支払い方法
納められた保険料は、病気やケガなどで病院にかかった時の医療費などに充てられる大切な資源となるので、必ず納期限までに納付するようにしましょう。
それぞれの支払い方法について解説します。
口座振替での納付
国民健康保険料は「口座振替」にて納付することができます。
毎月の振替日に自動的に納められるので、保険料を納め忘れることがないので安心です。
口座振替の手続きをするためには、以下の持ち物を用意して、お住まいの市区町村窓口に行く必要があります。
口座振替のために必要な持ち物
- 金融機関の通帳
- 通帳届出印
- 保健証
市区町村によっては郵送での手続きも可能なので、詳細はお住まいの市区町村窓口までお問い合わせください。
なお、保険料として口座から引き落とされるタイミングは月によって異なります。
東京都杉並区の場合における平成31年度の納期限および口座振替日は以下の通りです。
令和5年度の納期限および口座振替日
-
6月:6月30日
-
7月:7月31日
-
8月:8月31日
-
9月:10月2日
-
10月:10月31日
-
11月:11月30日
-
12月:翌年1月4日
-
1月:1月31日
-
2月:2月29日
- 3月:4月1日
※4月・5月分の保険料は、6月期から翌年3月期までの年10回払いの中に含まれています参照:国民健康保険料の納め方|杉並区
引き落とされるタイミングについても市区町村によって異なるので、手続きを行う際に合わせて確認しておくようにしましょう。
納付書での納付
国民健康保険料は「納付書」で納付することもできます。
お住まいの市区町村より、前年度の確定申告より算出された保険料の1年分(10か月期分)の納付書が、毎年6月にまとめて郵送されます。
なお、納付書の内訳と納期限は以下の通りです。
郵送内容 | 納期限 |
---|---|
6月期分から3月期分の納付書 (合計10枚) |
毎月末日 (ただし、末日額の休日に当たる時はその翌日) |
1年分一括納付用の納付書 (1枚) |
6月30日 |
また、納付書を使っての納付場所は以下の通りです。
国民健康保険料の納付場所
- 銀行・信用金庫・信用組合など
- ゆうちょ銀行および郵便局
- 区役所など
- コンビニエンスストア
納付書にはそれぞれ納付期限が書かれているので、その納付期限に間に合うように国民健康保険料を納めてください。
携帯電話での保険料の納付(モバイルレジ)
国民健康保険料を納付書で納める場合、携帯電話を利用した納付が可能です。
携帯電話のカメラやアプリを使って、納付書に印刷されたバーコードを読み取ることで、モバイルバンキングでの納付ができます。
利用するためには事前に金融機関へモバイルバンキングの申し込み手続きが必要となります。
詳しくは、お住まいの市区町村のホームページや、保険料額通知書に同封されているチラシなどでご確認ください。
国民健康保険の加入の流れ
国民健康保険に加入する場合の手続きの流れは以下の通りです。
国民健康保険の加入の流れ
- 必要な持ち物を準備する
- お住まいの市区町村窓口に行く
- 窓口にて「国民健康保険加入の旨」を伝える
- 受付員の指示に従って本人確認を行う
- その場で国民健康保険被保険者証(保健証)が交付されて終了
国民健康保険に加入すると、窓口で本人確認ができた場合に限り、その場で保健証が交付されます。
本人確認書類がない時は、簡易書留で送られてくるので覚えておきましょう。
加入に必要なもの
国民健康保険に加入する際、必要な持ち物は以下の通りです。
加入するための理由によって必要な持ち物が異なるので、しっかりと確認しておきましょう。
必要な持ち物 | |
---|---|
絶対に必要な物 | 本人確認書類 |
引っ越しなどによる転入の場合 | 特になし |
勤務先の健康保険をやめた、扶養から外れた場合 | 健康保険資格喪失年月日のわかる書類(健康保険資格喪失証明書など) |
国保組合をやめた場合 | 国保組合資格喪失証明書など |
生活保護を受けなくなった場合 | 保護廃止決定通知書 |
子供が生まれた場合 | 別途戸籍の手続きを行う |
呼応期高齢者医療制度に移行した方に扶養されていた場合 | 健康保険資格喪失証明書など |
届け出の期間は、加入の理由が発生した日以降14日以内なので、必ず届け出るようにしましょう。
注意点
国民健康保険に加入する際の注意点は以下の2つです。
国民健康保険の注意点
- 加入するための手続き期限は14日以内に行わなければならない
- 手続きが遅れてしまっても全期間の保険料を支払うことになる
国民健康保険は、加入するための理由が発生したタイミングから14日以内に手続きを行う必要があります。
仮に14日を過ぎてしまっても罰則などはありませんが、加入していない期間中の医療費は全額が自己負担となってしまうので、早めに加入することをおすすめします。
また、手続きが遅れてしまっても最終的には全期間分の保険料を支払うことになるので、早い内に手続きを済ませてしまった方が良いでしょう。
国民健康保険の脱退の流れ
国民健康保険を脱退する場合の手続きの流れは以下の通りです。
国民健康保険の脱退の流れ
- 必要な持ち物を準備する
- お住まいの市区町村窓口に行く
- 窓口にて「国民健康保険脱退の旨」を伝える
- その場で保健証を返却して終了
なお、国民健康保険の脱退は、脱退として認められる理由がない限り脱退することはできません。
たとえば、「病院に行かない」などの理由で国民健康保険を脱退することはできないので覚えておきましょう。
脱退に必要なもの
国民健康保険を脱退するために必要な持ち物は以下の通りです。
必要な持ち物 | |
---|---|
絶対に必要な物 | 国民健康保険の保健証 |
引っ越しなどで転出する場合 | 特になし |
就職・転職などで勤務先の健康保険に加入した場合 | 勤務先の保健証 |
国保組合に加入した場合 | 国保組合保険証 |
生活保護を受けるようになった場合 | 保護開始決定通知書 |
加入者が亡くなられた場合 | 別途戸籍の手続きを行う |
後期高齢者医療制度に該当した場合 | 特になし |
いずれの場合も、保健証を返却しなければならないので、届け出をする際に国民健康保険の保健証を忘れずに持っていくようにしましょう。
なお、市区町村によっては郵送での受付も可能なので、詳細はお住まいの市区町村のホームページをご覧ください。
注意点
国民健康保険を脱退する際の手続きは以下の通りです。
国民健康保険を脱退する際の注意点
- 国民健康保険の保健証は必ず返却しなければならない
- 脱退する理由として認められる理由でなければ国民健康保険の脱退はできない
- 就職・転職をする際は勤務先で保健証が交付されてから手続きを行う
国民健康保険を脱退する場合は、それまで使っていた保健証を返却しなければなりません。
そのため、窓口にて届け出を行う際に必ず保健証を持っていくようにしてください。
なお、脱退する際は「脱退する理由として認められる理由」でなければ国民健康保険を脱退することはできません。
また、就職・転職をする際は勤務先で保健証が交付されてから国民健康保険の脱退手続きを行うようにしましょう。
その理由は、脱退してから勤務先の保健証が交付されるまでに万が一のことがあった場合、医療費等を全額自己負担で支払わなければならないからです。
これらの注意点に気をつけて、脱退手続きを行うようにしてください。
国民健康保険に関するよくある質問 Q&A
最後に、国民健康保険で聞かれることが多い「よくある質問」にお答えして終わります。
Q. 国民健康保険には扶養がありませんか?子供が産まれた場合の手続きはどのようにすればよいですか?
A. 国民健康保険には扶養家族という考え方がありません。
そのため、転職などで勤務先の健康保険をやめた場合、扶養されていた方自身も国民健康保険の加入手続きを行う必要があります。
子供が生まれた場合は、戸籍の手続き(出生届)をするだけで手続きは終了です。
なお、子供が生まれた場合は加入中の健康保険組合から「出生育児一時金」が支給されます。
それ以外にも「児童手当」の給付なども得られるので、必ず申請するようにしましょう。
Q. 結婚・離婚した場合に必要な手続きはどうすればよいですか?
A. 国民健康保険は、結婚や離婚で氏名・住所が変更となった場合にも届け出が必要です。
また、結婚や離婚をするまでに会社の健康保険に加入していた場合、健康保険をやめるための手続きも必要となります。
その際、保健証や印鑑、本人確認書類(免許証など)が必要になるので、必ず持っていくようにしましょう。
Q. 国民健康保険料・税金が高くて払えない…減免・免除制度はありますか?
A. 国民健康保険料が高くて払えない場合は「軽減・減免の特別措置」を利用しましょう。
市区町村によって内容は異なりますが、基本的に「軽減・減免の特別措置」の内容としては以下が挙げられます。
特別措置名称 | 内容 |
---|---|
低所得世帯に対する軽減措置 | 世帯主および世帯内の国保加入者の合計所得が一定金額以下の場合、その所得に応じて軽減措置が受けられる場合がある。 正しく軽減判定を行うため、世帯主と世帯内の国保加入者全員の所得申告が必要となる。 |
特例対象被保険者等(非自発的失業者)に対する軽減措置 | 倒産・解雇などによる離職や、雇い止めなどによる離職をされた方で条件を満たす方は、保険料が軽減される措置がある。 この軽減措置を受けるためには申請が必要。 |
後期高齢者医療制度への移行に伴う軽減措置 | 75歳になり被用者保険から後期高齢者医療制度に移った方の被扶養者だった方が国保に加入した場合、加入時に65歳以上の方についてのみ、申請により保険料の軽減措置が行われる。 |
その他の保険料の減免制度 | 特別の事情(災害や貧困)によって保険料の支払いが難しくなった場合、減免制度等が受けられる。 |
これらの軽減・減免制度は、いずれもお住まいの市区町村窓口にて申請を行うことで適用されます。
内容や条件は市区町村によって異なるので、詳細はお住まいの市区町村窓口でご確認ください。

- 山中 伸枝
- (株)アセット・アドバンテージ代表取締役/FP相談ねっと 代表
まとめ
国民健康保険は、個人事業主やフリーランスなどの自営業者が加入する健康保険です。
日本では「国民皆保険制度」のもと、日本国民全員が何らかの公的医療保険に加入することになります。
国民健康保険の保険料は、以下の3つの分類それぞれで算出された金額の合計となります。
国民健康保険料の分類
また、それぞれの金額は「所得割・均等割・平等割」などの計算方法で算出された金額の合計額となります。
国民健康保険の計算における「所得割・均等割・平等割」とは
- 所得割:前年中の所得金額によって負担金額が変わり、一般的に高所得者ほど多くの保険料を収める必要がある
- 均等割:世帯あたりの国保加入者の人数によって均等に負担する。所得の多少に関わらず均等に負担しなければならない
- 平等割:国保に加入する全世帯が平等に負担する。高所得者でも低所得者でも同じ国保加入者なら同じ金額を負担
個人事業主やフリーランスの方は、前年の総所得金額によって納めることになる国民健康保険料が変わってきます。
確定申告を行うことで毎年6月頃に国民健康保険料の納付書が送られてくるので、そちらに記載の金額と期日に合わせて保険料を納めるようにしましょう。
なお、新たに国民健康保険に加入する場合、引っ越しや転職などで国民健康保険を脱退する場合のいずれにおいても、お住まいの市区町村にて届け出をする必要があります。
国民健康保険料の金額や、その他わからないことがあった場合は、お住まいの市区町村窓口までお問い合わせください。