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更新 更新:2024.12.24

社会保険の種類や仕組みを図解で解説!事業者・従業員ごとの加入条件と手続き方法を学ぼう

社会保険の種類や仕組みを図解で解説!事業者・従業員ごとの加入条件と手続き方法を学ぼう
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

社会保険とは

社会保険の種類

社会保険とは、病気や死亡、障害、高齢化などにより生じる事故に備えられる公的な保険制度のことです

本来の意味としては、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つの制度の総称を「社会保険」と呼びます。

一方、狭義では健康保険・厚生年金保険・介護保険の3種類を「社会保険」と呼ぶ場合もあり、雇用保険と労災保険は「労働保険」とも呼ばれています。

狭義の社会保険は、会社勤めの正社員や一部の条件を満たした非正規社員は加入の義務がある保険制度です

病気やケガ、加齢に伴う介護リスク、労働時における災害など、様々な事故に備えられる制度として加入者の誰もが利用することができます。

社会保険の概要を理解したところで、5つの保険制度の特徴についてみていきましょう。

健康保険

社会保険における健康保険とは、主に会社員や公務員が加入する公的医療保険のことです

会社員や公務員の方はもれなく健康保険に加入しているため、医療費の1〜3割を自己負担分として支払うだけで、日本国内のどこにいても高度な医療を受けられます

また、自営業者やフリーランス、専業主婦など、日本国民全員が加入する「国民健康保険」と比較すると、社会保険(健康保険)の加入者は条件を満たした場合に傷病手当金や出産手当金を受け取れるなどの違いもあります。

さらに、社会保険(健康保険)の保険料は勤務先の会社と折半して、毎月の給与から天引きされる形で支払っており、健康保険加入者の配偶者や三親等以内の親族を扶養として会社の健康保険に入れることも可能です。

健康保険と国民健康保険の違いについては、後述の「社会保険(健康保険)と国民健康保険の違い」で詳しく解説します。

厚生年金保険

日本では国民皆年金制度が採用されているため、20歳以上の日本国民はもれなく「国民年金」に加入しています。

それに対して厚生年金保険は、会社員や公務員が加入する公的年金制度です

会社員や公務員の方は国民年金に加えて厚生年金にも加入しているため、国民年金だけに加入している方と比べて、65歳以降から受け取れる年金額が多いことが特徴です。

保険料は標準報酬月額(毎月の給与)と標準賞与額(賞与)に共通の保険料率をかけて計算します。

健康保険と同様で、会社と折半して毎月の給与から天引きされる形で厚生年金保険料(国民年金保険料を含む)を支払っています。

なお、厚生年金加入者(第2号被保険者)の配偶者で、20歳以上60歳未満の方は「第3号被保険者」として国民年金に加入します

第3号被保険者の国民年金保険料は、扶養者(第2号被保険者)が加入する厚生年金が負担しているため、個別に国民年金保険料を納める必要がありません。

ただし、第3号被保険者には第2号被保険者の厚生年金分が上乗せされるわけではなく、将来的に受け取れる年金は国民年金(老齢基礎年金)のみとなるので覚えておきましょう。

介護保険

介護保険は、介護が必要と認定された場合、いつでもサービスを受けることができる保険です

大きく分けると国が運営する「公的介護保険」と民間企業が運営する「民間介護保険」の2種類に分けられ、40歳以上の方はもれなく公的介護保険への加入が義務付けられています。

公的介護保険では、市区町村から要介護認定を受けた65歳以上の方を対象に、様々な介護サービスの利用料を1〜3割の自己負担分で済むように保障しています。

また、40〜64歳の方は「老化が原因とされる16種類の特定疾病」が原因で要介護認定を受けた場合に、公的介護保険を利用できます。

老化が原因とされる16種類の特定疾病

  1. 末期がん
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

参照:特定疾病の選定基準の考え方|厚生労働省

介護保険料は65歳以上の方(第1号被保険者)と40歳以上64歳までの方(第2号被保険者)とで計算方法が異なり、65歳以上の場合は年金からの天引き、それ以外の方は健康保険料と一緒に支払うことになります。

会社員や公務員の方の年金保険料は勤務先と被保険者との折半となっており、加入している団体や組合によって計算方法が異なる点に気をつけましょう。

雇用保険

雇用保険(失業保険)は、労働者を雇用する会社に対して強制的に適用される保険制度のことで、大きく分けると次の2つの役割を担っています。

雇用保険(失業保険)の役割

  • 失業・休業時における労働者の金銭的補助(失業給付や育児・介護休業給付など)
  • 失業予防のための福祉増進(ハローワークなどの再就職支援や就労支援、職業訓練など)

従業員目線でみた場合の雇用保険の加入条件は、厚生労働省によって「31日以上引き続き雇用されることが見込まれる」「1週間の所定労働時間が20時間を超える」と定められています。

上記に該当する場合は、パートやアルバイトとして働いている方も雇用保険に加入することが義務付けられています。

一方、雇用契約が上記の定義に該当しない場合(普段は週2〜3日程度勤務など)、シフトの都合で一時的に週20時間以上の労働を行った場合でも、雇用保険の加入対象には含まれません。

雇用保険料は健康保険などと同様で、給与からの天引きで支払われるのが一般的です。

ただし、雇用保険料については「雇用を守る責任が事業主にある」という見方が強いため、事業主のほうが保険料負担は大きくなるように乗率が定められています。

労災保険

労災保険は、会社に雇用される正社員はもちろんのこと、パートやアルバイトなどすべての従業員を対象とした保険制度です

勤務中や通勤途中に負ったケガや病気、死亡・高度障害状態となった場合に給付金が支払われます。

労災保険の保険給付対象

労災保険の保険給付対象

  • 業務災害:労働中に発生したケガや疾病、後遺障害の発生または死亡した場合に保険金が給付される
  • 通勤災害:通勤途中に発生したケガや病気、死亡などに対して保険金が給付される
  • 精神疾患:パワハラやセクハラなど、認定基準の対象となる精神疾患を発病した場合に給付が受けられる

労災保険への加入は事業主の義務とされており、労働者を一人でも雇用する企業は必ず加入手続きを行う必要があります

また、労災保険料については事業主の全額負担となるため、従業員が保険料を負担することはありません。

社会保険(健康保険)と国民健康保険の違い

ここでは、混同されがちな「社会保険(健康保険)」と「国民健康保険」の違いについて解説します。

どちらも健康保険証を提示することで医療費が1〜3割の自己負担で済む点は共通していますが、対象者や保険料の負担割合、手当金の有無などに違いがあります。

社会保険(健康保険)と国民健康保険の違い

日本では国民皆保険制度が採用されているため、すべての日本国民は国民健康保険に加入しています

国民健康保険の保険料は、お住いの都道府県によって前年所得をもとに計算され、全額を自己負担で納めなければなりません。

一方、会社員や公務員、第2号被保険者に扶養されている家族については、国民健康保険から切り替える形で社会保険(健康保険)に加入することになります。

保険料は給与額に応じて勤務先が計算を行い、実際の保険料は勤務先との折半で給与から天引きされる形で納められます。

また、会社員や公務員など社会保険加入者と生計を一にする家族がいる場合、社会保険が扶養家族分の社会保険料を一括して負担するため、子供が生まれて家族が増えた場合でも保険料の金額が増えることはありません

さらに、社会保険(健康保険)に加入していると、病気やケガで働けなくなった場合に「傷病手当金」が受け取れたり、出産時に「出産手当金」が受け取れたり、国民健康保険よりも保障内容が充実しています。

なお、加入する公的保険制度は自分で選べないので、会社員や公務員は自動的に社会保険(健康保険)、それ以外の方は必ず国民健康保険へ加入することとなります。

社会保険の加入条件

社会保険は企業と従業員それぞれが負担する保険料をもとにして運営されているため、事業所・従業員のそれぞれで社会保険への加入条件が定められています。

ここでは、事業所と従業員の2パターンに分けて、社会保険の加入条件を解説します。

社会保険の加入条件

事業所の場合

社会保険(健康保険・厚生年金保険・介護保険)が適用される事業所には、大きく分けて2通りがあります。

社会保険が適用される事業所の種類

上記のどちらかの事業所に所属し、且つ加入要件を満たした場合に社会保険の被保険者となります。

なお、労働保険(雇用保険・労災保険)については、従業員を雇用するすべての事業者(一部を除く)に対して加入が義務付けられています

従業員を雇用するすべての事業者は、所轄の労働基準監督署で所定の届出書を提出する必要があるため、事前に確認しておきましょう。

強制適用事業所

強制適用事業所に該当する事業所は、次のとおりです。

強制適用事業所に該当する事業所

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 5人以上の従業員を雇用する個人事業主

上記に該当する場合は、事業主や従業員の意思に関わらず、必ず社会保険に加入しなければなりません

なお、農林水産業や一部のサービス業においては強制適用事業所に該当しない場合があるので、所轄の年金事務所で確認しておきましょう。

任意適用事業所

任意適用事業所とは、強制適用事業所に該当しない事業所において、社員の半数以上からの同意を得た上で申請を行い、正式な認可を受けた適用事業所のことです

社会保険への加入は事業所単位となるため、適用事業所に雇用される従業員で加入要件を満たしている場合は、希望の有無に関わらず必ず社会保険に加入することになります。

従業員の場合

適用事業所に雇用される70歳未満の従業員は、原則として社会保険の被保険者となります

従業員の社会保険加入には次の条件が定められており、パートやアルバイトの方でも条件に該当する場合は社会保険の対象となります。

従業員の社会保険加入条件

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上(残業代・賞与等は含まない)
  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない
  • 勤務先が従業員数101人以上
    • 2024年10月からは従業員数51人以上の企業に拡大

参照:パート・アルバイトのみなさま|社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省

なお、条件に含まれる「週の所定労働時間が20時間以上」とは、雇用契約書や労働条件通知書に記載された所定労働時間のことを指します

パートやアルバイトとして働いており、シフトの関係や残業時間の都合で一時的に週20時間を超えた場合は、上記に該当しないので覚えておきましょう。

社会保険の手続き方法

ここでは、社会保険の手続き方法について解説します。

社会保険の手続き方法

事業所の場合

法人の設立や従業員を採用するなどで強制適用事業所に該当する場合、事業主が日本年金機構へ「新規適用届」を提出する必要があります

強制適用事業所の手続き方法

区分

内容

提出時期

事実発生から5日以内

提出先

郵送で事務センター(事業所の所在地を管轄する年金事務所)

※実務を行う事業所の所在地が登記住所と異なる場合は、実務を行う事業所の所在地を管轄する事務センターとなります

提出方法

電子申請、郵送、窓口持参

参照:新規適用の手続き|日本年金機構

また、従業員から被扶養者の追加や削除、氏名変更等の申請があった場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」や「国民年金第3号被保険者関係届」などの書類を提出する必要があります。

いずれも日本年金機構公式サイトで必要書類のフォーマットを入手できるので、記入例を参考にしながら書類を完成させてください。

一方、任意適用事業所に該当する場合は、半数以上の従業員から同意を得てから速やかに、事務センターまたは管轄の年金事務所で「任意適用同意書」や添付書類の提出が必要です。

こちらについても日本年金機構公式サイトでフォーマットのダウンロードが可能なので、記入例を参考にしながら提出書類を準備しましょう。

従業員の場合

適用事業所に所属する従業員は、事業主経由で「被保険者資格取得届」を提出する必要があります

従業員が配偶者や子供を扶養しており、被扶養者の要件を満たしている場合は、同じく事業主経由で「健康保険被扶養者(異動)届」の提出が必要です。

基本的には勤務先で書類を用意してくれるので、担当部署に確認してください。

なお、自営業やフリーランスなど、国民健康保険の加入者が社会保険に切り替える場合は、自身でお住まいの市区町村役場まで出向いて、国民健康保険の脱退手続きを行う必要があるので覚えておきましょう。

社会保険についてよくある質問 Q&A

ここでは、社会保険についてよく聞かれることが多い質問に回答します。

Q. 社会保険の扶養が外れる条件は何ですか?

A. 年間の給与所得が130万円以上の場合、社会保険への加入が義務付けられるため、扶養から外れることになります

扶養から外れた場合、自身で保険料を負担(給与から天引き)することになるので注意が必要です。

Q. 社会保険料はどのように計算しますか?

A. 社会保険料の計算方法は、都道府県によって異なる保険料率を使用します

保険料率については下記のWebサイトで公開されています。

保険料率について

※労災保険料は事業主が全額負担のため割愛

シミュレーションサイトを使うことで、自身の社会保険料を簡単に計算できるので活用してください。

Q. パートでも社会保険に加入する義務はありますか?

A. パートやアルバイトの方でも、下記の条件を満たす場合には社会保険への加入が必要です

従業員の社会保険加入条件

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上(残業代・賞与等は含まない)
  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない
  • 勤務先が従業員数101人以上
    • 2024年10月からは従業員数51人以上の企業に拡大

参照:パート・アルバイトのみなさま|社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省

「週の所定労働時間が20時間以上」という条件は、雇用契約書や労働条件通知書に記載された所定労働時間のことです。

シフトの都合や残業時間など、一時的に超過した場合は社会保険の加入条件に含まれないので気をつけましょう。

Q. 退職時の社会保険(健康保険)はどうなりますか?

A. 社会保険(健康保険)加入者が退職する場合、健康保険の被保険者資格を喪失します

別の会社に転職する場合は転職先で新たに健康保険の被保険者資格を取得することになります。

一方、健康保険の被保険者にならない場合は、お住まいの市区町村役場で国民健康保険の加入手続きが必要です。

なお、退職する従業員が希望する場合に限り、国民健康保険へ加入する代わりに、退職した企業の健康保険被保険者資格を最長2年まで継続可能な「健康保険の任意継続」を利用できます。

ただし、健康保険の任意継続をする場合の保険料負担は全額自己負担となるため、会社に所属していた頃に比べて保険料負担が大きくなる点には注意が必要です。

また、健康保険の任意継続で2年間をすぎると、国民健康保険への加入または家族の被扶養者になるなど、健康保険の給付を受けられるように手続きを行う必要があるので忘れずに覚えておきましょう。

まとめ

社会保険は、広義では健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つの保険制度の総称です。

狭義では健康保険・厚生年金保険・介護保険の3種類を社会保険と呼ぶ場合があり、残り2つの雇用保険と労災保険は労働保険と呼ばれています。

労働保険は従業員を雇用するすべての事業主に加入義務があり、一方の社会保険は法人(株式会社や合同会社など)・5人以上の従業員を雇用する個人事業主は強制加入です。

これらの保険制度は事業者単位での加入となるため、会社員や公務員の方はほぼ全員が社会保険の被保険者となります。

また、パートやアルバイトの方も、所定労働時間が20時間を超える場合や所定内賃金が月額8.8万円を超える場合など、要件を満たす場合には社会保険の対象になることを覚えておきましょう。

中村 翔也
中村 翔也
Webライター/ファイナンシャルプランナー
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般
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