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更新 更新:2024.08.16

生命保険へは複数加入できる!メリット・デメリットについて解説

生命保険へは複数加入できる!メリット・デメリットについて解説
所有資格
博士(商学)
専門分野・得意分野
社会保障、福祉政策、企業福祉、保険
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

複数の生命保険に加入することで足りない保障範囲を補填しながら、より手厚い保障を備えることができます

その一方で、保険料が高額になったり保険金の請求手続きが増えるといった、いくつかのデメリットが存在します。

本記事では、一般世帯の平均的な保険加入件数をご紹介した上で、生命保険に複数加入するメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。

生命保険への複数加入は可能

生命保険の加入時は年齢や健康状態の告知義務が課せられますが、審査を通過できれば生命保険への加入数に上限はありません

複数の生命保険に加入することで、それぞれの会社から保険金や給付金を受け取ることができ、もしものときに備えてより手厚い保障を準備できます。

ただし、保険会社によっては加入時に上限額(通算制限)が設けられているため、保障が過剰な場合は申し込みできない場合があります

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、一世帯あたりの平均加入件数は3.9件です。

世帯主年齢別の世帯加入件数を見ると、29歳以下の平均加入件数が2.9件であるのに対し、30歳以降になると4件程度に増加することがわかります。

世帯主年齢別の世帯加入件数

参照:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査|生命保険文化センター

生命保険へ複数加入するメリット

生命保険に複数加入するメリットは、主に次の3つが挙げられます。

1. 自分の保障目的に合わせて商品を組み合わせることができる

生命保険に複数加入することで、各商品の特徴を活かした上で、自分が備えたいリスクに対する保障を用意できます

たとえば、医療保険の保障内容は保険会社や保険商品によって異なり、保険会社Aで保障対象に含まれていない疾病も、保険会社Bの医療保険では保障対象に含まれるケースなどがあります。

複数の生命保険を検討することで、自分の好みに合わせて保障をカスタマイズできるので、万が一の場合の経済的リスクに対して十分な保障を備えられることが大きなメリットです

2. 生命保険料控除で税負担を軽減できる

複数の生命保険に加入することで、生命保険料控除の枠を最大限に活かすことができます。

生命保険料控除とは、年間払込保険料が一定額以上の場合に利用できる所得控除のことです

新制度の生命保険料控除の計算式・上限額

参照:No.1140 生命保険料控除|国税庁

一般生命保険料控除としては、支払った金額に応じて最大4万円の所得控除を申告できます

複数の保険に加入することで様々な保障範囲を備えつつ、その分の保険料について生命保険料控除を申告することで、その年の納税額を軽減する効果が期待できます。

生命保険料控除は、自営業やフリーランスの方であれば確定申告(毎年3月15日〆)、会社員の方であれば年末調整(毎年12月頃)で申告ができます。

下記の記事で生命保険料控除の書き方について詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

3. 受け取れる保険金や給付金の金額が増える

複数の生命保険に加入することで、複数の保険会社からより手厚い保障を受け取れます

保険会社によって保険金の支払事由は異なりますが、共通している部分も少なくありません。

火災保険や自動車保険などの損害保険は実損填補(じっそんてんぽ)という考え方のもと、実損額以上の保険金を請求できませんが、生命保険の場合は一度に複数の保険会社から保険金を受け取れる場合もあります

また、支払事由が異なる複数の保険会社に加入していれば、より保障範囲がひろがるため経済的リスクの回避につながるでしょう。

過剰な給付金・保険金は受け取れない場合がある

生命保険会社は一般社団法人生命保険協会の制度を利用して、他社の保険契約の照会を行っています。

一般社団法人生命保険協会の制度

  • 契約内容登録制度・契約内容照会制度
  • 医療保障保険契約内容登録制度
  • 支払査定時照会制度

参照:個人情報の取扱いについて|一般社団法人生命保険協会

生命保険は契約者同士の相互扶助の精神で成立しており、保険料負担の公平性を保つために様々な制約が設けられています

生命保険が健全に活用され、給付金や保険金の支払いが正しく確実に行われるよう、生命保険株式会社は一般社団法人生命保険協会の制度を利用して、複数保険の加入者に対して過剰に保険金が支払われることがないように確認を行っています

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生命保険へ複数加入するデメリット

様々なメリットがある一方で、複数の保険に加入することで次のようなデメリットもあります。

1. 保険料負担が高くなる

複数の生命保険に加入することで、その分に応じて毎月の保険料負担が高くなります

保険料を支払うことで安心を買っている状態ともいえますが、事故や病気などが起こらないに越したことはありません。

保障を意識するあまり、現在の生活に支障が出てしまっては元も子もないので、家計収支とのバランスを考慮した上で検討する必要があります

2. 給付金や保険金の請求手続きが増える

生命保険に複数加入することでより手厚い保障を備えられますが、給付金や保険金の請求手続きは各社それぞれで行う必要があります

必要な書類も各社で用意しなければならないので、請求手続きが煩雑になる点はデメリットといえます。

近年では、各種証明書のコピーが利用できたり、オンラインでの請求手続きが可能になったりなど、保険金の請求手続きは簡略化されています。

とはいえ、各社それぞれで請求手続きを行うことに代わりはないため、事前に保険金の請求方法や必要な書類について確認を取っておく必要があります

3. 保障内容が重複したり、保障をかけすぎていたりする場合がある

生命保険に複数加入することで、保障内容が重複したり、保障をかけすぎたりする場合があるなどの問題も起こりやすくなります

上述の通り、複数の保険に加入していても、保険会社から支給される保険金には上限が設けられています。

保障内容が過剰で、仮に受け取れない分の保険金があったとしても、保険料が安くなるわけではありません。

まずは1つの生命保険に加入し、その保険では保障されない範囲をカバーできる別の保険に加入することで、保障内容の重複を回避できます

まとめ

監修者からひとこと
石田 成則
  • 石田 成則
  • 関西大学教授
生命保険と損害保険を比較すると、前者は定額給付で後者は実損給付という特徴があります。損害保険では複数の保険契約に加入していると過重な補償を疑われ、一事故に対して保険金が制限されることがあります。一方で生命保険についてはそこまで厳格ではなく、用途を使い分けることは考えられます。医療保険や単品のがん保険では、高度先進医療を受けたときの特約がありますが、微妙に支払い条件が異なることがあるので上手く組み合わせることが肝要です。世帯単位でみても、女性特有の病気を保障するためには、夫婦で別々の医療保険に加入することも考えられます。

また、生命保険に保障性だけでなく、貯蓄性や利殖性が付随することから、低額の定期保険と変額保険や外貨建て保険を組み合わせることもありえます。保険金不払い問題を契機に特約が制限され、特約で買い増すことが出来ないケースが多いので、複数保険に加入することも保障の充実にとってひとつの選択肢になります。ただし複数の保険料を支払うことになり、特に手数料部分である付加保険料を重複して支払っています。そこで家計にとって過重な負担にならないことと、アカウント型保険のようにひとつの契約で買い増しして保障を充実させることで、付加保険料を節約することも考慮に値します。

生命保険文化センターの調査によれば、保険加入の平均件数は3.9件で、多くの世帯が生命保険の複数加入をしていることがわかります。

生命保険の複数加入によるメリットとデメリットは、次の通りです。

生命保険の複数加入には確かなメリットがある一方で、保険料負担が増えたり、保障が重複したりなどのデメリットもあります。

これらのメリット・デメリットを踏まえた上で、なるべく保障範囲が被らないように意識しながら複数の生命保険への加入を検討してみてください。

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石田 成則
石田 成則
関西大学教授
1991年慶応義塾大学大学院商学研究科博士課程修了後、1991年~2015年まで山口大学経済学部の助教授と教授を経て、2015年から関西大学政策創造学部教授。2009年3月に早稲田大学にて商学博士を取得。所属学会は、日本保険学会(理事長)、生活経済学会(理事)、日本年金学会、日本労務学会、日本ディスクロージャー研究学会など。
所有資格
博士(商学)
専門分野・得意分野
社会保障、福祉政策、企業福祉、保険
中村 翔也
中村 翔也
Webライター/ファイナンシャルプランナー
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般
ナビナビ保険編集部
ナビナビ保険編集部
ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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