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更新 更新:2022.06.01

認知症保険は必要ない?保障内容や給付条件、加入する際の注意点を解説

認知症保険は必要ない?保障内容や給付条件、加入する際の注意点を解説
監修者

清水 克俊

名古屋大学教授
所有資格
博士(経営学)
専門分野・得意分野
金融経済学、金融政策、コーポレートファイナンス
監修者

藤田 匡紀

ファイナンシャルプランナー(CFP)
所有資格
CFP資格、証券外務員Ⅱ種
専門分野・得意分野
生命保険全般、資産運用
執筆者

中村 翔也

ファイナンシャルプランナー
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

認知症保険とは?

認知症保険とは、被保険者の方が認知症と診断された際に保険金や給付金を受けることの出来る保険です。

最近、人生100年時代という言葉をよく耳にしますが、私たちは年齢が上がるとともに日常生活におけるさまざまなリスクを想定する必要があります。
それらのリスクのうち非常に大きなものとして認知症が挙げられ、認知症で判断力が低下すると以下のような懸念が生まれます。

  • 要介護度が高い状態となり家族に重い介護の負担が生じる
  • 第三者に予期せぬ損害を与えてしまい賠償トラブルになる

このような時代背景を受け、ここ数年の間に複数の保険会社から認知症のリスクに備えることに特化した「認知症保険」が発売されるようになりました

「認知症保険」に保障内容がよく似たものとして、要介護状態になった場合に備える「介護保険」というものが保険会社から発売されています。

認知症で要介護状態になった場合にも「介護保険」が保障の対象にはなります。

しかし、認知症の方の介護とそうではない方の介護を比較すると、認知症の方の介護には非常に多くの費用がかかるため、より認知症に特化した保障内容の「認知症保険」に興味を寄せられるようになりました。

清水 克俊
ナビナビ保険監修
名古屋大学教授
清水 克俊

人生100年時代とも言われますが、65歳以上の方のうち18%、75才以上の方のうち32%が要介護(要支援)になっています。要介護になる原因としては、脳血管疾患、心疾患、関節疾患、骨折・転倒、認知症などがあります。そのうち、認知症の割合は18%とも言われています。認知症になり、要介護認定されると公的介護保険サービスを受給できますが、介護サービスの利用料や居住費・食費は自己負担になります。認知症と診断されたときや要介護になったときに給付される認知症保険への加入は、家族への安心を保障することになるでしょう。

認知症保険が登場した理由

認知症保険が登場した理由には、大きく分けて以下の2つが挙げられます。

昨今の日本における高齢化社会の進行

認知症を発症する最大の原因は「加齢」といわれており、高齢化が進む昨今の日本では認知症有病率も右肩上がりで増加しています。

内閣府の公表する統計結果によると、2012年(平成24年)時点での認知症高齢者数は462万人で、

  • 2025年(令和7年)では約700万人以上
  • 2040年(令和22年)では約950万人を超える

と推計されています。

認知症患者数の将来予測(厚生労働省)
出典:内閣府「高齢化の状況」

高齢者が増えるにつれて認知症にかかる方も多くなるため、もしもの時の備えとして需要が高まっているのが認知症保険なのです。

平均寿命の延伸化に伴う介護費用の負担増

上記に加え、平均寿命の延伸化も進んでおり、それに伴って介護費用の負担が増えるという“長生きのリスク”も問題視されています。

厚生労働省の調査によると、認知症の人の医療費や介護費は以下の通りとなっています。

認知症の人の医療費と介護費

  • 医療費
    • 一人あたりの入院医療費:344,300円/月
    • 一人あたりの外来医療費:39,600円/月
  • 介護費
    • 介護サービス利用者の1人あたりの在宅介護費:約219万円/年
    • 介護サービス利用者の1人あたりの施設介護費:約353万円/年

参照:わが国における認知症の経済的影響に関する研究(平成26年度)|厚生労働科学研究成果データベース

もちろん、日本では国民皆保険制度のもと、誰もが公的医療保険や公的介護保険を利用できます。
したがって上記の金額をすべて自己負担で賄うわけではありませんが、それでも金銭的な負担は大きいといえるでしょう。

さらに、寿命の伸長に伴いこれらの費用は倍増していくこととなり、本人や介護者の金銭的負担はかなり大きなものになります

認知症保険は、上記のような負担を緩和するために登場した必要性の高い保険商品だといえます。

認知症保険と介護保険の違い

認知症による要介護の状態になった場合、公的・民間それぞれの介護保険による保障を受けることも出来ます。
では、介護保険と認知症保険にはどのような違いがあるのでしょうか。以下のように比較してみました。

認知症保険と介護保険の違い
認知症保険 (公的)介護保険 (民間)介護保険
  • 保険会社により異なるが、要介護度の指定がない場合もある
    医師による認知症診断により対象となることが一般的
  • 支給されるのは現金
  • 被保険者になるには以下のいずれかに該当する必要がある
    ①65歳以上で要介護認定または要支援認定を受けている
    ②40~64歳で「初老期の認知症」を含む特定の疾病を理由に介護が必要な状況になっている
  • 支給されるのは現金ではなく介護サービス現物
  • 保障対象の条件が要介護2や要介護3の状態となっている場合が多い
  • 支給されるのは現金

認知症保険の選び方

認知症保険は、保険会社によって保障内容や給付金の受け取り条件が大きく異なります

そのため、これから認知症保険を選ぶときは以下の4つのポイントに着目して比較するのが良いでしょう。

それぞれのポイントについて詳細を解説していきます。

1. 加入条件

認知症保険には、大きく分けて2通りの加入条件が設けられています。

認知症保険の加入条件

  • 標準体タイプ:健康な人向け
  • 引受基準緩和タイプ:過去に入院歴がある人や持病がある人向け

一般的な保険商品は、契約時に現時点の健康状態や過去の病歴・入院歴を保険会社に告知しなければなりません(告知義務)。

保険会社は告知された情報をもとにして査定を行い、契約者の保険への加入可否を決定しますが、入院歴や持病がある人はそうでない人に比べて査定が厳しくなります

これは健康に不安がある方ほど積極的に保険に加入する傾向にあり、保険金支払事由に該当するリスクが高い契約者が増えると、契約者間の公平性が保たれなくなるためです。

そのため、過去に入院歴がある人や持病があって「標準体タイプ」への加入が難しい場合には、少し保険料が高い「引受基準緩和タイプ」の商品を選択することになります。

ただし、過去に入院や通院歴がある方でも現時点の健康状態が良好であると判断されれば標準体タイプに加入できることもあるので、認知症保険への加入を検討する場合には保険相談を専門とするファイナンシャルプランナーに相談すれば、可能な選択肢について確認することができます

2. 保険金給付条件

認知症保険の給付条件は、保険会社・商品により様々ですが、下記のような条件に該当する場合に給付の対象となる商品が多くなっています。

認知症保険の保険金給付条件
条件(例) 内容
器質性認知症と診断確定 脳の変化によって引き起こされる認知症を「器質性」とよび、具体的には「アルツハイマー型」「脳血管性認知症」などが該当します。
要介護度1以上の認定を受けているかどうか 公的介護保険制度によって定められている等級のことで、要支援1〜2要介護1〜5の7段階に分けられています。
保険会社によって異なりますが、一般的には要介護1以上の認定を受けていることが保険金の支給条件に含まれていることが多いです。
日常生活自立度判定がⅢ〜Mのいずれかに該当するかどうか 日常生活自立度判定とは別名“寝たきり度”とも呼ばれ、認知症のある高齢者が自立した日常生活を送れるかどうかを判断するための指標のことです。
Ⅰ、Ⅱa、Ⅱb、Ⅲa、Ⅲb、Ⅳ、Mの7段階に分けられており、Mに近付くほど症状が重くなります。

認知症と診断されれば必ず保険金が受け取れるという訳ではなく、上記のような支給条件を満たしていなければなりません。

また、認知症保険は比較的新しくできたばかりの制度であるため、各保険会社によっても支給条件にばらつきがあります。

そのため、認知症保険を選ぶ際には保険金がどのような状態のときに支給されるかをしっかりと確認してから選ぶようにしてください。

清水 克俊
ナビナビ保険監修
名古屋大学教授
清水 克俊

各社から「認知症保険」が提供されていますが、一般の医療保険や介護保険でも「認知症一時金特約」、「認知症保障特約」、「介護年金特約」等を付けることができるものがあります。すでに上記の保険に加入されている場合、特約が付いているか否かを確認し、付いていない場合は特約を付加することも検討してみてください。
また、認知症保険金のほかに、軽度認知障害保証特約を付加できる場合もあります(軽度認知障害は正常な状態と認知症の中間の状態)。軽度認知障害は認知症になる前の段階ですが、そのうちの一部が認知症に進行すると言われています。

3. 保険金の受け取り方

認知症保険で受け取れる保険金は、以下の2つに分けられます。

  • 一括で受け取れる「一時金タイプ
  • 終身として複数年に渡って受け取れる「年金タイプ

一括でまとまった金額を受け取って治療費や入院費、介護をするための初期費用に充てたい場合は「一時金タイプ」、継続的に介護サービスの費用を補填したい場合には「年金タイプ」を選ぶのが良いでしょう。

なお、どちらのタイプを選んでも一定期間は保険金を受け取れない「不担保期間」が設けられているケースが多いのでご注意ください

4. 認知症以外に対する保障

認知症保険には、認知症にかかった場合だけでなく、その他のリスクに対する保障が付帯したものもあります。
また、医療保険や死亡保険に特約として認知症への保障を付帯させるという方法もあります。

認知症にかかると、骨折や怪我をする頻度が高くなり、入院や手術が必要となる機会が多くなる可能性があるため、そういった際の費用負担にも備えておくと安心です。

認知症保険を選ぶ際は、ぜひ他の保障とのバランスにも注目してみてください。

認知症保険に加入する際の注意点

認知症保険の選び方を学んだところで、加入する際の注意点についても合わせて確認しておきましょう。

認知症保険に加入する際の注意点は以下の通りです。

認知症保険を選ぶ前に、必ずこれらの注意点にも目を通しておくようにしましょう。

保険に加入したことを必ず家族に知らせる

認知症保険に加入する場合、加入したことを必ず家族に知らせるように徹底してください。

認知症になってしまうと認知症保険に加入したこと自体を忘れてしまう可能性があるためです。

認知症保険に加入していることを知らなければ保険金の請求手続きができなくなってしまうので、せっかく保険に加入した意味がなくなってしまいます。
そのため、認知症保険に加入する際は必ずその事実を家族に知らせるようにしましょう。

また、もしご本人が保険金の請求を忘れてしまっても受取を行えるように、ご家族を「指定代理請求人」に設定しておくことをおすすめします。

基本的に指定代理請求人として設定できるのは、被保険者の配偶者か3等身以内の親族となります。
指定代理請求人に設定した相手には、契約概要をしっかり伝えておきましょう。

不担保期間が存在する

認知症保険には不担保期間が設けられているケースがあります。(180日、1年あるいは2年の不担保期間を設定している会社が多い。)

不担保期間内に認知症と診断された場合、その認知症に対しては保障が受けられず、保険金を受け取ることができません

保険商品によっては認知症保険の責任開始日(料金支払確認後など)から数えて不担保期間が設けられている場合があるので、認知症保険に加入する際は不担保期間について担当者に確認をとっておくようにしましょう。

また、不担保期間以外にも認知症と診断された状態が90日〜180日間継続しなければ保険金が支払われないケースも多いので、保険金の支給条件や保障期間には要注意です。

全ての認知症で給付を受けられるわけではない

認知症保険は様々ある保険商品の中でも歴史が浅い商品で、「認知症保険」という同じ名称の保険商品であっても保険会社によって保障の対象が異なります。

そのため、認知症と診断されたからといって必ず保険金の給付が受けられるようになるわけではないという点に注意しなければなりません。

認知症保険の給付対象になるケースは「2. 保険金給付条件」で詳細をまとめているので、まだ確認していない人はぜひ目を通しておくようにしましょう。

解約返戻金がない

認知症保険は、そのほとんどが掛け捨て型の保険商品となっています。

そのため、保険料の払込期間の満期を迎える前に途中解約してしまうと、それ以降は認知症保険による保障が受けられず、それまでに払い込んだ保険料が返ってくることもありません

認知症保険を選ぶ際には必ず保険料の払込期間を確認しておき、万が一にも保険料が支払えなくなるような事態を避けるように注意する必要があります。

ここまでにご紹介した注意点に気を配りながら、数ある認知症保険の中から自分が備えておきたいリスクに最適な保障が受けられるものを選ぶようにしましょう。

まとめ

認知症保険は、医師から認知症と診断確定された場合に保障の対象となる保険商品です。

認知症保険は「認知症患者本人や介護者の経済的負担を緩和することを目的に加入する保険」なので、認知症になったときにどのようなリスクに備えておきたいかで加入すべき認知症保険は変わってきます。

各保険会社によって給付金の支給条件が大きく異なる点も特徴的なので、認知症保険に加入する際は備えたいリスクを念頭に置いた上で、最適な保障が受けられるものを選ぶように心がけるようにしてください。

清水 克俊

清水 克俊

東京大学経済学部経済学科卒業後、同大学院経済学研究科に進学。同大学院経済学研究科第二種博士課程満期単位取得退学後、同研究科より博士(経済学)を取得。東京大学社会科学研究所助手、青山学院大学経済学部専任講師、同助教授、名古屋大学大学院経済学研究科准教授を経て、現在は同研究科教授。専門分野は金融経済学であり、特に銀行やコーポレートファイナンス、金融政策の分野を研究している。
所有資格
博士(経営学)
専門分野・得意分野
金融経済学、金融政策、コーポレートファイナンス
藤田 匡紀

藤田 匡紀

新卒で日本生命保険相互会社に入社し、販売企画・代理店営業など多様な業務に従事。13年間勤務した後「もっと多くの人に、保険の必要性を正しく理解してもらいたい」という思いを胸にエイチームフィナジーに入社、ナビナビ保険の運営に参画。金融機関における顧客向け相続セミナー・研修会の実績も多数あり。
所有資格
CFP資格、証券外務員Ⅱ種
専門分野・得意分野
生命保険全般、資産運用
中村 翔也

中村 翔也

携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般
ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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