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更新 更新:2024.02.02

認知症保険は必要ない?保障内容や給付条件、加入する際の注意点を解説

認知症保険は必要ない?保障内容や給付条件、加入する際の注意点を解説
所有資格
博士(経営学)
専門分野・得意分野
金融経済学、金融政策、コーポレートファイナンス
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

認知症保険とは?

認知症保険とは、被保険者(保険の対象となる人)が、保険会社の定める認知症やそれによる要介護状態となった際に保険金や給付金を受けれる保険です。

厚生労働省の調査によると、要支援または要介護と認定された方のうち、介護が必要となった主な原因が認知症である方の割合は16.6%です。
※出典:2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

人生100年時代ともいわれる昨今では、認知症の備えに対する重要性が高まっています。

そこで、認知症に備えることに特化した「認知症保険」を取り扱う保険会社が増えてきました。

「認知症保険」に保障内容が似た商品には、所定の介護が必要な状態になったときに備えることができる「民間介護保険」があります。

民間介護保険は、介護が必要になったときに幅広く備えられるのに対し、認知症保険は認知症になったときの備えに特化した保険商品です。

また、保険会社によっては、基本的に民間介護保険の保障対象にはならない軽度認知障害(MCI)と認定されたときも、保障の対象となる商品を取り扱っています

認知症保険が登場した理由

認知症保険が登場した理由には、大きく分けて以下の2つが挙げられます。

昨今の日本における高齢化社会の進行

高齢化が進む昨今の日本では、認知症と診断される人が増加傾向にあります。

内閣府の公表する統計結果によると、2012年(平成24年)時点での認知症高齢者数は462万人でした。

しかし、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年や、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年には、認知症と診断される方は以下のようになると推計されています。

  • 2025年(令和7年)では約700万人以上
  • 2040年(令和22年)では約950万人を超える

また、2015年から2040年は、認知症患者数が以下の通りに推移されると予測されています。

認知症患者数の将来予測(厚生労働省)出典:平成29年版高齢社会白書(概要版)第1章 高齢化の状況|内閣府

高齢者の人数が増えるにつれて認知症にかかる方も多くなると想定されるため、認知症保険の重要性は今後高まっていくと考えられます

平均寿命の延伸化に伴う介護費用の負担増

平均寿命の延伸化も進んでおり、それに伴って介護費用の負担が増えるという“長生きのリスク”も問題視されています。

厚生労働省の調査によると、認知症の方の医療費や介護費は以下の通りとなっています。

認知症の人の医療費と介護費

  • 医療費
    • 一人あたりの入院医療費:344,300円/月
    • 一人あたりの外来医療費:39,600円/月
  • 介護費
    • 介護サービス利用者の1人あたりの在宅介護費:約219万円/年
    • 介護サービス利用者の1人あたりの施設介護費:約353万円/年

参照:わが国における認知症の経済的影響に関する研究(平成26年度)|厚生労働科学研究成果データベース

もちろん、日本では国民皆保険制度のもと、誰もが公的医療保険や公的介護保険を利用できます。

したがって、上記の金額をすべて自己負担で賄うわけではありませんが、それでも金銭的な負担は大きいといえるでしょう。

さらに、寿命の伸長に伴いこれらの費用は倍増していくこととなり、本人や介護者の金銭的負担はかなり大きなものになります

認知症保険は、上記のような負担を緩和するために登場した必要性の高い保険商品だといえます。

監修者からひとこと
清水 克俊
  • 清水 克俊
  • 名古屋大学教授
人生100年時代とも言われますが、65歳以上の方のうち18%、75才以上の方のうち32%が要介護(要支援)になっています。要介護になる原因としては、脳血管疾患、心疾患、関節疾患、骨折・転倒、認知症などがあります。そのうち、認知症の割合は18%とも言われています。認知症になり、要介護認定されると公的介護保険サービスを受給できますが、介護サービスの利用料や居住費・食費は自己負担になります。認知症と診断されたときや要介護になったときに給付される認知症保険への加入は、家族への安心を保障することになるでしょう。

アルツハイマー病とは?

アルツハイマー病とは、脳が徐々に損傷し、思考や記憶に影響を与える進行性の病気です。

アルツハイマー病は認知症の一つで、認知症の中でも最も多い症例がアルツハイマー病です。

主に高齢者に見られ、原因は遺伝や環境および生活習慣、加齢などの複数の因子がが関係していると考えられています。

現在、完全な治療法はなく、症状の進行を遅らせる方法が一般的です。

認知症保険と介護保険の違いは?

認知症による要介護の状態になった場合、公的・民間それぞれの介護保険による保障を受けることも出来ます。

では、介護保険と認知症保険にはどのような違いがあるのでしょうか。以下のように比較してみました。

認知症保険と介護保険の違い
認知症保険 (公的)介護保険 (民間)介護保険
  • 保険会社により異なるが、要介護度の指定がない場合もある
    医師による認知症診断により対象となることが一般的
  • 支給されるのは現金
  • 支給されるのは現金ではなく介護サービス現物
  • 被保険者になるには以下のいずれかに該当する必要がある
  • ①65歳以上で要介護認定または要支援認定を受けている②40~64歳で「初老期の認知症」を含む特定の疾病を理由に介護が必要な状況になっている

  • 保障対象の条件が要介護2や要介護3の状態となっている場合が多い
  • 支給されるのは現金

公的介護保険制度とは?

公的介護保険とは、国が実施している公的保険制度です。

介護が必要な状態になったときに、訪問介護や訪問入浴などの介護サービスを、1〜3割の自己負担で利用できるという「現物給付」の制度です。
※一部現金を支給してもらえることもあります。

40歳になると加入が義務付けられており、65歳以上の人は「第1号被保険者」40歳〜64歳の人は「第2号被保険者」となります。

第1号被保険者は、原因を問わず要介護または要支援に認定されると、一定の自己負担で介護サービスを利用できます。

第2号被保険者の場合、一定の自己負担で介護サービスを利用できるのは、がん(末期)や関節リウマチなどの特定疾病が原因で要介護または要支援に認定されたときです。

民間介護保険とは?

民間介護保険は、生命保険会社が取り扱いをしている保険商品です。

被保険者が、保険会社の定める介護が必要な状態になったとき、保険金・給付金が支払われます。

公的介護保険が現物給付であるのに対し、民間介護保険は現金給付である点が主な違いです。

民間介護保険の保険金は、一括で支払われる商品と年金形式で支払われる商品があります。

商品によっては、一時金と年金の両方で受け取りが可能です。

保険金の支払要件は、基本的には公的介護保険の要介護認定が基準となっていますが、なかには保険会社独自の基準で決まるケースもあります。

認知症保険とは?

認知症保険は、保険会社が定める認知症に該当すると、給付金を受け取ることができます

公的介護保険のように現物給付ではなく、民間保険会社の認知症保険は現金給付である点が異なります。

そのため受け取った給付金は、介護サービスの自己負担分や介護用品の購入日、生活費などさまざまな支払いに充てることができます。

認知症保険の選び方

認知症保険は、保険会社によって保障内容や給付金の受け取り条件が異なります

そのため、これから認知症保険を選ぶときは以下の4つのポイントに着目して比較するのが良いでしょう。

それぞれのポイントについて詳細を解説していきます。

1. 加入条件

認知症保険には、大きく分けて2通りの加入条件が設けられています。

認知症保険の加入条件

  • 標準体タイプ:健康な人向け
  • 引受基準緩和タイプ:過去に入院歴がある人や持病がある人向け

認知症保険を含む生命保険には告知義務があり、契約時点の健康状態や過去の病歴・入院歴を保険会社に告知しなければなりません。

保険会社は告知された情報をもとにして診査をして、保険への加入可否を決定するので、入院歴や持病があると、加入を断られることがあります

そのため、認知症保険の多くは、健康状態が良好であり日常生活や社会生活を送ることができる「標準体」であることが加入条件となっています。

ただし、過去に入院や通院歴がある方でも現時点の健康状態が良好であると判断されれば標準体タイプに加入できることもあります。

認知症保険への加入を検討する場合には、保険相談を専門とするファイナンシャルプランナーに相談すれば、可能な選択肢について確認することができます。

2. 保険金給付条件

認知症保険の給付条件は、保険会社・商品により様々ですが、下記のような条件に該当する場合に給付の対象となる商品が多くなっています。

認知症保険の保険金給付条件
条件(例) 内容
器質性認知症と診断確定 脳の変化によって引き起こされる認知症を「器質性」とよび、具体的には「アルツハイマー型」「脳血管性認知症」などが該当します。
要介護度1以上の認定を受けているかどうか 公的介護保険制度によって定められている等級のことで、要支援1〜2要介護1〜5の7段階に分けられています。
保険会社によって異なりますが、一般的には要介護1以上の認定を受けていることが保険金の支給条件に含まれていることが多いです。
日常生活自立度判定がⅢ〜Mのいずれかに該当するかどうか 日常生活自立度判定とは別名“寝たきり度”とも呼ばれ、認知症のある高齢者が自立した日常生活を送れるかどうかを判断するための指標のことです。
Ⅰ、Ⅱa、Ⅱb、Ⅲa、Ⅲb、Ⅳ、Mの7段階に分けられており、Mに近付くほど症状が重くなります。

認知症と診断されたら必ず保険金が受け取れるわけではなく、保険会社が定める上記のような給付条件を満たす必要があります

また、認知症保険は保険会社ごとに給付条件が異なっています。

そのため認知症保険を選ぶ際には、どのような状態のときに保険金が支給されるかを入念に確認することが大切です。

監修者からひとこと
清水 克俊
  • 清水 克俊
  • 名古屋大学教授
各社から「認知症保険」が提供されていますが、一般の医療保険や介護保険でも「認知症一時金特約」、「認知症保障特約」、「介護年金特約」等を付けることができるものがあります。すでに上記の保険に加入されている場合、特約が付いているか否かを確認し、付いていない場合は特約を付加することも検討してみてください。
また、認知症保険金のほかに、軽度認知障害保証特約を付加できる場合もあります(軽度認知障害は正常な状態と認知症の中間の状態)。軽度認知障害は認知症になる前の段階ですが、そのうちの一部が認知症に進行すると言われています。

3. 保険金の受け取り方

認知症保険で受け取れる保険金は、以下の2つに分けられます。

  • 一括で受け取れる「一時金タイプ
  • 終身として複数年に渡って受け取れる「年金タイプ

一括でまとまった金額を受け取って治療費や入院費、介護をするための初期費用に充てたい場合は「一時金タイプ」を選ぶと良いでしょう。

定期的に給付金を受け取って、介護サービスを利用するための費用や生活費などの支払いに充てたい場合には「年金タイプ」を選びましょう。

なお、どちらのタイプを選んでも一定期間は保険金を受け取れない「不担保期間」が設けられていることがあるため、検討する時にはよく確認しましょう。

4. 認知症以外に対する保障

認知症保険には、認知症にかかった場合だけでなく、その他のリスクに対する保障が付帯したものもあります。

また、商品によっては、医療保険や死亡保険に特約として認知症の保障を付帯することが可能です。

認知症にかかると、骨折をはじめとしたケガをする頻度が高くなり、入院や手術が必要になるケースが多くなると考えられます。

認知症による介護だけでなく、ケガによる入院や手術に備えたい場合は、医療保険に認知症を保障する特約を付けるのも1つの方法です。

認知症保険を選ぶ際は、ぜひ他の保障とのバランスにも注目してみてください。

認知症保険に加入する際の注意点

認知症保険は、以下の注意点も踏まえて検討すると良いでしょう。

認知症保険を選ぶ前に、必ずこれらの注意点にも目を通しておくようにしましょう。

保険に加入したことを必ず家族に知らせる

認知症保険に加入する場合は、家族に契約内容を知らせておきましょう

認知症になってしまうと、認知症保険に加入したこと自体を忘れてしまう可能性があります。

認知症保険に加入していることを本人以外の家族の誰も知らなければ、保険金の請求手続きができなくなり、せっかく支払った保険料が無駄になってしまいます

そのため、認知症保険に加入する際は、契約内容や契約書類の保管場所、保険金の請求方法などを家族に知らせるようにしましょう。

また、もしご本人が保険金の請求を忘れてしまっても受け取りを行えるように、ご家族を「指定代理請求人」に設定しておくことをおすすめします。

基本的に指定代理請求人として設定できるのは、被保険者の配偶者か3等身以内の親族となります。

不担保期間が存在する

認知症保険には不担保期間が設けられているケースがあります。

不担保期間は保険会社によって異なりますが、180日や1年、あるいは2年と設定されているのが一般的です。

不担保期間内に認知症と診断された場合、保障対象外となり、保険金を受け取ることができません。

保険商品によっては、認知症保険の責任開始日(料金支払確認後など)から数えて不担保期間が設けられている場合があります。

認知症保険に加入する際は、不担保期間について担当者に確認を取っておきましょう

また、不担保期間以外にも認知症と診断された状態が90日〜180日間継続しなければ保険金が支払われないケースもあるため、保険金の支給条件や保障期間には要注意です。

全ての認知症で給付を受けられるわけではない

認知症保険は、同じ名称の保険商品であっても、保険会社によって保障の対象が異なります。

例えば、認知症と診断されただけで給付金を受け取れる保険会社もあれば、診断と合わせて要介護認定を受けたときに、給付金を受け取れる保険会社もあります。

そのため、認知症と診断されたからといって、必ず保険金の給付が受け取れるというわけではありません

認知症保険の給付対象になるケースは「2. 保険金給付条件」で詳細をまとめているので、まだ確認していない人はぜひ目を通しておくようにしましょう。

解約返戻金がない

認知症保険のほとんどは、掛け捨て型です。

そのため、保険料の払込期間の満期を迎える前に途中解約した場合、基本的に解約返戻金を受け取れず、あったとしてもごく僅かです

認知症保険に加入する際は、保険料の払込期間を確認したうえで、最後まで保険料を支払えるのかをよく検討しましょう。

認知症の保険に関してよくある質問 Q&A

Q. 認知症保険はいつから入ればいいですか?

A. 認知症保険は、認知症のリスクを意識し出したらなるべく早くに加入するのがおすすめです

また、認知症保険を含め民間保険会社が販売している保険の多くは、年齢が若いうちに加入するほど月々の保険料が安くなるため、年齢が若い時から加入検討を行うことをおすすめします。

詳しくは、認知症保険の選び方の章をご覧ください。

Q. 認知症保険が必要な人の特徴は?

A. 認知症保険が必要な方の特徴とは、公的介護保険や民間の介護保険の保障だけでは不十分で、保険給付金を受け取り、より手厚い保障を受けたいという人です

詳しくは、認知症保険と介護保険の違いの章をご覧ください。

Q. 70歳以上でも入れる認知症保険はありますか?

A. 認知症保険は、70歳や80歳以上の高齢者でも申込することはできます

ただし、保険商品の中には契約上限年齢が75歳、79歳などの規定もあるので、年齢を重ねることによって選べる保険の数が減ってしまいます。

認知症保険の選び方を参考にしてみてください。

Q. 認知症はどんな公的保険の対象になりますか?

A. 認知症を発症して国が定める要介護状態になった場合は、公的介護保険の適用対象となります

介護保険は40歳以上の方に加入が義務付けられている保険です。

そのほかにも、高額療養費制度や高額介護サービス費など、医療機関を通して得られる支援制度が数多く存在します。

まとめ

認知症保険は、医師から認知症と診断確定され、保険会社が定める給付条件に該当すると、給付金を受け取れる保険商品です。

認知症保険に加入することで、認知症患者本人や介護する家族などの経済的負担を緩和することができます。

各保険会社によって給付金の支給条件が大きく異なる点も特徴的なので、認知症保険に加入する際は備えたいリスクを念頭に置いた上で、最適な保障が受けられるものを選ぶようにしましょう。

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清水 克俊
清水 克俊
名古屋大学教授
東京大学経済学部経済学科卒業後、同大学院経済学研究科に進学。同大学院経済学研究科第二種博士課程満期単位取得退学後、同研究科より博士(経済学)を取得。東京大学社会科学研究所助手、青山学院大学経済学部専任講師、同助教授、名古屋大学大学院経済学研究科准教授を経て、現在は同研究科教授。専門分野は金融経済学であり、特に銀行やコーポレートファイナンス、金融政策の分野を研究している。
所有資格
博士(経営学)
専門分野・得意分野
金融経済学、金融政策、コーポレートファイナンス
中村 翔也
中村 翔也
Webライター/ファイナンシャルプランナー
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般
ナビナビ保険編集部
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ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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