近年、猫の飼育頭数は増加傾向にあり、猫の寿命の延伸化が進んでいます。
一般社団法人ペットフード協会の調査によると、猫の飼育頭数は年々増加傾向にあり、2014年以降は猫の飼育頭数が犬の飼育頭数を上回りました。
また、アニコム家庭どうぶつ白書のデータによると、2019年度における猫の平均寿命は14.3歳となっており、ヒトと同様に平均寿命の延伸化も進んでいます。
平均寿命の延伸化が進んでいるのは飼い主にとって喜ばしいことですが、その一方で、猫の健康上のリスクも高まります。
特に、猫は軽度の症状が見つけづらく、水を飲む習慣があまりないことから、尿路結石や腎臓病にかかりやすいとされています。
犬に比べて、病気の早期発見・早期治療が難しいため、万が一の事態に備えてペット保険に加入するという選択肢を持っておくことが大切です。
どれくらいかかる? 猫の生涯平均治療費
日本獣医師会の調査によると、猫の生涯平均治療費はおよそ120万円であることがわかっています。
| 項目 | 治療費 |
|---|---|
| 1ヵ月あたりの平均費用 | 6,991円 |
| 1年あたりの費用 | 83,892円 |
| 生涯平均治療費 | 1,191,266円 |
※猫の平均寿命は14.2歳として生涯平均治療費を計算しています参照:家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)|日本獣医師会
猫の治療費や診療費には、「健康保険」や「国民健康保険」といった公的保険制度が用意されていません。
私たちが病院にかかる際は医療費の3割を自己負担分として支払うだけで済みますが、猫を動物病院に連れて行く際は、治療費の全額を自己負担で支払う必要があります。
猫の疾患請求割合と、治療費の目安
猫の治療費は、年齢が上がるにつれて高額化しやすい傾向にあります。
猫の病気やケガの割合と、年齢別の治療費をまとめたので確認しておきましょう。
| 疾患(大分類) | 割合 | 値 | 年齢別の年間診療費(1頭あたり) | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0歳 | 1~4歳 | 5~8歳 | 9~12歳 | |||
| 消化器疾患 | 15.2% | 中央値 | 8,629円 | 9,612円 | 12,204円 | 16,740円 |
| 平均値 | 21,897円 | 23,042円 | 26,643円 | 38,779円 | ||
| 泌尿器疾患 | 13.5% | 中央値 | 12,744円 | 16,810円 | 19,008円 | 21,492円 |
| 平均値 | 24,865円 | 40,940円 | 58,760円 | 63,491円 | ||
| 皮膚疾患 | 9.1% | 中央値 | 6,739円 | 6,264円 | 8,130円 | 9,437円 |
| 平均値 | 12,465円 | 13,136円 | 17,772円 | 28,601円 | ||
| 全身性の疾患 | 8.4% | 中央値 | 8,424円 | 9,158円 | 11,772円 | 15,059円 |
| 平均値 | 17,211円 | 18,829円 | 24,986円 | 37,759円 | ||
| 眼および付属器の疾患 | 6.3% | 中央値 | 5,620円 | 5,693円 | 6,588円 | 7,560円 |
| 平均値 | 11,075円 | 11,085円 | 13,650円 | 24,269円 | ||
| 呼吸器疾患 | 5.0% | 中央値 | 7,727円 | 7,992円 | 11,920円 | 18,981円 |
| 平均値 | 16,746円 | 20,148円 | 37,616円 | 51,193円 | ||
| 耳の疾患 | 3.5% | 中央値 | 7,668円 | 7,425円 | 8,323円 | 10,211円 |
| 平均値 | 14,136円 | 14,027円 | 19,448円 | 24,056円 | ||
| 循環器疾患 | 2.7% | 中央値 | 23,818円 | 39,818円 | 45,684円 | 56,121円 |
| 平均値 | 49,725円 | 67,132円 | 78,814円 | 91,470円 | ||
| 歯および口腔の疾患 | 2.6% | 中央値 | 7,850円 | 12,420円 | 21,114円 | 30,300円 |
| 平均値 | 18,706円 | 29,752円 | 37,281円 | 48,779円 | ||
| 筋骨格疾患 | 2.2% | 中央値 | 8,910円 | 9,331円 | 10,881円 | 11,123円 |
| 平均値 | 38,026円 | 27,778円 | 30,257円 | 30,267円 | ||
| 肝・胆道および膵の疾患 | 2.1% | 中央値 | 18,652円 | 22,030円 | 30,456円 | 42,882円 |
| 平均値 | 40,330円 | 51,043円 | 68,309円 | 96,796円 | ||
| 内分泌疾患 | 1.2% | 中央値 | 12,269円 | 25,200円 | 81,680円 | 97,820円 |
| 平均値 | 23,094円 | 51,855円 | 119,217円 | 136,779円 | ||
| 神経疾患 | 0.8% | 中央値 | 17,734円 | 20,326円 | 30,699円 | 47,838円 |
| 平均値 | 36,211円 | 51,322円 | 58,766円 | 86,897円 | ||
| 血液および造血器の疾患 | 0.8% | 中央値 | 15,300円 | 42,118円 | 55,294円 | 112,092円 |
| 平均値 | 41,272円 | 91,023円 | 117,741円 | 172,557円 | ||
| 生殖器疾患 | 0.3% | 中央値 | 8,640円 | 37,026円 | 61,171円 | 117,696円 |
| 平均値 | 38,317円 | 56,757円 | 88,510円 | 170,695円 | ||
| 腫瘍 | 2.3% | 中央値 | 11,046円 | 13,166円 | 24,246円 | 56,168円 |
| 平均値 | 49,816円 | 66,870円 | 85,391円 | 131,782円 | ||
※請求割合は「保険金支払いのあったどうぶつの数/保険に契約しているどうぶつの数」と定義※中央値はデータの数値を小さい順に並べた時の中間に位置する値のことを指します
参照: 2-7 猫の年齢別の年間診療費(1頭あたり)|アニコム家庭どうぶつ白書2019
冒頭でもお伝えしたように、昨今では獣医療が発展したおかげで、猫の平均寿命が延伸化しています。
ただし、猫の年齢が高くなるにつれて治療費も高額化していくため、あらかじめペットの治療費分を貯蓄しておくか、ペット保険に加入して備えておくことが大切です。
- 小宮 崇之
- (株)コミヤ保険サービス代表取締役/損害保険プランナー
アニコム損保の家庭どうぶつ白書2019によると、猫の慢性腎臓病(腎不全含む)での1頭あたりの年間診療費の平均は272,598円となっています。日々の飼育代にプラスして発生する猫の治療費は、家計に与える影響も少なくないでしょう。猫を飼育する人は、家計の貯蓄額を確認し、ペット保険に入るかどうか検討した方が良いでしょう。
猫のペット保険に加入するメリット
猫のペット保険に加入するメリットは、次のとおりです。
猫のペット保険に加入するメリット
診療費の負担額が減る
猫のペット保険に加入する最大のメリットは、診療費の負担額を大幅に減らせることです。
ここまでにご紹介したとおり、猫の治療費は意外と高額になりやすく、年齢を重ねるにつれてその傾向は顕著になっていきます。
当然のことながら、猫の治療費全額を自己負担でまかなえるほどの貯蓄がある場合は、必ずしもペット保険に加入する必要はありません。
ですが、猫は高齢化によって健康上のリスクも高まっていくので、万一のときの高額な診療費に備えておきたい場合には、ペット保険に加入するメリットは大きいと言えるでしょう。
急なケガや事故にもすぐ対応できる
ペット保険の保険金請求は、後日請求型と窓口精算型の2種類があります。
窓口精算型のペット保険に加入していれば、診療を受けたその場で補償を適用して、自己負担分を大きく減らすことができます。
猫のペット保険に加入していれば、猫の急なケガや事故でも、お金の心配をすることなく動物病院に連れていけるのは大きなメリットです。
治療方法の選択肢の幅が広がる
ペット保険の加入の有無で、治療が変わることはありませんが、治療の選択肢が増えることは間違いありません。
ペット保険に加入していないと、治療費のことを考えてしまい、医療費が高額なペットにとって身体の負担が少ない治療方法を選択しにくいケースもあるからです。
例えば、内視鏡やカテーテルなどの低侵襲治療は治療費が高額と言われています。
ペット保険に加入することで、金銭期な負担を大きく減らせるので、ペットにとってベストな治療法を選択できることに繋がります。
ペット保険に加入することで、金銭期な負担を大きく減らせるので、治療方法の選択肢の幅が広がることにも繋がります。
- 小宮 崇之
- (株)コミヤ保険サービス代表取締役/損害保険プランナー
ペット保険はそんなペットを大事に思う人に、最適な保険です。ペット保険があることで、保険で医療費の一部を負担してもらえることから、治療費を気にせず、獣医師に任せて、ベストな治療方法を選択することができます。治療の選択肢が広がるという点が、ペット保険の大きなメリットでしょう。
猫のペット保険を検討する際の注意点
猫のペット保険を検討する際は、次の注意点に気をつけましょう。
猫のペット保険を検討する際の注意点
先天性疾患やすでに治療中の病気・ケガは補償対象外
一般的にペット保険では、先天性疾患やすでに治療中の病気・ケガは補償の対象外となると考えたほうが良いでしょう。
人が医療保険に加入するときと同様で、ペット保険に加入する際にも、現在の健康状態を告知する義務があります。
先天性疾患や治療中の病気・ケガがある場合は、そもそもの保険加入が断られてしまうケースも考えられます。
猫のペット保険を検討する際は、その保険商品の補償対象外となる症例や、重要事項をよく確認しておくようにしましょう。
予防措置は補償対象外
猫のペット保険では、次のような予防措置については補償の対象外となるケースが一般的です。
猫のペット保険の補償対象外となるケース
- 予防接種やワクチン接種など
- 避妊・去勢手術
- 健康診断
- 歯周病対策・トリミングなどの健康体への処置とされるもの
これらの費用については、全額を自己負担で賄う必要があります。
また、猫の妊娠・出産や、妊娠中の病気やケガについても補償の対象外となる場合が多いので、事前によく確認しておきましょう。
保険に加入しても治療費の一部が自己負担になる場合がある
猫のペット保険には「免責金額」が設けられています。
免責金額とは、簡単に説明すると「補償内容に関係なく、契約者が必ず負担する金額のこと」です。
たとえば、免責金額が3,000円で補償割合が70%のペット保険に加入している場合、治療費が10,000円のときの保険金は次のとおりとなります。
(治療費10,000円-免責金額3,000円)×補償割合(70%)=4,900円
また、実際の診療費が免責金額以下である場合は、ペット保険から保険金が支払われることはありません。
猫のペット保険に加入していても、場合によっては治療費を自己負担で支払うことになる場合があるので注意が必要です。
猫のペット保険を選ぶ際のポイント
ペット保険を選ぶ際に比較すべきポイントは以下の通りです。
ペット保険の選び方の比較ポイント
- 補償内容の範囲を決める
- 補償割合を決める
- 補償制限の有無、内容を確認する
- 免責の有無を確認する
- 補償オプションとして特約を検討する
- 保険料の払込方法、割引の有無を確認する
- 補償開始までの待機期間を確認する
- 保険金の受け取り方法を確認する
ペットの種類、年齢、健康状態によってはペット保険に加入できない場合もあるので、ペット保険の加入条件は最初に確認しておきましょう。
- 小宮 崇之
- (株)コミヤ保険サービス代表取締役/損害保険プランナー
まとめ
昨今では猫の平均寿命が延伸化しており、それに伴って健康上のリスクも高くなっています。
猫の生涯平均治療費は約120万円となっているので、それらの費用を実費で支払える貯蓄がある方は、必ずしもペット保険に加入する必要はありません。
一方、まとまった資金が手元にない場合や、高額になりやすい治療費に備えておきたい方は、毎月の保険料を払い込む形で猫の病気やケガに備えておくのが良いでしょう。
さらに、ペット保険の選び方や選ぶ際のポイントについて知りたい方は【コのほけん!】ペット保険の選び方とは?知っておきたい補償と保険料のポイントを解説も参考にしてみてください。