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保険を知る

更新:2020.06.24 公開:2020.06.18

生命保険は相続税対策になる?仕組みと注意点を解説します

生命保険は相続税対策になる?仕組みと注意点を解説します

生命保険は、自分に万が一のことがあった場合に、家族が安心して暮らすための生活資金を保障するという重要な役割を担っています。

また、それ以外にも財産を相続する際に発生する「相続税」の対策としても有効的な方法とされています。

その理由は、生命保険における「死亡保険金」を受け取る際には一定の非課税枠が設けられており、様々な控除を受けることができるためです。

それ以外にも生命保険で相続税対策をするメリットは数多く存在します。

ただし、相続税対策として生命保険を活用する場合には、保険金の掛け方や受取人を誰にするかによって節税効果が変わってきます。

そのため、相続税対策になるからといってあまり考えずに生命保険に加入することはおすすめできません。

この記事では、生命保険を相続税対策に活用する方法と、おすすめの生命保険の掛け方や支払い方法について説明します。

相続税対策として生命保険の加入を検討中の人は、ぜひ参考にしてください。

生命保険を相続税対策に活用する方法

相続税対策として生命保険を活用する場合に、必ず知っておきたい情報を以下の4つの項目に分けてご紹介していきます。

相続税対策におすすめの保険の種類

相続税対策におすすめの保険の種類は「貯蓄型の終身保険」です。

その理由は以下の通りです。

相続税対策におすすめの保険の種類が貯蓄型の終身保険である理由

  1. 一生涯に渡って死亡保障が適用されるため、保険期間の心配が不要
  2. 貯蓄型の終身保険は解約返戻金として積み立てた保険料が返ってくる

終身保険は一生涯の保障が受けられる保険であるため、被相続人が死亡した時期に関わらず死亡保険金が受け取れます。

終身保険の仕組み

満期が設定されている定期保険の場合、保険期間が過ぎた後に死亡した場合に死亡保険金が受け取れません。

死亡した後でも更新手続きを行うことで死亡保険金が受け取れますが、余計な時間と手間がかかるので、基本的には「終身保険」に加入するのがおすすめです。

貯蓄型保険と掛け捨て型保険の違い

また、生命保険には「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2種類があります。

貯蓄型の生命保険の場合、途中解約してもそれまでに積み立てた保険料が解約返戻金として返ってきます。

さらに、保険料の払込期間を迎えた場合には満期保険金として受け取れる生命保険も存在します。

掛け捨て型の場合は保険料が返ってこないので、相続税対策におすすめの保険は「貯蓄型の終身保険」と覚えておきましょう。

納税額を抑える保険の掛け方

死亡保険金を受け取る際、受取人によって発生する課税区分が異なります。

それぞれの場合で発生する税金額が異なるので、まずは被保険者と受取人の関係性による税金の種類は以下の通りです。

保険金受取りの際にかかる税金の種類

相続税

相続税には、以下の非課税枠が設けられています。

相続税の非課税枠

  • 500万円×法定相続人
「法定相続人」とは?
民法上で定められた相続人のことを指し、基本的には配偶者や子供、両親、兄弟姉妹など血縁関係にある人が対象

この非課税枠の利用で、非常に大きな節税効果が期待できます。

たとえば、死亡保険金が2,000万円、法定相続人が配偶者と子供2人の合計3人の場合に発生する相続税は以下の通りです。

例:2,000万円の死亡保険金を3人の法定相続人で受け取る場合の相続税

  • 相続税課税対象額:死亡保険金2,000万円-1,500万円=500万円
  • 相続税=課税対象額500万円×相続税率10%=50万円

国財庁の「相続税の税率速算表」から計算すると、500万円に対して10%が課税されるので、相続税額は50万円となります。

一方、非課税枠がなかった場合を想定すると、2,000万円に対して15%が課税されるので、300万円の相続税が発生します。

所得税

所得税の課税対象額を算出するためには、以下の計算式を用いて計算を行います。

所得税の計算式

  • 課税対象額=(保険金額-支払った保険料-特別控除額50万円)×1/2
  • 所得税=課税対象額×所得税率-所得税控除額

※所得税率・所得税控除額の参照:国税庁の定める所得税の速算表

たとえば、2,000万円の死亡保険金に対して1,000万円の保険料を支払っていた場合、納めることになる所得税は以下の通りになります。

例:2,000万円の死亡保険金に対して1,000万円の保険料を支払っていたときの所得税

  • 課税対象額=(死亡保険金2,000万円-保険料1,000万円-特別控除額50万円)×1/2=475万円
  • 所得税=課税対象額475万円×所得税率20%-所得税控除額427,500円=522,500円

※所得税率の参照:国税庁の定める所得税の速算表

つまり、死亡保険金を受け取る際に1,000万円の保険料を支払っていた場合、納めることになる所得税は522,500円となります。

贈与税

贈与税を求める計算式は以下の通りです。

贈与税の計算式

  • 贈与税=保険金-基礎控除額110万円×贈与税率-贈与税率に基づく控除額

※贈与税率の参照:国税庁の定める贈与税の速算表

贈与税には、年間110万円までの基礎控除額が設けられています。

そのため、たとえば2,000万円の死亡保険金を受け取る場合の贈与税は以下の通りになります。

例:2,000万円の死亡保険金を受け取る場合の贈与税

  • 贈与税=(死亡保険金2,000万円-110万円)×贈与税率50%-控除額250万円=695万円

上記の計算結果より、贈与税に区分される場合に2,000万円の死亡保険金を受け取ると、695万円の贈与税を納めなければなりません。

相続税・所得税・贈与税で最も税負担が軽減される区分

上記で2,000万円の死亡保険金を受け取る場合に発生する相続税・所得税・贈与税の金額について計算結果を一覧表にまとめると以下の通りです。

例:2,000万円の死亡保険金を受け取る場合の各種税額

  • 相続税:50万円
  • 所得税:52.25万円
  • 贈与税:695万円

上記のように、同じ金額の死亡保険金を受け取る場合でも課税区分によって納めることになる税金額が大きく異なります。

改めて保険金の受取人によって変わる課税区分を確認しましょう。

保険金受取りの際にかかる税金の種類

契約者・被保険者・受取人のすべてが違う場合、課税区分は贈与税となります。

贈与税に区分されると多額の税金を納めることになりかねないので、死亡保険金を掛ける時は「相続税」の区分となるように被保険者と契約者を同一にするか、「所得税」の区分になるように契約者と受取人を同一にすることをおすすめします。

家族構成や支払っていた保険料の金額によっても金額が異なるので、ここまでにお伝えした計算式を基にして、税負担が軽減されるように生命保険の加入検討をしましょう。

生命保険金の生前贈与も活用する

生命保険金の生前贈与を活用することで、相続税対策ができます。

「生前贈与」とは?
相続が発生する前、つまり「生前」に子どもや孫に財産を贈与すること。
一般的には相続税の負担を軽減するための対策として行われる。

一般的な生命保険の契約は、契約者が被保険者となり、配偶者や子供を受取人にすることで、自分に万が一のことがあった場合に遺された家族のその後の生活資金を補填します。

この場合、死亡保険金には「相続税」が発生します。

それに対し、生命保険金にて生前贈与をする場合は、被相続人が被保険者となり、受取人(配偶者や子供などの相続人)に対してお金を贈与し、受取人は贈与されたお金で「贈与した人を被保険者」にして生命保険に加入します。

生前贈与で生命保険に加入する流れ

このように契約することで課税区分が相続税から「所得税」に変わります。

相続税よりも所得税の方が税率は低めに設定されているため、少ない税負担で財産を相続できるようになるのです。

また、お金を贈与する際、贈与税控除で110万円までは税金がかからないので、贈与金額を110万円以内に納めることで贈与税の負担を避けつつ、相続税の負担軽減が可能となります。

具体的な生前贈与における相続税シミュレーション

お金を生前贈与し死亡保険金に対する課税区分を「所得税」にすることで、結果的に相続税の負担軽減効果につなげることができます。

具体的な相続税シミュレーションをみていきましょう。

契約者と被保険者が父親、配偶者はおらず保険金の受取人が子供の場合に、2,000万円の保険金が下りる生命保険へ加入している場合を想定してシミュレーションします。

この場合は課税区分は「相続税」となります。

相続税計算例:契約者と被保険者が父親で受取人が子供の場合

  • 相続税課税対象額:死亡保険金2,000万円-500万円×法定相続人1人=1,500万円
  • 相続税=課税対象額1,500万円×相続税率15%-50万円=175万円

上記の場合、相続税として175万円を支払って、死亡保険金2,000万円を受け取る計算となります(手残り18,250,000円)。

続いては生前贈与となるようにシミュレーションをしましょう。

被保険者になる予定の父親が、受取人の子供にお金を贈与し、贈与されたお金を使って子供が契約者となって生命保険に加入した場合(1,000万円払込済み)を想定します。この場合の課税区分は「所得税」となります。

所得税計算例:契約者と受取人が子供で被保険者が父親の場合

  • 課税対象額=(保険金2,000万円-払込済み保険料1,000万円-特別控除額50万円)×1/2=475万円
  • 所得税=475万円×所得税率20%-所得税控除額42.75万円=52.25万円

上記の場合、522,500円の所得税を支払って2,000万円の死亡保険金を受け取ります(手残り19,477,500円)。

父親が生命保険に払い込む予定の保険料を、受取人の子供に対して贈与し、そのお金で子供が父親を被保険者にして生命保険に加入することで相続税対策ができるということです。

贈与するための手間はかかりますが、非常に大きな節税効果が期待できるので相続税対策として生命保険を活用したい人は検討することをおすすめします。

支払い方法は「一括払い」がおすすめ

終身保険の支払い方法は、可能であるなら「一括払い」がおすすめです。

終身保険の保険料を一括で支払うことで、将来的に受け取れる保険金の金額を増やせたり、相続税の負担軽減効果が見込めたりなどのメリットがあります。

保険加入時にまとまった資金が必要なので利用できる人は限られますが、もし資金に余裕があるのであれば「貯蓄型の終身保険」を「一括払い」で加入することをご検討ください。

生命保険で相続税対策をするメリット

生命保険で相続税対策をするメリットは以下の4つが挙げられます。

メリット1. 500万円 × 法定相続人の非課税枠がある

相続税対策として生命保険を利用する最大のメリットが「死亡保険に設けられている非課税枠が利用できる」という点です。

死亡保険金には「500万円×法定相続人」の非課税枠が設けられているので、大きな税制上の負担軽減効果が見込めます。

また、基礎控除として「3,000万円+600万円×法定相続人」が認められていたり、被相続人が抱えていた借金や債権などのマイナス財産においても債務控除が受けられたりなど、様々な控除制度が設けられています。

さらに、配偶者が相続人になる場合は1億6,000万円の非課税枠も利用できるので、相続財産の価値が高額な場合でも各種控除制度を利用することで、税負担を大きく軽減できます。

たとえば、配偶者を含む法定相続人が3人の場合、控除額合計は以下の通りです。

例:配偶者を含む法定相続人が3人の場合の控除額合計

  • 生命保険非課税枠:500万円×法定相続人3人=1,500万円
  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人3人=4,800万円
  • 配偶者控除:1億6,000万円
  • 控除額合計:2億2,300万円

このように、配偶者を含む法定相続人が3人の場合は、最大で2億2,300万円までなら相続税は発生しないということになります。

仮に相続放棄をした人がいる場合でも、法定相続人の数には相続放棄した人数も含まれる(死亡保険金受取人が相続放棄した場合は対象外)ので、税額計算時には覚えておきましょう。

メリット2. 保険金の早期受け取りが可能

生命保険による死亡保険金は、書類の準備と申請手続きがスムーズに行えれば被相続人が死亡してから1週間程度で受け取れます。

相続財産には銀行の預貯金も含まれますが、金融機関で死亡が確認された場合、その人の口座は勝手に引き出されないために一度凍結されます。

凍結された預貯金を相続するためには、相続人同士で遺産分割協議を行った後、相続人全員の同意を得た上で引き出すことになるので、非常に多くの時間と手間がかかります。

しかし、生命保険による死亡保険金は「被保険者が死亡したこと」が支払い条件であり、民法上は被保険者の財産には含まれていないので、遺産分割を行う必要がなく預貯金の相続に比べて早期の受け取りが可能となっています。

メリット3. 受取人の固有財産になり、争いが起こりづらい

生命保険に加入する際、被保険者が死亡した際に支払われる死亡保険金の受取人を決めた上で加入することになります。

そのため、保険金は受取人固有の財産となり、遺産分割協議における相続対象や遺留分(最低限の遺産を相続できる権利のこと)には含まれません。

受取人を明確化でき、お金を渡したい人に確実に渡すことができるので、遺産相続を巡っての親族トラブルを回避することにも繋がります。

メリット4. 銀行と比較しても戻り率がいいケースがある

生命保険の中には、保険料払込期間の満期を迎えた場合に満期保険金が受け取れるものや、払込期間以降は保険料払込総額以上の解約返戻率が定められたものも存在します。

保険会社に保険金という形でお金を預けておくことで満期保険金や解約返戻金が受け取れるので、銀行に預け入れるよりも戻り率が高いケースもあり資産運用としても活用できます。

近年の日本は超低金利で利息がつくことには期待できないため、将来に向けての資産運用も視野に入れている人は銀行と同様に生命保険への加入を検討してもいいでしょう。

生命保険の相続税対策に関するよくある質問 Q&A

Q. 受取人は複数指定できる?

死亡保険金の受取人は、複数指定ができます。

各受取人の受取割合を指定することで子供が複数いる場合などにも対応できるので、相続税対策として生命保険を検討している人は覚えておきましょう。

Q. 解約返戻金は相続税の対象になる?

貯蓄型の終身保険の解約返戻金は、相続税の対象となります。

また、非課税枠も利用できないので、税負担を計算する際にはご注意ください。

まとめ

これから相続税対策として生命保険に加入するのであれば、貯蓄型の終身保険に一括払いで加入するのがおすすめです。

その理由は、生命保険には「500万円×法定相続人」の非課税枠が設けられており、税負担を抑えることができるためです。

また、それ以外にも数多くのメリットがあるので、相続税対策を検討中の人は以下のメリットをご確認ください。

ただし、生命保険における死亡保険金の受取人によって、節税効果に大きな違いが生まれてくるのでその点には気をつけましょう。

この記事の執筆者
中村 翔也
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
この記事の監修者
石田 直樹
所有資格
AFP資格、TLC(生保協会認定FP)資格
ソニー生命、東京海上日動あんしん生命保険、保険代理店等、保険業界を28年間勤務。支社長や管理職を経験、200回以上のセミナーや研修講師の登壇経験あり。その知識を活かし、もっと多くの人に保険の必要性を正しく理解してもらいたい!という思いを胸に、ナビナビ保険の事業立ち上げメンバーとして異業種のIT企業に転職し、現在に至る。
この記事の編集者
ナビナビ保険編集部
ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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