家族が亡くなり相続手続きを開始したら、実は株式を持っていたことが判明。株式はいくらで評価され、どれくらいの相続税がかかるのでしょうか?
突然訪れる株式の相続について、公認会計士・税理士監修の金融メディア「MoneyCourt」編集部が、わかりやすく解説します。
相続手続きの流れ
本題に入る前に、相続手続きのおおまかな流れについて確認しましょう。相続手続きは、次のような手順で行われます。
相続手続きの流れ
相続税の申告期限は、相続開始を知った日から10ヶ月以内です。
実際に手続きを行っていると、あっという間に期限が到来する感覚がありますので、余裕を持って早めに進めることをおすすめします。
STEP1. 相続人を調査する
まずは亡くなった方(以下、被相続人)の戸籍謄本を確認し、財産を相続する方(以下、相続人)が誰なのかを特定します。
STEP2. 相続財産を調査、評価額を確認する
相続人を調査するのと同時並行で、被相続人がどのような財産を持っていたのかを調査。
相続財産の評価額を特定していきます。
ここで株式が見つかった場合には、株式の相続が必要になります。
STEP3. 遺産分割協議を行う
相続人を集め、相続財産をどのように分けるか協議を行い、「遺産分割協議書」を作成します。
遺言があればその内容に沿って分割されますが、最低限与えられるはずの「遺留分」を侵害されている場合、これを受け取れるよう申請することも可能です。
STEP4. 相続手続き、相続税の納付
遺産分割協議書の内容を元に、相続手続きを行います。
そして相続税の申告・納税を行ったら基本的な手続きは終了です。
株式の評価方法は、株式の種類によって異なる
株式には、東京証券取引所などで公開されている「上場株式」と、一般的に公開されていない「非上場株式」があり、評価方法が異なります。
上場株式の評価方法:4つの終値のうち最も低い株価
広く取り扱われている上場株式は、次の4つのうち最も低い株価を選択します。
上場株式の評価方法
- 相続発生日(死亡日)の終値
- 相続発生日を含む月の終値の平均額
- 相続発生の前月の終値の平均額
- 相続発生の前々月の終値の平均額
こうして決めた株価に持株数をかけて、相続時の評価額にするのです。
例として、被相続人が上場株式Aを200株保有しており、次のような株価だったとき、最も価格の低い1,500円が採用されます。
上場株式Aの評価額
- 1,500円
- 1,600円
- 1,700円
- 1,550円
この上場株式Aの評価額は次の通りです。
上場株式Aの評価額
- 1,500円×200株=30万円
非上場株式の評価方法:純資産価額方式など
一般に取引されていない非上場株式の場合は、会社の規模によって評価方法が異なります。
大会社の場合
原則として「類似業種比準方式」により評価。
具体的には、類似業種の企業株価を参考に、1株当たりの配当金額や利益金額、純資産価額(簿価)から評価します。
小会社の場合
原則として「純資産価額方式」により評価。
会社の総資産や負債を相続税の評価額に置き換え、その総資産額から負債や評価差額の法人税額等相当額を差し引きます。
そうやって残った金額によって評価する方法です。
なお中会社は、大会社と小会社の評価方法を併用して評価するよう定められています。
非上場株式を発行したのは小規模の会社のケースが多いので、純資産価額方式によって計算される場合が多いでしょう。
株式の相続方法
株式を実際に相続する際には、次の3つの方法があります。
どの方法を採用するかは、遺産分割協議時に決定しましょう。
株式相続の3つの方法
- 現物分割:株式を相続人がそのまま相続する方法
- 換価分割:株式を売却し、お金に換えて相続する方法
- 代償分割:株先を1人の相続人が相続し、他の相続人にその差額を支払う方法
どの方法を採用しても相続税は変わりませんので、相続人の意向で判断します。
株式の運用に慣れている方であれば現物分割を、換価しないと財産分割が円滑に進まない場合や、現金で受け取りたい場合には換価分割を選ぶことが多いです。
また株価が下落しているものの今後値上がりが見込め、自分の相続額よりも株価評価額の方が大きい場合もあります。
この場合は代償分割を選択してはいかがでしょうか。
株式の相続は「名義変更」が必要
株式を相続する場合は、現物分割と換価分割のどちらを選んだとしても、一旦は株式を相続人の名前に変更する「名義変更」が必要です。
手続き数の多い上場株式の名義変更について、手続きの流れを解説します。
証券会社に連絡する
まずは証券会社に連絡し、相続人に名義変更することを伝えます。
この手続きは遺産調査の段階で済ませていることが多いです。
必要書類を揃える
証券会社に確認しながら、名義変更に必要な書類を揃えます。
一般的には次の書類が必要です。
おすすめ・メリットのポイント
- 相続手続きの依頼書(証券会社所定の用紙)
- 被相続人の戸籍謄本など(相続人全員が確認できるものも必要)
- 相続人全員の印鑑証明書(発行から6ヶ月以内)
- 遺産分割協議書のコピー
もし遺言書があった場合には、以下の書類も必要になります。
おすすめ・メリットのポイント
- 遺言書のコピー
- 遺言書の検認調書のコピー
- 遺言執行者選任審判書のコピー
- 遺言執行者の印鑑証明書
相続人の証券口座を開設する
被相続人の株式を受け取るために、相続人の証券口座を開設します。
すでに証券口座を持っている場合は、新たに作成する必要はありません。
株式を名義変更、相続人へ引き継ぐ
証券会社へ必要書類を提出し、相続人へ名義変更してもらいます。
名義変更後は、株主総会のお知らせや配当金の通知などが、相続人に届くようになります。
取引していた証券会社が不明の場合は「証券保管振替機構」へ連絡
もし、被相続人が取引していた証券会社がわからない場合は、「証券保管振替機構」へ連絡してください。
どの証券会社で取引されていたのかが確認できます。
開示請求には、開示請求書や法定相続人の本人確認書類、相続人の戸籍謄本などが必要です。
問い合わせた際に、必要書類もあわせて案内してもらいましょう。
まとめ : 株式を相続するなら、資産運用の知識を蓄えよう
被相続人が株式を持っていたら、株式の価値を正確に評価して、相続税を算出します。
株式をそのまま相続するか、換価して現金で受け取るかは、相続人同士で相談して確定しましょう。
もし株式を引き継ぎたいけれど、資産運用の知識がなく不安な場合は、正確な情報が載っている書籍やメディアを参考に基礎知識を学ぶと安心です。
その際にはぜひ、公認会計士・税理士が監修する「MoneyCourt」も合わせて参考にして下さい。
<執筆者>MoneyCourt編集部:公認会計士・税理士が監修する、投資初心者向けの金融メディア。
少額から始められる投資方法に関する記事や、証券会社やFPに取材した記事などを掲載。
