1. しっかり保険、ちゃんと節約。
  2. 生命保険ランキング
  3. 女性保険
  4. 吸引分娩は保険適用される?申請方法や出産時に利用できる公的制度とは
更新 更新:2026.06.10

吸引分娩は保険適用される?申請方法や出産時に利用できる公的制度とは

吸引分娩は保険適用される?申請方法や出産時に利用できる公的制度とは
所有資格
博士(商学)
専門分野・得意分野
社会保障、福祉政策、企業福祉、保険
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級
専門分野・得意分野
得意分野:保険全般、資産運用、ライフプランニング、税金対策
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

正常分娩による出産は病気の治療ではないため、公的保険制度の対象外ですが、吸引分娩は治療行為を伴うため、公的保険制度の対象です。

また、民間の保険においても吸引分娩を行った場合は給付金の対象となる場合があります。

本記事では、吸引分娩の場合の出産費用や、妊娠・出産時に利用可能な公的保険制度について解説します。

関連記事:女性保険は入るべき?リスクや必要性、医療保険との違いをわかりやすく解説

吸引分娩は保険の適用対象となる

正常分娩による出産は、健康保険などの「療養の給付」の範囲に含まれていないため、公的保険制度の対象外です。

一方、吸引分娩は医療行為を必要とする異常分娩に該当するため、一般的に治療費は公的保険制度の適用対象となります

日本の医療保険は、国が運営する「公的保険制度」と民間企業が提供する「民間医療保険」の2種類に分けられます。

公的保険制度と民間医療保険それぞれの場合で、吸引分娩となった場合の保険適用について解説します。

吸引分娩となった場合の保険適用について

公的保険制度の場合

吸引分娩は吸引娩出術という治療行為が行われるため、治療行為に関しては公的保険制度の対象となります。

また、吸引分娩以外にも以下のような異常分娩にかかる治療費は公的保険制度の対象です。

公的保険制度の対象となる治療費

  • 帝王切開分娩(帝王切開術)
  • 会陰切開(異常分娩にかかる場合)
  • 鉗子分娩(鉗子娩出術)
  • 流産
  • 切迫早産
  • 妊娠合併症

民間医療保険の場合

一般的に、異常分娩に該当する出産は民間医療保険の対象にもなるため、保険会社から入院給付金や手術給付金などが支給されます。

ただし、保険会社や保険商品によっては、公的保険制度が適用された場合でも支払事由に含まれないケースがあります。

また、医師の診断で正常分娩の範囲内と判断された場合は、公的保険制度とともに民間医療保険も適用対象外となるので注意が必要です。

妊娠や出産を機に生命保険へ加入する際は、保障内容や支払事由を重点的に確認するようにしましょう。

なお、妊娠中に医療保険に加入した場合、「特定部位不担保」という条件が付くことがあります。

これは、妊娠・出産に関連する入院や手術が給付対象外となる契約条件です。

関連記事:妊娠中は医療保険に入るべき?おすすめの保険や妊婦のリスクを紹介

吸引分娩で医療保険の給付金はいくらおりる?

吸引分娩で民間医療保険の給付対象となる場合、受け取れる金額は契約内容によって異なります。

例えば、入院日額1万円の医療保険に加入していて、吸引分娩で5日間入院した場合、入院給付金として5万円、手術給付金として10万円〜20万円程度を受け取れる可能性があります。

また、女性疾病特約などをセットしている場合は、上乗せで給付金を受け取れることもあります

保険会社や保険商品によって給付条件や金額は異なるため、詳細はご自身が加入している保険会社にお問い合わせください。

吸引分娩とは?

ここで、改めて吸引分娩への理解を深めておきましょう。

吸引分娩とは、お産がスムーズに進まずに難産となった場合、赤ちゃんの頭に吸引カップを装着し、牽引して娩出を補助する分娩方法です。

吸引分娩を行うことで赤ちゃんの頭に「産瘤(さんりゅう)」と呼ばれるこぶ状の浮腫が生じますが、一般的には2〜3日程度で消えます

例えば、お産に時間がかかって母体や胎児への影響が大きいと判断された場合など、速やかに分娩を終了させることが望ましい場合に用いられる手法です。

吸引分娩を行うには、子宮口まで赤ちゃんが十分に下がっている状態である必要があり、場合によっては帝王切開で分娩を行うこともあります

吸引分娩の際に考えられるリスク

吸引分娩を行った際には、母体や赤ちゃんに対して次のようなリスクがあります。

吸引分娩による母体と赤ちゃんへのリスク

  • 赤ちゃんへのリスク:帽状腱膜下血腫(ぼうじょうけんまくかけっしゅ)、頭血腫(ずけつしゅ)など
  • 母体へのリスク:会陰損傷(えいんそんしょう)、膀胱麻痺(ぼうこうまひ)など

参照:赤ちゃんがなかなか出ないときはどうする?|国立成育医療研究センター

吸引分娩は、赤ちゃんの頭に吸引カップを装着する必要があるため、挿入する過程で産道が傷ついてしまう場合があります。

また、通常よりも傷が大きくなりやすい会陰損傷や、排尿時の感覚が一時的になくなる膀胱麻痺などが発生する可能性も考えられます。

赤ちゃんに対してもリスクがあり、頭の皮膚の下を覆う膜と骨膜の間で出血が起こることでショック状態になる可能性がある「帽状腱膜下血腫」、骨膜下に出血をきたす「頭血腫」なども起こり得ます。

吸引分娩の出産費用

出産費用の一覧(平均)

厚生労働省の「出産費用の状況等について」によると、正常分娩時の出産費用は平均約51.8万円で、これに吸引分娩の医療費が加算されます。

公益社団法人日本産婦人科医会の「産婦人科社会保険診療報酬点数早見表(令和6年6月)」を参照すると、吸引分娩を行った場合の医療費は25,500円で、公的保険制度の適用で自己負担は3割となるため、実質7,650円の支払いが必要です

吸引分娩が難しい場合は帝王切開が行われることになりますが、帝王切開となった場合は総額70万円程度の費用が発生する可能性があります

関連記事:帝王切開の費用に医療保険は適用される?出産前に知っておきたい保険や社会保障制度

医療保険の給付金を請求する方法

吸引分娩で民間医療保険の給付金を請求する際の一般的な手順は以下のとおりです。

給付金請求の流れ

  1. 保険会社に連絡し、給付金の請求に必要な書類を取り寄せる
  2. 病院で診断書(入院・手術証明書)を発行してもらう
  3. 請求書類に必要事項を記入し、診断書とともに保険会社に提出する
  4. 保険会社の審査後、給付金が振り込まれる

必要書類の例

  • 給付金請求書(保険会社所定の書類)
  • 診断書(入院・手術証明書)※病院で発行、費用は3,000円〜10,000円程度
  • 本人確認書類のコピー
  • 振込先口座の情報

保険金の請求期限は、多くの保険会社で「支払事由が発生した日から3年以内」と定められています。

出産後は育児で忙しくなりますが、給付金の請求を忘れないよう早めに手続きを行いましょう

妊娠や出産で利用できる公的保険制度

吸引分娩の費用については公的保険制度が適用されますが、自然分娩の場合はおおよそ50万円の費用を全額自己負担で賄わなければなりません。

その一方で、日本では妊娠や出産時に利用可能な公的保険制度が充実しています。

これらの制度を活用することで、妊娠・出産時の費用負担を軽減できます。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1か月間に支払った医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。

正常分娩は公的医療保険の対象外のため高額療養費制度も適用されませんが、吸引分娩や帝王切開などの異常分娩は高額療養費制度の対象となります

自己負担の上限額は所得によって異なります。例えば、年収約370万円〜約770万円の方の場合、1か月あたりの自己負担上限額は約8万円〜9万円程度です。

所得区分別の自己負担上限額(70歳未満の場合)

所得区分

自己負担上限額(月額)

年収約1,160万円〜

252,600円+(医療費−842,000円)×1%

年収約770万円〜約1,160万円

167,400円+(医療費−558,000円)×1%

年収約370万円〜約770万円

80,100円+(医療費−267,000円)×1%

年収約370万円以下

57,600円

住民税非課税世帯

35,400円

吸引分娩の治療や入院が長引き、医療費が高額になった場合は、払い戻しを受けられる可能性があります。

なお、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、病院の窓口での支払いを自己負担上限額までに抑えることができます。(マイナ保険証がある場合は申請不要)

妊婦健診などの助成金

多くの市区町村では、妊婦健診の助成施策に取り組んでいます。

基本的に、妊婦健診などの費用は公的保険制度の対象外なので、全額を自己負担で支払わなければなりません

ただし、お住まいの市区町村役場に妊娠届を提出する際に配布される補助券や受診票を使えば、妊婦健診時の医療費負担が軽減されます。

軽減される金額は市区町村によって異なるため、詳細についてはお住まいの市区町村役場の担当窓口までご確認ください。

出産手当金

出産前後は働くことが難しく、正常分娩では健康保険も適用されないため、医療費が家計を圧迫する大きな要因となります。

そうした妊婦世帯の経済的負担の緩和を目的として、会社の健康保険から支給される手当金のことを「出産手当金」と呼びます。

出産手当金は「支給開始日以前の12か月間の各標準報酬月額の平均額÷30日×2/3」で計算され、仮に標準報酬月額が30万円の場合、1日あたり6,667円の出産手当金が支給されます。

支給期間は合計98日間(出産日以前の42日間と出産後の56日間)で、予定日から出産が遅れた場合はその日数も支給日に含まれます。

出産手当金を受給するには「出産手当金支給申請書」を健康保険組合に提出する必要があるので、妊娠が判明した段階で会社の担当部署まで確認を取っておきましょう

出産育児一時金

出産育児一時金は、国民健康保険・健康保険の加入者に対して、1児につき原則50万円が支給される制度です。

自然分娩時の出産費用はおおよそ50万円なので、出産育児一時金を受け取ることで出産費用の大部分を補填することができます

出産育児一時金を受給するには、自分が加入する健康保険組合に申請手続きを行う必要があるので、事前に手続き方法を確認しておき、スムーズに受け取れるように準備しておきましょう。

なお「出産育児一時金の直接支払制度」を利用した場合は、健康保険組合から医療機関に直接給付金が支払われるため、医療機関の窓口での自己負担は不要です

育児休業給付金

育児休業給付金は、育児休業からの復職を前提に、会社の雇用保険から支給される給付金制度です。

原則として子どもの年齢が1歳に達するまでの期間中、育児休業前の「休業開始時賃金月額」の最大67%相当が2か月ごとにまとめて支払われます。

受け取った給付金は全額が非課税で、育児休業期間中の保険料等も全額が免除されるため、経済的な不安を抱えずに育児に専念することができます。

ただし、育児休業給付金の申請手続きをしてから実際に支給されるまで、最短でも約3か月程度の時間がかかってしまうので、早めに手続きを行うことを心がけましょう。

医療費控除

1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告で「医療費控除」を申請することで、所得税の一部が還付されます。

医療費控除の対象となるのは、1年間に支払った医療費の合計から10万円(または総所得金額の5%のいずれか低い方)と保険金などで補填された金額を差し引いた額です。

出産費用は、正常分娩・異常分娩を問わず医療費控除の対象となります。妊婦健診費用、入院費用、通院のための交通費なども含めて申請できるため、領収書は必ず保管しておきましょう

医療費控除は、確定申告の期間(翌年2月16日〜3月15日)に税務署で手続きを行います。

関連記事:育児休業給付金はいつからいつまで?計算・申請方法や支給条件を解説

まとめ

吸引分娩による出産は異常分娩に該当するため、出産にかかる費用のなかで医療費は3割負担で済みます。

また、異常分娩に該当する場合は基本的に民間医療保険の対象にもなるため、保険会社から入院給付金や手術給付金が支給されます。

ただし、医師の診断により正常分娩の範囲内と判断された場合は一切の保険が適用されないため、全額を自己負担で賄わなければなりません

一方、出産手当金や出産育児一時金など、妊娠や出産時の費用を軽減するための公的制度も充実しているため、これらを積極的に活用して少しでも出産費用を減らせるように努めましょう。

さらに、出産に関する保険適用の情報を知りたい場合は、【コのほけん!】帝王切開の費用は保険適用になる?出産時に利用できる公的制度をご紹介も参考にしてみてください。

監修者からひとこと
石田 成則
  • 石田 成則
  • 関西大学教授
国の医療保険(健康保険)は、全国民を対象にした強制加入の仕組みです。ただ受診行為を適切なものとするために、3割の自己負担が課されています。自己負担部分のために民間の医療保険があり、様々な疾病での治療行為や手術、そして入院時に利用されています。
正常分娩は一般に、生活上のリスクとはみなされないために公的医療保険制度の対象とはなりません。一方で、異常分娩は明らかなリスクであり、吸引分娩も治療行為の一環とされ、公的医療保険制度の対象となっています。
ただし、費用のかかる生活イベントや一時的な収入の途絶は不時の支出を伴うものであり、一種のリスクと捉えることもできます。そこで国の健康保険では、出産給付金や出産育児一時金を手当てしています。
民間医療保険でも給付対象範囲は広がりを見せています。人工授精や胎児の手術に係る費用を賄う民間保険も登場しており、医療技術の進歩に併せて新規保険の開発が進むことになります。さらに国や企業は、少子化対策の一環として、また働く女性をサポートする目的をもって、フェムテック(女性の健康管理+医療技術革新)を推進しています。女性固有の疾病や健康障害を上手く管理する手法を通じて、女性の働きやすい社会創出を目指しています。

石田 成則
石田 成則
関西大学教授
1991年慶応義塾大学大学院商学研究科博士課程修了後、1991年~2015年まで山口大学経済学部の助教授と教授を経て、2015年から関西大学政策創造学部教授。2009年3月に早稲田大学にて商学博士を取得。所属学会は、日本保険学会(理事長)、生活経済学会(理事)、日本年金学会、日本労務学会、日本ディスクロージャー研究学会など。
所有資格
博士(商学)
専門分野・得意分野
社会保障、福祉政策、企業福祉、保険
荒木 和音
荒木 和音
Webライター/ファイナンシャルプランナー
早稲田大学教育学部卒業後、総合保険代理店に入社。家計相談やライフプランニング、企業・経営者向けのリスクコンサルティングなどに携わる。 現在は金融関連のライター・編集者・監修者として複数メディアで活動中。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級
専門分野・得意分野
得意分野:保険全般、資産運用、ライフプランニング、税金対策
中村 翔也
中村 翔也
Webライター/ファイナンシャルプランナー
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般
しっかり保険、ちゃんと節約。編集部
しっかり保険、ちゃんと節約。編集部
しっかり保険、ちゃんと節約。編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

おすすめの関連記事