女性保険とは?通常の医療保険との違い
女性保険とは、女性特有の病気やがんなどに対する保障に特化した保険です。
女性保険に関する特徴
民間の生命保険会社が取り扱う医療保険では、病気やけがで入院をしたり手術をしたりしたときに、給付金を受け取れるのが一般的です。
女性向けの医療保険では、乳がんや子宮筋腫などの女性特有の病気で入院または手術をしたときに、上乗せで給付金が支払われます。
そのため、公的医療保険の自己負担分や個室利用の差額ベッド代、入院中の食事代などの金銭的不安が軽減されます。
なお、女性特有の病気として以下のようなものが挙げられます。
女性特有の病気の一例
- 乳がんや子宮がんなどの悪性新生物
- 乳房や子宮などの上皮内新生物
- 乳房および女性性器疾患
- 帝王切開、妊娠出産時の異常分娩などによる合併症(※正常分娩は対象外になることが一般的)
商品内容や保障内容は保険会社によって様々なため、月々の保険料や保障内容を比較しながら、自分自身に合った商品やプランを検討すると良いでしょう。
女性の保険選びは医療保険だけで十分?
保険の必要性は、家族構成やライフステージによって異なりますので、一概に医療保険だけが必要と言い切るのは難しいです。
また、女性特有の病気に備えることができる医療保険や特約もあり、一人で判断するのは難しいこともあります。そういった場合は、ご自身が備えたいリスクをファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。
医療保険の女性疾病特約は必要?
女性疫病特約は、女性特有の病気(乳がん・子宮内膜症・子宮筋腫など)に備えることができる特約です。これらの病気による治療費や経済的負担に備えたい方にとっては、必要性の高い特約と言えます。
がん研究振興財団のデータによると、30代以降から子宮がんや乳がんなどの罹患率が上昇しています。 そのため、リスクが高まる前の20代や30代のうちに申込を検討するとよいでしょう。
女性保険に入るタイミング
女性保険に入るタイミングとしては、以下の2つがおすすめです。
1つ目は女性特有の病気のリスクが高まる前の20代や30代です。病気になってからだと加入できる保険に限りがあります。また一般的に生命保険は、加入年齢が若いほど保険料が安くなる傾向がありますので、早いうちに検討することがおすすめです。
2つ目は、結婚や出産などのライフステージが変わったタイミングです。独身のころと比較して、備えるべきリスクは変わっていることが多いです。もしものことがあった場合の治療費や家族の生活費を賄う必要があります
女性保険の必要性
高齢になるほど一般的に病気に罹患するリスクは高まります。
そのため、女性保険に限らず生命保険は、年齢を重ねるごとに保険料は高くなっていくだけでなく、申し込みをしても保険会社の診査に通過しにくくなります。
かといって、早く加入すれば良いというものでもありませんので、女性保険の加入を検討する際は、以下の判断基準を元にご自身にとっての必要性を考えるといいでしょう。
女性保険の必要性を考えるポイント
ポイント1. 女性特有のがんは若年層でもリスクが高い
上記データを見ると、乳がんや子宮がんなどの女性特有のがんは、他の部位のがんとは異なり、30代~40代の若年層の罹患リスクが高い傾向にあります。
そのため、女性特有のがんになるリスクが高まる前の20代や30代のうちに、女性保険に加入を検討しても良いでしょう。


ポイント2. 出産時の異常分娩に対するリスク
妊娠前から女性保険を含む医療保険に加入している場合、異常分娩(帝王切開や吸引分娩など)は保障対象になるのが一般的です。
※出典:厚生労働省「平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
厚生労働省が公表しているデータによると、帝王切開で出産する件数は年々増加傾向にあります。すべての分娩件数に占める帝王切開の割合は、平成2年は11.2%であったのが平成29年には25.8%と約4人に1人まで増えています。
女性保険に加入することで、出産時の異常分娩や合併症リスクに対し、より手厚い保障を受けることで経済的な負担が軽減されやすくなるでしょう。
また、少額短期保険の中には、通常であれば保障対象外となる正常分娩でも保障される商品もあります。
妊娠中の保険加入は条件付きとなるのが一般的
妊娠中に女性保険に加入できるかは、商品によって異なります。
しかし、加入できたとしても、以下のように条件付きとなるのが一般的です。
妊娠出産にまつわる保険加入の注意点
- 妊娠中に加入する場合、子宮に生じた疾病は異常分娩であっても保障対象外(特定部位不担保)
- 「妊娠●か月目以降は加入できない」といった条件付きの保険もある
出産時には、帝王切開や吸引分娩といった異常分娩や合併症になるリスクも考えられます。
出産妊娠を望んでいる女性であれば、妊娠前に女性保険を検討しておくのもひとつの手です。
妊娠から出産時にかかる費用、利用できる制度、妊娠中~出産後に見直したい保険について解説したこちらの記事も参考にしてください。

- 前田 祐治
- 関西学院大学教授
女性保険のメリット・デメリット
女性保険のメリット・デメリットは、以下の通りです。
女性保険のメリット
女性保険のデメリット
メリット1. 女性特有の病気・がんに対する保障が手厚い
女性保険に加入すると、乳がんや子宮筋腫など女性特有の病気に罹患した際には手厚い保障が受けられます。
例えば、商品によっては女性特有の病気で入院をすると、通常の2倍の金額の入院給付金を受け取れます。
通常の入院給付金額を5,000円にしていた場合、女性特有の疾病で入院した場合の給付金額は、1日につき10,000円です。
通常の入院給金額を10,000円にして医療保険に加入したときよりも、割安な保険料で女性特有の疾病に備えられる点は女性保険の主なメリットといえるでしょう。
メリット2. 個室や少人数部屋を希望しやすくなる
女性特有の病気で入院をする際、プライバシーを守りながら治療に専念したいと思う方は少なくありません。
自ら希望して個室や少人数部屋に入ると、差額ベッド代を請求されるのが一般的です。
女性保険に加入していれば、女性特有の病気になったとき、個室や少人数部屋を希望したことで自己負担が増えたとしても、対処しやすくなるでしょう。
デメリット1. 通常の医療保険よりも保険料が割高
女性保険は、女性特有の病気になったときの保障が手厚い分、通常の医療保険よりも毎月の保険料が割高です。
そのため、女性特有の病気のみに手厚く備える必要性を感じていないのであれば、通常の医療保険を選ぶのも1つの方法でしょう。
デメリット2. 医療保険やがん保険と保障が重複する可能性がある
女性保険は医療保険の一種のため、すでに医療保険に加入している場合は、保障が重複する可能性があります。
保障が重複していても、保険会社が定めた給付要件に該当すれば、給付金を受け取ることは可能ですが、保険料負担は重くなります。

- 前田 祐治
- 関西学院大学教授
女性保険の種類と選び方
女性保険は以下のような軸により、色々な種類の女性保険があります。
女性保険の選び方
選び方1. 保障内容
女性保険の保障内容は、保険商品によって違いがでやすいポイントです。
検討している女性保険の商品を比較する際には、特に以下の保障内容を比較すると良いでしょう。
保障内容の比較ポイント
ただし、上記すべてを比較し、条件の良い保険商品を選ぶと毎月の保険料が高額となる傾向があります。
また、すでに医療保険に加入している場合は、保障内容が重複し、保険料が負担になる可能性もあるため、優先順位を決め、必要な保障内容を取捨選択することが大切です。
比較ポイント1.入院給付金、女性疾病入院給付金、手術給付金の内容
女性保険の基本保障は、一般的に以下の通りです。
女性保険の基本的な保障
- 一般的な病気・ケガの「入院給付金」
- 女性特有の病気に罹患した場合の「女性疾病入院給付金」の上乗せ保障
- 手術を受けたときの「手術給付金」
これらはどの女性保険でも基本的な保障となっていますが、給付条件が異なる場合があるため、以下のポイントに注目するといいでしょう。
女性保険の比較ポイント
- 日帰り入院や、日帰り手術でも保障されるか
- 入院一時金の有無
- 保障対象の範囲(対象となる疾病、がんの状態)
対象となる疾病は、女性特有の病気のみが対象なのか、三大疾病・七大疾病、リウマチが含まれかなど、商品によって特に差が出やすい部分です。
比較ポイント2.がんの保障対象範囲
女性保険において、がんによる給付金が支払われる適用範囲は、商品によって大きく異なります。具体例を挙げると、以下の通りです。
女性保険の適用範囲で確認したいポイント
- 上皮内新生物であっても保障対象になるか
- 保障の適応範囲(乳がん治療のホルモン剤治療や先進医療保険、治療後の乳房再建術は保障対象か など)
上皮内新生物とは、腫瘍細胞が基底膜を超えずに上皮内にとどまっていないもののことです。
それに対してがん(悪性新生物)は、基底膜を超えてさらに深部の細胞に浸潤しているものを指します。
- 「基底膜」とは?
- 肌の表皮と真皮の境界部分にある、厚さ約0.1マイクロメートルの薄い膜のこと
がん(悪性新生物)は、他の部位に転移する可能性がありますが、上皮内新生物にはありません。
医療保険やがん保険であっても、上皮内新生物は保障の対象外になる保険商品もあるため、上皮内新生物の扱いを事前に確認する必要があります。
また、乳がんにて乳房を切除し所定の乳房再建手術を受けた際に、一時金が支給されるかどうかも商品によって異なります。
比較ポイント3. 死亡保障の有無
被保険者が死亡した際に一時金が支払われる「死亡保障」がある女性保険、もしくは特約として付帯可能なケースもあります。
遺された家族の生活費や教育費、葬儀費用の支払いに充てる資金を準備したい人は、女性保険に死亡保障を付けるのも1つの方法です。
死亡保障保険が付帯した女性保険の加入がおすすめの人
- 自分の収入が、家計に占める割合の高い人
反対に専業主婦の場合は、家計における収入面での影響度は大きくないため、死亡保障の必要性は高くないと言えます。
比較ポイント4.特約保障の有無
女性保険は、死亡保障以外にも以下のような特約を付けることができます。
特約名 | 説明 | ||
---|---|---|---|
先進医療保障特約 |
|
||
高度障害保障特約 |
|
||
退院後の通院保障特約 |
|
これらは元々付帯されている商品もあれば、同商品でもタイプによって付帯の有無が異なる場合があります。
検討する商品によってどのような違いがあるか、事前に確認しておきましょう。
選び方2. 保障期間(終身型・定期型)
女性保険の保障期間は、「終身型」と「定期型」があります。
それぞれの仕組み、メリットとデメリットを比較した表です。
メリット | デメリット | おすすめな人 | |
---|---|---|---|
終身型 |
|
|
|
定期型 |
|
|
|
終身型は、ライフステージに関わらず一生涯の医療保障を持っておきたい人向けです。また、年齢が若いうちに加入すれば、老後も安い保険料負担で契約を継続できます。
一方、定期型は、加入時の保険料は終身型に比べて安い傾向にあります。
商品によっては保険期間が満了となった時に、更新をすると引き続き保障を継続できますが、保険料は割高となります。
以下のように年齢特有の備えたい事情が明確にある場合は、それに見合った保障期間の定期型女性保険を選ぶことで毎月の保険料を抑えることができます。
備えたいリスクと年齢(保障期間)の一例
-
20~30代
- 女性特有のがん
- 妊娠出産
-
40〜50代
- 将来の病気に対するリスク

- 前田 祐治
- 関西学院大学教授
その理由は、死亡保険を解約したいと思った時に、医療保険が特約として付いていると死亡保険を解約すれば、医療保険も解約されてしまうので、死亡保険が解約できないというジレンマに陥る可能性があるからです。
【調査データ】みんなはどんな女性保険に加入している?
掛け捨て型?貯蓄型? | 月額保険料の相場 | 保険期間(保障期間)の設定 |
---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
実際に女性保険に加入している人を対象に、ナビナビ保険が独自でアンケート調査を行った結果、以下のような結果となりました。
今回の調査結果のポイント
- 貯蓄型の女性保険加入者よりも、掛け捨て型の女性保険加入者の方が多数
- 月額保険料は、約4割の人が10,000円以内の月額保険料に抑えている
- 期間設定のある定期タイプを選択している人が約6割を占める結果
妊娠や出産などに備えるため、また若年層の乳がん罹患率の高さを意識している、もしくは子供が幼いなどの理由で万が一の際に備えたいなど、一定期間をより手厚く備えるために女性保険に加入している人が多いことが見て取れます。
女性保険に関してよくある質問 Q&A
女性保険に関してよくある質問
Q. 保険の女性特約とは?
保険の女性特約とは、女性特有の病気にかかった際に通常の保障内容に上乗せで給付金が受取れる特約です。
具体的には、乳がん・子宮がん・異常分娩・関節リウマチなど女性に多い疾病が対象です。
詳しくは、女性保険の種類と選び方の章をご覧ください。
Q. 女性疾病特約のメリットは?
女性疫病に備えられる特約のメリットは、女性がかかりやすい病気での入院・手術などに備えられることです。
女性特有の病気はセンシティブなものが多く、入院の際は個室を選択すると治療に専念できると思います。
個室を選択すると個室代がかかるため、女性疾病特約を付けておくと経済的な負担を軽減できます。
詳しくは、女性保険のメリット・デメリットの章をご覧ください。
Q. 医療保険は女性に必要ですか?
A. 女性には女性特有のライフイベント、病気のリスクがあります。
そのようなリスクに備えることができるのが、女性保険です。
女性保険は医療保険と一部重複が発生するため、もし医療保険を考慮中であれば、女性保険との兼ね合いも考えておきましょう。
詳しくは女性保険は医療保険やがん保険と保障が重複する可能性があるの章をご覧ください。
Q. 妊娠中でも女性保険に入れますか?
A. 保険会社によっては、妊娠中であっても女性保険に加入できます。
ただし、加入したあと、妊娠・出産が保障の対象にならないことがあります。また、女性保険に加入できる条件も異なるため、詳細は保険会社にお問い合わせください。
まとめ
女性保険とは、女性だけが加入できる「医療保険」です。乳がんや子宮がんなど女性特有の病気にて入院や手術をすると、給付金が上乗せして支給されるなど、通常の医療保険と比較し手厚い保障を受けられるのが特徴で、万が一の際の安心感に繋がります。
女性保険の選び方は、以下のポイントを比較することです。
女性保険の選び方
貯蓄性の有無では、お祝い金・ボーナスの有無が商品によって異なります。
また、保障内容は保険商品によって違いがでやすいため、以下のポイントを比較するといいでしょう。
保障内容の比較ポイント
ただし、基本的には保障が手厚い、もしくは貯蓄性がある保険商品を選ぶと、月々の保険料は高額になりやすいのが一般的です。
すでに医療保険に加入している場合は、保障内容が重複し、保険料が膨らむ可能性もあります。
優先順位を決めて必要な保障内容を取捨選択し、保障内容と月々の保険料のバランスを考えて自分に適切な女性保険を選びましょう。
その他の保険の種類は、こちらの記事で一覧を確認できます。
これらのポイントを抑えておけば自分に適した女性保険を選ぶことができますが、保険に詳しい人から直接話を聞いて選びたいという人は、ぜひファイナンシャルプランナーへの無料相談もご検討ください。

