医療保険に手術給付金を含んでいる保険商品は多くありますが、保険会社や商品によって給付額・給付条件が異なります。
手術が必要になった際にお金の心配をせずに済むよう、手術給付金の仕組みを理解しておきましょう。
今回は、医療保険の手術給付金についての基礎知識や、保障内容を決めるときのポイントを解説します。
医療保険の手術給付金を決める際のポイント |
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医療保険の手術給付金とは?
医療保険の手術給付金とは、病気やケガで保険会社所定の手術を受けたときに支払われる給付金のことです。
入院給付金とともに主契約に含まれる商品が多くなっていますが、特約として手術給付金の有無を選択できる商品もあります。
手術給付金の保障金額は大きく以下の2種類に分けられます。
手術給付金の種類
- 定額タイプ:手術の種類にかかわらず、外来か入院中に受けたかどうかで給付金の金額が変動するタイプ。
- 倍率変動タイプ:外来手術は定額、入院中の手術は手術の種類によって給付金の金額が変動するタイプ。
定額タイプの場合は「外来手術1回につき5万円」「入院中の手術1回につき入院日額の10万円」のように、手術の種類に関係なく受け取れる給付金額が決まっています。
倍率変動タイプの場合は、手術の種類に応じて受け取れる給付金額が変わります。
例えば入院給付金日額1万円の医療保険に加入し、給付倍率20倍の手術を受けた場合、手術給付金は20万円受け取れます。
開頭術や開胸術のような重大な手術ほど倍率が高くなり、給付金額も多くなるのが一般的です。
手術給付金の種類は基本的に商品ごとに決まっていますが、契約時に定額タイプと倍率変動タイプのどちらかを選択できる商品もあります。
外来手術と日帰り入院手術の違い
外来手術とは、手術当日に来院して手術を受け、その日のうちに帰宅する手術です。
「日帰り手術」と呼ばれることもあります。
日帰り入院とは入院日と退院日が同一日となる入院を指します。
例えば、午前1時などの深夜に緊急搬送されて手術を受け、その日の夕方に退院するようなケースがあてはまります。
医療保険の手術給付金は、入院を伴う手術の方が外来手術よりも給付金額が多くなるケースが一般的です。
日帰り入院手術の場合は、外来手術よりも多くの手術給付金を受け取ることができ、さらに入院給付金も受け取ることが可能です。
医療保険の手術給付金の対象になる手術
医療保険の手術給付金の対象になる手術の範囲は、大きく2つのタイプに分けられます。
手術給付金の給付対象になる手術の範囲
- 公的保険制度の対象となる約1,000種類の手術
- 保険会社の約款で定めている88種類の手術
どちらのタイプかは、商品によって異なりますが、現在主流なのは、公的保険制度に連動して約1,000種類の手術を保障するタイプです。
病院から受け取る領収書の手術欄に点数が記載されていれば基本的に請求対象となるため、保障範囲がわかりやすいという特徴があります。
対象となる手術は商品によっても異なるので、商品の約款を確認する必要があります。
医療保険の手術給付金の対象外になる手術
以下のような手術については手術給付金の対象外となり、給付金が支払われません。
手術給付金の給付対象外になるケース
- 治療を目的としていない手術
- 保険加入前に生じた病気やケガを原因とする手術
- 約款で給付対象外と定めている手術
治療を目的としていない手術には、正常分娩による手術や美容整形などが該当します。
また、一般的には手術給付金の支払い対象になるのは、保障開始後に発生した病気やケガを原因とする手術のみです。
保障開始前に発生した病気やケガを原因とする手術は保障されません。
手術を受ける可能性があることを隠して保険に加入するのは「告知義務違反」です。
給付金が支払われないばかりか、契約を解除されるリスクもあるので正確に告知をしましょう。
約款で給付対象外と定めている手術の例としては以下のようなものが挙げられます。
約款で給付対象外と定めている手術の例
- 創傷処理
- 皮膚切開術
- デブリードマン
- 骨または関節の非観血的整復術、非観血的
- 整復固定術および非観血的授動術
- 抜歯手術
- 鼓膜切開術
- 鼻腔粘膜焼灼術、下甲介粘膜焼灼術および高周波電気凝固法による鼻甲介切除術
- 鼻内異物摘出術および外耳道異物除去術
- 角膜・強膜異物除去術、結膜下異物除去術および結膜結石除去術
参照:終身医療保障保険(無解約返戻金型)ご契約のしおり・約款|メットライフ生命
医療保険の手術給付金は平均いくらもらえる?
医療保険の手術給付金をいくら受け取れるかは、保険の種類や契約内容によって異なり、主に以下の2つに分けられます。
手術給付金の支給額
- 金額が一律で決まっている
- 手術の種類によって変動する
金額が一律で決まっている場合は、契約時に設定された固定額が給付されます。
例えば、1回の手術につき10万円といったように、手術の種類にかかわらず一定額が支払われるパターンです。
一方、手術の種類によって変動する場合は、入院給付金日額に手術ごとの倍率をかけた金額が支払われます。
入院給付金日額1万円で手術倍率が20倍なら給付金額は20万円となり、手術の種類や重さに応じて倍率が変動します。
保険商品ごとに条件が異なるため、事前に契約内容を確認しておきましょう。
加入後に支給額を知りたい場合は、約款(やっかん)や契約のしおりを確認してみてください。
医療保険の手術給付金を決める際のポイント
まずは公的保険制度を利用した際に、どのくらいの自己負担が発生するのかを確認しておきましょう。
医療費は、手術を受ける場合も基本的に自己負担割合は1〜3割です。
さらに手術費用が高額になった場合は、高額療養費制度を利用することもできます。
高額療養費制度とは、ひと月(1日から末日)に支払った医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じて定められている上限額を超えた場合に、超えた分の払い戻しを受けられる制度です。
仮に数十万円の手術費用がかかったとしても、実際に自己負担する金額は数万円程度で済む場合も少なくありません。
高額療養費制度を利用してもカバーしきれない自己負担分を手術給付金で賄うようにすれば、合理的にリスクに備えられます。
次に、手術給付金を選ぶ際の具体的なポイントを確認していきましょう。
医療保険の手術給付金を決める際のポイント
手術給付金の給付倍率を把握する
手術給付金の給付金額は、保険会社や商品によって異なります。
手厚い保障が必要な場合は、給付倍率の高い保険商品を選びましょう。
ただし、給付倍率を高くするとその分保険料の負担も大きくなります。
近年では給付倍率や給付金額を契約時に選べる商品も多くなっているので、家計とのバランスや必要保障額に合わせて倍率に設定しましょう。
手術給付金が給付される条件を確認する
基本的に医療保険では、約款所定の支払事由に該当するたびに、何度でも手術給付金が支払われます。
しかし、手術給付金が支払われる条件は、保険商品によって異なるので以下のような制限が設けられているケースも少なくありません。
手術給付金の給付内容が制限される例
- 同日に複数の手術を受けた場合は、支払額が高額の手術に対してのみ給付金が支払われる
- 放射線治療については60日に1回を給付限度とする
約款に記載されているものの、自分だけで書類の内容を理解するのが難しいと感じる場合は、保険会社の担当者やFPなど保険の専門家に相談してみましょう。


医療保険の手術給付金は何回までもらえる?
医療保険の手術給付金に受け取り上限はなく、何回でも受け取ることが可能です。
しかし、保険会社によっては以下のような条件が設けられていることもあります。
保険会社の条件例
- 施術開始日から60日に1回限度
- 同日に複数の手術を受けた場合は1回分のみの給付
同時や同日に手術給付金の給付対象となる手術を受けた場合、給付金額の高い手術分のみ給付金が支給されます。
まとめ
医療保険の手術給付金は、手術に伴う経済的な負担を軽減するのに役立ちます。
給付金額や給付条件は保険商品ごとに異なるため、公的保険制度適用後の自己負担額や家計とのバランスを見ながら、自分に合った保障を選ぶことが大切です。
医療保険の手術給付金を決める際のポイント |
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具体的に医療保険への加入を検討したい方は、人気の医療保険をランキング形式で紹介している以下のページも参考にしてください。

- 石田 成則
- 関西大学教授
ひと月の間に手術を伴う入院をするケースでは、高額療養費制度があり、民間医療保険がそれほど必要でないことがよくいわれます。ただし、こうした制度には手続きが必要で、かつ支払いまでに一定の期間があります。手術を受け、退院してからの生活費を考えると、民間医療保険の手術給付金が役立つことは多いです。