1. しっかり保険、ちゃんと節約。
  2. 生命保険ランキング
  3. ソルベンシー・マージン比率とは?基準値や計算式などをわかりやすく解説!
更新 更新:2025.07.22

ソルベンシー・マージン比率とは?基準値や計算式などをわかりやすく解説!

ソルベンシー・マージン比率とは?基準値や計算式などをわかりやすく解説!
所有資格
博士(法学)
専門分野・得意分野
保険法、商法
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

ソルベンシー・マージン比率とは?

ソルベンシー・マージン比率とは、保険会社の「支払余力」を示す指標のことで、通常では予測できないようなリスクに対して、どれくらいの備えがあるかを表すものです。

生命保険会社や損害保険会社は、被保険者が払い込むことになる毎月の保険料を「大数の法則」と「収支相等の原則」に基づき、予定死亡率と予定利率、予定事業費率を用いて計算しています。

大数の法則とは?
単体で見れば偶発的で低確率な出来事であっても、母数が大きくなるほどその出来事の発生確率は一定の値に近付くという数学の定理のひとつ
収支相等の原則とは?
「保険期間中の保険料の総額・運用益の合計」と「保険金の支払総額・保険会社の経費」が同額になるように妥当な保険料水準に調整すること

大数の法則と収支相当の原則の計算で導き出された保険料額と保険者数によって得られる資金の一部は、「想定範囲内の保険事故に対して支払う保険金(責任準備金)」として積み立てています。

しかし、稀に通常では考えられないようなリスクが発生するケース(自然現象による大災害、株式の大暴落など)が起こる場合があります。

こういった万が一の不測の事態が発生した場合に、その保険会社がどれくらいの「支払余力」を有しているかを判断するための指標のひとつが「ソルベンシー・マージン比率」です。

監修者からひとこと
土岐 孝宏
  • 土岐 孝宏
  • 中京大学教授
保険会社は、将来の保険金の支払い(約束の履行)に備えて、一定程度の支払増加や金利低下による運用収益の減収など通常予測できる範囲のリスクを想定して算出した責任準備金を積み立てていますが(保険業法116条。なお、これは、貸借対照表上、負債の部に計上され、負債の部の大半をこの準備金が占めることになります)、大規模災害による保険金支払の激増や運用環境の大幅な悪化など、通常予測できる範囲を超えるリスクまではそこに織り込まれておらず、そうした通常の予測を超えたリスクに対しては、保険会社は、自己資本(基金・資本金)やそのために積み立てられている価格変動準備金や(異常)危険準備金などの他の準備金(保険業法115条、116条・保険業法施行規則69条1項3号、70条1項2号・2の2号)で対応することになります。

ソルベンシー・マージン比率は、このような通常の予測を超えたリスクに対して、保険会社がどの程度の支払い余力をもっているのかを表すもので、いわば保険会社の異常なリスクに対する耐性を測る指標です。

ソルベンシー・マージン比率が200%を下回った時の是正措置

ソルベンシー・マージン比率は、各保険会社のホームページなどに記載されています。

この比率が「200%」を下回った場合、金融庁から是正措置が行われることになっています。

また、ソルベンシー・マージン比率が200%以上であっても保険会社の経営破綻リスクがないとは断言できません。

過去に200%以上でも経営破綻した保険会社があります。

ソルベンシー・マージン比率に対する是正措置の内容については以下をご参照ください。

保険会社に係る早期是正措置制度の概要

参考:早期是正措置の概念図(PDF)|金融庁

監修者からひとこと
土岐 孝宏
  • 土岐 孝宏
  • 中京大学教授
ソルベンシー・マージン比率を算出する計算式は、その分子に、異常リスクに対処するため使用することができる資金の総額(基金・資本金、価格変動準備金、危険準備金等)を置き、その分母に、リスクの総額(保険リスク相当額、予定利率相当額、資産運用リスク相当額など)を置くもので、分子(対応資金)≧分母(リスク)となれば、リスク耐性試験に合格することを示しますが、200%以上とは、上記の状態を示しています(記事にあるとおり、リスク量に0.5を掛ける操作をしているため、200%が、対応資金がリスク量と同じかそれ以上にある状態を示すことになります)。

保険会社の格付けとの関係

保険会社は、第三者の格付け機関によってその保険会社の信用力を表す「格付け」が為されています。

格付けを行う際の調査内容には、様々な統計情報が用いられます。

格付け機関によって符号や定義は異なりますが、アルファベットを用いて表記されるのが一般的です。

また、上位の符号寄りの場合には「+」、下位の符号に近い場合は「-」の記号が付く場合もあります。

格付け機関で使用される符号は以下のとおりです。

格付け機関の格付け符号
S&P ムーディーズ 日本格付研究所 格付投資情報センター
AAA Aaa AAA AAA
AA Aa AA AA
A A A A
BBB Baa BBB BBB
BB Ba BB BB
B B B B
CCC Caa CCC CCC
CC Ca CC CC
SD、D C C D
LD、D

格付けの定義は格付け機関によって異なりますが、AAA(Aaa)を最高ランクとして、上位であればあるほど保険金の支払い能力が高いといえます。

一例として格付投資情報センターにおける格付けごとの定義については以下をご参照ください。

保険金支払能力に対する信用格付

  • AAA:保険金支払い能力は最も高く、多くの優れた要素がある
  • AA:保険金支払い能力は極めて高く、優れた要素がある
  • A:保険金支払い能力は高く、部分的に優れた要素がある
  • BBB:保険金支払い能力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある
  • BB:保険金支払い能力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある
  • B:保険金支払い能力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある
  • CCC:保険金支払不能に陥っているか、またはその懸念が強い。支払不能に陥った保険金は回収が十分には見込めない可能性がある
  • CC:保険金支払不能に陥っているか、またはその懸念が極めて強い。支払不能に陥った保険金は回収がある程度しか見込めない
  • C:保険金支払不能に陥っており、保険金の回収もほとんど見込めない
    ※:AA格からCCC格については、上位格に近いものにプラス、下位格に近いものにマイナスの表示をすることがあります

参考:格付符号と定義|格付投資情報センター

なお、保険を選ぶ際には上記の格付けが「BBB」以上のものを選ぶのが良いとされているので、ぜひ覚えておきましょう。

ソルベンシー・マージン比率の計算式

ソルベンシー・マージン比率の計算式は以下のとおりです。

ソルベンシー・マージン比率の計算式

  • ソルベンシー・マージン総額÷(通常の予測を超えるリスクに対する額×0.5)×100

計算式としては非常にシンプルですが、計算に用いる数字は様々な情報が用いられるため、計算内容は非常に複雑です。

そのため、保険会社の公式ホームページに記載されているソルベンシー・マージン比率を確認した方が確実な値を調べることができます

ソルベンシー・マージン総額

ソルベンシー・マージン総額とは、保険会社の自己資本の額のことです。

基本的な内容として、以下の価額が含まれています。

ソルベンシー・マージン総額に含まれるもの

  • 資本金(基金)
  • 価格変動準備金
  • 危険準備金
  • 一般貸倒引当金
  • 有価証券の評価差額×90%(含み損の場合は100%)
  • 土地の含み損益×85%(含み損の場合は100%)
  • 解約返戻金相当額超過部分
  • 負債性資本調達手段等

参照:ソルベンシー・マージン比率の概要について|金融庁 監督局 保険課

通常の予測を超えるリスクに対応する額

「通常の予測を超えるリスクに対応する額」は、以下の5つのリスクを数値化して算出されます。

通常の予測を超えるリスクに対応する額
リスク 内容
保険リスク 将来的に起こり得る保険事故の発生率が、通常の予測を超える場合に発生するリスクのこと
死亡保険では予測よりも死亡率が高かった場合、個人年金保険では通常よりも契約者が長生きした場合などが本リスクに該当する
予定利率リスク 責任準備金の算出の基礎となる「予定利率」が確保できなくなるリスクのこと
保険会社が保有する資産の収益率低下による「逆ざや」となる金額の期待値を計測して算出
資産運用リスク 価格変動で保険会社が保有する有価証券やその他の資産に対して発生しうるリスクのこと
取引先への債務不履行や子会社等への投資、先物取引・オプション取引などが原因で発生するリスクも含まれる
最低保証リスク 特別勘定を行う資産に対して、通常の予測を超える価額の変動があった場合に発生しうるリスクのこと
経営管理リスク 保険会社としての経営判断の誤り等が原因によるリスク
事務面、電算システムにおける事故などの事業経営上のリスクなど

参照:ソルベンシー・マージン比率の概要について|金融庁 監督局 保険課

ソルベンシー・マージン比率に関するよくある質問Q&A

ソルベンシー・マージン比率に関する「よくある質問」にお答えします。

Q. ソルベンシー・マージン比率が200%以上あれば、絶対に安全ですか?

A. ソルベンシー・マージン比率が200%以上の場合であっても安全とは言い切れません。

過去にはソルベンシー・マージン比率が200%を超えていても経営破綻した保険会社もあります。

また、比較的新しい保険会社は、そもそもの被保険者数が少ないことから想定されうるリスクも少なく、ソルベンシー・マージン比率が高くなる傾向にあります。

そのため、ソルベンシー・マージン比率は保険会社が健全に経営されているかどうかを測るための、目安のひとつとして確認するのが良いといえます

監修者からひとこと
土岐 孝宏
  • 土岐 孝宏
  • 中京大学教授
ソルベンシー・マージン比率が200%未満になるということは、対応資金の額のほうが、リスクの額よりも少ない状態になる(分子(対応資金)≦分母(リスク))ということを意味します。自己資本や準備金をもって、異常のリスクには対処できない状態にあるということになりますから、この場合には、保険会社の健全性に問題があるとして、業務改善命令などの行政介入(早期是正措置)が行われることになります(保険業法132条2項、保険業法第132条第2項に規定する区分等を定める命令2条)。

そのように、ソルベンシー・マージン比率は、早期警戒アラートをならすための基準であり、保険会社の絶対的な健全性(倒産しない)を保証するものではありません。したがって、リーマンショックのように、極めて大きな変動が急速に起こる場合には、たとえ前年度に200%以上あった会社でも、もたなくなるということがでてくるわけです。この時は、保険契約者保護機構に救済してもらうことになりますが、少額短期保険会社にこの制度の適用はないため、保険会社以上に、そのソルベンシーマージン比率には注意しておく必要があるとも言えます。

Q. もし保険会社が破綻をすれば契約はどうなりますか?

A. 保険会社が経営破綻してしまっても「生命保険契約者保護機構」によって契約は保全されているため、契約そのものが無くなってしまうことは基本的にありません。

日本国内で事業を行う保険会社は、生命保険契約者保護機構への加入が義務付けられています。

そのため、保険会社の契約者はもれなく保険契約者保護機構による保護の対象です。

ただし、生命保険契約者保護機構によって補償されるのは、保険会社が破綻したときにおける補償対象契約の責任準備金等(※)の90%までです

保険契約の全額が補償される訳ではないのでご注意ください。

「責任準備金」とは?
保険会社が将来の保険金・年金・給付金等の支払いに備え、保険料や運用収益などを財源として積み立てている準備金のこと

まとめ

ソルベンシー・マージン比率は、通常では考えられないようなリスクに対する保険会社の「支払余力」のことをいいます。

一般的にはソルベンシー・マージン比率200%以上であれば、保険会社の経営は健全であるといえます。

ただし、ソルベンシーマージン比率が200%以上でも経営破綻した保険会社もあるため、あくまで経営の健全性を知るための目安の1つと考えると良いでしょう。

保険会社を選ぶときは、ソルベンシー・マージン比率だけでなく、保険料収入や利益(基礎利益)なども確認すると良いでしょう。

土岐 孝宏
土岐 孝宏
中京大学教授
立命館大学大学院・法学研究科博士課程を修了し、博士(法学)を取得。中京大学 法学部講師・准教授を経て、現在同学部教授。Max-Planck外国私法・国際私法研究所(ドイツ・ハンブルク)客員研究員。日本保険学会評議員。
所有資格
博士(法学)
専門分野・得意分野
保険法、商法
中村 翔也
中村 翔也
Webライター/ファイナンシャルプランナー
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般
しっかり保険、ちゃんと節約。編集部
しっかり保険、ちゃんと節約。編集部
しっかり保険、ちゃんと節約。編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

おすすめの関連記事