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更新 更新:2024.10.04

共済と保険の違いは?加入のデメリットやメリット、選び方を解説

共済と保険の違いは?加入のデメリットやメリット、選び方を解説
所有資格
博士(商学)、Master of Business Administration (Hons.)、Master of Science
専門分野・得意分野
保険、リスクマネジメント、社会保障
所有資格
CFP®(公認ファイナンシャルプランナー) 、TLC(生命保険協会認定FP)、損害保険プランナー、証券外務員一種、日商簿記検定簿記2級
専門分野・得意分野
損害保険、生命保険、投資、税金
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

共済とは?

共済とは、「お互いにお金を出し合って助け合う」という精神をあらわす言葉です。

共済保険は、組合員(保険加入者)の中で困っている人がいた場合に、組合員全員で出し合った共済金で保障する仕組みで、次のような特徴があります。

共済保険の特徴

  • 万一のときの医療費や死亡時のリスクに対しての保障が得られる
  • 非営利事業である(一般的な保険商品は営利事業)
  • 加入対象者は原則、組合員とその家族に限られる
  • 生命保険とは根拠法や監督官庁などが異なる
  • 日本全国で種類が異なる共済が展開されている
  • 年齢や性別で掛金(保険料)の差が小さく、掛金が比較的安め
  • 決算期に剰余金がある場合に「割戻金」が得られる可能性がある

共済保険の代表的なものとしては「県民共済」や「こくみん共済(全労済)」などが挙げられます。

月々の掛金が少額で済むことから、まとまった資金がない人でも気軽に加入しやすいことが特徴です。

その一方で、共済は死亡保障と医療保障がパッケージングされているタイプが多く、自分で保障内容をカスタマイズしづらいことが欠点です。

共済の主な種類

共済保険の主な種類は、次のとおりです。

共済保険の主な種類

  • こくみん共済(全労済):全国労働者共済生活協同組合連合会
  • 都道府県民共済(県民共済):都道府県民共済グループ(全国生活協同組合連合会)
  • コープ共済連:日本コープ共済生活協同組合連合会
  • JA共済:全国共済農業協同組合連合会

一言で「共済」といっても、上記のような種類があり、それぞれで運営組織が異なります。

また、住んでいる地域によって加入可否が決まるなど、共済の組合員となるための条件も設けられています。

生命保険なら好みの保険商品や保険会社を自分で選べますが、共済の場合は住んでいる地域などによって、加入可能な共済がある程度決まっているということを覚えておきましょう。

共済のメリット・デメリット

共済には、次のようなメリットとデメリットが存在します。

共済のメリット

  • 掛金が割安で手軽に加入できる
  • 年齢や性別により掛金の差が大きくない
  • 保障内容がシンプルで、医療保障と死亡保障がパッケージングされている
  • 決算期に剰余金がある場合は組合員に割戻金が支払われる場合がある

 共済のデメリット

  • 保障内容は生命保険のほうが充実していて、場合によっては保障が不十分な場合がある
  • パッケージングされているタイプがほとんどなため、保障内容を柔軟に選べない
  • 共済の種類や地域によってそもそも加入できない場合や特定の保障に加入できないことがある

共済の掛金は、月々1,000〜2,000円程度であるケースが一般的です。

生命保険のように年齢や性別により掛金の差が大きくなく、年齢を問わず、月々の支出を抑えつつ保障を備えられることがメリットといえます。

監修者からひとこと
諏澤 吉彦
  • 諏澤 吉彦
  • 京都産業大学教授
共済掛金が、同等の保障を伴う保険の保険料に比べて低い場合が多いことには、いくつかの理由があります。まず、記事にもあるとおり共済は、組合員とその家族が加入者となるものです。また、都道府県民共済のように加入者の居住地域が限定されるものもあります。

このため、様々な個人や企業・組織を広く契約者として引き受ける保険に比べ、契約引受け、維持・管理、保険金支払いにかかる経費を節減することが可能です。このことから共済掛金に含まれる付加保険料(保険者の経費や資金調達費用の原資となる保険料の部分)相当部分を低く抑えることができると言えます。

さらに、医療保障と死亡保障がパッケージングされた内容となっているため、自分で保障内容を選ぶ手間が少ないことも特徴です。

一方、共済の保障内容よりも生命保険のほうが充実しており、共済保険では万一のことが起こった場合、保障が不十分となってしまう可能性があります

また、メリットで挙げた「保障内容がパッケージングされている」ということは、裏を返せば自分で保障内容をカスタマイズしづらいともいえます。

それに加えて、共済の種類や地域によっては、そもそも加入できないケースや必要な保障を付帯できないケースもあるので注意が必要です。

監修者からひとこと
諏澤 吉彦
  • 諏澤 吉彦
  • 京都産業大学教授
共済掛金が低い傾向にあることには、共済組合が引き受けているリスクが全体として均質であるという理由もあります。共済組合は、比較的同質で損失強度の小さい組合員のリスクを引き受けているため、予想を大幅に超えた高額の共済金を同時に支払わなければならない確率は、それほど高くありません。

このため、共済掛金の付加保険料相当部分に高額のリスク割増を上乗せする必要がない場合が多いと言えます。一方で、非組合員には共済加入が制限されるか、加入が可能であっても別途出資金の払込み手続きが必要となる場合があるので、留意する必要があります。

共済と生命保険の違い

共済保険と生命保険は、どちらも万一のときの医療保障や死亡保障を備えておくためのもので、似たようなイメージを持っている人も多いかもしれません。

ですが、実際には次の一覧表でまとめたような違いがあり、それぞれで使われている用語や根拠法令、監督官庁などが異なります。

共済保険と生命保険の比較

共済の加入対象者は組合員とその家族だけに限定されていますが、生命保険などは条件を満たして保険料を払込さえすれば、誰でも加入することが可能です。

保険の種類(保障内容)に関しては、共済よりも生命保険のほうが圧倒的に充実しており、家族や収支状況によって保障内容をカスタマイズしやすいといえます。

ただし、共済保険は職業による診査が行われないので、通常の職業よりも事故のリスクが高い職業に就いている人でも安心して保障を備えられることがメリットです。(危険職業の場合には、その職業に従事している間に生じた事故は保障対象外となります。) 

その一方で、共済は運営組織が破綻した場合に加入者に対しての保障が一切ありません。

生命保険の場合は「生命保険契約者保護機構」によって、最大90%の責任準備金等が保障されるといった違いがあります。

これらの違いを理解した上で、共済に向いている人・向いていない人の特徴をご紹介していきます。

監修者からひとこと
諏澤 吉彦
  • 諏澤 吉彦
  • 京都産業大学教授
職業審査がないことに加え、共済への加入に際しては、保険のような厳密なリスク審査が行われない場合があります。しかし、加入申込書には、保険と同様に年齢や性別、既往症の有無・種類など、リスクに関わる事項を記載する必要があります。これらの記載事項に関して、申込者は告知義務を負いますので、真実に従い記載しなければなりません。

また、保険のように詳細なリスク細分化は行われなくても、年齢などによって保険料に一定の差が設けられている場合もあります。他方で民間の医療保険とは異なり、年齢が進んでも掛金の引上げがない共済も見られますので、予め確認するとよいでしょう。

共済に向いている人

共済に向いている人は、次のような特徴がある人です。

共済に向いている人の特徴

  • 経済的な理由で保険への加入が難しい人
  • 単身者、子供が独立済みなどで保障が少なくても問題ない人
  • いまの保険契約に加えて、少額で保障を上乗せしたい人
  • なるべく手間を掛けずに保障を準備したい人

共済の特徴は、医療保障や死亡保障がパッケージングされていて、月々の掛金が少額で済むという点です。

この特徴から、なるべく手間を掛けずに保障を準備しておきたい人や、経済的な理由から保険への加入が難しい人には、共済が向いているといえます。

また、少額で保障を備えられるメリットを活かして、すでに加入中の保険契約はそのままに、少額で保障を上乗せしたいと考えている人にもおすすめです。

共済にあまり向いていない人

一方で、共済にあまり向いていない人の特徴は、次のとおりです。

共済にあまり向いていない人の特徴

  • 一生涯の保障が欲しい人
  • 貯蓄性のある保険に加入したい人
  • 家族が多い、子供が幼いなどの理由から共済の保障内容では不十分な人
  • 保障内容を自分でカスタマイズしたい人

共済は少額で加入できることが特徴ですが、その反面、保障内容が不十分となる可能性があります。

単身者や子供がすでに独立しているのであれば共済の保障内容でも十分ですが、子供が幼い場合や家族が多い場合には、保障が充実している保険契約を選んだほうが良いでしょう。

また、一生涯の保障を備えておきたい人や、貯蓄性のある保険に加入したい人も、共済には不向きといえます。

自分に合った共済の選び方

冒頭でもお伝えしたとおり、一言で“共済”といっても、いくつかの種類が存在するため、どの共済を選べば良いかわからない人も多いのではないでしょうか。

「自分に合った共済の選び方」についてご紹介していくので、これから共済保険に加入しようと検討中の人は、ぜひ参考にしてください。

共済に加入する目的

まずは、共済に加入する目的を明確にしておきましょう。

共済保険と一般的な生命保険、同じ共済同士であっても、商品や種類ごとに保障内容や特徴が異なります。

自分が共済に加入する目的を再確認し、その目的に見合った保障内容の共済を選ぶようにしてみてください。

保障額を確認する

続いて、共済の保障額についてもよく確認しておきましょう。

共済の種類によって、万一のことが起きた場合の保障額は大きく異なります

病気や事故で入院する可能性などを考慮して、必要とされる保障額をシミュレーションしておきましょう。

具体的な保障額や共済保険の詳細については、各共済へ直接問い合わせをしてご確認ください。

自分に合った保障が分からない方は、FP相談も検討を

ここまで、自分に合った共済の選び方についてご紹介してきましたが、中には「自分に合った保障が分からない」という人も少なくないのではないでしょうか。

そういった場合は、保険やお金に関する豊富な知識と経験を有するファイナンシャルプランナー(FP)への相談をご検討ください

家族状況や年齢、現在の収支状況から将来を見据えた老後設計まで、ありとあらゆるご相談に無料でご対応いたします。

また、ご相談いただく方のご都合の良い日時、場所までお伺いしてのご相談やオンラインでのご相談も受け付けているので、お気軽にご利用ください。

まとめ

共済保険は、各種協同組合が非営利で運営している「相互扶助」の精神で成り立っている保障制度です。

少額で加入でき、手間を掛けずに保障を備えられることが特徴です。

一方、自分で保障内容をカスタマイズしづらく、家族が多い場合や子供が幼い場合には、保障内容が不十分となってしまう可能性があります。

そのため、ご自身の家族状況や必要な保障額に応じて、共済に加入すべきか、通常の生命保険に加入すべきかを選ぶのが良いでしょう。

諏澤 吉彦
諏澤 吉彦
京都産業大学教授
米国St. John’s University College of Insurance(現 Peter J. Tobin College of Business)において経営学修士(優等学位)および理学修士、そして一橋大学大学院商学研究科において博士(商学)を取得。損害保険料率算出機構に勤務した後、京都産業大学経営学部専任講師、准教授を経て現在は教授。Asia-Pacific Risk and Insurance Association理事などを歴任し、現在は生活経済学会理事、日本保険学会評議委員。
所有資格
博士(商学)、Master of Business Administration (Hons.)、Master of Science
専門分野・得意分野
保険、リスクマネジメント、社会保障
小宮 崇之
小宮 崇之
(株)コミヤ保険サービス代表取締役/損害保険プランナー
大学卒業後、信用金庫に入社。金融機関から独立して、中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。保険会社の代理店営業職を経て、損保ジャパンの研修生を5年間経験し、2020年9月に㈱コミヤ保険サービスという保険代理店を設立致しました。現在は、損害保険、生命保険の代理店を経営しております。また、保険代理店の実務経験を生かして、FPとして執筆業や講師業にも取り組んでおります。
所有資格
CFP®(公認ファイナンシャルプランナー) 、TLC(生命保険協会認定FP)、損害保険プランナー、証券外務員一種、日商簿記検定簿記2級
専門分野・得意分野
損害保険、生命保険、投資、税金
中村 翔也
中村 翔也
Webライター/ファイナンシャルプランナー
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
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ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般
ナビナビ保険編集部
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ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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