共済とは?
共済とは、「お互いにお金を出し合って助け合う」という精神をあらわす言葉です。
共済保険は、組合員(保険加入者)の中で困っている人がいた場合に、組合員全員で出し合った共済金で保障する仕組みで、次のような特徴があります。
共済保険の特徴
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万一のときの医療費や死亡時のリスクに対しての保障が得られる
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非営利事業である(一般的な保険商品は営利事業)
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加入対象者は原則、組合員とその家族に限られる
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生命保険とは根拠法や監督官庁などが異なる
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日本全国で種類が異なる共済が展開されている
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年齢や性別で掛金(保険料)の差が小さく、掛金が比較的安め
- 決算期に剰余金がある場合に「割戻金」が得られる可能性がある
共済保険の代表的なものとしては「県民共済」や「こくみん共済(全労済)」などが挙げられます。
月々の掛金が少額で済むことから、まとまった資金がない人でも気軽に加入しやすいことが特徴です。
その一方で、共済は死亡保障と医療保障がパッケージングされているタイプが多く、自分で保障内容をカスタマイズしづらいことが欠点です。
共済の主な種類
共済保険の主な種類は、次のとおりです。
共済保険の主な種類
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こくみん共済(全労済):全国労働者共済生活協同組合連合会
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都道府県民共済(県民共済):都道府県民共済グループ(全国生活協同組合連合会)
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コープ共済連:日本コープ共済生活協同組合連合会
- JA共済:全国共済農業協同組合連合会
一言で「共済」といっても、上記のような種類があり、それぞれで運営組織が異なります。
また、住んでいる地域によって加入可否が決まるなど、共済の組合員となるための条件も設けられています。
生命保険なら好みの保険商品や保険会社を自分で選べますが、共済の場合は住んでいる地域などによって、加入可能な共済がある程度決まっているということを覚えておきましょう。
共済のメリット・デメリット
共済には、次のようなメリットとデメリットが存在します。
共済のメリット
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掛金が割安で手軽に加入できる
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年齢や性別により掛金の差が大きくない
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保障内容がシンプルで、医療保障と死亡保障がパッケージングされている
- 決算期に剰余金がある場合は組合員に割戻金が支払われる場合がある
共済のデメリット
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保障内容は生命保険のほうが充実していて、場合によっては保障が不十分な場合がある
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パッケージングされているタイプがほとんどなため、保障内容を柔軟に選べない
- 共済の種類や地域によってそもそも加入できない場合や特定の保障に加入できないことがある
共済の掛金は、月々1,000〜2,000円程度であるケースが一般的です。
生命保険のように年齢や性別により掛金の差が大きくなく、年齢を問わず、月々の支出を抑えつつ保障を備えられることがメリットといえます。

- 諏澤 吉彦
- 京都産業大学教授
このため、様々な個人や企業・組織を広く契約者として引き受ける保険に比べ、契約引受け、維持・管理、保険金支払いにかかる経費を節減することが可能です。このことから共済掛金に含まれる付加保険料(保険者の経費や資金調達費用の原資となる保険料の部分)相当部分を低く抑えることができると言えます。
さらに、医療保障と死亡保障がパッケージングされた内容となっているため、自分で保障内容を選ぶ手間が少ないことも特徴です。
一方、共済の保障内容よりも生命保険のほうが充実しており、共済保険では万一のことが起こった場合、保障が不十分となってしまう可能性があります。
また、メリットで挙げた「保障内容がパッケージングされている」ということは、裏を返せば自分で保障内容をカスタマイズしづらいともいえます。
それに加えて、共済の種類や地域によっては、そもそも加入できないケースや必要な保障を付帯できないケースもあるので注意が必要です。

- 諏澤 吉彦
- 京都産業大学教授
このため、共済掛金の付加保険料相当部分に高額のリスク割増を上乗せする必要がない場合が多いと言えます。一方で、非組合員には共済加入が制限されるか、加入が可能であっても別途出資金の払込み手続きが必要となる場合があるので、留意する必要があります。
共済と生命保険の違い
共済保険と生命保険は、どちらも万一のときの医療保障や死亡保障を備えておくためのもので、似たようなイメージを持っている人も多いかもしれません。
ですが、実際には次の一覧表でまとめたような違いがあり、それぞれで使われている用語や根拠法令、監督官庁などが異なります。
共済の加入対象者は組合員とその家族だけに限定されていますが、生命保険などは条件を満たして保険料を払込さえすれば、誰でも加入することが可能です。
保険の種類(保障内容)に関しては、共済よりも生命保険のほうが圧倒的に充実しており、家族や収支状況によって保障内容をカスタマイズしやすいといえます。
ただし、共済保険は職業による診査が行われないので、通常の職業よりも事故のリスクが高い職業に就いている人でも安心して保障を備えられることがメリットです。(危険職業の場合には、その職業に従事している間に生じた事故は保障対象外となります。)
その一方で、共済は運営組織が破綻した場合に加入者に対しての保障が一切ありません。
生命保険の場合は「生命保険契約者保護機構」によって、最大90%の責任準備金等が保障されるといった違いがあります。
これらの違いを理解した上で、共済に向いている人・向いていない人の特徴をご紹介していきます。

- 諏澤 吉彦
- 京都産業大学教授
また、保険のように詳細なリスク細分化は行われなくても、年齢などによって保険料に一定の差が設けられている場合もあります。他方で民間の医療保険とは異なり、年齢が進んでも掛金の引上げがない共済も見られますので、予め確認するとよいでしょう。
共済に向いている人
共済に向いている人は、次のような特徴がある人です。
共済に向いている人の特徴
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経済的な理由で保険への加入が難しい人
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単身者、子供が独立済みなどで保障が少なくても問題ない人
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いまの保険契約に加えて、少額で保障を上乗せしたい人
- なるべく手間を掛けずに保障を準備したい人
共済の特徴は、医療保障や死亡保障がパッケージングされていて、月々の掛金が少額で済むという点です。
この特徴から、なるべく手間を掛けずに保障を準備しておきたい人や、経済的な理由から保険への加入が難しい人には、共済が向いているといえます。
また、少額で保障を備えられるメリットを活かして、すでに加入中の保険契約はそのままに、少額で保障を上乗せしたいと考えている人にもおすすめです。
共済にあまり向いていない人
一方で、共済にあまり向いていない人の特徴は、次のとおりです。
共済にあまり向いていない人の特徴
- 一生涯の保障が欲しい人
- 貯蓄性のある保険に加入したい人
- 家族が多い、子供が幼いなどの理由から共済の保障内容では不十分な人
- 保障内容を自分でカスタマイズしたい人
共済は少額で加入できることが特徴ですが、その反面、保障内容が不十分となる可能性があります。
単身者や子供がすでに独立しているのであれば共済の保障内容でも十分ですが、子供が幼い場合や家族が多い場合には、保障が充実している保険契約を選んだほうが良いでしょう。
また、一生涯の保障を備えておきたい人や、貯蓄性のある保険に加入したい人も、共済には不向きといえます。
自分に合った共済の選び方
冒頭でもお伝えしたとおり、一言で“共済”といっても、いくつかの種類が存在するため、どの共済を選べば良いかわからない人も多いのではないでしょうか。
「自分に合った共済の選び方」についてご紹介していくので、これから共済保険に加入しようと検討中の人は、ぜひ参考にしてください。
共済に加入する目的
まずは、共済に加入する目的を明確にしておきましょう。
共済保険と一般的な生命保険、同じ共済同士であっても、商品や種類ごとに保障内容や特徴が異なります。
自分が共済に加入する目的を再確認し、その目的に見合った保障内容の共済を選ぶようにしてみてください。
保障額を確認する
続いて、共済の保障額についてもよく確認しておきましょう。
共済の種類によって、万一のことが起きた場合の保障額は大きく異なります。
病気や事故で入院する可能性などを考慮して、必要とされる保障額をシミュレーションしておきましょう。
具体的な保障額や共済保険の詳細については、各共済へ直接問い合わせをしてご確認ください。
自分に合った保障が分からない方は、FP相談も検討を
ここまで、自分に合った共済の選び方についてご紹介してきましたが、中には「自分に合った保障が分からない」という人も少なくないのではないでしょうか。
そういった場合は、保険やお金に関する豊富な知識と経験を有するファイナンシャルプランナー(FP)への相談をご検討ください。
家族状況や年齢、現在の収支状況から将来を見据えた老後設計まで、ありとあらゆるご相談に無料でご対応いたします。
また、ご相談いただく方のご都合の良い日時、場所までお伺いしてのご相談やオンラインでのご相談も受け付けているので、お気軽にご利用ください。
まとめ
共済保険は、各種協同組合が非営利で運営している「相互扶助」の精神で成り立っている保障制度です。
少額で加入でき、手間を掛けずに保障を備えられることが特徴です。
一方、自分で保障内容をカスタマイズしづらく、家族が多い場合や子供が幼い場合には、保障内容が不十分となってしまう可能性があります。
そのため、ご自身の家族状況や必要な保障額に応じて、共済に加入すべきか、通常の生命保険に加入すべきかを選ぶのが良いでしょう。