肝硬変とは、肝臓の慢性的なダメージや疾患が進行することによって、肝機能が低下する病気です。
40〜60代の中には、肝硬変と診断されて「もしものこと」を現実的に考えるようになったという方は多いでしょう。配偶者や子どもといった家族を支える立場にいる人も多く、経済的な不安も大きくなりがちです。
肝硬変が悪化した場合などに備えて生命保険への加入を検討しているものの、「保険に加入するのは難しいのでは?」と半ば諦めている方もいるかもしれません。
本記事では、肝硬変でも入れる可能性のある保険の種類や基準、おすすめのプランを解説します。
肝硬変でも保険に入れる?
肝硬変の方が加入できる可能性がある保険は以下のとおりです。
加入するための条件を詳しくみていきましょう。
通常の医療保険・死亡保険へは加入が難しい
肝硬変になった場合、通常の医療保険やがん保険、死亡保険への加入は難しいと考えたほうがよいでしょう。
肝硬変は、肝臓の機能が徐々に低下していく進行性の病気です。
症状が出にくいまま機能が低下していくことが多く、肝臓がんなどの重い合併症を引き起こす可能性があります。
保険会社は、申込者の健康状態を告知書で確認し、引受の可否を判断します。
肝硬変のように健康リスクや死亡リスクが高いケースでは、給付金や保険金の支払いリスクも高まると判断され、審査に通過するのが難しくなるのです。
引受基準緩和型保険は治療中でも入院がなければ加入できるかも
肝硬変を患っている場合でも、引受基準緩和型保険であれば加入できる可能性があります。
引受基準緩和型保険とは、通常の保険と比較して告知事項が少なく、持病や既往症がある方でも加入しやすい保険です。
保険会社によっても異なりますが、一般的に以下のような告知項目が設けられており、該当する項目が全くなければ基本的に申込できます。
多くの引受基準緩和型保険の告知項目
- 最近3ヶ月以内に、医師から入院・手術をすすめられたことがある
- 過去2年以内に、入院・手術をしたことがある
- 過去5年以内に、がん、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症で、医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがある
参照:健康状態に不安がある人でも、契約できる医療保険とは?|生命保険文化センター
多くの保険会社では、肝硬変に関して5年以上診察を含む治療がなければ告知項目に該当しないため、加入できる可能性は高いでしょう。
しかし、中には「入院がない」ことを基準としている保険会社もあります。
一部の引受基準緩和型保険の告知項目
- 最近3ヶ月以内に、医師から入院・手術をすすめられたことがある
- 過去2年以内に、入院・手術をしたことがある
- 過去5年以内に、がんと診断されたことがある
- 過去5年以内に、肝硬変、統合失調症、認知症で入院したことがある
引受基準緩和型保険は保険会社によって、審査基準や保険料、保障内容が違うためしっかり比較して検討しましょう。
告知なしの無選択型保険も加入できる
無選択型保険も肝硬変の方が加入しやすい保険の一つです。
無選択型保険は、保険会社に対して健康状態の申告(告知)が必要ない商品なので、持病や既往症がある方や、直近で入院や手術の経験がある方でも基本的に加入できます。
ただし、無選択型保険には以下のように複数のデメリットがあります。
無選択型保険のデメリット
- 通常の生命保険や引受基準緩和型保険よりも保険料が割増されている
- 加入してから一定期間は保障対象外となる期間がある
- 加入してから一定期間は保険金額が削減される場合がある
- 持病や既往症の悪化は保障されない
- 定期タイプ(一定年数)がほどんどである
保障内容と保険料のバランスを考えた上で、本当に加入する必要があるのか慎重に検討した方がよいでしょう。
肝硬変は保険適用される?
肝硬変で入院や手術、通院などをした場合は、公的保険制度が適用されるため年齢や所得に応じて1〜3割の自己負担で治療を受けられます。
医療保険や生命保険に加入している場合は、入院や手術を行ったときに保険金(給付金)が受け取れる可能性があります。
ただし、肝臓に関する病気を保障対象外とする「部位不担保」などの条件がついている場合は、保険金(給付金)は受け取れないので、保険証券や約款を確認しておきましょう。
肝硬変の方におすすめの保険プラン
肝硬変は症状の度合いや合併症の有無によって、長期入院が必要になる場合があります。
厚生労働省の「令和5年(2023)患者調査」によれば、肝硬変の平均在院日数は22.3日で、消化器系の疾患全体(10.3日)よりも長期化する傾向があることがわかっています。
参照:令和5年(2023)患者調査 統計表7 退院患者の平均在院日数,年次・傷病大分類別|厚生労働省
入院が長引くと、医療費だけではなく差額ベッド代や食事代など公的医療保険の対象外となる費用の負担も大きくなりやすいため、1日あたりの入院給付金を高めに設定しておくとよいでしょう。
短期間の入院でもまとまったお金を受け取れるように「入院一時金」がついたプランを選ぶのも一つの方法です。
また、肝硬変の場合、退院後も通院治療や定期検査が必要になることが少なくありません。
通院特約を付ければ、退院後の通院日数に応じて給付金が支払われるため、交通費や薬代などの出費をカバーしやすくなります。


入院や手術時に活用できる公的保険制度
肝硬変の方が万が一入院や手術を受けることになった場合は、以下の公的保険制度が活用できます。
入院や手術時に活用できる公的保険制度
- 高額療養費制度
- 傷病手当金
高額療養費制度とは、1ヶ月に支払った医療費が高額になった場合、所定の限度額(所得や年齢によって異なる)を超えた分が払い戻される制度です。
高額療養費制度を利用すると、1日〜月末までに支払った医療費が100万円以上の高額になった場合でも、数万円程度の自己負担で済むケースは珍しくありません。
傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けなくなったときに、最大1年6ヶ月間、休業前の標準報酬日額の2/3相当が支給される制度です。
会社員や公務員を対象とした制度であり、自営業やフリーランスは利用できないため注意しましょう。
制度の詳しい内容や申請方法などは、以下のページで解説しています。
まとめ
この記事のポイント
- 引受基準緩和型保険や無選択型保険なら、肝硬変でも入れる保険が見つかる可能性がある
- 肝硬変の方には入院給付金や通院給付金を充実させたプランがおすすめ
- 民間の医療保険だけではなく公的保険制度(高額療養費制度、傷病手当金など)も活用しよう
保険会社ごとに審査基準や保障内容が異なるため、保険商品を選ぶ際には、複数比較してみるのがおすすめです。
自分に合った商品が見つけられるか不安な方は、ファイナンシャルプランナーへの無料相談も検討しましょう。

