加西市という兵庫県の市を知っていますか?
近年、都市部への人口集中が問題になっている中、特に子育ての分野で注目を集めている自治体の1つです。
今回はそんな加西市での取り組みを、加西市役所人口増政策課の牛尾さんと吉川さんにお話を聞いてきました!
この記事でわかること
- 加西市の子育て応援「5つの無料化」の具体的な内容
- 加西市の企業や市民を巻き込んだSDGsへの取り組み内容
- 屋内型遊戯施設とテレワークセンターが併設している「アスも」を設立した背景
加西市の子育て応援「5つの無料化」について
編集部 入江
早速ですが、加西市が実施している子育て支援について教えてください!
加西市
加西市では子育てに関して、以下5つの無料化を実施しています。
参照:加西市 特設ホームページ
編集部 入江
かなり無料化が多いので、どれも攻めている施策ですよね……?
加西市
そうですね。経済的な支援という観点においては、全国で見てもトップクラスの支援だと思います。もちろん、いずれも第1子からが対象で所得制限もありません。
編集部 入江
それでは、それぞれ詳しく教えてください!
1. 保育所・認定こども園の保育料の無料化(0歳~5歳児の保育料)
編集部 入江
まず、「保育所・認定こども園の保育料の無料化」の政策について詳しく教えてください!
加西市
名前の通りなのですが、加西市では0歳~5歳児の保育料が無料になっています。
国の政策では3歳~5歳児の保育料が無料なのですが、加西市ではそれに加えて保育料が高くなる0歳~2歳児の保育料も無料にしています。
編集部 入江
0歳~2歳は保育料が高いんですね~。
加西市
基本的に年齢が低くなるほど保育料は高くなっていきます。
例えば、保育園に1か月間子どもを預けるとすると、年齢によりますが約4~5万円かかります。1年間預けると約48万円~60万円になるので、それが無料となると経済的に助かりますよね。
編集部 入江
1年で60万円が浮くのはかなり助かりますね。こういった施策は他の自治体でも行っているんですか?
加西市
0歳~2歳を含めて、第1子からの保育料無料化の施策を実施している地方自治体はほとんどありません。
編集部 入江
やっぱり手厚い保障なので、かなりレアな施策なんですね。。。
2. 全保育・学校施設の給食の無料化
編集部 入江
続いて、給食の無料化について教えてくだい!
加西市
加西市では保育園~中学校までの給食費が無料になっています。保育園等については、以前まではおかず(副食)だけが無料で提供されていたのですが、白ごはん(主食)は持ってくる必要がありました。しかし、現在ではすべて無料になっております。
編集部 入江
子どもの食費が少しでも浮いたらかなり家計的にも助かりますね!
他の自治体で同じような取り組みをされている所はありますか?
加西市
保育園~中学校までの主食・副食ともに完全に無償化している地方自治体は「0~2歳の保育料の無料化」同様、ほとんどありません。
編集部 入江
これも保育料無料化ぐらいレアな施策なんですね。
3. 乳幼児・こどもの医療費の無料化(高校3年生まで)
編集部 入江
こどもの医療費の無料化についても教えてください!
加西市
こちらはそのままなのですが、赤ちゃんの頃から高校3年生になる18歳までの医療費が無料となっております。
編集部 入江
特に乳幼児の頃はよく風邪を引くので、医療費の無料化は嬉しいですね。
加西市
そうですね。少しでも浮いたお金を子どもの教育資金などに使っていただけると嬉しいですね!
4. 乳幼児を養育する世帯にオムツ等の無料化(生後3か月~満1歳まで)
編集部 入江
続いて、オムツ等の無料化についても詳しく教えてください!
加西市
この制度は、オムツやおしりふき、離乳食などをカタログから毎月3,000円分選べるようになっているというものです。
編集部 入江
オムツだけでなくて、他の商品も毎月3,000円分も選べるのは良いですね!
加西市
実はこの制度はコープこうべさんに委託をしていて、子育て経験のあるコープの配達員さんが毎月配達に行くことによって、お母さんが孤立していないか、子育てはうまくいっているかなどのケアをすることが一番の目的になっています。
編集部 入江
そういうことなんですね!確かに子育てをしている特にお母さんはストレスによって、気づかない間に心の病気にかかってしまうということは聞いたことがあるので、お母さんの健康にもとても良い制度ですね!
5. 病児病後児保育の無料化
編集部 入江
最後に病児病後児保育の無料化について、教えてください!なかなか聞き慣れない言葉ですね。
加西市
この制度は例えば、子どもが風邪を引いてお父さん・お母さんが面倒を見ないといけない時に、普通なら仕事を休まなければいけませんが、小児科に併設してある保育施設で子どもを預かってもらえるというものです。
編集部 入江
小児科に併設している施設なので、風邪を引いている子どもでも安心して預けられますね。
加西市
そうですね。さらに他の自治体だと子どもを預けるのに1日2,000円ぐらいかかるので、それが無料になることで助かっているというお声もいただいております。
編集部 入江
小さい子どもは頻繁に風邪を引くので、1日2,000円といえども積み重なれば結構家計の負担になりますもんね……。
「SDGs未来都市」に選定された背景と取り組み内容
編集部 入江
ホームページを拝見した所、加西市は令和4年度「SDGs未来都市」に選定されていたのですが、その背景を教えていただけますか?
加西市
地域課題を解決していくためには、行政だけではなく市民や企業・団体等が一緒になってまちづくりを行っていく必要があります。SDGsの推進を通じて連携の強化を図ることにより、地域をより一層盛り上げていきたいという思いから、プロジェクトを立ち上げたという背景があります。
編集部 入江
民間企業に関してはSDGsは今や当たり前に取り組んでいますもんね。
加西市
そうですよね。市がSDGsを推進していくことも大事ですが、そのような企業の取り組みをバックアップしていくことも非常に重要なことであると思っています。
今後の加西市におけるSDGsに関する取り組み内容
編集部 入江
先ほど説明していただきました、SDGsについての具体的な取り組み内容を教えてください!
加西市
具体的にはSDGsを推進するための以下の3つの取り組みがあります。
SDGsを推進するための3つの取り組み
- 市民や企業・団体等のSDGsに関する取組・活動の情報共有の推進
- 市民や企業・団体等の交流及び連携(マッチング)の推進
- 市民や企業・団体等のSDGsに関する自主的な取組の推進・参加・協力
加西市
1つ目は、SDGsの達成に向けて取り組んでいる、または関心を持っている多種多様な市民や企業・団体等が集まり連携する場となるプラットフォームを設置し、各々の自主的な取り組みを促進するとともに、地域課題の解決へ踏み出す自主的な取り組みを促進します。
加西市
例えば、市民の方がSDGsに関する課題や解決してほしい問題をそこに投げたら、企業や行政がどうやったらそれを解決できるかをみんなで考えていくといったものです。
編集部 入江
インターネット上でそういう場所があれば、気軽に質問が投げれるので地域の活発化が進みそうですね!
2つ目に関してはいかがでしょうか?
加西市
2つ目は、企業・団体等を対象としてSDGs推進への取り組みの「見える化」を実現させ、地域全体でのSDGsの普及啓発を推進します。
編集部 入江
企業からするとPRにもなるので、それがモチベーションになってSDGsに取り組む所も増えそうですね!
最後に、3つ目に関してはいかがでしょうか?
加西市
3つ目は、加西市におけるSDGsの推進を全市の継続的な取り組みとするため、行政組織とは別に市民・企業・団体等のメンバーで構成する新たな会議体を設置して運営します。
屋内型遊戯施設&テレワークセンター「アスも」を設立した背景と目的
編集部 入江
今インタビューさせていただいている場所の「アスも」について、設立した背景や狙いを教えていただけますでしょうか?
加西市
きっかけとしては新型コロナウイルスの感染拡大です。それによって、特に若い女性の失業率が令和2年8月時点で5年ぶりに全国平均で4.7%に上昇しました。その中で、若い女性の就業拡大をしていくためには、なんだろうと考えた所、出産をしても仕事を辞めることのないように、子育てをしながら継続して多様な働き方を可能とする環境を整えるためにこの「アスも」を設立しました。
編集部 入江
子育て施設とテレワーク施設が一緒になった施設は今まで見たことがないですね。
加西市
全国的に見てもかなり珍しい施設だと思いますよ。この施設の遊具はおもちゃメーカーの「ボーネルンド」さんがプロデュースしてくれています。
加西市
また、遊具のほかに3Dプリンターがあったり、最近だとドローンの操縦体験ができたり、起業に向けてのセミナーをしたりと、子育てとテレワーク以外にも活用しています。
編集部 入江
すごくおしゃれな所で設備もそろっているので、もし家の近くにあったら使いたいです!
アスもについて詳しく知りたい方は、公式サイト「かさいこども広場&パパママオフィス アスも」を参考にしてください!
今後、地方移住を考えられている方へのメッセージ
編集部 入江
最後に今後、地方移住を考えられている方へメッセージをお願いします!
加西市
加西市の行う「子育て応援5つの無料化」をはじめとした各種子育て施策により、出生から高校卒業までに1人約250万円の経済負担が軽減されることで、経済的な余裕が生まれます。
経済的な余裕イコール幸せとはなりませんが、ゆとりができることは良いことだと思います。
また、もう一人子どもが欲しいと思っていても経済的な理由によって、躊躇されるとお聞きすることがありますが、この取り組みによりその心のハードルを少しは下げられるのではないかと考えております。
一人より二人、二人より三人と子どもが多いとそれだけ苦労も多くなることもありますが、幸せと感じることも多くなるのではないでしょうか。
育児も仕事も両立できる「ただのまち加西」で暮らし“ただ”幸せに!今後とも加西市をぜひよろしくお願いいたします。
まとめ&感想
実際に加西市にお伺いしてインタビューさせていただいたのですが、とてものどかで素晴らしい街で、加西市が好きになりました。
個人的にキャンプが好きなので、今年の夏は加西市にある「古法華自然公園 キャンプ場」は行こうと思っています。
さて、加西市は若い人の流出が問題になっており、それに終止符を打つために子育て支援制度に力を入れているとおっしゃっていました。
全国的にもトップレベルであろうその支援内容にもびっくりしたのですが、何よりも牛尾さんと吉川さんの「加西市を良くしていきたい!」という熱にびっくりしました。
そんな方たちが集まっている加西市のこれからをとても楽しみにしていると同時に応援しております!
今回はお時間いただきありがとうございました!