【香川県高松市】地域との連携が魅力の子育て支援とは？3つの取組を特集！

香川県高松市は、地域の子育て支援団体との連携が強く、様々な子育て支援事業が行われています。

一体どのような取組を行い、連携を取っているのでしょうか？

今回は、高松市子育て支援課の方々に地域の子育て支援団体と連携している3つの事業についてインタビューしました。

1. 誰でも子育ての相談ができる「地域子育て支援コーディネート事業」

ナビナビ保険編集部

さっそくですが、「地域子育て支援コーディネート事業」とはどのような事業でしょうか？

高松市

地域子育て支援コーディネート事業は、地域子育て支援コーディネーターへ子育てに関する相談を誰でも無料でできるという取組を行っています。高松市では、この事業を市内の４つの子育て支援団体に委託して実施しています。

参照：たかまつ地域子育て支援コーディネーター｜たかまつ子育て情報サイト らっこネット

ナビナビ保険編集部

地域子育て支援コーディネーターとはどのような方々なのでしょうか？

高松市

地域子育て支援コーディネーターとは「子ども・子育て支援法」に基づく事業として専門の研修を受講し、一定の実務経験を持つ方々です。保育士や社会福祉士などの有資格者の方もいます。

ナビナビ保険編集部

資格を持っている方や実務経験のある方に相談ができるのはとても安心ですね。この事業自体はいつ頃から始まったのでしょうか？

高松市

平成25年の11月頃から全国に先駆けてこの事業に取り組んでいました。

ナビナビ保険編集部

もう10年も続けられている事業なのですね。

地域子育て支援コーディネーターへの相談内容

ナビナビ保険編集部

利用者の方からはどのような相談が多いのでしょうか？

高松市

最も多いのは保育所や認定こども園を初めて利用する方からの相談です。具体的には、「どのように入所の申込をすればよいかわからない」「どのように施設の希望を出せばよいのかわからない」などですね。

高松市

地域子育て支援コーディネーターの方々は、地域の保育所などの施設と日頃から連携しています。なので、相談やニーズに応じて的確に情報提供やアドバイスを行うことができています。

ナビナビ保険編集部

初めて保育所や認定こども園を利用する方々にとって、きちんとアドバイスがもらえるのは嬉しいですね。

2. 子育て世帯の繋がりが広がる「地域子育て支援拠点事業」

ナビナビ保険編集部

続いて、「地域子育て支援拠点事業」ではどのような取組が行われているのでしょうか？

高松市

地域子育て支援拠点事業では、子育てひろばや子育て支援センターを開設し、乳幼児やその保護者、妊婦さんなどが気軽に集まって一緒に遊びながら過ごすことができる場所の提供を行っています。スタッフへの子育て相談も可能です。施設では毎月、体を使った遊びや保護者向けの講座などさまざまな行事を開催しています。また、保護者同士や地域の方との交流の機会を提供することで、子育ての孤独感や不安感を緩和し、地域の中での子育て支援の推進につなげています。

参照：子育てひろば・子育て支援センター（地域子育て支援拠点）へ遊びに行こう！｜高松市

高松市

施設は市内全体で31ヵ所あり、おおむね3歳までの乳幼児とその保護者が対象ですが、世代を問わず参加できるイベントなどの取組も始まっています。

ナビナビ保険編集部

子育て世帯の方以外でも利用できる機会があるのは素晴らしいですね。
年間どれくらいの子どもと保護者の方が利用されていますか？

高松市

令和5年度の延べ利用件数は、子どもは約5万8000件、保護者の方は約5万1500件、合わせて約11万件になります。

ナビナビ保険編集部

一つの施設を複数回利用されている方もいるのでしょうか？

高松市

そうですね、施設を気に入っている方は週に何度も利用されますし、最寄りの施設以外にも、外出先の近くある、施設からの景観が好き、という理由等で複数の施設を利用される方もいます。

ナビナビ保険編集部

確かに、市内に31か所もあると一つだけではなくいろんなところに足を運んでみたくなりますね。

施設内の設備や開催されているイベントについて

ナビナビ保険編集部

施設内にはどのような設備がありますか？

高松市

施設には乳幼児の遊び場だけではなく、授乳コーナーやベビーベッドも設置しています。

子育て支援センターの写真

高松市

あとは、けが防止用のマットを敷いた自由に遊べるスペースがあります。子どもが遊んでいる間に保護者の方は少しくつろいだり、他の保護者の方と交流されたりしていますね。

ナビナビ保険編集部

施設内で遊べるだけでなく、保護者同士の交流も持てるのですね。

ナビナビ保険編集部

施設では毎月様々なイベントが行われているとのことですが、イベントの企画は各施設の方々が考えられているのでしょうか？

高松市

そうですね、各施設を運営している地域の団体で独自に企画をしていただいています。また、他団体と一緒に開催するイベントや、施設の利用者だった方が企画したイベントもあります。

ナビナビ保険編集部

遊び場だけでなく、そういった地域のつながりも育める場所なのですね。

施設利用者の声

ナビナビ保険編集部

次に、施設を利用された方々のお声について教えてください。

高松市

施設を利用された方を対象に令和4年度に実施したアンケートでは、多くの良いお声をいただいています。施設の満足度に対して、「満足」と答えた方が86％、「やや満足」と答えた方が13％で、合わせると99%に達しています。

ナビナビ保険編集部

素晴らしい結果ですね。具体的にはどういった点で満足度が高いのでしょうか？

高松市

満足度が高い一番の理由としては、スタッフの方の対応が良いという点です。また、おもちゃが充実している点や、利用者同士の交流ができる点などが高く評価されています。利用者の方は、様々な良さを感じてくださり、子育て中のリフレッシュできる場として活用してくれています。

ナビナビ保険編集部

いろんな方と交流できることで育児の合間の良い気分転換にもなりそうですね。

3. 子育てに興味を持つきっかけに「中学生の乳幼児とのふれあい事業」

ナビナビ保険編集部

次に、「中学生の乳幼児とのふれあい事業」を始めた背景を教えてください。

高松市

この取組は、地域の子育て支援団体からの提案がきっかけでした。香川県内の他の自治体での取組を見て、高松市でもやってみてはどうかとの提案があり、平成23年度から団体と高松市の共同企画提案事業としてスタートしました。開始当初は実施団体や実施中学校は少なかったのですが、現在は実施団体は9団体にまで増え、一部の地域を除いては、ほぼすべての市立中学校でこの事業を実施できています。

高松市

また、この事業は先ほど紹介した子育てひろばや子育て支援センターを運営している団体と連携して実施しています。各団体の皆様が、中学生の時期に乳幼児と触れ合う機会を持つ重要性を感じてくださり、積極的に取り組んでいただいています。

ナビナビ保険編集部

ほとんどの中学校で実施できていることに驚きました。具体的にはどのような取組を行っているのでしょうか？

高松市

中学校の授業時間に、赤ちゃんと触れ合う時間を設けています。授業では、妊娠や出産・子育てについて学んだ後、実際に赤ちゃんを抱っこしたり、保護者の方と交流したりしています。

ナビナビ保険編集部

中学生にとっては、なかなかできない貴重な体験ですね。

体験した中学生の声

ナビナビ保険編集部

実際に授業を通して、中学生からはどのような声がありますか？

高松市

はい、以下のような良いお声をいただいています。

ナビナビ保険編集部

この取組を通じて、中学生の方たちが多くのことを学べていることが分かりますね。

高松市

そうなんです。この授業を受けた中学生が、大学生になってボランティアとして参加したいと申し出てくれたり、教員になって事業に携わってくれたりしています。この授業がきっかけで良い繋がりが生まれていると実感しています。

ナビナビ保険編集部

大人になってから積極的に運営する側に回ってくださっているのはとても嬉しいですね。

地域の子育て支援団体との連携が強い高松市

ナビナビ保険編集部

これまでお話を聞いて、多くの子育て支援団体と様々な取組を行われていることが分かりましたが、どのように各団体と日頃連携されているのでしょうか？

高松市

地域子育て支援コーディネート事業を実施している団体の方々とは、2ヶ月に1回ミーティングを行い、お互いの取組について理解を深める機会を設けています。

ナビナビ保険編集部

そうなのですね。ミーティング等で出る団体からの提案や意見は、積極的に市の施策に取り入れていますか？

高松市

はい、例えば中学生の乳幼児とのふれあい事業や地域子育て支援コーディネート事業などは団体からの提案で始まった事業です。団体の方々は本当に活発で、困っている方のために何かしたいという強い思いから事業を通して、様々な子育て支援施策を実現してくださっています。

ナビナビ保険編集部

皆さん、熱意を持って活動されているのですね。

高松市

そうなんです。高松市としてもそういった団体の方々の思いを受け止め、連携を取りながら事業に取り組んでいます。他の自治体と比較して、高松市はそのような子育て支援団体と連携ができていることは強みだと思っています。

ナビナビ保険編集部

団体と行政との連携があるからこそ、様々な施策が実施できているのですね。

今後の高松市

ナビナビ保険編集部

最後の質問ですが、今後、高松市では子育て支援を通して、どういった社会を目指されているのでしょうか？

高松市

はい、一番に考えているのは「楽しく子育てができる社会」にするという点です。高松市で毎年発行している子育てハンドブックでも、「楽しく子育て」を昔から大事にしておりました。デザインも「楽」しく「子」育て→「らっこ」が用いられています。

画像引用：令和6年度子育てハンドブック「たかまつ　らっこ」｜高松市

ナビナビ保険編集部

可愛いイラストで「らっこ」が描かれていますね。

高松市

そうなんです。この冊子の作成にも子育て支援団体の方々が携わっていて、「楽しく子育てしてほしい」という思いをこの冊子に込めています。

ナビナビ保険編集部

高松市だけでなく、地域の子育て支援団体の皆さんも同じ考えを持たれているのですね。

高松市

そうですね。自分自身も子育てをしていて、大変なことがあると同時によかったなと思えることがたくさんあるので、子育てをされる方には少しでも「楽しい」と思ってもらえる瞬間が増えてほしいです。そのために、これからも子育て支援施策に積極的に取り組んでいかなければならないと考えています。行政だけでは実現できないことが多くありますので、地域の子育て支援団体の方々と連携しながら、子育て家庭の皆様を支援していきたいと考えています。

ナビナビ保険編集部

これからの高松市の子育て支援に関する取組について応援しております。本日はお時間いただきありがとうございました。

高松市

こちらこそありがとうございました。

まとめ

今回は香川県高松市で行われている子育て支援の取組についてインタビューしました。

高松市では、地域の子育て支援団体の方々がとても活発で、子育て家庭の方々を支えている大きな存在であることが分かりました。

なかでも、中学生と乳幼児とのふれあい事業については、子どものころから子育てを学び、興味を持つ素晴らしい機会があることに驚きました。

大人になってからもこの授業をきっかけに、事業を支える側になられている方もいて良い循環が起きていると感じました。

高松市子育て支援課の皆様、お時間いただきありがとうございました！