大腸ポリープは、大腸の内壁にできる小さなできものです。その多くは良性ですが、種類によっては放置すると、がんに進行するリスクがあります。
大腸検査でポリープがあると指摘され、「ポリープが悪性でがんだったらどうしよう」「手術にいくらかかるの?」と不安を抱いている方も多いでしょう。
経済的な負担をなるべく減らすために、現在加入している生命保険をどう活用できるのか、治療で保険金や給付金を受け取れるのかが気になるポイントではないでしょうか。
今回は、大腸ポリープの治療にはどのくらいの費用がかかるのかを紹介しつつ、生命保険で受け取れる給付金の種類や金額などを解説します。
この記事でわかること
大腸ポリープ切除の手術は医療保険やがん保険の適用となる?
内視鏡などで大腸ポリープ切除の手術を受けた場合、基本的に手術給付金の保障対象になります。
また切除したポリープが病理検査をして悪性、つまり「がん」と判断された場合は、がん保険で給付金を受け取ることが可能です。
その場合は、手術給付金に加え、がん診断給付金なども受け取れる可能性があります。
良性の場合 | 悪性(がん)の場合 |
|
---|---|---|
医療保険 | ○ | ○ |
がん保険 | × | ○※ |
※保険商品によっては上皮内がん(上皮内新生物)も対象
実際の支払可否や支払われる給付金の種類については、診断結果や契約している商品によっても異なるので、保険会社に確認したほうがよいでしょう。
入院が必要な場合はいくらもらえる?
手術に伴い入院をする場合は、入院日数に応じた入院給付金と手術給付金を受け取ることが可能です。
例えば、入院給付金日額が5,000円、手術給付金が1回あたり10万円受け取れる医療保険に加入しているとしましょう。
もし3日間入院して大腸ポリープ切除の手術を受けた場合は、5,000円×3日+10万円=11万5,000円の給付金が受け取れます。
外来手術のみの場合はいくらもらえる?
大腸ポリープ切除は外来手術で対応できるケースもあります。
その場合は、外来手術給付金を受け取ることが可能です。
例えば、外来手術給付金が1回あたり5万円受け取れる医療保険に加入しており、大腸ポリープの外来手術を受けた場合は、5万円の給付金が受け取れます。
なお、入院日と退院日が同一の「日帰り入院」をした場合は、手術給付金と合わせて入院給付金を受け取れることもあります。
大腸ポリープの治療でも医療保険やがん保険が適用されないケース
医療保険やがん保険に加入していても、大腸ポリープの治療費用をカバーできない場合があります。
条件を確認せずに治療を進めると、予想以上の出費を招く可能性もあるので、事前に知識を身につけておきましょう。
大腸ポリープの治療でも医療保険やがん保険が適用されないケース
1. 大腸ポリープの検査費用
大腸ポリープが疑われる場合、病変の有無や状態を確認するために「内視鏡検査」を行います。
民間の生命保険では「病気やケガの治療を目的として、入院や手術をした場合」に給付金が支払われるため、「検査や通院のみ」といった状況で給付金が支払われることは基本的にありません。
ただし内視鏡検査の結果、ポリープが見つかり、切除した場合は手術給付金の支払対象になることもあります。
また、医師の指示で検査入院をした場合は「治療を目的とする入院」として、入院給付金の支払対象になる場合も少なくありません。
2. 保険加入時に直腸部分の不担保期間などの条件があった場合
民間保険に加入する際、契約時の健康状態や過去の病歴に基づき、特定の部位に「不担保期間」が設けられることがあります。
不担保期間中は、その部位に関する病気や治療が保障対象外になるため、大腸が不担保とされている場合は、大腸ポリープに関連する治療費は保障されません。
不担保期間は、1〜5年程度であることが一般的ですが、告知時点での健康状態によっては、5年を過ぎても不担保となるケースもあります。
大腸ポリープ切除の手術をしても新たに保険に入れる?
手術によって切除した大腸ポリープが良性であれば幅広い保険から検討することが可能です。
ただし、術後の経過や手術をしてからの経過年数などによっては、特定部位不担保などの条件がつく可能性や、加入できない場合もあります。
- 「特定部位不担保」とは?
- 保険会社が指定した部位について、一定期間もしくは保険期間中、保障対象外とする条件のこと。
また、切除したポリープが悪性の場合は、基本的に「がん」とみなされるため、通常の医療保険やがん保険に加入するのは難しくなるでしょう。
加入条件は保険会社によって異なるため、一度相談してみることをおすすめします。
なお、通常の医療保険への加入が難しい場合は、引受基準緩和型医療保険を検討してみましょう。
引受基準緩和型医療保険は、通常の医療保険よりも告知項目が少ない保険です。
保険料は通常の医療保険よりも割高になりますが、加入のハードルは低くなるため、大腸ポリープの経過観察中であっても、加入できる場合があります。
大腸ポリープの切除にかかる医療費
ここでは、大腸ポリープの切除にかかる医療費の一例を紹介します。
なお、ポリープの大きさや個数、位置などによって治療費は変動するため、実際に治療を受ける際は医療機関に問い合わせて確認しましょう。
入院が必要な場合の医療費例
大腸ポリープ切除の手術では、2〜4日程度の入院が必要になるケースもあります。
入院費用と手術費用に対しては、基本的に公的保険制度の対象です。
3割負担の場合は5万円程度を目安にすると良いでしょう。
参照:入院費用概算|筑波メディカルセンター病院参照:手術費用等概算一覧表|中電病院
なお、個室などを希望した場合は、差額ベッド代がかかります。
厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」によると、差額ベッド代の平均は6,714円です。
また入院中の食事代は1食につき490円かかります。
このほかにも、雑費や家族の交通費などの出費が考えられます。
これらの費用は全額自己負担になるため、10万円前後の出費が必要になる場合もあるでしょう。
外来手術のみの場合の医療費例
外来手術、いわゆる「日帰り手術」で大腸ポリープの切除を実施している医療機関もあります。
外来手術の場合も公的保険制度の対象となるため、3割負担の場合は2〜3万円程度を目安にしておくとよいでしょう。
参照:内視鏡検査・日帰りポリープ切除治療料金表|医療法人 桐山クリニック
まとめ
大腸ポリープの切除にかかる費用は、入院を伴うケースでは5万円前後、日帰り手術の場合は2〜3万円程度です。
公的保険制度が適用されるため、医療費だけであればそれほど大きな負担にはならない可能性が高いといえます。
しかし、入院をすると差額ベッド代や食事代など、公的保険制度の対象外となる費用もかかるため、医療保険に加入しておくと経済的な面で安心感を得られるでしょう。
ただし、入院給付金や手術給付金を受け取れるための条件は、契約している内容によっても異なります。
部位不担保などの条件がついている場合や、外来手術を保障対象外としている場合などは、給付金をほとんど受け取れない可能性もあるでしょう。
万が一に備えて、加入している保険の保障内容を確認し、不明点があれば営業担当者やカスタマーセンターに問い合わせることをおすすめします。