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更新:2020.07.31 公開:2020.07.15

労災保険とは?仕組み・手続きの流れを分かりやすく解説します

労災保険とは?仕組み・手続きの流れを分かりやすく解説します

労災保険とは?

労災保険(労働者災害補償保険)とは、業務に従事する人が業務中や通勤中に病気やケガが発生し、障害状態または死亡した場合に保険金が支払われる保険です

病気やケガに対する保険としては「健康保険」が一般的ですが、労災保険の対象となった場合は

  • 治療にかかる自己負担費用が一切ない(健康保険の場合は医療費の一部を自己負担)
  • 休業中でも健康保険の傷病手当金より手厚い補償が受けられる

といった特徴があります。

一般的な保険とは異なり、個々人が申し込みを行う訳ではなく、勤務先の会社が労災保険に加入し、その会社で働く人全員が労災保険の加入対象者となります。

なお、企業に対する労災保険への加入は法律によって義務付けられているので、労働者を雇用する全事業主は原則として労災保険に加入していることになります。

つまり、労災保険の適用対象は正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、日雇い労働者や週20時間未満の従業員なども含まれます

また、労災保険が適用されるような労働災害が発生した場合は労働監督署への報告が義務付けられていますが、保険料が増額される・手続きが煩雑などの理由から、労災事故の正しい報告がされていない場合もあります(労災隠し)。

そのため、自分が勤める会社で「業務中や通勤中に万が一の事態が発生した場合の対応」を事前に確認しておきましょう

労災保険と雇用保険の違い

労災保険は「労働保険」のうちのひとつで、労働保険には他に「雇用保険(失業保険)」があります。

「労働保険」とは?
労働者とその家族の生活を守るための社会保障制度のうちのひとつで、労災保険と雇用保険を総称した言葉

労災保険と雇用保険には、補償内容と加入条件、保険料の負担割合において大きな違いが存在します。

労災保険と雇用保険の違い
労災保険雇用保険
補償内容業務上の事由または通勤による傷病、障害、死亡時に対して保険金が支給される育児・介護休業時、失業時などに収入補償としての手当が受けられる
加入条件全ての労働者
※ただし事業主や役員幹部は労働者に含まれないため特別加入をする必要がある
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上継続雇用が見込める
  • 雇用保険の適用事業所に勤めている
保険料全額雇用主負担雇用主と折半で負担

補償内容としては、労災保険がケガや病気に対する補償、雇用保険は育児介護休業や失業時の補償といった違いがあります。

また、労災保険は正社員に限らずパートタイマーやアルバイトも加入対象となりますが、雇用保険には「週20時間以上の勤務」「31日以上の継続雇用」などの加入条件が定められています

なお、どちらも社会保障制度に含まれるため、保険料に関しては給与明細などに記載されない、または雇用保険のみが記載されるのが一般的です。

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労災保険の対象

労災保険の補償対象として認められるかは、厚生労働省や労働基準監督署が定めた基準に基づいて、事業所のある地域を管轄する労働基準監督署の厳格な審査によって決まります。

補償対象として認められるパターンを大まかに分けると以下の3通りが挙げられます。

原則として、労災保険は「業務中や通勤中に発生した病気やケガ」が対象です。

また、パワハラやセクハラなどが原因で精神疾患を患った場合であっても、労災認定が下りる場合があります。

逆に労災保険の対象とならないケースも存在するので、どういった場合に労災保険が適用されるのかを確認しておきましょう。

業務災害

業務災害とは、勤務先での業務を行っている時に発生した病気やケガ、障害または死亡時のことを指します

「勤務先での業務を行っている時」とは、業務遂行性と業務起因性の2つの要素から判断されます。

業務災害の対象とみなされるための2つの要素

  1. 業務遂行性:ケガや病気が発生した時、雇用主の指揮命令関係に置かれていたか
  2. 業務起因性:行っていた業務とケガや病気の発生原因とに因果関係が認められた場合

また、厚生労働省では業務災害を以下のように定義しています。

業務災害とは、業務上の事由による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。 業務上とは、業務が原因となったということであり、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることをいいます。 業務災害に対する保険給付は、労働者が労災保険の適用される事業場(法人・個人を問わず一般に労働者が使用される事業は、適用事業となります。)に雇われて働いていることが原因となって発生した災害に対して行われます。

業務災害について から引用

業務災害として認められる主なケースは以下の通りです。

業務災害として認められる主なケース

  • 工場内で作業中、ベルトコンベアーなどの機材によりケガを負った場合
  • 業務中にトイレへ向かう途中で事故に巻き込まれてケガを負った場合
  • 出張中、社用での外出などの理由から事業場施設以外でケガを負った場合

簡単にまとめると、「勤務時間内で業務に携わっていた場合に発生した病気やケガに対して保険金が支払われる」ということです。

ただし、労働者が就業中に私的行為を行ったり、個人的な恨みから第三者による暴行を受けたり、台風や地震などの天災が原因となる場合は業務災害として認められません

通勤災害

通勤災害とは、労働者が自宅と勤務先とを行き来する際に発生したケガや病気、死亡等を指します

通勤災害として認められるためには、業務に携わるために自宅と勤務先を移動中に発生した事故が原因であることを証明する必要があります。

通勤時のみではなく、退勤時においても対象に含まれますが、仕事終わりに食事や飲みに行くなどの寄り道をした場合や、通勤とは一切関係のない移動中における災害においては補償の対象外となります。

なお、厚生労働省では通勤災害を以下のように定義しています。

通勤災害とは、通勤による労働者の傷病等をいいます。 この場合の「通勤」とは、就業に関し、 ㋐住居と就業の場所との間の往復 ㋑就業の場所から他の就業の場所への移動 ㋒単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとされていますが、移動の経路を逸脱し、又は中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。 ただし、逸脱又は中断が日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、逸脱又は中断の間を除き「通勤」となります。

通勤災害についてから引用

なお、下記に該当する場合は厚生労働省令によって定められた「逸脱・中断の例外となる最小限度のもの」に含まれます。

「移動の経路を逸脱し、又は中断した場合」における例外となる行為

⑴日用品の購入その他これに準ずる行為

⑵職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

⑶選挙権の行使その他これに準ずる行為

⑷病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

「移動の経路を逸脱し、又は中断した場合」における例外となる行為 から引用

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パワハラやセクハラなどによる精神疾患

昨今ではパワハラやセクハラといった社内問題が話題となることが多いですが、これらが原因で精神疾患を患った場合も労災保険の対象に含まれる可能性があります。

具体的には以下の3つの要件を満たしている場合に労災認定が下ります

精神障害の労災認定要件

  1. 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
  2. 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

参照:精神障害の労災認定|厚生労働省

ただし、全国労働衛生団体連合会が公表する「精神障害等の労災補償状況」によると、平成30年度(2018年)の精神障害による労災認定率は31.8%と全体の3割程度に留まっています。

また、精神疾患は業務が原因とされる場合もあれば、労働者個人の私生活が原因によるもの、両方が複合的に絡み合った原因によるものなど、労災認定の判断が難しい場合があります。

ただでさえ精神的に参っている状態で、労災保険の申請をしたり症状を訴え続けたりするのは非常に大きなストレスであることも容易に想像できます。

そのため、精神障害による労災保険申請を行う場合は、社労士などの専門家に最初から依頼することをおすすめします

労災保険の補償対象外とみなされる可能性があるケース

たとえ業務中や通勤中のケガや病気であっても、労災保険の補償対象外とみなされるケースがあります

労災保険の補償対象外とみなされる可能性があるケース

  • 業務災害
    • 業務中に業務とは関係のない私的行為を行い、その結果、ケガを負った場合
    • 業務中に個人的な恨みから第三者による暴行を受けた場合
    • 台風や地震などの天災によってケガをした場合
  • 通勤災害
    • 業務終了後に業務とは関係のない食事に行き、その途中で事故にあった場合
    • 業務終了後に帰宅せずにそのまま旅行に行き、その途中で事故にあった場合

また、上記以外のケースであっても労災認定が下りない場合もあります。

実際に労災認定が下りるかどうかは、事業所の地域を管轄する労働基準監督署の判断となるので、労災保険申請を行う際はしっかりとその証明ができるように準備をしましょう

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労災保険の補償内容

労災保険の補償内容は、大きく分けると8項目に分類できます。

参照:労災保険給付等一覧|厚生労働省

1.療養補償給付

療養補償給付とは、ケガや病気の治療でかかる費用の全額給付、または労災病院や労災指定医療機関での療養の現物給付の事を指します

療養補償給付が指す「治療」とは、一般的な医療を行った場合でもその医療効果が期待できず、症状が固定された状態(安定化した状態)を含みます。

そのため、傷病状態が完全に回復した状態、または症状が固定された状態となった場合には療養補償給付による給付金支給が終了となります。

ただし、障害状態が残っている場合には障害補償給付の対象へと切り替わります。

参照:療養(補償)給付の請求手続|厚生労働省

2.障害補償給付

障害補償給付とは、業務または通勤が原因となった傷病が治った時、身体にある一定の障害が残った場合に支給される給付金を指します

障害補償給付は大きく分けると以下の2通りに分けられます。

障害補償給付の種類

  • 障害補償年金・障害年金:傷病が治った際、障害等級第1級から第7級に該当する障害が残った場合に支給
  • 障害補償一時金・障害一時金:傷病が治った際、障害等級第8級から第14級に該当する障害が残った場合に支給

参照:障害等級表|厚生労働省参照:障害(補償)給付の請求手続|厚生労働省

なお、障害補償給付における「傷病が治った時」とは、療養補償給付と同様、傷病状態が完全に回復した状態、または症状が固定された状態を指します。

3.休業補償給付

休業補償給付とは、ケガや病気の療養のために労働ができず賃金を受け取れていない場合、第4日目から支給される給付金を指します

給付金の支払要件は、以下の3点すべてを満たしている必要があります。

休業補償給付の支払要件

  1. 業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養のため
  2. 労働することができないため
  3. 賃金を受けていない

参照:休業(補償)給付 傷病(補償)年金の請求手続|厚生労働省

また、第4日目から支給される給付金額は以下の計算式から算出されます。

休業補償給付で支給される金額

  • 休業補償給付 =(給付基礎日額の60%)× 休業日数
  • 休業特別支給金 =(給付基礎日額の20%)× 休業日数
    ※給付基礎日額は、労働基準法の平均賃金に相当する額を指します

参照:休業(補償)給付 傷病(補償)年金の請求手続|厚生労働省

休業補償給付が支給されるまでの3日目までは待機期間とされ、この間は業務災害の場合、事業主が労働基準法の規定に基づいて1日につき平均賃金の60%を補償する必要があります。

4.遺族補償給付

遺族補償給とは、業務または通勤が原因で死亡した労働者の遺族に対して支払われる給付金を指します

遺族補償給付は以下の2通りに分けられます。

遺族補償給付の種類

  • 遺族補償年金・遺族年金:労働者が業務中または通勤中に死亡した場合、配偶者や18歳までの子供、60歳以上の父母など、労働者が生計を維持していた遺族に対して支払われる
  • 遺族補償一時金・遺族一時金:上記に該当する遺族がいない場合、他の遺族に対して支払われる

参照:遺族(補償)給付 葬祭料(葬祭給付)の請求手続|厚生労働省

遺族補償年金は、以下でまとめた受給資格者のうち、最先順位者(受給権者)に対して支給されます。

遺族であれば誰もが受け取れるという訳ではないのでご注意ください。

遺族補償年金の受給資格者

  1. 妻または60歳以上か一定障害の夫
  2. 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の子
  3. 60歳以上か一定障害の父母
  4. 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の孫
  5. 60歳以上か一定障害の祖父母
  6. 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか60歳以上または一定障害の兄弟姉妹
  7. 55歳以上60歳未満の夫
  8. 55歳以上60歳未満の父母
  9. 55歳以上60歳未満の祖父母
  10. 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
    ※「一定の障害」とは、障害等級第5級以上の身体障害をいいます

参照:遺族(補償)給付 葬祭料(葬祭給付)の請求手続|厚生労働省

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5.葬祭料

労災保険における葬祭料とは、死亡した人の葬儀式典を行う際に葬祭を執り行う人に対して支給される給付金を指します

葬祭料として支給される金額は、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた金額です。

もしこの金額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、給付基礎日額の60日分が支給額となります。

参照:葬祭料(葬祭給付)について|厚生労働省

6.傷病補償年金

傷病補償年金とは、業務または通勤が原因となった負傷や疾病の療養開始から1年6か月が経過した日、またはその日以後において以下の要件を満たす場合に支給される年金を指します

傷病補償年金の支払要件

  • その負傷または疾病が治っていないこと
  • その負傷または疾病による障害の程度が傷病等級表の傷病等級に該当すること

参照:傷病(補償)年金について|厚生労働省

傷病等級表は以下をご参照ください。

傷病等級表一覧
傷病等級給付の内容障害の状態
第1級当該障害の状態が継続している期間1年につき給付基礎日額の313日分
  1.  神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
  3. 両眼が失明しているもの
  4. そしゃく及び言語の機能を廃しているもの
  5. 両上肢を肘関節以上で失ったもの
  6. 両上肢の用を全廃しているもの
  7. 両下肢を膝関節以上で失ったもの
  8. 両下肢の用を全廃しているもの
  9. 前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの
第2級同期間につき給付基礎日額の277日分
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
  3. 両眼の視力が0.02以下になっているもの
  4. 両上肢を腕関節以上で失ったもの
  5. 両下肢を足関節以上で失ったもの
  6. 前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの
第3級同期間につき給付基礎日額の245日分
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
  3. 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になっているもの
  4. そしゃく又は言語の機能を廃しているもの
  5. 両手の手指の全部を失ったもの
  6. 第1号及び第2号に定めるもののほか、常に労務に服することができないものその他前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの

介護補償給付とは、障害補償年金または傷病補償年金の受給者のうち、障害等級・傷病等級が第1級の人と第2級の「精神神経・胸腹部臓器の障害」を有している人が、実際に介護を受けている場合に支給される給付金を指します

介護補償給付が支給される要件は以下の通りです。

介護補償給付の支給要件

  • 常時介護・随時介護の状態に該当すること
    • (ア)常時介護:精神神経・胸腹部臓器に障害を残し常時介護を要する状態、両眼が失明・両上肢および両下肢が亡失又は用廃状態にある
    • (イ)随時介護:精神神経・胸腹部臓器に障害を残し随時介護を要する状態、障害等級第1級または傷病等級第1級に該当し常時介護を要する状態ではない
  • 現に介護を受けていること
  • 病院または診療所に入院していないこと
  • 介護老人保健施設、介護医療院、障害者支援施設、特別養護老人ホームまたは原子爆弾被爆者特別養護ホームに入所していないこと

参照:介護(補償)給付の請求手続|厚生労働省

介護を受けていれば給付を受けられますが、病院または診療所に入院している場合や介護施設などに入所している場合は給付を受けられないので注意しましょう。

8.二次健康診断等給付

二次健康診断等給付とは、職場の定期健康診断等で異常と認められた場合に、脳血管・心臓の状態を把握するための二次健康診断及び脳・心臓疾患の発症の予防を図るための特定保健指導を1年度内に1回、無料で受診できる制度のことです

給付の要件は以下の通りです。

二次健康診断等給付の給付要件

  1. 一次健康診断の結果、異常の所見が認められること
    1. 血圧検査
    2. 血中脂質検査
    3. 血糖審査
    4. 腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定
  2. 脳・心臓疾患の症状を有していないこと
  3. 労災保険の特別加入者でないこと

参照:労災保険二次健康診断等給付|厚生労働省

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労災申請の流れ

業務中または通勤中に病気やケガが発生した場合、会社に報告をした後に以下の手順に従って労災保険の申請を行ってください。

労災保険を受けるためには、勤務先から管轄の労働基準監督署への届け出が必要となります。

そのため、必ず労働災害が発生したことを報告してから労災保険の申請手続きを行いましょう。

1.労災保険指定医療機関、または最寄りの取り扱い病院で診察を受ける

労災保険が対象の病気やケガが発生したら、労災保険指定医療機関または最寄りの取り扱い病院で診察を受けましょう。

この時、労災保険指定医療機関で治療を受ける場合には医療費が一切かかりません

また、労災保険の手続きがスムーズに済ませられるので、労働災害が発生した場合は会社に報告を行い、どの病院を受診すればよいかを確認しましょう。
労災保険指定機関で治療を受けた場合の給付申請の流れ

もし、労災保険指定医療機関以外で治療を受けたとしても、自己負担で精算した後で請求手続きを行えば、負担した医療費の全額が支給されます

その際、労災申請用の請求書を提出する必要があるので、病院にかかる際に労働災害であることを伝えるようにしましょう。
労災保険指定機関以外で治療を受けた場合の給付申請の流れ

2.補償の種類に応じた請求書をダウンロードする

基本的に、労災の手続きは会社が行います

ですが、もし会社が手続きを行ってくれない場合には自分自身で労働基準監督署に請求書を提出する必要があります。。

労災申請を行う際の請求書は、厚生労働省の公式ホームページからダウンロードできるほか、労働基準監督署にも設置されています。

厚生労働省の公式ホームページからダウンロードする場合、注意事項を確認しなければダウンロードページにアクセスできないので気をつけましょう。

また、補償の種類に応じた請求書を使う必要があるので、間違った請求書を使わないようにご注意ください。

3.必要事項を記入する

請求書を入手したら必要事項を記入します。

なお、請求書の記入項目には、事業主からの労働災害であることを証明するための署名欄が設けられています。

署名欄へのサインは必須項目となっているので、忘れずに勤務先に届け出て署名をもらってください

万が一、勤務先が署名をしてくれない場合は管轄の労働基準監督署に相談するか、会社が署名を提出しない旨を記載した「署名拒否理由書」を準備して労働基準監督署に提出しましょう。

4.請求書・添付書類を労働基準監督署に提出

請求書が無事に完成したら、申請する補償の種類に応じた添付書類を準備して、労働基準監督署に提出します。

請求書の提出後、労働基準監督署から勤務先や受診した医療機関への調査が行われ、本当に労働災害に該当する事案であるかが判断されます。

なお、労災申請をする際には補償ごとの手続き期限がある点にご注意ください。

補償ごとの手続き期限
補償の種類手続き期限
療養補償給付、休業補償給付、葬祭給付、介護補償給付、二次健康診断等給付2年
障害補償給付、遺贈補償給付5年

労災保険指定医療機関で受診していればそのまま手続きを行ってくれますが、それ以外の医療機関で治療を受けていた場合、労災申請に慣れておらず手続きを進めてもらえない場合があります。

その場合は自分自身で期限内に手続きを行う必要があるので、労災申請をする際に何をすればよいかを確認しておきましょう。

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労災保険に関するよくある質問 Q&A

Q.労災保険の保険料はどうやって計算されて誰が負担するの?

A. 労災保険の保険料は、勤務先の会社が全額負担することになっています

保険料の計算方法は以下の通りです。

労災保険料の計算方法

  • 労災保険料 = 全従業員の年度内の賃金総額 × 労災保険率

「全従業員の年度内の賃金総額」は、賃金総額に含まれるものと含まれないものを一覧にしてまとめた以下の一覧表をご参照ください。

賃金総額に含まれるものと含まれないもの
含まれるもの含まれないもの
  • 基本給
  • 賞与
  • 通勤手当
  • 定期券(回数券含む)
  • 各種手当(残業手当、休日手当、扶養手当、家族手当、役職手当等)
  • 役員報酬
  • お祝い金などの一時金
  • 出張費・宿泊費
  • 休業補償費、傷病手当金
  • 会社が全額負担する生命保険料

労災保険率」は、勤務先の事業種別ごとに利率が決められています。

事業種別ごとで業務内容が異なり、労災の対象となる可能性が変わってくるためです。

Q.労災保険に未加入だと給付は受けられない?

A. 労災保険は従業員を雇用する全事業主に対して加入が義務付けられているものの、労災保険に加入していない事業者が一定数存在します

仮に労災保険に加入してない会社で働いている場合、または後から労災保険に未加入であることが発覚した場合は、労働基準監督署に相談をして、所定の手続きを行うことで労災保険が適用されます

なお、労災保険に加入していない事業主に対しては、労働基準監督署による調査が行われ、納めていなかった労災保険料の追加徴収や労基法違反による重い処分が下されることになります。

Q.フリーランスは労災保険に加入できない?

A. フリーランスとして働いている人は原則、労災保険の対象には含まれません

ただし、業務内容などから鑑みて、労働者と同様に保護するのが妥当と判断される職業である場合には「特別加入制度」によって労災保険への任意加入が認められています

たとえば、個人タクシーや個人運送業、大工や鳶職人などの建設業、漁船による漁業者、林業などの職業に就いている人が該当します。

業務中や通勤中に万が一のことがあった場合の備えとして非常に重要な役割を持つ保険なので、上記に該当する場合は加入することをおすすめします。

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まとめ

労災保険は、業務に従事する人が業務中や通勤中に病気やケガが発生し、障害状態または死亡した場合に保険金が支払われる保険です。

個々人で加入する一般的な保険とは異なり、労働者を雇用する全事業主が会社単位で加入する保険です。

そのため、労災保険の保険料は会社が全額負担することになっており、従業員が受け取る給与明細などには保険料の記載がありません。

また、その会社で働く全従業員が労災保険の加入対象となるので、正社員に限らず、パートタイマーやアルバイト、雇用保険の対象外となる日雇い労働者や週20時間未満の従業員なども労災保険の加入対象に含まれます。

労働災害の対象にもかかわらず、パートやアルバイトであることを理由に労災保険を拒否された場合は、その事業所を管轄する労働基準監督署までお問い合わせください。

病気やケガに対する保険として「健康保険」が挙げられますが、労災保険は「医療費の自己負担が一切ない点」や「傷病手当金以上に手厚い補償が受けられる点」が特徴的な保険です。

会社で働く以上、病気やケガが発生する可能性がゼロとは言い切れないので、万が一の事態に備えて労災保険についての知識をしっかりと身に付けておきましょう。

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この記事の執筆者
中村 翔也
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
この記事の監修者
石田 直樹
所有資格
AFP資格、TLC(生保協会認定FP)資格
ソニー生命、東京海上日動あんしん生命保険、保険代理店等、保険業界を28年間勤務。支社長や管理職を経験、200回以上のセミナーや研修講師の登壇経験あり。その知識を活かし、もっと多くの人に保険の必要性を正しく理解してもらいたい!という思いを胸に、ナビナビ保険の事業立ち上げメンバーとして異業種のIT企業に転職し、現在に至る。
この記事の編集者
ナビナビ保険編集部
ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。
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