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老後資金はいくらが目安?実際の統計から分かるリアルな金額

老後資金はいくらが目安?実際の統計から分かるリアルな金額

老後資金、実際にいくらかかる?

近年では「人生100年時代」といわれるように、医療の発達や衛生環境の改善によって世界的に長寿化が進んでいます。

日本においても長寿化が進んでおり、厚生労働省の「平成30年簡易生命表の概況」によれば、2018年には男性の平均寿命は81.25歳、女性の平均寿命は87.32歳と進行の一途を辿っています。

これまでの日本では「20年学び、40年働き、20年休む」といった考え方が一般的でしたが、近年における平均寿命の延伸により、100歳まで生きることを前提にした人生設計を考える必要が出てきました。

その際に必ず考えなければならないのが、100歳までの生活を送るための「老後資金」です。

100歳まで生活するための老後資金については様々な議論が交わされていますが、仮に定年退職をして働き手がいなくなった世帯においては、平均して1,300万〜2,000万円の老後資金が必要だといわれています。

また、上記の金額には介護費用などの「老後に必要と考えられる支出」が一切含まれていないため、実際にはこの金額以上の老後資金が必要であると考えられます。

そこで、総務省が発表する「家計調査年報(家計収支編)2018年(平成30年)」を参考に、夫婦世帯・単身世帯それぞれの場合における「必要と思われる老後資金」について、分かりやすく説明します。

夫婦世帯の場合は介護費用まで含めておよそ3,000万円は必要

まず、夫婦世帯における家計収支から確認していきましょう。

総務省が発表した2018年の調査結果を参考にすると、夫65歳以上・妻60歳以上の高齢夫婦無職世帯における実収入は「222,834円(社会保障給付込み)」となっています。

実収入に対する支出額の合計金額は「264,707円」となっており、その差額分41,872円が赤字という結果が出ています。

支出額の内訳は以下のとおりです。

高齢夫婦無職世帯の家計収支(2018年)

項目

金額

割合

食料

65,319円

27.7%

住居

13,625円

5.8%

光熱・水道

19,905円

8.4%

家具・家事用品

9,385円

4.0%

被服および履物

6,171円

2.6%

保健医療

15,181円

6.4%

交通・通信

28,071円

11.9%

教育

2円

0%

教養娯楽

24,239円

10.3%

その他の消費支出

53,717円

(うち交際費25,596円)

22.8%

(うち交際費10.9%)

上記合計(消費支出)

23,5615円

100%

非消費支出(税金や保険料など)

29,092円

-

総合計

264,707円

※高齢者夫婦無職世帯は、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯を指します参照:家計調査年報(家計収支編)2018年(平成30年)|総務省

つまり、夫65歳以上・妻60歳以上の高齢夫婦無職世帯はひと月あたりの実収入が約22.3万円、支出額は約26.5万円で、およそ4.2万円は貯金を取り崩して生活をしているということです。

赤字分は年間で約50.2万円、65歳から100歳までの35年間の生活を仮定すると生活費だけで約1,758万円の赤字となります。

また、上記とは別に介護費用(一人あたり500万円)や葬儀費用(一人あたり100万円)も必要となるので、夫婦世帯における必要な老後資金の金額は約2,958万円にも上ります。

高齢夫婦無職世帯に必要な老後資金

  • 生活費の赤字分:41,872円×420か月(35年)=17,586,240円
  • 介護費用:500万円×二人分
  • 葬儀費用:100万円×二人分
  • 合計金額:29,586,240円

※介護費用は「平成30年度生命保険に関する全国実態調査(速報版)」より、月額介護費用平均7.8万円×平均介護期間54.5か月+一時介護費用69万円=494.1万円≒500万円で計算しています

単身世帯の場合は介護費用まで含めておよそ2,300万円は必要

続いて、単身世帯における家計収支を確認していきましょう。

総務省が発表した2018年の調査結果より、60歳以上の高齢単身無職世帯における実収入は「123,325円(社会保障給付込み)」となっています。

実収入に対する支出額の合計金額は「161,995円」となっており、その差額分38,670円が赤字という結果が出ています。

支出額の内訳は以下のとおりです。

高齢単身無職世帯の家計収支(2018年)

項目

金額

割合

食料

36,378円

24.3%

住居

18,268円

12.2%

光熱・水道

13,109円

8.8%

家具・家事用品

4,780円

3.2%

被服および履物

3,766円

2.5%

保健医療

8,286円

5.5%

交通・通信

14,405円

9.6%

教育

0円

0%

教養娯楽

24,239円

11.4%

その他の消費支出

33,528円

(うち交際費18,281円)

22.4%

うち交際費12.2%

上記合計(消費支出)

149,603円

100%

非消費支出(税金や保険料など)

12,392円

-

合計

161,995

参照:家計調査年報(家計収支編)2018年(平成30年)|総務省

つまり、60歳以上の高齢単身無職世帯はひと月あたりの実収入が約12.3万円、支出額は約16.2万円で、およそ3.9万円は貯金を取り崩して生活をしているということです。

赤字分は年間で約46.4万円、65歳から100歳までの35年間の生活を仮定すると生活費だけで約1,624万円の赤字となります。

また、上記とは別に介護費用(500万円)や葬儀費用(100万円)も必要となるので、単身世帯における必要な老後資金の金額は約2,224万円にも上ります。

高齢夫婦無職世帯に必要な老後資金

  • 生活費の赤字分:38,670円×420か月(35年)=16,241,400円
  • 介護費用:500万円
  • 葬儀費用:100万円
  • 合計金額:22,241,400円

※介護費用は「平成30年度生命保険に関する全国実態調査(速報版)」より、月額介護費用平均7.8万円×平均介護期間54.5か月+一時介護費用69万円=494.1万円≒500万円で計算しています

老後資金を積み立てる方法

老後資金は、介護費用まで含めておよそ2,300万〜3,000万円程度であることをお伝えしました。

これらの金額はあくまで調査結果をもとにシミュレーションした結果であるため、各世帯において必ずしもこの金額が必要な訳ではありませんが、ある程度の目安として参考になるかと思います。

ただし、これまでにお伝えした金額は「年金」や「社会保障給付」などを含めて計算をしているため、2,300万〜3,000万円の老後資金は自力で作り出さなければなりません。

そのため、年金や社会保障以外の方法で老後資金の準備をしておく必要があります。

老後資金を作る手段として「毎月の固定費を見直す」「定年後も働く」なども大事ですが、以下の5つの制度を上手に活用することも重要です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)は、毎月の掛金を積み立てて運用を行い、積み立てた金額や運用益を60歳以降に受け取れる制度です。

20歳以上60歳未満であれば誰もが任意で加入することができ、以下の3つのメリットから効率良く老後資金を積み立てていけるのが特徴です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の3つのメリット

  • 毎月の掛金は全額が所得控除となる
  • iDeCoで得た運用益は非課税
  • 受け取り方法は「年金」と「一時金」から選べてどちらも控除の対象となる

また、iDeCoの掛金は最低5,000円から上限となる金額まで1,000円単位で自由に決められるので、家計状況と相談しながら無理のない資産運用ができます。

掛金の上限額(拠出限度額)は、加入資格ごとで異なります。

iDeCoの拠出限度額について

加入資格

加入対象者

拠出限度額

第1号被保険者

日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生など

月額6.8万円(年額81.6万円)

※国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠

第2号被保険者

60歳未満の厚生年金の被保険者(サラリーマン、公務員など)

会社に企業年金がない場合

月額2.3万円(年額27.6万円)

企業型DCに加入している場合

月額2.0万円(年額24.0万円)

DBと企業型DCに加入している場合

月額1.2万円(年額14.4万円)

DBのみに加入している場合

公務員等

第3号被保険者

20歳以上60歳未満の厚生年金に加入している方の非扶養配偶者

月額2.3万円(年額27.6万円)

※DC:確定拠出年金、DB:確定給付企業年金、厚生年金基金参照:iDeCo公式サイト(2020年4月現在)

自営業者であれば年間81.6万円まで掛金に設定することができ、全額が所得控除として認められるので税負担の軽減が期待できます。

ただし、「60歳になるまで掛金や資産を引き出せない」「一部の条件に該当する方(農業者年金の被保険者、企業型確定拠出年金加入者)は加入できない」などの注意点があるので覚えておきましょう。

つみたてNISA

つみたてNISAは、年間40万円までの売買による利益が非課税で運用できる積立に特化した制度です。

投資可能期間が最長で20年と決まっているため、年間40万円×20年間で最大800万円までは非課税で運用できます。

運用可能な金融商品は「積立型投資信託」のみで、ひと月あたり100円から最大3.3万円までの少額投資が可能です。

以下の要件を全て満たす「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」だけを厳選しているため、投資や資産運用が初めての方でも安心して取り組めることが特徴です。

つみたてNISAの投資対象商品要件

  • 販売手数料はゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
  • 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
  • 信託契約期間が無期限または20年以上であること
  • 分配頻度が毎月でないこと
  • ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

参照:つみたてNISAの概要|金融庁(2020年4月現在)

ただし、「投資可能額が年間40万円までと少額」「NISA口座と通常の口座で損益通算ができないために損失が出るとマイナス効果がある」などの注意点もあります。

財形貯蓄

財形貯蓄は、勤務先の給与から毎月一定金額を天引きで行う貯蓄制度のことです。

天引きされた金額は、勤務先が提携する「財形貯蓄取扱金融機関」に払い込まれ、会社が制度の導入・運用を行うため、加入者が自分で何かをする必要はありません。

財形貯蓄には目的別の3種類が存在し、ライフイベントに合わせた資金作りができるのが特徴です。

財形貯蓄の種類

種類

内容

一般財形貯蓄

使用目的を限定せず自由に使える財形貯蓄。

車や旅行などの短期計画から結婚、出産、教育などの大きなライフイベント、ケガや病気、引っ越しなどの不意な出費など、幅広い目的に使える。

貯蓄開始から1年経てばいつでも自由に払い出すことができる。

財形住宅貯蓄

マイホームの建設・購入・リフォームなど、住まいの資金作りに向いている財形貯蓄。

財形年金貯蓄と合わせて、貯蓄残高550万円までが利子等非課税となる。

ただし、住宅の建設・購入・リフォーム以外の払い出しには課税されるので要注意。

財形年金貯蓄

60歳以降に年金として受け取るための資金作りを目的とした財形貯蓄。

財形住宅貯蓄と合わせて貯蓄残高550万円までが利子等非課税となる。

ただし、保険などの商品の場合は払込額385万円までが非課税で、年金以外の払い出しには課税されるので注意が必要。

参照:財形貯蓄制度|勤労者財産形成事業本部(2020年4月現在)

給与から天引きで積立ができるので、大きな強制力があることがメリットと言える制度ですが、いくつか覚えておくべき注意点もあります。

財形貯蓄の注意点

  • 勤務先が財形貯蓄制度を実施していなければ使えない
  • iDeCoのような所得控除の対象にはならない
  • 一般財形と通常の定期預金の違いがほとんどない

これらの注意点をしっかりと理解した上で利用するようにしましょう。

定期預金

定期預金は、口座に預け入れをしてから一定期間引き出せないことを条件に、普通預金よりも金利が高く設定されている預金のことです。

預け入れの期間は最短1か月から最長10年までと好きな期間を選択でき、元本割れの心配がなく手数料も不要であることからローリスクで資産を運用することができます。

ただし、普通預金よりも金利が高いとはいえ運用効率が高い訳ではなく、仮に銀行が破綻した場合の「預金保険制度」が適用されるのは銀行窓口ひとつに対して1,000万円までなどの注意点もあるので覚えておきましょう。

小規模企業共済

小規模企業共済は自営業やフリーランスとして働く人たち向けの制度です。

毎月1,000円から7万円までの範囲内で、500円単位で自由に掛金を決めることができ、退職・廃業時はそれまでに積立ててきた金額を「共済金」として一括・分割で受け取ることができます。

掛金は全額が所得控除として認められるので、老後資金を作る目的以外にも大きな節税効果が期待できます。

共済金を受け取る際は課税されますが、個人事業主であれば「退職所得」として扱われるので税負担が軽くなり、結果として老後においても節税の効果が見込めます。

一方、掛金納付月数が240ヶ月を下回る場合は元本割れとなってしまう点には注意が必要です。

老後に備えられる保険

老後資金を貯蓄するための方法として「保険」を活用することもひとつの方法です。

保険契約によって老後資金を貯蓄すると「毎月の保険料支払いという強制力がある」「節税効果が見込める」などの恩恵が受けられます。

以下で挙げる3つの保険制度を活用して、上手に老後資金を貯蓄していきましょう。

低解約返戻金型終身保険

低解約返戻金型終身保険の仕組み

低解約返戻金型終身保険は、保険契約中の解約返戻金が少なく設定されている終身保険のことです。

保険料の払込期間が終了した後は通常の終身保険と同金額の解約返戻金となり、加入期間が長くなるほど解約返戻金が高額となります。

終身保険の中には、保険料の払込期間満了後は解約返戻金が払い込み保険料の110%や120%になる保険商品もあるので、満期を迎えた後に解約することで老後資金として使うことができるようになります。

毎月の保険料が安めに設定されているものの、払込期間が満了する前に解約すると元本割れを起こしてしまうので注意しましょう。

個人年金保険

終身年金の仕組み個人年金保険は、国民年金や厚生年金では足りない分を補填するための保険です。

所定期間までの保険料を支払うことで、60歳や65歳などの年齢に達してから5年・10年・15年・一生涯の期間は年金が受け取れるようになります。

万が一、年金を受け取る前に死亡した場合はすでに払い込んだ保険料と同額が死亡保険金として支払われます。

個人年金保険に加入することで所得控除の対象となったり、保険料という形で確実に積み立てができたりなど、様々なメリットがあります。

その一方で、元本割れをするリスクが高い点やインフレに弱い点には注意が必要です。

外貨建て保険

外貨建て終身保険の仕組み

外貨建て保険は、積み立てた掛金を外貨で運用する生命保険のひとつです。

利回りが高い・保険料が割安・万一の際の保障が得られるなどのメリットがあることに加え、現在の日本は金利がかなり低い状態にあることから、効率よく資産運用をするための方法として人気を博しています。

その一方、為替リスク(異なる通貨の交換比率の変動による差)が伴う点や保険料の支払い時や受取時、契約時や解約時などの至る部分で手数料が発生する点にはご注意ください。

まとめ

老後資金は、人生100年時代といわれる近年では、介護費用まで含めて2,300万〜3,000万円ほどが必要です。

これらの金額は、年金や社会保障給付込みで算出しているため、それ以外の方法で老後資金の準備をしておく必要があります。

老後資金を貯蓄するためには「毎月の固定費を見直す」「定年後も働く」なども大切ですが、以下でまとめたような制度や保険を活用することも重要です。

老後資金を貯蓄する方法

制度

保険

当コンテンツを参考に、保険の検討も合わせつつ安心して老後を暮らしていけるように準備していきましょう。

あなたに合った保険や資産運用について、お金のプロであるファイナンシャルプランナーへの無料相談もぜひ検討してみてください。

この記事の執筆者
中村 翔也
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
この記事の監修者
石田 直樹
所有資格
AFP資格、TLC(生保協会認定FP)資格
ソニー生命、東京海上日動あんしん生命保険、保険代理店等、保険業界を28年間勤務。支社長や管理職を経験、200回以上のセミナーや研修講師の登壇経験あり。その知識を活かし、もっと多くの人に保険の必要性を正しく理解してもらいたい!という思いを胸に、ナビナビ保険の事業立ち上げメンバーとして異業種のIT企業に転職し、現在に至る。
この記事の編集者
ナビナビ保険編集部
ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。
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