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更新:2020.11.27

特別受益とは?適用対象・計算方法・時効を分かりやすく解説します

特別受益とは?適用対象・計算方法・時効を分かりやすく解説します

特別受益とは?

特別受益とは、相続人が複数人いる場合に特定の相続人だけが故人から受けた生前贈与による利益のことをいいます。

一部の相続人が故人から多額の生前贈与を受けていた場合、それを考慮せずに残りの遺産を分配すると他の相続人から不公平に思われ、後々の相続トラブルへと発展してしまうかもしれません。

そこで、一部の相続人が受けた生前贈与を特別受益として数え、相続財産に含めた上で遺産分配を行います。

こうすることで相続人同士のトラブルを防ぎ、公平な遺産分配を行うことを目的としています

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特別受益の法改正に関する補足

2019年7月1日より、特別受益に関する法改正が行われました。

その内容は大きく分けると以下の2通りです。

それぞれの内容について簡単に解説していきます。

遺留分に関する特別受益の持ち戻し期間が10年へ改正

法改正が行われるまで、遺留分(相続人に認められている最低限の相続割合)を計算する際の対象財産に含める贈与には期限が設けられていませんでした。

ですが、今回の法改正によって「生前贈与について持ち戻す期間は相続開始から過去10年間に限定される」といった内容に変更が行われました。

そのため、相続開始から過去10年間のうちに行われた生前贈与は、遺留分の計算をするときに限り、対象財産に含まれることになります。

婚姻期間が20年以上の配偶者への持ち戻し免除

婚姻期間が20年以上の夫婦が、配偶者の居住用に使用するための建物又は敷地を遺贈又は贈与(死因贈与を含む)したときは、特別受益の持ち戻し免除の意思が推定されるようになりました。

簡単にまとめると、婚姻関係が20年以上ある夫婦の一方が亡くなり、もう一方に対して居住するための建物や土地を贈与していた場合、その分については相続財産への持ち戻しがされなくなったということです。

2019年7月1日の法改正以降に発生した相続が対象になります。

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特別受益の範囲

特別受益とみなされる範囲は以下のとおりです。

推定相続人

推定相続人とは、その相続における「法定相続人になる予定の人」のことをいいます。

法定相続人とは民法で定められた相続人のことで、子供、父母、兄弟姉妹などの血族と配偶者に限られ、相続が発生した際に法定相続人として遺産分配を行うことになります。

法定相続人は相続が発生したときの呼び方で、相続が発生するまでは「推定相続人」とされ、これらの人に対して財産の贈与があった場合は特別受益とみなされます

なお、被相続人よりも先に推定相続人が死亡した場合は「代襲相続」となり、相続する権利を継承した代襲相続人に贈与された財産についても特別受益が考慮されることになるので注意が必要です。

代襲者

代襲者とは、「代襲相続をする人のこと」をいいます

代襲相続とは、被相続人よりも先に推定相続人が死亡していた場合、死亡した推定相続人の代わりに財産を相続することを指します。


代襲者になれるのは被相続人の直系卑属(子供や孫)などに限られ、代襲者へ財産が贈与された時期によって特別受益に含まれるかどうかが判断されます。

たとえば、代襲原因発生前に贈与された財産に対しては特別受益とみなされませんが、代襲原因が発生した後はその時点で代襲者=推定相続人となるため、特別受益とみなされる可能性が高いといえます。

つまり、被相続人より先に推定相続人が死亡したときを境目として、それよりも前の贈与なら特別受益を考慮する必要がないということになります。

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推定相続人となる予定の人

推定相続人は「法定相続人になる予定の人のこと」を指しますが、入籍前の婚約者や養子縁組を予定する相手に対して生前贈与が行われるケースも考えられます

推定相続人は一般的に配偶者や血縁関係にある人だけがなれますが、入籍前や養子縁組の手続きが済んでいないときの生前贈与は「推定相続人になる前の贈与」に該当します。

この場合、財産を贈与した理由(動機)によって特別受益か否かが判断されることになり、基本的に推定相続人になる前の贈与は特別受益に含まれません

ただし、婚姻や養子縁組を目的とした贈与、またはその準備が整ったことによる贈与である場合、それ以降は推定相続人になる可能性が非常に高いことから特別受益とみなされるケースが多いです。

相続人の配偶者・親族

相続人の配偶者や親族は、基本的に特別受益者に該当しません

ただし、贈与をする際に「名義上はこれらの人に贈与を行い、実際に利益を受けたのが相続人である」と判断される場合には「相続人に対する贈与」とみなされます。

その場合には特別受益を考慮した上で相続分の計算を行う必要があります。

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特別受益の対象となる財産

特別受益の対象とみなされる財産には、以下の5種類が挙げられます。

なお、特別受益を判断する際の大前提として「被相続人の経済状況によっては贈与等の額が少額で扶養の範囲内であると判断される場合には特別受益に該当しない」という考え方があります

実際に特別受益とみなされるかどうかの判断は、被相続人の経済状況や贈与をした理由などのケースによって異なります。

そのため、世間的に見て同じカテゴリーの贈与であっても、世帯の経済状況によっては特別受益に該当するか否かの判断に差があるということを覚えておきましょう

婚姻・養子縁組の費用

婚姻や養子縁組の費用については、民法903条1項によって特別受益であることが明示されています

ただし、持参金や結納金、挙式費用などについて実務上の確立した扱いがあるわけではなく、それらが遺産の前渡しといえるか否かで判断される傾向があります。

高等教育のための学資

日本では、高等学校による教育までは義務教育に準じて考えられています。

そのため、原則として大学以上の教育が「高等教育」に該当し、留学等の費用は「高等教育のための学資」と判断されることになります

これらの費用は特別受益とみなされる可能性が高いですが、被相続人の家庭環境、それらの教育水準に即してその程度の教育を行うのが通常であると判断された場合は「扶養の範囲内」とみなされ、特別受益に該当しない可能性があります。

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不動産

不動産は経済的価値が高額になるケースがほとんどなので、原則として特別受益とみなされる傾向にあります

また、不動産を購入するための資金を贈与した場合についても同様に特別受益に該当する可能性が高いといえます。

ただし、不動産を購入するための資金であっても金額が少額の場合は特別受益に該当しないケースもありますが、被相続人の経済状況によるところが大きいので、特別受益にあたらない金額を判断するのは難しいといえるでしょう。

借地権

被相続人が所有する土地に対して、相続人が建物を建築して借地権を設定した場合、借地権相当額の贈与とみなされて特別受益と判断される可能性が高いといえます

上記に加え、被相続人から相続人へ借地権の名義を変更する場合、借地権相当額の贈与があったとみなされることから特別受益に該当します。

なお、借地権の設定を受けた人が権利金を支払っていたり、名義を取得する際の書換料や対価を支払っていたりする場合は、借地権相当額からこれらの費用を控除した金額が特別受益と判断されるケースが多いです。

金銭・社員権・有価証券・金銭債権

金銭や有価証券等の贈与は、一般的に考えられる慰労金や礼金の範囲を超える高額な贈与であると認められる場合には特別受益に該当します

この場合、相続財産の渡しといえるか否かによって特別受益の判断がなされる傾向にあります。

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特別受益にならない財産

生前贈与が行われた場合の財産について、特別受益には該当しない可能性が高い財産もあります。

特別受益に該当しない財産

なお、これらは「一般的に見て特別受益に該当しない可能性が高い財産」なので、場合によっては特別受益とみなされる可能性も考えられます。

そのため、あくまで参考程度にとどめておくようにしてください。

遺産の無償利用

被相続人の土地などを無償利用(使用貸借)している場合、「実務上は特別受益と判断されない」というケースが多々あります

たとえば、父の所有する土地を長男が長期間無償で利用している場合、通常であればその土地の利用料にあたる「地代相当額の支払い」が免除されていることから、免除された金額分が特別受益とみなされます。

このとき、法律上は「使用賃借(地代が発生しない土地の貸し借り)」が設定されたものと判断され、免除された金額分=使用賃借の価値としてみなされ、特別受益の対象となるのです。

ただし、使用賃借によって土地の所有者と建物の所有者が異なる場合、その土地を売却することは困難と考えられるため、土地の評価額が1〜3割程度減額されることになります。

つまり、「特別受益を考慮して遺産の再分配を行う場合」と「特別受益を考慮せずに評価額の下がった土地をそのまま利用する場合」とでは結果的に同じことになるのです。

厳密に言えば特別受益の対象になる可能性は高いものの、実務上は特別受益と判断せずに遺産分配が行われるケースが多いということなので、覚えておきましょう。

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生命保険金

生命保険金は、被相続人が死亡した場合に支払われる保険金であることから、被相続人の財産には含まれません

そのため、基本的に特別受益を考慮する必要はないとされています。

ただし、相続される財産が生命保険金のみの場合や、相続財産の評価額に対してあまりに高額な金額の保険金が支払われた場合には特別受益とみなされる可能性もあります。

死亡退職金

被相続人が死亡した際に支払われる「退職金(死亡退職金)」には、大きく分けて2つの役割があります。

死亡退職金の役割

  • 生前中に支払われる予定だった賃金の後払い
  • 遺族の生活を保障するための一時金

上記の2つの役割のうち、どちらの比重が大きいかによって特別受益にあたるか否かが判断されます。

たとえば、死亡退職金が「故人が生前中に支払われる予定だった賃金の後払い」だった場合、故人が受け取るはずだったお金であるという判断から遺産に含まれることが多く、特別受益と判断されるケースが多々あります。

一方、「遺族の生活保障のための一時金」だった場合、そのお金は遺族の財産として判断されることから個人の財産に含まれず、特別受益を考慮する必要がありません。

ただし、遺族の生活保障のための一時金だとしても、特定の相続人だけが多額の退職金を受け取っている場合には特別受益が考慮される可能性もあるので、ケースによって判断が変わる場合もあるということを覚えておきましょう。

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特別受益の計算方法

特別受益の計算方法は以下のとおりです。

特別受益を受けた人の相続分

  • (相続財産 + 特別受益額)× 法定相続分 - 特別受益額 = 相続分

特別受益を受けていない人の相続分

  • (相続財産 + 特別受益額)× 法定相続分 = 相続分

法定相続分は、民法によって定められている相続割合のことで、一般的には以下の通りに定められています。

相続人の優先順位と法定相続分
優先順位 法定相続分
配偶者 常に法定相続人
(第0順位)
- -
子供 第1順位 配偶者:2分の1
子供:2分の1
※子供が2人以上の場合は全員合わせて2分の1
配偶者と子供2人が相続人の場合
  • 配偶者:2分の1
  • 子供A:4分の1(2分の1÷2人
  • 子供B:4分の1(2分の1÷2人)
父母・祖父母
(直系尊属)
第2順位 配偶者:3分の2
父母・祖父母:3分の1
※複数人いる場合は全員合わせて3分の1
配偶者と父母が相続人の場合
  • 配偶者:3分の2
  • 父:6分の1(3分の1÷2人)
  • 母:6分の1(3分の1÷2人)
兄弟姉妹 第3順位 配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1
※複数人いる場合は全員合わせて4分の1
配偶者と兄1人姉1人が相続人の場合
  • 配偶者:4分の3
  • 兄:8分の1(4分の1÷2人)
  • 姉:8分の1(4分の1÷2人)

参照:相続人の範囲と法定相続分|国税庁

故人が遺言書を作成していない場合は相続人全員で話し合って法定相続分を目安にして相続割合を決めます

たとえば、相続財産が4,500万円・法定相続人は配偶者と子供2人の計3人・子供Aに対して500万円の特別受益額がある場合の計算例は以下のとおりです。

相続財産が4,500万円・法定相続人は配偶者と子供2人の計3人・子供Aに対して500万円の特別受益額がある場合の計算例

特別受益の計算例

  • 配偶者:(相続財産4,500万円 + 特別受益額500万円)× 法定相続分1/2 = 2,500万円
  • 子供A:(相続財産4,500万円 + 特別受益額500万円)× 法定相続分1/4 - 特別受益額500万円 = 750万円
  • 子供B:(相続財産4,500万円 + 特別受益額500万円)× 法定相続分1/4 = 1,250万円


今回の例の場合、法定相続分に則って遺産相続を行うと、配偶者2,250万円(相続財産の2分の1)、子供A・Bそれぞれ1,125万円(相続財産の4分の1)ずつとなります。

しかし、子供Aは特別受益額としてすでに500万円の贈与を受けているため、通常通りの方法で遺産分配を行うと、他の相続人に比べて特別な利益を受けていることになってしまいます

そういった不公平をなくすため、相続財産に特別受益額を加算した上で、法定相続分を目安にして遺産分配を行います。

上記の例では、4,500万円の相続が発生した場合、配偶者が2,500万円、子供Bは1,250万円を相続することとなり、子供Aはすでに贈与を受けている分があることから750万円の相続額になりました。

このように、相続人同士の不公平をなくすため、生前に贈与された財産の価額を相続時の財産に加えて計算することを「特別受益の持ち戻し」といいます。

特別受益は相続税の課税対象ではない

特別受益は相続税の課税対象ではないため、相続税の計算をする際に考慮する必要はありません。

ただし、相続開始前3年以内に贈与された故人の財産は、贈与がなかったものとして相続財産に加算した上で相続税の計算を行います(生前贈与加算)

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特別受益を考慮しない5つのケース

生前贈与が行われていたとしても特別受益を考慮する必要がないケースも存在します。

特別受益を考慮しないケースは全部で5つ挙げられます。

それぞれのケースについて簡単にご紹介していきます。

1.相続人が1人しかいない場合

特別受益は、相続人同士の遺産分配を公平に行うためのものです。

相続人が一人しかいない場合は遺産分配を行うことがないので、特別受益を考慮する必要はありません

2.受益者が相続放棄した場合

特別受益を受けた人が「相続放棄」で遺産の相続権を放棄している場合、その人は「最初から相続人でなかった」とみなされます。

そのため、特別受益を考慮して相続分を計算する必要はなくなります。

3.相続財産がマイナスとなる場合

遺産を相続する際には、不動産や株式といったプラスの財産以外に、故人が抱えていた借金などのマイナスの財産も引き継がれます

相続人が故人の代わりに借金を返済する義務を負うことになりますが、相続人の中に特別受益を受けた人がいても相続財産がマイナスになる場合は特別受益を考慮する必要はありません

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4.遺言書で考慮しない旨が定められている場合

故人が作成した遺言書に「特別受益を考慮しない」といった内容の文言がある場合には、特別受益を考慮して相続分を計算する必要はありません

たとえば、故人が経営していた会社を子供に継承した場合に「本遺言書の内容は子供に継承した1,000万円の特別受益を考慮した上で定めたものである」といった内容を記載すると良いでしょう。

5.他の相続人が主張しない場合

特別受益に該当する贈与があった場合でも、他の相続人が特別受益を主張しなければ考慮する必要はありません

また、特別受益であることを立証するのが難しいケースもあります。

たとえば、遺贈の場合は遺言書があることから立証しやすいですが、贈与の場合は証拠を見つけるのが困難なことが考えられます。

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特別受益の時効

特別受益には時効がありません

そのため、故人が生前に贈与した財産があると分かる場合には特別受益を考慮した上で相続分を計算することができます。

ただし、特別受益を主張するためには「特別受益にあたる贈与があった」という事実を立証しなければなりません

立証が難しい場合は特別受益を主張しても認められないケースが多いので、弁護士や税理士といったプロの専門家の力を借りることをおすすめします。

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まとめ

特別受益とは、相続人が複数人いる場合に特定の相続人だけが故人から受けた生前贈与による利益のことをいいます。

特別受益の計算方法は以下の2通りで、原則として相続財産に特別受益額を加算した上で法定相続分を目安にして遺産分配を行います。

特別受益を受けた人の相続分

  • (相続財産+特別受益額)×法定相続分-特別受益額=相続分

特別受益を受けていない人の相続分

  • (相続財産+特別受益額)×法定相続分=相続分

上記のように計算を行わないと、同じ相続人同士でありながら不公平が生まれ、後々の相続トラブルへと発展してしまうかもしれません。

そのため、生前贈与を受けている場合には特別受益のことを考慮した上で遺産分配を行うように心がけましょう。

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公開:2020.11.20
この記事の執筆者

中村 翔也

携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
この記事の監修者

藤田 匡紀

新卒で日本生命保険相互会社に入社し、販売企画・代理店営業など多様な業務に従事。13年間勤務した後「もっと多くの人に、保険の必要性を正しく理解してもらいたい」という思いを胸にエイチームフィナジーに入社、ナビナビ保険の運営に参画。金融機関における顧客向け相続セミナー・研修会の実績も多数あり。
所有資格
AFP資格、証券外務員Ⅱ種
この記事の編集者

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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