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更新:2020.06.03 公開:2020.05.07

出産手当金とは?支給条件と流れ、計算方法を分かりやすく解説

出産手当金とは?支給条件と流れ、計算方法を分かりやすく解説

出産手当金とは

出産手当金は、会社の健康保険に加入している人が出産で休職する際に、健康保険から支払われる手当金のことです。

出産が理由で休職すると、その間の収入が減ってしまうため、出産するまでの期間中や出産後の生活を支える目的で支給されます。

仮に給与が支払われている場合でも、その金額が出産手当金よりも少なければ、その差額が出産手当金として支払われるので、出産で働けない期間がある場合でも一定額の補償が受けられます。

ただし、出産手当金は自動的に支給される訳ではなく、自分自身で「出産手当金支給申請書」を準備して健康保険組合や協会けんぽに提出しなければなりません。

また、支給される金額は出産する方の給与所得に応じて変わるため、事前にどれだけの出産手当金がもらえるのかを確認しておくと安心です。

出産手当金の支給条件や金額、申請してから支給されるまでの実際の流れについてご紹介していきます。

出産の予定がある方は、しっかりと出産手当金について理解しておくようにしましょう。

出産手当金の支給条件

出産手当金が支給されるための条件は以下の通りです。

出産手当金の支給条件

  • 勤務先の健康保険に加入していること
  • 健康保険における出産の定義(妊娠85日(4か月)以後の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶)のいずれかに該当すること
  • 出産のために休業しており、休業中に給与支払いがない、もしくは出産手当金の支給金額よりも少ないとき

出産手当金が支給されるのは、勤務先の健康保険に加入している会社員や公務員が対象です。

健康保険に加入していれば正社員ではなくともパートやアルバイトの方でも支給対象に含まれますが、自営業で国民健康保険に加入している方は出産手当金の支給対象外となります。

ちなみに、出産手当金と似た言葉として「出産一時金(出産育児一時金)」がありますが、こちらは国民健康保険に加入している自営業者の方も支給の対象に含まれます。

出産一時金については、「<h2>妊娠・出産時に受けられる助成・公的制度</h2>」で詳しく解説します。

退職者・退職予定者の場合

会社を退職した方、出産を機に退職予定の方でも出産手当金は支給されます。

ただし、以下の条件を満たしている必要があるので、該当する方は事前に確認しておきましょう。

退職者・退職予定者が出産手当金を受給するための条件

  • 退職日までの健康保険加入期間が継続して1年以上あること
  • 出産手当金の支給期間内に退職していること

退職者・退職予定者が出産手当金を受給するためには、継続して1年以上の健康保険加入期間が必要です。

「継続して」という点が重要で、半年間勤務して一時退職、その後に復職して再度半年勤務をした場合は支給の対象外となります。

また、出産手当金には「出産予定日前42日+産後56日+出産予定日から遅れた出産日までの日数」という支給期間が設けられています。

画像引用:出産で会社を休んだとき|全国健康保険協会

上記の期間内に退職している方に限り出産手当金の支給対象となるので、これから出産を機に会社を退職する予定のある方は、会社に相談をして退職日の調整をするのがおすすめです。

すでに会社を退職している方でも、上記の条件を満たしていれば健康保険から出産手当金が支給されるので、勤務していた会社の総務部や人事部に相談してみてください。

出産手当金の計算方法

出産手当金の計算方法は以下の通りです。

出産手当金(1日あたり)の計算方法

  • 支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3
    ※標準報酬月額とは毎年4月・5月・6月の3か月で支払われた「報酬」の平均金額のことを指します※標準報酬月額の「報酬」とは、会社から支給される「基本給・通勤手当・家族手当・住宅手当・役職手当・残業手当」を指します※上記の「報酬」には、年3回までの賞与(ボーナス)や各種お祝い金は含まれません

出産手当金を計算するには、支給開始日(一番最初に出産手当金が支給された日)以前の12か月間における標準報酬月額を合計して平均額を算出する必要があります。

たとえば、標準報酬月額が30万円だった場合、上記の計算式から算出される出産手当金の支給金額は以下の通りになります。

例:標準報酬月額が30万円だった場合の出産手当金(1日あたり)

  • 標準報酬月額30万円 ÷ 30日 × 2/3 = 6,667円

つまり、標準報酬月額が30万円だった方は、出産手当金として1日あたり6,667円が健康保険から支給されるということです。

支給される期間は「出産日以前の42日間 + 産後56日間 + 出産予定日から遅れた出産日までの日数」なので、標準報酬月額が30万円の方は出産手当金として総額653,366円が支給される計算となります。

出産予定日から遅れて出産した場合・出産が早まった場合

出産予定日から遅れて出産した場合、出産日が遅れた全期間についても出産手当金の支給対象となります。

たとえば、標準報酬月額が30万円の方で、出産予定日が3月20日で実際に出産したのが3月25日だった場合、出産手当金の計算式は以下の通りになります。

例:標準報酬月額が30万円で出産予定日から5日遅れて出産した場合の出産手当金

  • 1日あたりの出産手当金:標準報酬月額30万円 ÷ 30日 × 2/3 = 6,667円
  • 出産日前42日 + 出産が遅れた期間5日 + 産後56日 = 103日
  • 6,667円 × 103日 = 686,701円

なお、出産予定日から遅れて出産した場合は全期間が出産手当金の支給対象となりますが、逆に出産予定日より出産が早まった場合は出産手当金の支給期間が短くなります。

たとえば、上記と同様の条件で出産予定日より3日早く出産した場合の出産手当金は以下の通りです。

例:標準報酬月額が30万円で出産予定日より3日早く出産した場合の出産手当金

  • 日あたりの出産手当金:標準報酬月額30万円 ÷ 30日 × 2/3 = 6,667円
  • 出産日前42日 - 出産予定日より早く出産した期間3日 + 産後56日 = 95日
  • 6,667円 × 95日 = 633,365円

出産予定日が早まった場合、早まった分が産後の支給期間に加算されることはありません。

出産予定日よりも出産が早まった場合は、出産手当金の総額が減るということを覚えておきましょう。

支給開始日以前の加入期間が継続12か月に満たない場合

出産手当金の支給開始日以前の加入期間が12か月に満たない場合、次のいずれか低い金額を使用して支給金額を計算します。

支給開始日以前の加入期間が12か月に満たない場合

  1. 支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額
  2. 標準報酬月額の平均額
    (ア) 支給開始日が平成31年3月31日までの方 : 28万円
    (イ) 支給開始日が平成31年4月1日以降の方 : 30万円
    ※当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額

参照:出産で会社を休んだとき|全国健康保険協会

たとえば、中途入社した勤務先での健康保険加入期間が3か月しかない場合、その3か月における標準報酬月額の平均額を計算します。

そして、算出された金額が30万円よりも低い場合はその金額を、30万円よりも高い場合は30万円として、出産手当金の計算を行います。

たとえば、標準報酬月額が25万円だった場合、支給される1日あたりの出産手当金は約5,555円で、総額は544,390円となります。

健康保険の加入期間が12か月に満たない場合でも出産手当金を受給することは可能なので、ぜひ覚えておきましょう。

出産手当金の申請~支給までの流れ

出産手当金を受給するには、冒頭でもお伝えした通り「出産手当金支給申請書」を用意して健康保険組合に提出しなければなりません。

申請から支給されるまでの大まかな流れは以下の通りです。

出産手当金の申請〜支給までの流れ

  1. 勤務先に「出産手当金」を受給したい旨を連絡する
  2. 出産手当金支給申請書を受け取る
    (ア) 申請書は「全国健康保険組合」公式ホームページからダウンロードできます
    (イ) 勤務先の総務部や人事部が代理で手続きを行ってくれる場合もあります
  3. 必要な書類を準備する
    (ア) 出産手当金支給申請書
    (イ) 健康保険証(コピー)
    (ウ) 母子手帳(コピー)
    (エ) 印鑑
    (オ) 事業主からの証明書類
  4. 産後、必要書類とともに出産手当金支給申請書を勤務先(または健康保険組合)に提出して申請完了
  5. 申請手続きから1〜2か月後より指定口座に出産手当金が一括で振り込まれる

出産手当金は、産前・産後それぞれの文を別々に支給することもできますが、その都度手続きを行う必要があるので、一般的には産後にまとめて申請する方が多いです。

産休前・入院時・産休明けにやることを表にしてまとめたので、以下もあわせて参考にしてください。

産休前・入院時・産休明けにやることリスト
期間やること
産休前
  • 勤務先に「出産手当金」を受給したい旨を連絡
  • 出産手当金支給申請書を用意して記入する
  • 必要な書類を準備しておく
  • 事業主からの証明書類を準備してもらう
入院時1. 医師・助産師の記載事項を記入してもらう
産休明け

2. 産後、出産手当金支給申請書を提出する

申請期間・支給タイミング

出産手当金の申請期間は、産休開始の翌日から2年以内となっています。

また、申請をしてから出産手当金が支給されるまでには1〜2か月ほどの時間が必要です。

出産手当金が受け取れるようになるまでは無給の状態となってしまうので、早めに申請手続きを行うようにしてください。

なお、2年を過ぎてしまった場合でも出産手当金のいち部が受け取れる場合があるので、仮に期間が過ぎてしまったという方は健康保険組合に相談してみましょう。

支給申請書の書き方

出産手当支給申請書の書き方は以下のとおりです。


画像引用:健康保険出産手当金支給申請書|全国健康保険協会

出産手当金支給申請書記入欄
番号項目補足説明
1被保険者証の記号・番号健康保険証の上部に記載あり
2被保険者の氏名・印鑑被保険者が亡くなられて相続人が申請する場合、申請者の氏名を記入(住所・振込口座等も同様)※生年月日は「被保険者」の生年月日を記入
3振込先の銀行口座情報ゆうちょ銀行の口座で受け取り希望の場合、従来の13桁の口座番号ではなく「振込専用の店名(漢数字3文字)・預金種目・口座番号」の3点を記入
4

被保険者のマイナンバー

※1の記号・番号を記載している場合は記入不要

被保険者のマイナンバーを記入した場合は以下の書類が必要
  • 身元確認を行うための書類(いずれか1点)
  • 被保険者の個人番号カード(表面)のコピー
  • 運転免許証のコピー
  • パスポートのコピー
  • その他官公署が発行する写真付き身分証明書のコピー
  • 番号確認を行うための書類(いずれか1点)
  • 被保険者の個人番号カード(裏面)のコピー
  • 個人番号通知のコピー
  • 被保険者の個人番号が記載された住民票か住民票記載事項証明書
5出産前か出産後のどちらで申請するか出産前は「1」、出産後は「2」を記入
6出産予定日・出産日の記入出産前に申請する場合は出産予定日のみ記入
出産後に申請する場合は出産予定日と出産日の両方を記入
7出産のために休んだ期間(申請期間)出産のために休業した期間とその日数(公休日含む)を記入
8医師・助産師記入欄担当する医師または助産師に記入してもらう項目

 ※勤務先が記入する項目は別紙にあります

上記を参考にして、出産手当金支給申請書を完成させましょう。

勤務先が記入する項目

勤務先が記入する項目は別紙にあります。

勤務先に出産手当金を受給する旨を伝えた際、自分で用紙を準備するようにいわれた場合は「全国健康保険協会」公式ホームページからダウンロードができます。

その際、勤務先が記入する用の申込書も一緒にダウンロードできるので、付属の書き方と合わせて勤務先に渡して記入してもらいましょう。

ダウンロードできる勤務先用の書類は以下の通りです。

勤務先用の出産手当金申請書と記入例
画像引用:健康保険出産手当金支給申請書|全国健康保険協会

妊娠・出産時に受けられる助成・公的制度

妊娠や出産時に受けられる助成金や公的制度は、出産手当金以外にも下記のものがあります。

妊娠・出産時に受けられる助成・公的制度

出産手当金の概要と合わせて、これらの助成金や公的制度についても覚えておきましょう。

また、上記以外にも妊娠・出産で免除、もしくはもらえるお金があるので、詳しくは以下の記事をご確認ください。

出産育児一時金

出産育児一時金は、出産にかかる費用を健康保険から支給する制度です。

日本の健康保険は正常分娩の場合だと保険が適用できないため、その分の経済的負担を補填する目的で支給されます。

会社員や公務員のみならず、国民健康保険に加入している自営業者やフリーランスの方でも受給できることが特徴です。

赤ちゃんひとりにつき42万円の支給が受けられる上、加入している健康保険によってはさらに数万円が上乗せされるケースがあります。

出産手当金と同様、自分で加入している健康保険組合に申請する必要があるので、その際に合わせて「自分はいくらの出産育児一時金が支給されるのか」について確認しておきましょう。

育児休業給付金

育児休業給付金は、育児のために休業した方が復職することを前提にした場合に支給される給付金です。

育児休業の開始日から過去2年間に12か月以上の雇用保険加入期間があり、復職を前提にした場合に支給されます。

原則として支給期間は子供が1歳になる前々日までです。

特例として、保育所等での保育を希望して申し込みを行ったものの入所できなかった場合、所定の要件を満たしていれば1歳6か月または2歳になるまで期間が延長される場合があります。

支給される金額は以下の計算式で算出できます。

育児休業給付金の計算式

  • 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%※賃金日額は事業主が提出する証明書をもとにして、休業開始前6か月の賃金総額を180で割って算出※育児休業開始から6か月経過後は50%で計算

育児休業給付金は、勤務先経由で最寄りのハローワークに申請する形となります。

申請すれば自分で手続を行うこともできるので覚えておきましょう。

まとめ

出産手当金は、会社の健康保険に加入している人が出産で休職する際に、健康保険から支払われる手当金のことです。

以下の条件を満たしている会社員や公務員の方なら、申請手続きをすることで誰でももらえるようになります。

出産手当金の支給条件

  • 勤務先の健康保険に加入していること
  • 健康保険における出産の定義(妊娠85日(4か月)以後の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶)のいずれかに該当すること
  • 出産のために休業しており、休業中に給与支払いがない、もしくは出産手当金の支給金額よりも少ないとき

支給金額は収入によって異なるため、「出産手当金の計算方法」を参考にして、どれくらいの出産手当金がもらえるのかをご確認ください。

また、出産手当金以外にも妊娠・出産時に受けられる助成金や公的制度があります。

妊娠・出産時に受けられる助成・公的制度

いずれの制度も、自分自身で手続きを行わないと支給されないので、受け取り忘れのないように気をつけましょう。

この記事の執筆者
中村 翔也
携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
この記事の監修者
石田 直樹
所有資格
AFP資格、TLC(生保協会認定FP)資格
ソニー生命、東京海上日動あんしん生命保険、保険代理店等、保険業界を28年間勤務。支社長や管理職を経験、200回以上のセミナーや研修講師の登壇経験あり。その知識を活かし、もっと多くの人に保険の必要性を正しく理解してもらいたい!という思いを胸に、ナビナビ保険の事業立ち上げメンバーとして異業種のIT企業に転職し、現在に至る。
この記事の編集者
ナビナビ保険編集部
ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。
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