就業不能保険とは?働けないリスクに備える他保険との違いや比較ポイントを解説

就業不能保険とは

就業不能保険とは、病気やケガの治療で長期間の入院や在宅療養などによって「働けない状態(=就業不能状態)」になったときの収入減少に備えるための保険です。

就業不能となった場合でも、契約時に設定した金額が毎月定期的に支払われるので、収入がない中でも安心して治療に専念することができます。

メリット・デメリット

就業不能保険の保障内容は、保険会社や保険商品によって様々ですが、メリットとデメリットをまとめると以下のとおりになります。

就業不能保険のメリット

  • 将来、万が一働けなくなってしまった場合の経済的な不安を払拭できる
  • 医療保険でカバーできない長期入院・在宅療養のときでも保障が受けられる
  • 保険料控除の対象にできる(控除区分は介護医療保険料控除で最大40,000円まで)

就業不能保険のデメリット

  • 60日や180日などの免責期間(支払い対象外期間)があるため、すぐに給付金が受け取れる訳ではない
  • 給付条件は保険商品ごとで細かく決められており、就業不能状態だとしても治療目的の入院や療養以外は対象外の場合がある
  • 精神疾患やうつ病は対象外になる保険商品が多い
  • 学生や専業主婦(主夫)、アルバイト、パートなどの職業・職種・雇用形態、一定以下の年収では申し込めない場合がある

就業不能保険は万が一働けなくなった場合の収入減少を補う目的の保険なので、フリーランスや個人事業主などの自営業者、車や住宅の購入でローンがある方、万が一の場合に対応できるだけの資産がない方にとって必要性が高い保険だといえます。

とはいえ、就業不能保険は比較的新しくできたばかりの保険商品なので、医療保険や死亡保険などに比べて保険会社ごとで保障内容に大きな差があるために比較がしづらいという難点があります。

就業不能保険と他保険との違い(医療保険・収入保障保険・所得補償保険)

働けなくなった場合のリスクに備える意味では「医療保険」や「収入保障保険」、「所得補償保険」など似た内容の保障制度も存在するため「自分はどれを選べば良いんだろう?」とお困りの方もいるでしょうか。

この章では、働けなくなったときに自分に合ったリスクの備え方として、就業不能保険と以下の保険との保障制度の違いや、保険の選び方について解説します。

就業不能保険と医療保険の違い

病気やケガが原因で働けなくなったとき、医療費を負担してくれる「医療保険」を連想される方も多いかと思います。

就業不能保険と医療保険の違いをまとめると以下のとおりです。

就業不能保険と医療保険の違い
どんなとき? どんな目的で? 保障期間は?
就業不能保険 病気やケガが原因で働けなくなったとき 収入の減少に備えるため

加入期間中

在宅療養でも保障が受けられる

医療保険 病気やケガが原因で入院・手術をするとき 入院費や手術費用といった支出に備えるため

60日〜120日のケースが多い

在宅療養は対象外

就業不能保険は病気やケガが原因で働けなくなったときの収入減少に備えるための保険です。

一方の医療保険は、病気やケガが原因で入院したり手術をしたりするときの支出に備えるための保険です。

また、就業不能保険は加入期間中ずっと保障が続きますが、医療保険は1回の入院で60〜120日の短期間だけ保障されるなど、保障期間にも違いがあります。

就業不能保険と収入保障保険の違い

収入保障保険とは被保険者が死亡した場合、遺された家族の生活を保障するための保険です。

就業不能保険と収入保障保険の違いは以下のとおりです。

就業不能保険と収入保障保険の違い
どんなとき? どんな目的で? 誰が受け取る?
就業不能保険 被保険者が就業不能状態になったとき 本人の生活を保障するための保険

被保険者本人

収入保障保険 被保険者が死亡したとき 遺された家族の生活を保障するための保険

被保険者の家族

就業不能保険と収入保障保険は、どちらも生命保険会社が取り扱っている保険ですが、具体的には上記のような違いがあります。

就業不能保険は、被保険者が就業不能状態になったとき、本人の生活を保障するための保険です。

一方の収入保障保険は、被保険者が死亡した場合において、遺された家族が安心して生活を送るための保険です。

一般的には、自営業で万が一のリスクに備えたい方は「就業不能保険」、自分に万が一のことがあった場合の家族の生活費を備えたい方は「収入保障保険」を選ぶのが良いでしょう。

就業不能保険と所得補償保険の違い

収入保障保険と似た言葉で「所得補償保険」があります。

就業不能保険と所得補償保険は、どちらも病気やケガが原因で働けなくなったときの収入減少に備えるための保険です。

そのため、ほぼ同じ内容の保険として見られていますが、厳密には以下のような違いがあります。

就業不能保険と所得補償保険の違い
取扱い保険会社 保険金額の設定方法

保険期間

保障期間
就業不能保険

生命保険会社

保険会社ごとで異なる「契約前の年収に応じた上限額」

50〜70歳前後のうち5年刻みで満期が選べる

加入期間中ずっと

所得補償保険

損害保険会社 契約前の12か月における所得の50〜70%

1年〜5年間

最長2年、60歳までなど保険商品によって異なる

就業不能保険と所得補償保険のどちらに加入するかは、今後のライフプランを見据えて決めるのがいいでしょう。

たとえば、1年後や2年後などの短期間において生活費が必要であったり子供の学費や受験の予定があったりする方は「所得補償保険」、働いている期間中の収入減少のリスクに備えておきたい方は「就業不能保険」といった感じです。

特に、フリーランスや個人事業主として仕事をされている方で、将来どれくらいの収入があるか見通しが付きづらい場合は「就業不能保険」に加入しておくのが安心です。

就業不能保険の必要性

ここまで、就業不能保険がどのようなものか、他の保険と比べてどのような違いがあるかについて解説をしてきました。

万が一働けなくなったときに備えるための就業不能保険ですが、若い世代の方にとっては「本当に必要な保険なの?」と疑問に感じられるかもしれません。

そこでこの項目では、就業不能保険の必要性について考えていきたいと思います。

現在の日本では国民皆保険制度のもと、会社員・自営業・扶養家族など、どんな立場の人でも何らかの公的医療保険に加入しています。

病気やケガで長期間働けなくなると一定の公的保障が受けられるようになりますが、会社員と自営業とでは加入できる公的医療保険が異なるため、保障される内容も大きく変わります。

会社員と自営業の社会保険の違い
加入可能な社会保険 保険料 病気やケガで働けなくなったときの保障

医療保険

公的年金

労災保険

会社員

  • 健康保険組合
  • 全国健康保険協会など
労使折半(半額自己負担) 傷病手当金:休業4日目から最長1年6か月間
  • 障害基礎年金
  • 障害厚生年金
  • 療養補償給付
  • 休業補償給付
  • 障害補償給付 など

自営業

国民健康保険

全額自己負担

なし

障害基礎年金

なし

このように、加入できる社会保険の違いから、病気やケガが原因で働けなくなったときの保障内容は大きく変わってきます。

会社員の人なら就業中に発生した病気やケガなら労災保険が適用され、就業中ではない場合でも傷病手当金で給付金が受け取れます。

そのため、万が一働けなくなり収入が減少する事態に陥っても有給休暇を使ったり各種保障を適用したりなどで負担を大きく減らすことができます。

一方、自営業の方の場合は傷病手当金や労災保険といった保障が会社員と比較すると手厚くありません

障害状態と認定された場合のみ障害基礎年金が支給されますが、障害厚生年金は受け取れないなど、会社員に比べて受けられる公的保障は非常に少ないです。

また、会社員の方でも公的保障だけで減少した収入の全てが賄えないケースもあるので、長期の入院や治療費に備えたい方や、車、住宅などのローンを支払っている方は就業不能保険をご検討されるのが良いといえます。

就業不能保険の必要性が高い人

上記のことから就業不能保険の必要性が高いのは以下のような特徴がある人です。

就業不能保険の必要性が高い方の特徴

  • 自営業の方:会社員と比較して受けられる公的保障が少ないため
  • 車や住宅ローンを返済中の方:就業不能状態では継続して返済していかなければならない
  • 長期入院や在宅療養によって収入が減少するリスクに対応できるだけの資産がない方

特にローンを返済中の場合、契約時に加入する団体信用生命保険の内容によっては有業不能状態に陥っても継続して返済していかなければならないことがあります(死亡時は残高がなくなるケースもあり)。

上記に当てはまる人は、この機会に就業不能保険への加入をご検討ください。

就業不能保険の選び方!比較するときの4つのポイント

近年では数多くの保険会社が「就業不能保険」を提供し始めているので、どの保険を選べば良いのか分からない方も多いかと思います。

就業不能保険を選ぶときは、以下の4つのポイントを比較するのが良いでしょう。

それぞれのポイントについて解説していきます。

1.給付金の支払い条件、加入条件は事前に確認する

就業不能保険を選ぶ際は、給付金の支払い条件と加入条件をしっかりと確認するようにしましょう。

多くの就業不能保険では「就業不能状態になったとき」とされていますが、その保険商品での「就業不能状態の定義」を知っておく必要があります。

冒頭でもお伝えした通り、就業不能保険は比較的新しい保険なので定義を理解するのが難しいケースがあります。

保険会社や保険商品によって定義が異なる場合が多いので、条件を確認するようにしてください。

一般的な就業不能状態の定義(一例)

  • 病気やケガの治療を目的として、病院もしくは診療所で入院している状態
  • 病気やケガにより、医師の指示のもと在宅療養で治療に専念している状態

精神疾患は保障の対象外になることがある

なお、就業不能状態に該当した場合でも保障が受けられないケースもあります。

一般的には、精神疾患やうつ病、統合失調症といった精神障害が該当します。

それ以外にも、むち打ち症や腰痛など医学的他覚所見がみられない場合も保障の対象外となります。

また、就業不能状態とは「現職に復帰できない状態」ではなく、「物理的に就業できない状態」を指すので注意しましょう。

上記に該当しない場合においても、保険商品によって給付金の支払い条件は大きく異なるので、契約概要などをご参照ください。

2.保険金額(必要保障額)の設定、考え方

就業不能保険は自身で決めた保険金額を月に一度受け取ることができます。

保険金額の設定は自分で決められますが、保険会社によって上限が決まっています。

また、保険金額を高額にすれば毎月の保険料も合わせて高くなるので、現時点での自分の月収をベースにして考えるのが良いでしょう。

ただし、会社員の方は傷病手当金や労災保険などの公的保障で「ある程度の保障」が受けられるため、それらを含めた上で収入の減少分を計算し、その分を補う形で就業不能保険を利用するのが理想的だといえます。

一方、自営業の方会社員と比較すると公的保障が手厚くないので、自分が働けなくなった場合にどれだけの給付金があれば生活できるのかを計算し、その満額が受け取れるように金額を設定しておくのが良いでしょう。

3.満期(保険期間)の決め方

就業不能保険の多くは、50〜70歳の間において5年刻みで満期(保険期間)が選べます。

保険期間は、以下を参考にして決めるのが良いでしょう。

保険期間の決め方(一例)

  • 働いている期間のうち、全期間で備えておきたい人:退職時期に合わせて60〜70歳満期
  • 働いている期間のうち、一定期間だけ備えたい人:50〜60歳満期

たとえば、夫婦のどちらか一方が世帯収入の多くを担っている場合は退職する時期(一般的には60〜70歳)まで保険に加入していたほうが安心です。

一方で、車や住宅ローンの支払い、子供の進学や受験があるなどの一定期間のみを保障したいなら50〜60歳満期に設定するのがおすすめです。

4.給付金の受け取り方

就業不能保険は、働けなくなった場合に月に一度の頻度で給付金が受け取れます。

ただし、受け取れるようになるまでは60日や180日、1年6か月などの「免責期間(支払い対象外期間)」があります。

保険商品によって免責期間は異なりますが、自分で受取可能日を決められる場合が大半です。

受取可能日を選ぶときは、会社員の人であれば傷病手当金で1年6か月間は給付金が受け取れるので、受取可能日を早める必要はありません。

自営業の方は傷病手当金などの保障が一切受けられないので、万が一の場合に備えて最も早い受取可能日を選ぶのが良いでしょう。

また、就業不能保険の中には受取可能日の時期に応じて保険金額を変更できる保険商品もあります。

たとえば、会社員の方なら傷病手当金が給付される最大1年6か月までは安い金額に設定、それ以降は保険金額を上げるなどの調整ができます。

一定期間を安い保険金額に設定することで毎月の保険料を抑えることができるので、会社員の方に向いているといえます。

就業不能保険は働けない期間中の収入減少に備えておく保険なので、自分の働き方や将来のライフプランを見据えた保険を選ぶようにしましょう。

まとめ

以上、就業不能保険についての解説をお送りしました。

就業不能保険は、病気やケガが原因で働けなくなった期間中の収入減少に備えるための保険です。

会社員の方であれば傷病手当金や労災保険などの保障が受けられますが、自営業の方は会社員と比較すると受けられる保障が手厚くありません。

また、会社員の方でも公的保障だけで収入が減少した分の全てを賄えないケースもあるので、万が一の場合に備えて就業不能保険に加入しておくのは賢い選択だといえます。

就業不能保険を選ぶ際は、以下の4つのポイントを比較して選ぶのが良いでしょう。

病気やケガはいつ起こるかわからないものです。

特に自営業の方は働けなくなったときに受けられる公的保障が会社員と比較すると手厚くないので、この機会に就業不能保険へのご加入をご検討ください。

これまで解説してきた内容を読んでいただき、それでも自分に合った生命保険がよく分からない……という人は、ぜひファイナンシャルプランナーへの無料相談を検討してみて下さい。

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