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保険を知る

更新:2020.09.29 公開:2020.09.15

扶養家族には二つの意味がある!扶養の条件や手続きを解説

扶養家族には二つの意味がある!扶養の条件や手続きを解説

扶養家族とは?

扶養家族とは、扶養者(扶養する人)の収入によって扶養される人のことをいいます。

一般的には「一家の大黒柱」の収入で生活している配偶者や子供を指す言葉として使われており、納税者(扶養者)の扶養に入ることで「扶養控除」や「配偶者控除」が適用され、扶養者の税負担が軽減されます

扶養家族という言葉には、厳密にいうと「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」という2つの定義が存在します。

扶養控除の種類

  • 税制上の扶養:所得税や住民税の控除、配偶者控除・配偶者特別控除に関するもの
  • 社会保険上の扶養:健康保険や各種年金に関するもの

扶養控除を受けるためには扶養家族(配偶者や子供など)の年収が一定の要件以下である必要があり、税法上と健康保険上それぞれによって扶養から外れてしまうボーダーラインがあります。

また、税法上の扶養と健康保険上の扶養とで扶養家族の対象となる人物が異なります。

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収入と税金の関係性について

扶養とはなにか?について考える前に「収入と税金の関係性」を把握しておきましょう。

日本では労働形態(正社員、パート、アルバイトなど)に問わず、所得を得ることで「税金」が課せられ、納税義務が発生します。

税金は所得の金額によって変動しますが、一定の要件を満たせば、所得税や住民税を計算する際のベースとなる「課税所得」を減らすことができる「所得控除」が適用されます。

所得控除には様々な種類がありますが、この記事で解説する「扶養家族」の対象になると「扶養控除」や「配偶者控除」が適用され、納税者の税負担が軽減できます

また、扶養に入っている状態であれば、扶養される人自身に所得税や住民税がかからず、扶養者の勤務先が加入する健康保険制度も利用可能です。

税法上の扶養と健康保険上の扶養

扶養控除や配偶者控除が適用されるためには、扶養家族が一定の要件を満たしておく必要があります。

その要件のうちのひとつが「年間所得」に関わるもので、一般的に「103万円の壁」や「130万円の壁」といわれています。

複数の金額のボーダーラインがあるため、「実際にいくらまでなら扶養から外れないの?」と混乱してしまいがちですが、これを理解するために「税制上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2つに分けて整理して考える必要があります。

税法上の扶養と健康保険上の扶養の違い

上記のように整理して考えると、お金をいくらまで稼ぐと何の税金が発生するのか、どういったデメリットがあるのかがイメージしやすくなります。

ただし、「税制上の扶養」と「健康保険上の扶養」では、扶養家族の対象となる人や年齢、扶養に入るための手続き内容が異なります

また、税制上で扶養される人を「扶養親族」、健康保険上で扶養される人を「被扶養者」と呼ぶなど名称も変わってくるので、それぞれの違いについてしっかりと理解するようにしましょう。

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税法上で扶養の対象となる人(扶養親族)

税法上で扶養の対象となる人のことを「扶養親族」と呼びます。

扶養親族がいる場合、所得税や住民税として納める金額を軽減できる「扶養控除」が適用可能です。

扶養親族の対象範囲

扶養親族の対象となるのは、その年の12月31日時点で次の4つの要件を満たしている人に限られます。

 (1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

 (2) 納税者と生計を一にしていること。

 (3) 年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。

  (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

扶養親族の対象範囲 から引用


参照:扶養控除|国税庁

配偶者以外の親族については、以下の表をご参照ください。

親族間の親等数について
血族(自分と血がつながっている人のこと) 姻族(婚姻関係によってできた親戚のこと)
  • 1親等:父母、子供
  • 2親等:祖父母、孫、兄弟姉妹
  • 3親等:曾祖父母、ひ孫、叔父叔母(父母の兄弟姉妹)、甥姪
  • 4親等:高祖父母(曾祖父母の父母)、玄孫、祖父母の兄弟姉妹、従兄弟(いとこ)、甥姪の子供
  • 5親等:高祖父母の父母、来孫(玄孫の子供)、曾祖父母の兄弟姉妹、祖父母の甥姪、従兄弟の子供、甥姪の孫
  • 6親等:高祖父母の祖父母、昆孫(来孫の子供)、高祖父母の兄弟姉妹、祖父母の従兄弟、再従兄弟(はとこ)、従兄弟の孫、甥姪のひ孫
  • 1親等:配偶者の父母、子供の配偶者
  • 2親等:配偶者の祖父母、配偶者の兄弟姉妹、孫や兄弟姉妹の配偶者
  • 3親等:配偶者の曾祖父母、叔父叔母、甥姪、ひ孫、甥姪の配偶者

6親等内の血族とは、従兄弟(父母の兄弟姉妹の子供)の孫、再従兄弟(祖父母の兄弟姉妹の孫)などが該当します。

3親等内の血族は、自身の配偶者の叔父や叔母、配偶者の兄弟姉妹やその子供、自分と配偶者から見たひ孫の配偶者に当たります。

上記に該当する人が納税者と生計を一にしており、なおかつ一定の所得以下である場合に「扶養親族」の対象となります

「生計を一にしている」とは?
同じ家計で生活をしていること。単身赴任や地方の学校に通うために一人暮らしをする子供などに仕送りをしている場合は「生計を一にしている」に含まれる。

合計所得金額は48万円以内(令和2年分以降)となりますが、給与所得を受けている場合は「給与所得控除」として55万円の控除が受けられるので、これらを合計して年収103万円以内であれば扶養親族になれるということです。

なお、配偶者はあくまで「配偶者」という括りであり、厳密に言えば「扶養親族」に含まれていない点にはご注意ください。

扶養親族の対象年齢

扶養親族の対象年齢は、その年の12月31日時点での年齢が16歳以上の人です。

15歳未満の子供は扶養親族に含まれるものの、扶養控除の対象には含まれません。

これは、平成23年から15歳以下の子供に対しては「児童手当」が支給されるようになったためです。

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税法上で扶養に入るための手続き

税法上で扶養に入るためには、納税者が勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しなければなりません

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は国税庁公式ホームページ、または勤務先の担当部署に取り寄せてもらうことで入手が可能です。

ここでは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方を1〜6のパートに分けて解説します。

それぞれの手順を確認しながら、書類を完成させていきましょう。

1.全員が記載する欄

1のパートには、給与の支払い者(勤務先)の名前や本社住所、自分自身の氏名・個人番号・生年月日・住所などの情報を記入します。

勤務先の情報は担当部署の人が記入するので、この項目では自分自身の氏名などを記入するだけで大丈夫です

記入の際は、以下のポイントを確認しながら記入していきましょう。

記入する際のポイント

  • 「個人番号(マイナンバー)」を記入する
  • 「配偶者の有無」の項目でどちらかに◯をつける
  • 「世帯主」の項目は、自分が世帯主なら「本人」、配偶者なら「妻または夫」、親の場合は「父または母」と記入
  • 「氏名」の項目の横に認印または実印で押印をする(シャチハタは不可)
  • 「従たる給与について〜」の項目は、本申告書を提出する勤務先以外からも給与所得を受けている場合に◯をつける

これ以降のパートでは、家族の中に該当する人がいる場合のみ記入していきます

単身者、または扶養家族に該当する人がいない場合は本パートだけを記入して勤務先にご提出ください。

2.源泉控除対象配偶者(A)

「源泉控除対象配偶者(A)」の項目は、以下の要件に該当する場合に記入を行います。

源泉控除対象配偶者(A)の記入要件

  • 納税者本人の所得(給与所得-給与所得控除)の見積り金額が900万円(年収1,120万円)以下
  • 納税者と生計を一にする配偶者の所得の見積り金額が85万円(年収150万円)以下
  • 配偶者が青色申告書の事業専従者として給与を受け取っていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

記入項目は以下のとおりです。

源泉控除対象配偶者(A)の記入内容

  • 配偶者の氏名・個人番号・生年月日・住所(給与所得者と同居の場合は「同上」)
  • 配偶者のおおよその年間所得
  • 「非居住者である親族」「異動日及び事由」は該当する場合のみ記入
  • 居住者:国内に住所があり、現在に至るまで1年以上住所を有する個人のこと。それ以外は非居住者に該当

配偶者がパートで働いており、年収が150万円を超える場合はこのパートを記載する必要はありません。

「源泉控除対象配偶者」は、平成30年に配偶者控除・配偶者特別控除が改正された際に新しくできた考え方で、平成29年度までは「控除対象配偶者」という名称でした。

控除対象配偶者に該当する70歳以上の人は「老人控除対象配偶者」に分類されるため、一般的な控除対象配偶者とは控除額が異なります。

そのため、生年月日については正確に記入するようにしてください。

3.控除対象扶養親族(B)

「控除対象扶養親族(B)」の項目は、冒頭でお伝えした「扶養親族」の要件を満たす場合に記入します。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

(2) 納税者と生計を一にしていること。

(3) 年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。

(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

扶養親族の対象範囲 から引用

参照:扶養控除|国税庁

扶養控除の対象となる人の年齢によって扶養控除額が変動するため、記入する際は間違えないように気をつけましょう

扶養控除額について
扶養親族の年齢 扶養控除額
年少扶養親族 満15歳以下 0円
※平成23年より廃止
一般扶養親族 16歳以上18歳以下 38万円
特定扶養親族 19歳以上22歳以下 63万円
成年扶養親族 23歳以上69歳以下 38万円
老人扶養親族 同居かつ70歳以上 48万円
同居以外かつ70歳以上 58万円

※いずれも毎年12月31日時点における年齢を指します参照:扶養控除|国税庁

70歳以上の人の場合は同居の有無によって控除額が異なり、病気を治療するための長期入院などは「同居」として取り扱われます。

老人ホームなどに入所している場合は「同居以外」の扱いとなるので、覚えておきましょう。

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4.障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生(C)

「障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生(C)」のパートは、納税者本人・配偶者・扶養親族が以下のいずれかのパターンに該当する場合のみ記入します。

障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生のパターン

上記のいずれかに該当する場合、申告書の該当箇所にチェックを入れて記載の指示通りに記入をすれば問題ありません。

以下、それぞれのパターンについて補足説明をしていきます。

障害者

納税者本人・配偶者・扶養親族が「所得税法上の障害者」に該当する場合は、障害者控除が適用されます

区分によって「障害者控除」の金額が異なるので、以下の表を参考にして該当者と障害区分(等級)を記入します。

障害者控除の対象となる人の範囲

  • (1)精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人(特別障害者)
  • (2)児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人(このうち重度の知的障害者と判定された人は特別障害者)
  • (3)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(このうち障害等級が1級と記載されている人は特別障害者)
  • (4)身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人(このうち障害の程度が1級又は2級と記載されている人は特別障害者)
  • (5)精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が(1)、(2)又は(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人(このうち特別障害者に準ずるものとして市町村長、特別区区長や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者)
  • (6)戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人(このうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は特別障害者)
  • (7)原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人(特別障害者)
  • (8)その年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)(特別障害者)
障害者控除の対象となる日との範囲と控除額
区分 控除額
障害者 27万円
特別障害者 40万円
同居特別障害者 75万円

参照:障害者控除|国税庁

なお、申告書の提出時点で「障害者手帳」の交付を受けていなくても、交付の申請途中や診断書待ち、明らかに障害者手帳が交付されるであろうと認められる場合には障害者控除の適用が可能です。

寡婦

納税者本人(女性)が夫と死別または離婚後に再婚をしていないなどの要件を満たしており、扶養親族または生計を一にする子供がいる人のことを「寡婦」といいます

寡婦控除の対象となる人の範囲

  • 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人
  • 夫と死別した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人

参照:寡婦控除|国税庁

上記の要件を満たしている場合は「寡婦控除」として27万円の所得控除が適用されます

特別の寡婦

寡婦に該当し、合計所得金額が500万円以下の場合は「特別寡婦」として控除金額が増えます。

特別の寡婦の対象となる人の範囲

  • 夫と死別し又は夫と離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
  • 扶養親族である子がいる人
  • 合計所得金額が500万円以下であること

参照:寡婦控除|国税庁

特別寡婦の要件を満たしている場合は、35万円の所得控除が適用されます

寡夫

納税者本人(男性)が妻と死別または離婚後に再婚をしていないなどの要件を満たしており、扶養親族または生計を一にする子供がいる人のことを「寡夫」といいます

寡夫控除の対象となる人の範囲

  • 合計所得金額が500万円以下であること。
  • 妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
  • 生計を一にする子がいること。
    • この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。

上記の要件を満たしている場合は「寡夫控除」として27万円の所得控除が適用されます

勤労学生

納税者本人が以下の要件に該当する場合、勤労学生として「勤労学生控除」の対象となります。

勤労学生控除の対象となる人の範囲

  • 給与所得などの勤労による所得があること
  • 合計所得金額が75万円以下(令和元年分以前は65万円以下)で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
    • 例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が75万円以下となります。
  • 特定の学校の学生、生徒であること(特定の学校は以下参照)
    • 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
    • 国、地方公共団体、私立学校法の第3条に規定する学校法人、同法第64条第4項に規定する法人、これらに準ずる一定の者により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
    • 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの

参照:勤労学生控除|国税庁

上記の要件を満たしている場合は「勤労学生控除」として27万円の所得控除が適用されます

5.他の所得者が控除を受ける扶養親族等(D)

「他の所得者が控除を受ける扶養親族等(D)」は、申告書の提出者以外が家族を扶養親族として申告する場合に記入する項目です。

控除対象となる扶養親族と、控除を受ける所有者の氏名・続柄・住所といった情報を記入していきましょう。

6.16歳未満の扶養親族

最後の「16歳未満の扶養親族」のパートは、16歳未満の扶養親族がいる場合に記入します。

この申告書は「給与所得者の扶養親族申告書」と統合されており、住民税を計算するための情報として記入が必要となります。

また、海外に住む扶養親族がいる場合には「控除対象外国外扶養親族」の項目に必要事項を記入します

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健康保険上で扶養の対象となる人(被扶養者)

健康保険上で扶養の対象となる人のことを「被扶養者」と呼びます。

被扶養者になることで社会保険料が免除されて、健康保険上の負担が軽減されることが特徴です。

被扶養者の対象範囲

被扶養者の対象になれるのは、以下の要件を満たす人に限られます。

被扶養者の範囲図(三親等の親族図)

被扶養者の対象範囲

  1. 被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で主として被保険者に生計を維持されている人
    (ア) 必ずしも「同居」の必要はない
  2. 被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
    (ア) 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
    (イ) 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届け出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
    (ウ) 上記の配偶者が亡くなった後における父母および子
  3. 被扶養者の収入が以下の条件を満たしていること
    (ア) 年間収入が130万円未満である(60歳以上および障害者は180万円未満)
    (イ) 同居の場合、収入が被保険者の収入の半分未満である
    (ウ) 別居の場合、収入が被保険者からの援助(仕送り)による収入額未満であること
    ※後期高齢者医療制度の被保険者等である人は除きます

参照:被扶養者とは?|全国健康保険協会

被扶養者の対象年齢

被扶養者の対象年齢は、75歳未満の人に限られています

75歳以上になると「後期高齢者医療制度」によって健康保険に加入しなければならないためです。

被扶養者の収入基準

被扶養者となるためには、年収が130万円未満である必要があります

60歳以上の人や障害のある人が被扶養者となる場合は年収180万円未満でなければなりません。

また、被保険者と被扶養者が同居の場合は被保険者の年収の半分未満、別居の場合は仕送り額未満の年収でないと被扶養者として認められないのでご注意ください。

健康保険上の「年収」について

健康保険上における「年収」には、所得税では非課税になる項目も収入に入れて計算しなければなりません

具体的には以下のようなものが該当します。

  • 障害基礎年金・障害厚生年金
  • 遺族基礎年金・遺族厚生年金
  • 雇用保険での基本手当(失業保険)
  • 健康保険での傷病手当金・出産手当金
  • 労災保険での傷病補償給付・障害補償給付・遺族補償給付

健康保険上での収入基準額を計算する際には、上記の収入も含める必要があるので気をつけましょう。

生計維持関係

被扶養者として認められるためには、被保険者の収入によって生活をしていると認められる必要があります

被保険者が扶養している事実があると認められるための要件は以下の3つです。

生計維持関係が認められるための要件

  1. 年間収入が130万円未満である(60歳以上および障害者は180万円未満)
  2. 同居の場合、収入が被保険者の収入の半分未満である
  3. 別居の場合、収入が被保険者からの援助(仕送り)による収入額未満であること

同居の場合

生計維持関係と認められるための要件(同居の場合)

同一世帯で同居の場合に生計維持関係を認められるための収入限度額は、「年収130万円未満且つ被保険者の年収の2分の1」である必要があります。

また、子供の一人暮らしなどで家族ではあるが、住所が違う別世帯の場合に生計維持関係を認められるための収入限度額は「年収130万円未満且つ仕送り額未満」である必要があります。

別居の場合

なお、別居であっても「被保険者が単身赴任をしている場合」と「18歳以下の子供が全日制の学生で進学をする場合」の2点においては仕送りの事実が不要となります。

生計を一にしているか否かの判断基準

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被扶養者の国内居住要件

令和元年5月に成立した「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」において、被扶養者認定における「国内居住要件」が新設されました。

ただし、海外に住んでいるものの、日本に生活の基礎があると認められるものに関しては例外的に要件を満たすこととされています。

例外的な要件とは以下のとおりです。

国内居住要件の例外と証明書類
国内居住要件の例外 証明書類
外国において留学をする学生 査証、学生証、在学証明書、入学証明書等の写し
外国に赴任する被保険者に同行する者 査証、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書等の写し
観光、保養またはボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者 査証、ボランティア派遣期間の証明、ボランティアの参加同意書等の写し
被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者 出生や婚姻等を証明する書類等の写し
上記に該当する者のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者 厚労省保健局に相談しつつ個別に判断

参照:被扶養者認定における国内居住要件の新設について|全国健康保険協会

優先扶養義務者の有無

被扶養者になるためには、その扶養家族以外に「優先扶養義務者」が他にいないことが条件となっています

優先扶養義務者とは、たとえば「父」であれば「母」、兄弟姉妹・祖父母の場合は「両親」などのように、特定の人物に対して優先的に扶養する義務がある人物のことをいいます。

ただし、優先扶養義務者に扶養する能力がなく、被保険者がその家族を扶養せざるを得ない場合は、健康保険上の扶養に申請することが可能です。

共働きの場合の扶養

夫婦共働きで子供を扶養している場合、原則として将来的に年間収入が多い方の扶養とします

複数の子供を扶養する場合、それぞれで扶養を分けることは健康保険法で認められていないため、必ずどちらか一方の扶養に入ることになります。

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健康保険上で扶養に入るための手続き

被扶養者として健康保険上で扶養に入るためには、被保険者の勤務先に「被扶養者状況届」と「被扶養者異動届」の書類を提出します

また、16歳以上の人が扶養に入る場合は、収入の有無を証明する書類(在学証明書・雇用保険受給資格者証のコピー・離職票の原本・年金支払通知書のコピーなど)が必要となります。

被扶養者状況届の書き方

被扶養者状況届の書き方は以下のとおりです。

被扶養者状況届の書き方の例

被扶養者状況届の書き方

  1. 扶養することになった理由
    (ア) 結婚、会社の退職、同居などの理由から該当するものを選択
  2. 被扶養者となる人が2年以内に努めたことがある場合
    (ア) 直近の勤務期間、雇用保険加入有無、失業保険受給状況に回答
  3. 被扶養者の健康保険加入状況について
    (ア) 健康保険に加入しているか否か、国保の場合はその旨を回答
  4. 別居の場合の仕送り金額について
    (ア) 別居している場合の仕送り金額を回答
  5. 現在の収入金額について
    (ア) 被扶養者となる人の現在の収入状況を回答
  6. 出産予定がある場合
    (ア) 出産予定がある場合にその予定日を回答
  7. 両親等のうち1人を申請する場合その人の配偶者について
    (ア) 両親等の配偶者との関係(離婚、死別など)を回答

被扶養者状況届は、新しく扶養に入る人の直近の勤務状況や、被扶養者となるための条件を満たしているかどうかを確認するための書類です。

基本的には記載されている指示に従って回答していけば問題ありません

なお、届出の内容が事実と相違している場合は、被扶養者資格の抹消および当該期間の医療費等の返還請求がなされる場合があるので、間違いのないようにご記入ください。

健康保険被扶養者異動届の書き方

健康保険被扶養者異動届の書き方の例

健康保険被扶養者異動届は、被保険者が扶養する人(被扶養者)に増減があった場合にその事実を報告するための書類です。

被扶養者に増減があった場合、「該当する人」の情報だけを記入して勤務先に提出します。

子供を扶養に加える場合、「長男」「長女」などのように詳しく記入する必要があるので覚えておきましょう。

書類が完成したら、勤務先の担当部署に提出すれば手続きは完了です。

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扶養に該当しなくなった時

配偶者や子供、両親が扶養の条件を満たさなくなった場合、扶養から外すための手続きを行う必要があります。

扶養から外れる時の条件

扶養から外れる時の条件は、主に以下の7つが挙げられます。

扶養から外れる時の条件

  1. 就職をして勤務先の保険に加入した
    (ア) パートやアルバイトで収入が増えて勤務先の社会保険に加入した場合を含む
  2. 別の家族の扶養家族となった
  3. 75歳以上で後期高齢者医療制度の対象となった
  4. 年収が103万円(税法上)または130万円(健康保険上・60歳以上は180万円)を超えた
  5. 雇用保険(失業保険)を受給するようになった
  6. 共同扶養している子供について、配偶者が自分の収入を上回るようになった
    (ア) 原則として年間収入の多い方の扶養に入るため
  7. 家族が死亡した

上記のいずれかに該当した場合、「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」のそれぞれで、扶養から外すための手続きを行いましょう。

税法上の扶養削除手続き

税法上の扶養を外す場合、扶養から外れる人についての情報を記入し、以下の2つの書類を年末調整の際に提出する必要があります

税法上の扶養を外すために必要な書類

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書

扶養を外す旨を勤務先の担当部署に伝えれば、これらの書類を用意してくれます。

あとは勤務先の指示に従って書類を完成させて提出すれば手続きは完了です。

健康保険上の扶養削除手続き

健康保険上の扶養を外す場合、以下の書類と健康保険証を勤務先に提出する必要があります

健康保険上の扶養を外すために必要な書類

  • 被扶養者異動届
  • 健康保険被保険者証
  • 家族埋葬費・付加金請求書(被扶養者が死亡した場合)

税法上の扶養を外す時と同様、基本的には勤務先の担当部署に上記の書類を提出すれば手続きが完了となります。

ただし、上記の書類と一緒に健康保険証も返却する必要がある点にはご注意ください

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よくある質問Q&A

最後に、扶養家族について聞かれることが多い「よくある質問」にお答えして終わります。

Q.妻が仕事を辞めて雇用保険(失業給付)を受給するつもりですが、被扶養者になれますか?

A. 雇用保険を受給する場合、原則として被扶養者になることはできません

雇用保険による失業給付は、再就職を前提に「退職前の生活を維持すること」を目的として給付されるので、被扶養者としての認定要件を満たさないためです。

ただし、失業保険が給付されるようになるまでの待機期間、および給付制限期間については被扶養者となることができます。

Q.別居している両親を被扶養者にできますか?

A. 別居をしている両親であっても被扶養者とすることは可能です

ただし、被扶養者となるための認定要件を満たしつつ、別居中の両親の生計を維持しているという関係性が認められる必要があります

被扶養者の対象範囲

  1. 被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で主として被保険者に生計を維持されている人
    (ア) 必ずしも「同居」の必要はない
  2. 被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
    (ア) 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
    (イ) 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届け出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
    (ウ) 上記の配偶者が亡くなった後における父母および子
  3. 被扶養者の収入が以下の条件を満たしていること
    (ア) 年間収入が130万円未満である(60歳以上および障害者は180万円未満)
    (イ) 同居の場合、収入が被保険者の収入の半分未満である
    (ウ) 別居の場合、収入が被保険者からの援助(仕送り)による収入額未満であること
    ※後期高齢者医療制度の被保険者等である人は除きます

参照:被扶養者とは?|全国健康保険協会

Q.保険証に記載されている子供が就職した場合、何か手続きは必要ですか?

A. 保険証に記載されている子供が就職した場合、被扶養者資格の喪失手続きを行う必要があります

「扶養家族等異動届」を作成し、健康保険証とともに勤務先の担当部署へご提出ください。

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まとめ

扶養家族とは、扶養者(扶養する人)の収入によって扶養される人のことをいいます。

扶養家族という言葉には、「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」という2つの定義が存在します。

扶養控除の種類

  • 税制上の扶養:所得税や住民税の控除、配偶者控除・配偶者特別控除に関するもの
  • 社会保険上の扶養:健康保険や各種年金に関するもの

それぞれの定義によって、扶養家族の名称が変わります(税制上:扶養親族、社会保険上:被扶養者)。

また、扶養の対象範囲や条件、手続き内容なども変わってくるので、それぞれの違いをしっかりと理解しておくようにしましょう。

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この記事の執筆者

中村 翔也

携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
この記事の監修者

石田 直樹

ソニー生命、東京海上日動あんしん生命保険、保険代理店等、保険業界を28年間勤務。支社長や管理職を経験、200回以上のセミナーや研修講師の登壇経験あり。その知識を活かし、もっと多くの人に保険の必要性を正しく理解してもらいたい!という思いを胸に、ナビナビ保険の事業立ち上げメンバーとして異業種のIT企業に転職し、現在に至る。
所有資格
AFP資格、TLC(生保協会認定FP)資格
この記事の編集者

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。
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