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がん保険と医療保険の違いとは?選び方や必要性を解説

「医療保険とがん保険、どちらも入院に備えた保険だし似たようなものでは?」と思っていませんか?

医療保険とがん保険は、保険でカバー出来る範囲や保障内容に明確な違いがあります。

何も考えずにどちらかの保険のみに加入すれば良いと考えるのは危険です。

かといって、がん保険と医療保険には重複する部分があるのも事実です。

闇雲に両方に加入すると保険料を無駄にしてしまうケースもあります。

重要なのはそれぞれの保険のメリットとリスクを理解した上で、自分に必要な保険に加入することです。

この記事では、医療保険とがん保険の違いについて下記の内容についてご紹介します。

がん保険と医療保険の違いを理解して、自分はがん保険が必要か考えてみましょう。

がん保険と医療保険の違い

がん保険と医療保険には、保証対象や保障内容、支払限度日数など様々な違いがあります。

名前の通り、がん保険は「がん」という病気や治療の特性に合わせた保障となっており、医療保険はあらゆる病気・ケガについて幅広くカバーしている保険となっています。

■がん保険と医療保険の違い

がん保険 医療保険
保証対象 悪性新生物・
上皮内新生物
病気(がんを含む)・ケガ
保障内容 入院給付金、
通院給付金、
手術給付金
入院給付金、
手術給付金(一部通院給付金があることも)
診断給付金(一時金) あり なし
通算入院支払限度日数 基本的には無制限 制限あり(1000日など商品によって違う)
保証期間の開始時期 90日後〜が多い 基本的にはなし

保証対象の違い

医療保険は「病気・ケガ」の治療が対象となっています。

医療保険の病気にはがんも含まれているので、医療保険はがんの治療でも適用することができます。

それに対して、がん保険は「悪性新生物と上皮内新生物」の治療が対象です。

悪性新生物や上皮内新生物は、どちらもいわゆる「がん」を指しています。同じがんを指しているのに、わざわざ分けているのは保障内容に違いが出てくる可能性が高いからです。

悪性新生物と上皮内新生物では給付内容が異なる場合がある

悪性新生物と上皮内新生物はどちらも「がん」ですが、どちらを診断されるかで給付内容が異なる場合が多いです。

その理由は、

  • 治療の労力
  • 転移の可能性

に大きな違いがあるからです。

  悪性新生物 上皮内新生物
状態 血管やリンパ管まで深くがん細胞が入りこんでいる状態 「上皮」と呼ばれる臓器や皮膚の表面の浅い部分にがん細胞がある状態
転移の可能性 あり
(手術で切り取らなければならない箇所が大きくなる)
ない
(手術で切り取る箇所もがん細胞がある箇所のみ)
継続的な治療の必要性 必要 不要

上皮内新生物の場合、手術や治療にかかる労力が少なく再発や転移もなく、継続的な治療を必要としません。

その分、悪性新生物よりも治療費が安く抑えられるので、保険でカバーしなければならない費用自体が安くなります。

がん保険では、上皮内新生物と診断されると給付金が減額されるケースが多く、支払われないケースもあります。

加入を検討している商品がある場合は、上皮内新生物に対しての保障もチェックしておきましょう。 

保障内容の違い

医療保険は「入院・手術」がメインの保障となります。

一方でがん保険は、がんの治療にかかる治療費全てをカバーするように設計されているので、入院・手術以外に通院や診断に対しても保障されます。

がん保険は診断給付金(一時金)が支払われる

がん保険では「がん」と診断されただけで「診断給付金(一時金)」が支払われます。

これは、入院が長引きやすいがん治療の特性に合わせて作られた給付金です。

保険の給付金は通常、入院や治療が終わった後に保険会社に申請して給付されますが、がんの場合は入院が長引きやすく申請まで時間がかかるため、給付金を受け取れるまでの家計負担が大きくなるケースが多いです。

その家計負担を軽減するニーズが高く、がん保険では診断給付金(一時金)が先に給付される仕組みとなっています。

通算入院支払限度日数

がんは、一度取り除いても転移や再発の可能性が高く、入退院を繰り返す人も多い病気です。

がん保険は何度でも保障を受けられるように、通算入院支払限度日数も無制限としています。

保証期間の開始時期が異なる

がん保険には免責期間が設けられています。

免責期間とは、がん保険の契約後一定期間(多くの場合は90日間)は、がんと診断されても給付を受けれないことを指します。

免責期間が設けられている理由は、がん保険には診断給付金(一時金)があることが起因しています。

がんは初期の場合、自覚症状が少ないため発病していることにも気づかないことも多く、検診を受けて初めて発覚するケースが多々あります。

がん検診の直前だけがん保険に加入を繰り返されると、保険会社からの支払いばかりが多くなってしまい、これを防ぐためにがん保険には免責期間が設けられているのです。

免責期間は多くのがん保険で設けられているので、きちんとチェックした上で早めにがん保険に加入するのがポイントです。

がん保険と医療保険、両方に加入する必要はある?

がん保険と医療保険の違いを理解したところで、次に両方に加入する必要はあるのかを考えましょう。

もちろん両方加入した方が良いですが、その分月々の保険料は高くなるので家計への負担は大きくなってしまいますです。

まず前提として、病気に対しての備えをどのように準備するかは人によって考え方は違います。

がん保険と医療保険への加入についても、誰にでも当てはまる正解はありません。

医療保険に加入していれば、がんになっても一定の給付を受けることができるので、医療保険のみ加入するというのも一つの考え方です。

ただし、医療保険でがんの治療費を全てカバーするのは難しいケースが多いことを理解しておきましょう。理由は、下記のとおりです。

  • がんの治療は長引く
  • 繰り返すケースが多い

がん保険の支払限度日数や通算入院支払限度日数が無制限であることもそれを表しており、一般の医療保険では長期入院や繰り返しの入院に対応しきれません。

医療保険でカバーできないがんの治療費を保険で用意するか、自費で用意するかは、人それぞれです。

がんは治療費が高額になることが多く、金銭面でリスクの高い病気です。その高額な治療費をどのように用意するかこの機会に考えてみてはいかがでしょうか。

がん保険の加入がおすすめな人

がん保険の加入がおすすめな人としては、下記のような人が挙げられます。

  • がん家系の人
  • がんになった時の収入が極端に落ちる人

この二つのケースは「がんになる可能性」と「がんになった時のリスク」が大きいからです。

がんは遺伝的な要因が大きい病気です。

つまり、親や祖父母など親族でがんを発症している人は、そうでない人よりもがんを発症する可能性は高く、がん保険でがんへの備えをしておいた方が良いでしょう。

また、がんは治療が長引いたり、繰り返すことが大きい病気です。治療が続くと仕事ができない状況になってしまう可能性もあります。

例えば、旦那さんのみ働いている家庭では旦那さんががんになってしまうと収入が激減して生活費すら困ってしまうかもしれません。

そのような家庭ではがんになった時の金銭的リスクが大きいと言えます。多少出費が増えたとしても保険で備えをしておいた方が良いでしょう。

がん保険の選び方

では、どのようにがん保険を選んだら良いのかお伝えします。

医療保険とがん保険の保障は、重複する箇所も多いです。

医療保険とは別にがん保険にも加入する場合、下記のポイントをチェックしましょう。

  • 医療保険と保障が重複しないこと
  • 医療保険の保障が薄い箇所をカバーできること

例えば、医療保険には三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)になった時に入院給付金の制限日数が延びたり、給付金が増額されるものがあります。

この場合、入院への備え自体は医療保険でできているので、がん保険は診断給付金(一時金)が手厚いものに加入すると良いでしょう。

特約も同じような考え方で選びます。

医療保険で先進医療特約をつけている場合、がんになった際の先進医療もカバーされているので、がん保険で先進医療特約をつける必要はありません。

がん保険に入るタイミング

がん保険に入るタイミングも考える必要があります。

「がん保険にはいつかは加入しようと思うけど、まだ大丈夫」と考えている方も少なくありません。

しかし、がん保険は早めに加入した方が良く、理由は「自分の健康状態」と「保険料の安さ」が挙げられます。

例えば、健康診断で引っかかってしまうとがん保険へ加入できないことや、保険料が高くなることがあります。

もちろん、がんを発症してしまうとがん保険には加入できないケースがほとんどです。

また、がんは若いうちに発症する可能性がある病気です。特に女性は30代から発症率が少しずつ高くなっていきます。

がんを発症しておらず、健康で若いうちにがん保険に加入した方が良いのです。

月々の保険料も若いうちに加入した方が安くなります。

各保険会社では年齢と性別によって月々の保険料のシミュレーションを出しているのでチェックしてみましょう。

がん保険・医療保険の両方に加入している場合、保障を併用可能

医療保険とがん保険に同時に加入していると、がんになった時どちらかの保険が無駄になってしまうのでは? と心配になる方もいるかもしれません。

しかし、がんになった時は、がん保険と医療保険どちらからも給付を受けることができます。

受け取る給付金が増えるので、決してどちらかの保険が無駄になってしまうことはありません。

がん保険と医療保険の特約

医療保険の商品の中には、がんに備えた特約を付けられるものもあります。

その場合、特約を付けるのと、がん保険に独自で加入するのはどちらが良いのでしょうか。

結論からいうと、保障内容が同じであればどちらも変わりません。

がん保険の大きな特徴としては下記の2点です。

  • 診断給付金がある
  • 通算入院支払限度日数が無制限

特約でがんに備える場合は、この2つの特徴を押さえた特約を付けることをおすすめします。

注意点があるとすれば、医療保険に特約でがんに備えると、医療保険の見直しがしづらくなる点です。

がん特約付きの医療保険を解約して新たにがん保険に入ると、加入した時期から90日間の免責期間をもう一度過ごす必要があります。

その90日間はがんに対する保障がない状態になります。

医療保険の見直しや変更をする可能性が高い方は、特約でカバーするよりも、がん保険単体に加入した方がよりリスクは低くなると言えます。

先進医療の特約はおすすめ

先進医療特約は付けておくことをおすすめします。

なぜなら、先進医療は医療費の負担額が大きく、金銭的な負担が大きいからです。

先進医療は保険外診療として健康保険の適用外になります。治療によっては治療費が数十万円〜数百万円かかります。

しかも、先進医療は一回ではなく数回行うケースもあり、その度に数十万円〜数百万円かかると負担はどんどんと大きくなります。

先進医療特約は数百円でつけられる場合がほとんどです。

大きなリスクを安い保険料でカバーできるので先進医療特約はおすすめです。

医療保険とがん保険にどちらも加入する場合、どちらにも先進医療特約があるケースがあります。

その場合は医療保険で先進医療特約に加入することをおすすめします。

理由は、特約がカバーしている広さが関係しています。がん保険の先進医療特約は、がん治療の先進医療しかカバーしていません。

それに対して医療保険の先進医療特約は、全ての病気(がんを含む)に対する先進医療をカバーしています。

がん保険の先進医療特約よりも、医療保険の先進医療特約のほうが適応範囲が広く、おすすめなのです。

がん保険の必要性は人によって異なる?

がん保険についてご紹介してきましたが、がん保険に加入する必要性はがんのリスクをどう考えるかによって変わります。

がんのリスクは性別や、年代によっても変わります。

現在や数年後にどの程度がんのリスクがあるかをチェックした上で、がん保険の必要性を自分なりに考えてみましょう。

■年齢・性別によって変わるがんの罹患率

年齢・性別によって変わるがんの罹患率

参考URL:国立がん研究センターサイト

女性と男性

がんは全体的に見ると男性の方が圧倒的にかかるリスクは高いです。

特に60歳代以降は男性と女性の罹患率(がんと診断されている人の割合)にかなりの差が出てきます。

しかし、30代〜50代前半までは女性の方がリスクは大きいです。

女性の場合、がん保険への加入を検討するのであれば若いうちから検討した方が良いかもしれません。

年代

がんは男女どちらとも50代から急激にリスクが高くなり、年齢を重ねるほどリスクが高くなっていきます。

がん保険への加入を考えている方は、リスクが急激に高まる前に加入しておいた方が良いでしょう。

まとめ

今回はがん保険と医療保険についての違いをご紹介してきました。

がん保険と医療保険はカバーできる病気や保障内容に違いがあり、似ているようで全く違う保険です。

どちらが優れているということではなく、それぞれのメリットやリスクを理解した上で自分の目的にあった保険に加入することがポイントです。

特に、下記に当てはまる人はがん保険に加入する必要性が高いといえるでしょう。

がん保険に加入する必要性が高いと思われるタイプ

  • がん家系の人
  • がんになった時の収入が極端に落ちる人
  • 現在加入している医療保険でがんになったときの保障が手薄いと感じる人

保険選びを行う際は、自分が重要視したいリスクや手厚くしたい保障をしっかりと考えることでより良い保険選びができるはずです。

この記事の執筆者
小山 直樹
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級, 生命保険販売資格, 変額保険販売資格
外資系生命保険会社にて個人・法人向けの営業・販売を担当。生命保険・医療保険・相続・外貨建て・学資保険など様々な商品を扱っていました。 難しい保険をわかりやすく考えられるように解説していきます。
この記事の監修者
石田 直樹
所有資格
AFP資格、TLC(生保協会認定FP)資格
ソニー生命、東京海上日動あんしん生命保険、保険代理店等、保険業界を28年間勤務。支社長や管理職を経験、200回以上のセミナーや研修講師の登壇経験あり。その知識を活かし、もっと多くの人に保険の必要性を正しく理解してもらいたい!という思いを胸に、ナビナビ保険の事業立ち上げメンバーとして異業種のIT企業に転職し、現在に至る。
この記事の編集者
ナビナビ保険編集部
ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。
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