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生命保険解約の注意点とは?手続きの流れや解約以外の対処法

生命保険に加入している人のなかには「保障の見直しがしたい」「月々の保険料の支払いが困難のため保険を見直したい」などさまざまな理由で生命保険の解約を考えている人もいるでしょう。

生命保険はいつでも解約できます。しかし解約にはリスクも伴うため、考えられるリスクを理解した上で解約手続きを進める必要があります。

今回は生命保険の解約について以下の内容を解説します。

保険料の支払いが厳しいという理由で保険の解約を考えている場合は、保険料の支払いの負担を軽くするのは解約以外でも可能です。
この記事では解約以外の方法での対処法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

生命保険解約のデメリット

生命保険を解約すると「月々の保険料の支払いがなくなる」「貯蓄型保険の場合は解約返戻金が受け取れる」といったメリットもあります。

しかし、以下のようなデメリットもあることをあらかじめ理解しておく必要があります。

これらのデメリットを理解せずに生命保険を解約してしまうと、万が一のことがあった際の備えが全くない状態に陥ることもあります。

ひとつずつ詳しく解説します。

1.万が一の際の保障がなくなる

生命保険を解約すると万が一のことがあった際の保障がなくなります。

生命保険に加入する大きな目的のひとつは、万が一のことがあった際に残された家族へお金を遺すことです。

しかし、解約してしまうとその目的は達成できなくなります。

生命保険を解約する際には家族にお金を残さなくても本当に大丈夫か、よく考えてから解約しましょう。

2.保険の空白期間が生じる可能性がある

生命保険を見直す場合、解約のタイミングをしっかり考慮する必要があります。

なぜなら、新規加入する生命保険の効力が発生する日(責任開始日)の前に、現在加入している保険の解約手続きが済んでしまうと、新旧どちらの保険にも加入できていない空白期間が生じてしまいます。

生命保険の責任開始日は、以下の3つが揃った日と決められています。

生命保険の責任開始日

  1. 申し込み
  2. 告知・審査
  3. 第一回保険料の払い込み

申込が終わっただけでは生命保険の効力は発生しません。

告知・診査は、保険会社から査定決定が判明するまでに数日〜1週間程度(場合によっては1週間以上)かかります。申し込みをしてすぐに解約する場合は注意してください。

責任開始日がいつになるのか、解約を考えている生命保険はいつ解約すれば問題ないのかが不明な人は、保険の担当者に相談しましょう。

3.新規の保険に加入できない可能性がある

生命保険を解約し、必要なタイミングで再度新しい保険に加入を考えている人もいるでしょう。

生命保険に加入するには、告知・診査が必要で、以下のケースに当てはまる場合は保険の新規加入ができない可能性があります。

新規の保険に加入できない一例

  • 告知・診査によって病歴がある
  • 健康診断で要精密検査等の指摘事項がある場合
  • 高齢

以上のケースにあてはまる人は生命保険に入りづらく、最悪の場合保険加入ができない場合もあります。

もし加入できたとしても、保険料が割増しになったり特定部位不担保になる場合もあります。

「特定部位不担保」とは?
特定部位の疾病による入院・手術においては保障されないこと(条件付きの契約になること)

現在の自分の年齢や健康状態で、新規の保険加入が可能かしっかり考えてから現在の生命保険の解約を進めましょう。

【積立型保険の場合】解約返戻金における注意点

生命保険は、以下の2種類に分かれます。

生命保険の分類

  • 貯蓄性のある保険(積立型)
  • 貯蓄性のない保険(掛け捨て型)

貯蓄性のある保険は、解約するとそれまで積み立てたお金を受け取ることができ、そのお金を「解約返戻金」と呼びます。

解約返戻金を受け取る目的で生命保険を解約する人は、以下のような注意点を事前に把握しておきましょう。

解約する場合はリスクを理解した上で、自分の保険情報を必ず確認しましょう。もし保険情報がわからない場合には、保険会社の担当者に確認してください。

1.早期解約だと解約返戻金が少ない、もしくはない可能性がある

積立型保険は、当初に設定した保険料を全払込期間支払った場合、支払った保険料以上の解約返戻金を受け取れるケースがあります。

一方、払込期間終了前に解約すると、支払った保険料よりも少ない解約返戻金しか受け取れない、もしくは解約返戻金がない場合もあります。

解約する際には解約返戻金をいくら受け取れるか確認してから、解約手続きを行いましょう。

2.50万円を超える解約返戻金には税金がかかる

解約返戻金が支払った保険料よりも多い場合は、課税対象となります。

解約返戻金の所得区分は一時所得扱いで、一時所得には50万円の特別控除額があります。「解約返戻金で受け取った額が50万円以上多い場合は課税される」と覚えておくといいでしょう。解約返戻金の課税対象額の計算式は以下のとおりです。

解約返戻金の課税対象額の計算式

  • (解約返戻金ー払込保険料総額ー50万円)×1/2

他にも一時所得がある場合は、合算した金額に課税されるので注意しましょう。

3.解約手続き後、解約返戻金を受け取れるまでに時間差がある

    生命保険は解約の手続きをしてから、実際に解約されるまでに通常1~2週間程度かかります。

    解約返戻金が受け取れるのは解約確定後になるので、解約返戻金を使うタイミングが決まっている人は時間的に余裕を見たうえで解約手続きを進める必要があります。

    生命保険の解約手続きの流れ

    生命保険の解約手続きは以下の流れとなります。

    生命保険の解約手続きの流れ

    1. 営業担当者や窓口、コールセンターで解約の意思表示をする
    2. 解約請求書に必要事項を記入の上、保険証券やマイナンバーなど必要な情報と共に保険会社に送付する
    3. 解約書類が生命保険会社に届いて処理され、書類上の不備がない状況となった時点で解約となる
    4. 解約返戻金などが支払われる(期間は保険会社ごとに設定されている)

    生命保険を解約するにはまず営業担当者や窓口・コールセンターに解約の意思を伝えた場合、保障の再確認や新たな商品提案をされケースが多いため、必要に応じて参考にしましょう。

    なお、保険の解約日は解約書類が保険会社に届いて処理された日になるのが一般的です。解約手続きを始めてから完了するまでに1~2週間ほどはかかると思っておきましょう。

    解約請求できるのは原則契約者本人のみ

    解約請求をできるのは原則契約者本人のみです。

    しかし、契約者本人が手続きをするのが難しい場合には代理人を立てて保険の解約を行います。

    保険の解約に代理人を立てる場合は、以下の条件を満たす必要があります。

    保険解約代理人をたてる場合の条件

    • 契約者の正当な代理人
    • 委任状がある
    • 解約返戻金がある場合、支払い口座が契約者本人の口座である

    基本的に代理人は家族ですが、必要があれば血縁関係がない人でもなることができます。

    【月々の保険料を支払えない場合】解約以外の対処法

    生命保険を解約するデメリットを理解したうえでも「保険料の支払いが高くて払えない」「家計を圧迫している」という人もいるでしょう。

    保険料の支払いが厳しく生命保険の解約を考えている人は、解約以外にも以下のような対処法があります。

    まずは色々な方法を検討し、保障を持ったまま家計に見合った保険料に変更することができるかもしれません。

    1.保険金額を減額する

    生命保険は保険金額が高ければ高いほど、毎月の保険料も高くなることが基本です。

    つまり、受け取る保険金額を減額することで、毎月の保険料を安く抑えることができます。

    保険金を減額することは契約上、減額部分を一部解約という扱いになり、告知・診査がも不要です。

    定期保険・終身保険どちらでも利用できる制度のため覚えておきましょう。

    2.払済保険に変更する

    終身保険など積立型の保険であれば、払済保険に変更することができます。

    「払済保険」とは?
    払済保険とは、保険料の払込みを中止し、変更時の解約払戻金を原資に一時払の保険料とし、保険期間を変えずに少ない保障額に変更できる制度

    払済保険にした場合は、保険期間はそのままに保険金額が減りますが、保険金が減額しても万が一への備えとして保障を持っておきたい人におすすめの方法です。

    払済保険のメリット・デメリットは以下のとおりです。

    払済保険のメリット

    • 保険料の支払いが不要になる
    • 保障期間を変えずに保障を継続できる
    • 払済後も解約返戻金が増えていく

    払済保険のデメリット

    • 特約が解約になる
    • 保障額が減少する

    月々の保険料の支払いは止めたいけど今すぐ解約返戻金を受け取らなくてもすむケースであれば、保障を継続でき解約返戻金も少しずつ増やしていける払済保険への変更がおすすめです。

    一方、払済保険の注意点は特約が解約になるため、特約内容を引き続き保障したい場合は新たに保険加入するなどの対応が必要です。

    また、払済保険に変更することで保障額は減額となります。もし払済保険だけの保険金額では不安が残る場合、足りない金額分を比較的安価な掛け捨て型保険に加入して補うことで、保険料負担を軽減しながら、必要な保障に備えることができます。

    3.保険を延長(定期)する

    解約返戻金を元手に同じ保険金額の定期保険(保障期間が短いもの)に加入することを保険を延長するといいます。

    保険料を支払えないが、同等の保険金額を保障したい場合は保険を延長しましょう。

    ただし解約返戻金は延長した時点でなくなるので、その後解約しても解約返戻金を受け取ることはできません。

    また、特約が解約になることも注意点として覚えておきましょう。

    4.契約者貸付を利用する

    一時的に資金が必要な時は解約返戻金の受取ではなく、契約者貸付を活用することでも資金調達ができます。

    「契約者貸付」とは?
    契約者貸付とは、その時点での解約返戻金の所定範囲内で保険会社からお金を借りられる制度

    契約者貸付を利用すれば保険を持ったまま一時的に資金調達が可能ですが、あくまで貸付のため借りた金額は返済が必要です。また、借りた金額には利息がかかります。

    契約者貸付を受けたまま死亡、もしくは保険を解約すると、保険金や解約返戻金から貸付金額分が減額されて給付されます。

    契約者貸付で借りた元金に利息がつき、解約返戻金の金額を超えると保険失効となります。利用の際は注意しましょう。

    まとめ

    今回は生命保険の解約について解説してきました。この記事の大切なポイントを振り返りましょう。

    この記事のポイント

    • 保険の解約のデメリットは「保障がなくなる」「保険の空白期間が生じる・新規保険に加入できない可能性がある」
    • 早期解約は解約返戻金が支払った保険料よりも少なくなる可能性がある
    • 解約の手続きは担当者や窓口・コールセンターに連絡する
    • 解約から解約返戻金を受けとるまでには時間差がある
    • 解約以外にも「保険金額を減額する」「払済保険に変更する」などで月々の支払い負担を抑えることが可能

    生命保険は万が一のことがあった際に、自分と家族を守るための備えです。

    解約すると保障がなくなり、自分や家族へのリスクが高くなることもしっかりと理解した上で検討する必要があります。

    月々の保険料負担に問題があれば解約以外にも様々な方法があります。

    安易に解約をするのではなく、保険会社の担当者やファイナンシャルプランナー(FP)に相談した上で、保険を解約するべきか考えましょう。

    この記事の執筆者
    小山 直樹
    所有資格
    ファイナンシャル・プランニング技能士2級, 生命保険販売資格, 変額保険販売資格
    外資系生命保険会社にて個人・法人向けの営業・販売を担当。生命保険・医療保険・相続・外貨建て・学資保険など様々な商品を扱っていました。 難しい保険をわかりやすく考えられるように解説していきます。
    この記事の監修者
    石田 直樹
    所有資格
    AFP資格、TLC(生保協会認定FP)資格
    ソニー生命、東京海上日動あんしん生命保険、保険代理店等、保険業界を28年間勤務。支社長や管理職を経験、200回以上のセミナーや研修講師の登壇経験あり。その知識を活かし、もっと多くの人に保険の必要性を正しく理解してもらいたい!という思いを胸に、ナビナビ保険の事業立ち上げメンバーとして異業種のIT企業に転職し、現在に至る。
    この記事の編集者
    ナビナビ保険編集部
    ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。
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