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更新 更新:2022.07.12

津波による損害はいくら補償される?保険金請求方法や支払われないケースを解説

津波による損害はいくら補償される?保険金請求方法や支払われないケースを解説
執筆者

品木 彰

ファイナンシャルプランナー
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級, 日商簿記検定3級
専門分野・得意分野
保険全般・不動産関連・税金・投資

地震や噴火によって津波が発生すると、建物やその中にある家具・家電などが被害を負う恐れがあります。2011年3月11日に発生した「平成23年東北地方太平洋沖地震」では、大規模な津波が発生し、東北地方に甚大な被害を与えました。

火災保険に水災補償をセットしていても、津波による損害は補償されません。しかし「地震保険」に加入していれば、津波の被害に遭ったときに保険金を支払ってもらえる可能性があります。

本記事では、津波による損害を補償する地震保険の補償内容や、保険金の請求方法などを分かりやすく解説します。

津波による被害は「地震保険」に加入しなければ補償されない

津波による損害に備えるためには「地震保険」に加入する必要があります。火災保険は、地震や噴火、それらによる津波が補償対象外となる免責事項に指定されているためです。

火災保険に水災補償をセットすることで、洪水や高潮、土砂崩れなどの水害で建物が流されたり、床上浸水をしたりしたときに補償が受けられます。しかし、地震や噴火による津波で、建物や家財(家具・家電)などが損害を負ったとしても、保険金は支払われません。

地震保険に加入していれば、補償の対象となっている建物や家財が津波によって損害を負ったときに保険金が支払われます。なお地震保険は、必ず火災保険とセットで加入する必要があります。

持ち家であれば建物と家財の両方を補償

地震保険の補償対象となるのは、火災保険と同様に「建物」または「家財」、あるいはその両方です。建物と家財に含まれるものは、それぞれ以下の通りです。

地震保険の補償対象である「建物」と「家財」

  • 建物:建物本体、門、塀、車庫、物置、設置済みのアンテナなど
  • 家財:建物内の家具・家電・衣服・貴金属 など

一方で、以下に該当するものは、地震保険の補償対象外となります。

地震保険の補償対象外

  • 有価証券(小切手、株券、商品券等)
  • 預貯金証書
  • 自動車
  • 印紙、切手
  • 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・骨董
  • 工場や事務所などの住居でない建物
  • 故意もしくは重大な過失、または法令違反による損害
  • 地震発生日から10日以上経過後に生じた損害
  • 戦争、内乱などによる損害
  • 地震等の際の紛失・盗難の場合

火災保険であれば、30万円を超える貴金属や美術品などは、加入時に申告すれば明記物件として補償の対象となりますが、地震保険では補償されません。

賃貸住宅は家財のみが補償対象

賃貸住宅に住んでいる人は、家財のみが補償対象である地震保険に加入します。建物部分の損害については、大家さんが加入している地震保険でカバーされるためです。

入居者自身が地震保険に加入していなければ、室内にあるベッドやソファーなどの家具、パソコンやテレビなどの家電などが、津波で損害を負っても保険金は支払われません。

保険料は、入居者負担となりますが、入居中の賃貸物件が津波の被害に遭うリスクがあるのなら地震保険の加入を検討しましょう。

地震保険では津波の被害でいくらの保険金が支払われる?

津波による甚大な被害をもたらした東日本大震災では、合計で約1.3兆円の保険金が支払われました。※出典:日本再保険株式会社「地震保険金支払状況

では、地震保険に加入すると、津波の被害にあったとき、いくらの保険金が支払われるのでしょうか。ここでは、支払額の決まり方や上限額の設定方法を解説します。

地震保険の保険金額

津波の被害に遭うと、地震保険からは契約時に決めた保険金額をもとに、被害額に応じて決まる割合の保険金が支払われます。

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で設定します。例えば、火災保険の建物の保険金額が3,000万円である場合、地震保険の保険金額は900万〜1,500万円です。ただし建物は5,000万円、家財は1,000万円が保険金額の上限となります。

支払われる保険金の算出方法

地震保険から支払われる保険金額は、建物や家財の損害状況に応じて決まります。建物や家財の損害状況と、支払われる保険金の額は以下の通りです。

地震保険から支払われる保険金額
損害の程度 保険金の支払額
全損 保険金額の100%(時価額が限度)
大半損 保険金額の60%(時価額の60%が限度)
小半損 保険金額の30%(時価額が限度)
一部損 保険金額の5%(時価額が限度)
損害の程度は、一般社団法人日本損害保険協会が制定した「地震保険損害認定基準」に従って認定されるため、保険会社による認定基準の違いはありません。

建物

建物は、柱やはり、屋根など主要構造部の損害状況または、流出消失した部分の床面積の大きさで損害の程度が判定されます。具体的には、以下の通りです。

損害の程度 建物の損害状況
全損 主要構造部の被害額が建物の時価の50%以上
または
焼失・流失した部分の床面積が延床面積の70%以上
大半損 主要構造部の被害額が建物の時価の40〜50%未満
または
焼失・流失した部分の床面積が延床面積の50〜70%未満
小半損 主要構造部の被害額が建物の時価の20〜40%未満以上
または
焼失・流失した部分の床面積が延床面積の20〜50%未満以上
一部損 主要構造部の被害額が建物の時価の3〜20%未満以上
または
床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水を受け、全損・大半損・小半損のいずれにも至らない場合

例えば、津波によって流出してしまった自宅の床面積が延べ床面積の80%である場合は、全損となり、時価を限度に100%の保険金が支払われます。

家財

家財の場合、損害の程度は家財の全体に占める損害を被ったものの割合で判定されます。

損害の程度 建物の損害状況
全損 損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の80%以上
大半損 損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の60%以上80%未満
小半損 損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の30%以上60%未満
一部損

損害の額が保険の対象である家財全体の時価額の10%以上30%未満

例えば、津波によって自宅にある家具や家電、衣類などが洗い流され、家財全体の時価額の70%の損害を負った場合、大半損となり保険金額の60%の保険金が支払われます。

津波の損害を補償する公的支援制度

津波による被害にあったとき、公的な支援制度である「被災者生活再建支援制度」を利用できる場合があります

被災者生活再建支援制度は、住宅の被害状況によって支給額が決まる「基礎支援金」と、住宅の再建方法によって支給額が決まる「加算支援金」があります。それぞれの支給額は、以下の通りです。

基礎支援金の支給額
住宅の被害程度 支給額
全壊(住宅が全壊した世帯) 100万円
解体(住宅が半壊または住宅の敷地に被害が生じその住宅をやむをえず解体した世帯 )
長期避難(災害による危険な状態が継続し、住宅に住居不能な状態が長期間継続している世帯)
大規模半壊(住宅が半壊し大規模な補修をしなければ居住が困難世帯) 50万円
加算支援金の支給額
住宅の再建方法 支給額
建設・購入 200万円
補修 100万円
賃借(公営住宅以外) 50万円

被災者生活再建支援制度では、最大で300万円の支援金を受給できます。一方で、支給額が最大となるのは、津波によって住宅が全壊したうえで、再び住宅を建設したり購入したりするときです。

一般的に300万円では、住宅の再建築や再購入は難しいでしょう。津波による被害にあったとき、生活を立て直したい方にとって地震保険の必要性は高いといえます。

地震保険の保険金が支払われないケース

地震保険の保険金が支払われない主なケースは、以下の通りです。

建物の主要構造部以外の損害にとどまった場合

津波で損害を負った箇所が、門や塀など主要構造部以外にとどまる場合、地震保険から保険金は支払われません。建物の主要構造部以外に損害を負っても、その後の日常生活には影響がないと考えられるためです。

津波発生の翌日から10日経過した後に生じた損害

建物の主要構造部分の損害であったとしても、津波が発生した翌日から10日経過したあとに生じたのであれば保険金は支払われません

損害発生から3年経過した場合

地震保険の保険金を請求できる権利は、3年でなくなります。そのため損害が発生してから3年を超えたタイミングで保険金を請求しても、地震保険の保険金は支払われません

地震や噴火以外を原因とする津波によって損害が生じた場合

そもそも津波は、海岸を急に襲う大波のことです。地震や火山の噴火以外でも、沿岸の山崩れや海底地すべりなどが原因で津波は発生します。

地震保険の補償対象となっているのは、地震または噴火によって起こった津波です。沿岸の山崩れや海底地滑りなどが原因で発生した津波は、地震保険に加入しても補償されません

地震保険の保険金を請求する方法

自宅が津波の被害にあったとき、地震保険の加入先である保険会社で請求手続きをします。保険金の請求手順は、以下の通りです。

1.保険会社へ連絡

津波の被害にあったときは、加入先の保険会社に連絡しましょう。 保険会社に連絡する際は、契約者名や保険証券番号、事故の状況などを伝えます。

2.調査員の訪問による被害状況の確認

保険会社へ連絡したあとは、地震保険調査員による現地調査が行われます。地震保険調査員は、現地を訪問して建物や家財の被害状況を確認します。

3.保険金の支払額の算出と通知

現地調査の結果をもとに保険会社は、建物や家財の損害状況を判定して、保険金の支払額を算出します。算出された保険金の支払額は、契約者へと伝えられます。

4.保険金の請求に必要な書類の提出

保険会社から伝えられた保険金の支払額に問題がなければ、請求書類を提出します。

5.保険金の支払い

必要書類が保険会社に到着したあと、契約者が指定した銀行口座に保険金が支払われ、手続きは完了となります。

地震保険の相場はいくら?

地震保険の保険料は、建物の構造や所在地に応じて決まります。木造戸建て住宅よりも、鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションのほうが、建物の造りが頑丈であり地震による損害を受けにくいため、保険料は割安です。

東京都や神奈川県、千葉県など太平洋側にあるエリアは、地震保険料が割高となります。太平洋側のエリアは、将来的に大地震が発生すると想定されているためです。

地震保険には割引制度があり、建物に一定の耐震性能があると、保険料が最大50%割引されます。また、地震保険を長期契約(2〜5年)で加入したときも、保険料に所定の割引が適用されます。

ここで、以下の条件における地震保険料をみていきましょう。

  • 地震保険の保険金額(保険金の支払上限額):建物2,000万円・家財250万円
  • 建物の構造:ロ構造(主に木造住宅)
  • 割引:免震建築物割引(所定の免震性能がある住宅を対象とした割引)
建物の所在地 年間保険料
東京都 建物:42,200円
家財:5,280円
大阪府 建物:21,200円
家財:2,650円
福岡県 建物:12,400円
家財:1,550円

※上記の試算結果はあくまで目安です。詳しくは損害保険代理店または損害保険会社にお問い合わせください

建物の構造や保険金額が同じでも、建物の所在地によって保険料は大きく変わります。一方で国が運営に関わる公共性が高い保険であるため、契約内容が同じであれば、どの損害保険会社で加入しても保険料は変わりません。

地震保険の保険料は、こちらのサイトで試算できるため、条件を入力のうえ試算にご活用ください。

津波で自動車が負った損害は補償される?

津波によって、所有する自動車が損害を負ったとしても、地震保険の家財補償は適用されません。自動車は、家財に含まれないためです。

また、自動車保険の車両保険は、地震や噴火、津波が免責事項となっています。そのため、車両保険に加入していても、津波によって自動車が流されたり壊れたりしても保険金は支払われません。

ただし「地震・噴火・津波危険車両全損一時金特約」が付いていると、地震や噴火、津波で自動車が損害を負ったとき、一時金を支給してもらえます。支払額は、最大50万円が一般的です。

まとめ

津波による被害にあったとき、公的な支援制度を利用できれば最大で300万円の補助を受けられますが、生活を立て直すための金額としては不十分かもしれません。

地震保険に加入していれば、津波によって建物や家財が損害を負ったとき、損害状況に応じて決まる金額の保険金を支払ってもらえます。

津波による損害に備えられるのは、基本的に「地震保険」のみです。台風や集中豪雨による洪水をはじめとした水災だけでなく、津波にも備えたいのであれば地震保険に加入することをおすすめします。

品木 彰

品木 彰

大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後、人材会社で転職コンサルタントとしての勤務を経て、2019年1月よりwebライター/監修者として独立。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級, 日商簿記検定3級
専門分野・得意分野
保険全般・不動産関連・税金・投資
ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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