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留学保険とは
留学保険とは、海外に留学する人向けの海外旅行保険です。
留学先に滞在中のケガや病気の治療費、他人にケガを負わせてしまった時や物を壊してしまった時に発生する損害賠償など、様々なリスクに対しての補償を備えておくことができます。
通常の海外旅行保険でも自身のケガや第三者への賠償責任に対する補償は受けられますが、長期間の滞在となりやすい留学生向けに充実した補償を提供していることが特徴です。
留学保険と海外旅行保険の比較
留学保険での基本的な補償内容は、一般的な海外旅行保険とほぼ同様の内容となっています。
留学保険の基本的な補償内容
- 治療費用補償:入院や手術をした場合の治療費を補償
- 救援者費用補償:遺体や病人の移送、搬送にかかる費用を補償
- 疾病/傷害死亡保障:病気やケガを原因に亡くなった時に保険金が支払われる補償
- 傷害後遺障害補償:ケガや病気によって後遺障害が残った場合に保険金が支払われる補償
留学保険は上記の補償内容に加え、以下のような留学生活を送る上でのリスクに特化した補償が付帯されています。
留学保険ならではの補償内容
それぞれの補償内容について簡単にご紹介します。
留学生賠償責任保険金
留学生賠償責任保険金は、海外留学の滞在先で発生した「日常生活に起因する事故」や「住宅の所有、使用または管理に起因する事故」によって、他人にケガを負わせたり物を破損させたりなどの損害賠償が発生した場合に保険金が支払われる補償です。
たとえば、小売店の中で物を破損してしまった場合や、住んでいる部屋を浸水させてしまった場合などが該当します。
留学生生活動産損害保険金
留学生生活動産損害保険金は、留学中に生活動産が破損・盗難の被害にあった場合や、火災などの偶発的な事故で損害を受けた場合に保険金が支払われる補償です。
生活動産とは、留学先で身につけている携行品類や、宿泊施設などに置いていた自分の持ち物などのことを指します。
一般的な「携行品補償」は、住居外で携行して日常的に使用する持ち物(カメラやスーツケースなど)のみが対象ですが、「生活動産補償」の場合は宿泊施設内に置いていた自分の所有物も補償の対象となります。
たとえば、留学先の宿泊施設内に置いていたパソコンが盗難に遭った場合、携行品補償の対象にはなりませんが、生活動産補償の対象になります。
ただし、自分の所有物であっても以下に該当する物は補償の対象外となるのでご注意ください。
生活動産補償の対象外となる持ち物
- 船舶(ヨット、モーターボート、水上バイク、ボートおよびカヌー、カヤックなど)
- 航空機
- 自動車・原動機付自転車・自転車
- 雪上オートバイ、ゴーカート、ハンググライダー、パラグライダー
- サーフボード、ウィンドサーフィン
- ラジコン模型およびこれらの付属品
- 義歯、 義肢
- 動物、植物
- 有価証券(小切手は除く)、クレジットカード、プリペイドカード、稿本、設計書
- 携帯電話・スマートフォン等の携帯式通信機器、ノート型パソコン等の携帯式電子事務機器
- コンタクトレンズ、 眼鏡 、サングラス、補聴器
- ドローンその他の無人航空機および模型航空機ならびにこれらの付属品
留学生継続費用保険金
留学生継続費用保険金は、留学先の学校に在籍する期間中、偶発的な事故などが原因で被保険者の扶養者が死亡または高度障害状態となり、被保険者の留学継続が困難となった場合に保険金が支払われる補償です。
保険金の支払いを受け取るためには、事故の日を含む180日以内に被保険者の扶養者が死亡または高度障害状態と認められることが条件となっています。
留学保険の主な特約
留学保険の補償内容は、通常の海外旅行保険に「留学生向けに特化した補償」を加えた内容となっています。
また、留学保険のオプションとして以下のような「特約」を付帯することで、長期間の留学生活における様々なリスクに備えることができます。
特約 | 内容 |
---|---|
歯科治療費費用 | 保険期間中に発生した歯科疾病症状の急激な発症・悪化によって緊急歯科治療を行った場合に保険金が支払われる特約 |
緊急一時帰国費用 | 留学期間中に家族(配偶者・親族)の死亡または危篤などの緊急な理由から一時的な帰国が必要となった場合に保険金が支払われる特約 |
航空機寄託手荷物遅延費用 | 航空機に搭乗する際に預けた手荷物が、自身の到着後から一定時間内に目的地へ運搬されなかった場合に保険金が支払われる特約(一般的には6時間以上) |
航空機遅延費用 | 搭乗する予定の航空機が悪天候や機体異常によって欠航・運休・遅延となった場合に保険金が支払われる特約(一般的には6時間以上) |
これらはあくまで一例で、留学保険の販売会社によっては上記以外にも様々な特約が用意されていることがあります。
ただし、特約を付帯することで支払う保険料が高くなるので、本当に必要な補償内容に絞って特約をつけることをおすすめします。
留学保険の選び方
自分に合った留学保険を選ぶためには、以下の3つの手順に沿って比較・検討する必要があります。
留学保険の選び方
留学保険の契約方法は保険会社によって異なりますが、Webサイトからの申し込みで完結するものもあれば、書面での郵送手続きが必要なものもあります。
自分に最適な留学保険を見つけたとしても、書面での手続きが必須の場合は契約成立までにどうしても時間がかかってしまいます。
そのため、留学への出発日まで日数に余裕を持った上で留学保険を探すようにしましょう。
1.治療救援費用(補償額)の設定
留学保険に加入する目的のひとつに、海外留学先での医療費負担を緩和することが挙げられます。
海外留学はこれまでの日本の暮らしとは大きく環境が異なるため、生活に慣れるまでは体調を崩す可能性が高いです。。
海外での治療や診察には日本の健康保険が使えないため、日本では考えられないほどの高額な医療費が請求されることになってしまいます。
そうした医療費に対して備えるため、留学保険を選ぶ際には「治療救援費用の補償額」を比較して決めましょう。
一般的な留学保険では、万一の事態に備えて治療救援費用が無制限に設定されていることが多いですが、その分、払い込む保険料の負担も大きくなります。
無制限プランの保険料が大きな負担となる場合は、治療救援費用の補償額が5,000万円、3,000万円などのプランから検討することをおすすめします。
2.保険会社の提携病院を確認する
留学保険を選ぶ際、保険会社の提携病院についても確認しておきましょう。
留学中の医療費において保険金の支払事由に該当する場合でも、通常の病院で治療・診察を受けた場合の医療費は、一旦全額を自分で立て替えなければなりません。
海外では日本の健康保険が使えないことから医療費が高額になりやすく、数十万〜数百万円もの医療費を負担しなければならない可能性もあります。
ですが、保険会社と提携する病院で診察を受けた場合、キャッシュレスで治療が受けられることが多く、自分で医療費を立て替える必要がありません。
また、病院側も保険適用でのやり取りに慣れていることから、言語のやり取りが不安な場合でも安心して治療が受けられます。
そのため、自分自身の留学先や滞在地点から近い病院が、どの保険会社と提携しているかを事前に調べておくことをおすすめします。
3.契約期間を確認する
留学保険の契約期間は、基本的に「留学を目的として自宅を出発する日から帰国日まで」です。
留学中の一定期間だけの加入や出発後の新規加入はできないので、出発日から帰国日までの留学期間に合った留学保険を選ぶようにしましょう。
なお、留学期間の延長や航空機トラブルが原因で帰国日が延びてしまう場合は、留学保険の保険会社に連絡をして契約期間の延長手続きを行ってください。
延長手続きは原則として満期を迎える前に行う必要があり、それまでに請求した件数・金額・加入していた保険期間・延長時の年齢など、様々な要因から延長不可となるケースがあります。
留学期間よりも短い期間での契約はできませんが、逆に長い期間での加入は可能なので、滞在期間が伸びる可能性がある場合には長めの期間で留学保険を契約することをおすすめします。
仮に当初の予定通りに帰国する場合は、留学保険の途中解約をすれば払いすぎた保険料が返金されるので無駄がありません。
長めの期間で契約している場合に途中帰国をしても、自動的に解約となる訳ではないので解約手続きのし忘れにはご注意ください。
留学保険に関するよくある質問Q&A
Q.明日から留学するのですが、今から加入できますか?
A.直前の申し込みでもWebサイトで完結するタイプの留学保険には加入できます。
しかし、保険商品によっては保険料の支払いや契約書類への記入、郵送が必要になるので、余裕をもって申し込みをしましょう。
Q.留学保険で補償できない病気はありますか?
A. 留学保険の補償対象外とみなされるケースは以下が挙げられます。
留学保険の補償対象外となるケース
- 歯科治療(虫歯、歯槽膿漏など)
- 妊娠・出産・早産・流産など
- 渡航前から発症している病気(既往症)など
ただし、留学保険によっては特約を付帯することで上記のケースでも補償の対象となることがあります。
詳しくは各留学保険の詳細をご確認ください。
Q.高校生でも契約できますか?
A. 留学保険は未成年者が契約者になることはできません。
未成年者が留学保険に加入したい場合は、対象の未成年者を「被保険者」、扶養者を「契約者」としてお申し込みください。
Q.留学期間が延長になった場合は、保険期間も延長できますか?
A. 留学期間が延長となった場合は、保険会社に連絡をして留学保険の延長手続きを行ってください。
ただし、延長手続きを行う場合、それまでの保険金請求件数や請求金額、加入していた保険期間、延長時の年齢など様々な要因から留学保険の延長ができない場合もあります。
Q.留学期間が短くなった場合はどうすればいいですか?
A.留学期間が短くなった場合、保険会社に連絡をして留学保険の途中解約を行いましょう。
解約手続きを行った日を解約請求日として数え、残りの保険期間分の保険料が返還される場合があります。
詳細は保険会社の窓口までお問い合わせください。
Q.一時帰国が必要になった場合はどうすればいいですか?
A.留学中に一時帰国が必要になった場合、保険期間が3か月以上の契約であれば「一時帰国費用補償特約」が適用されていることが多いため、解約の手続きなどを行う必要はありません。
また、一時帰国中に病院で治療を受けた場合なども補償の対象となることがあります。
ただし、保険会社によって条件が異なるので注意が必要です。
まとめ
留学保険は、海外に留学する人向けの海外旅行保険です。
留学先に滞在中のケガや病気の治療費や、他人にケガを負わせてしまった時や物を壊してしまった時に発生する損害賠償など、様々なリスクに対しての補償を備えておくことができます。
基本的な補償内容は海外旅行保険と同じですが、留学は長期間に及ぶことが多いので留学生活に特化した補償内容が用意されています。
留学保険ならではの補償内容
一般的な海外旅行保険では、滞在先の宿泊施設に対しての損害賠償補償が受けられないので、長期間の留学予定がある場合には留学保険を契約するのがおすすめです。
様々な特約をつけることで、長期に渡る留学生活での様々な健康上のリスクにも備えられるようになるので、補償内容をしっかりと吟味した上でお申し込みください。