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更新 更新:2021.06.17

相続の「単純承認」とは?仕組み・限定承認・相続放棄との違いを解説します

相続の「単純承認」とは?仕組み・限定承認・相続放棄との違いを解説します

単純承認とは?

単純承認とは、遺産相続が発生した際のプラスの財産とマイナスの財産の両方をすべて相続する(承認する)ことをいいます。

たとえば、故人が5,000万円分の不動産を所有しているものの、3,000万円の負債を抱えている場合はその両方を相続して借金を返済することになります。

プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが多い場合は相続人が故人に代わって全額を弁済する義務を負います

ただし、遺産相続が発生したからといって必ずしもすべての財産を相続することにはなりません。

実際には「単純承認・限定承認・相続放棄」の3つの選択肢からいずれか一つを選んで手続きを行うことになるので、これらの違いについて理解しておきましょう。

単純承認・限定承認・相続放棄の違い

単純承認・限定承認・相続放棄の違い

遺産相続が発生した場合、財産を相続する方法は全部で3通りが挙げられます。

単純承認・限定承認・相続放棄の違い
単純承認 限定承認 相続放棄
プラスの財産 相続する 相続する 相続しない
マイナスの財産 相続する プラスの財産の範囲内で相続する 相続しない
手続きの有無 手続き不要 家庭裁判所での手続きが必要 家庭裁判所での手続きが必要
手続きの期限 なし 相続発生から3か月以内 相続発生から3か月以内

1つ目の単純承認は、故人のプラス財産・マイナス財産の全てを相続する方法で、相続財産のうち負債のほうが大きい場合は相続した人がその全額を弁済することになります。

2つ目の限定承認は、プラス財産の範囲内でマイナス財産を相続するといった特殊な手続き方法です。

たとえば、プラス財産2,000万円でマイナス財産が5,000万円の遺産相続が発生した場合、限定承認を選ぶとプラス財産の範囲内である2,000万円までのマイナス財産を相続することになります。

残りの3,000万円の負債に関しては相続する必要がないため、債権者は相続人に対して負債の弁済を求めることはできません。

3つ目の相続放棄は、プラス財産・マイナス財産の両方を一切相続しないという手続き方法です。

プラスの財産を相続できなくなる代わりに、故人の借金や負債を抱える必要がなくなることが特徴です。

一般的に選ばれる方法は「単純承認」で、故人のマイナス財産が大きい場合には「相続放棄」が選ばれることが多く、プラス財産の範囲内でマイナス財産を相続する「限定承認」は思わぬトラブルに繋がる可能性があることから利用されるケースは少ないといえます。

限定承認と相続放棄については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも合わせてご確認ください。

滝 文謙
ナビナビ保険監修
公認会計士・税理士・AFP資格者
滝 文謙

単純承認を選択される場合は、基本的にはプラスの相続財産がマイナスの相続財産を上回っている場合だと思われます。この場合、その差額に相続税法上プラスするもの(みなし相続財産や3年内の生前贈与、相続時精算課税など)を足したものが、基礎控除の金額を超えると相続税が発生します。場合によっては多額の税金の発生もあり得ますので、単に相続して終わりという言わけでなく、税金の発生まで意識して相続するようにしましょう。

単純承認(法定単純承認)となるケース

遺産相続が発生して単純承認を選ぶ場合、特別な手続きは必要ありません

ただし、以下に該当する行為をおこなった場合は、単純承認を選んだことになると法律によって定められています。

上記の行為をおこなった場合に単純承認をしたものとみなされる制度のことを「法定単純承認」とよびます

法定単純承認とみなされた場合、相続人が限定承認・相続放棄を行おうとしても手続き内容を変更することはできないので気をつけましょう。

単純承認とみなされるケースについて、具体的な内容を解説していきます。

熟慮期間(3ヵ月)以内に必要な方法を選ばず・手続きしなかった場合

遺産相続が発生すると、3か月の熟慮期間が設けられます。

この3か月間に家庭裁判所にて限定承認、または相続放棄の申立を行わなかった場合は、強制的に単純承認を選んだものとみなされます

なお、遺産相続をするためには故人の財産をプラス・マイナスの両方を正確に把握し、かつ遺言がない場合には全相続人を集めて遺産分割協議を行わなければなりません。

熟慮期間内に全ての財産や相続人の把握が難しい場合には、必要な書類を揃えて家庭裁判所に期限延長の申立を行えば熟慮期間の延長が認められるのでぜひ覚えておきましょう。

相続財産の一部、または全てを処分した場合

相続財産の一部、または全てを処分した場合は単純承認をしたものとみなされます

これは相続対象の負債だけを不正に処分して、プラスの財産を相続して不当に利益を得ようとする行為を防ぐために定められています。

ただし、相続財産の保存行為や短期賃貸借をする場合においては単純承認に当たらないものとされているので、相続財産の処分を検討中の人は弁護士に相談するなどして詳細を確認しておくことをおすすめします。

一度、単純承認とみなされてしまうとそれ以降は限定承認や相続放棄の申立を行うことができなくなってしまうので気をつけましょう

不動産などの名義変更や売却、修繕を行った場合

相続財産の中には、故人の名義の不動産が含まれているケースも少なくありません。

ですが、相続を行う前に不動産の名義変更や売却、修繕を行なってしまうとその不動産を相続することを承認したものとみなされ、単純承認扱いとなってしまいます

たとえば、今後も住み続ける予定の住宅を修繕した後で故人の負債が発覚すると、限定承認や相続放棄の手続きが行えなくなっているため、マイナス財産の全てを相続しなければなりません。

遺産相続が発生した場合は遺言の有無が確認できてから、または遺産分割協議が終了するまで不動産に手を付けないことをおすすめします。

手続き後に相続財産の隠匿・消費などがあった場合

限定承認や相続放棄の手続を行なった後で相続財産の隠匿や消費が判明した場合、背信行為とみなされてこれらの手続きが全て取り消され、単純承認を行なったものと扱われます。

また、財産の存在を知りながらも遺産分割協議などで作成した財産目録に記載せず、不当な内容を申告した場合であっても背信行為とみなされます

負債を隠匿して不動産や株式だけを相続したいという人も多いかと思いますが、正しい手続きを行った上で遺産相続をする必要があるので不正は決して行わないようにしましょう。

単純承認とはならないケース

ここまで、法定単純承認とみなされるケースについてご紹介してきました。

一方で、故人の財産を消費または相続しても単純承認とはならないケースも存在します。

単純承認とはならないケース

  • 葬式費用を故人の財産から支払った場合
  • 故人の私物(高価なものを除く)を受け取った場合
  • 生命保険の死亡保険金を受け取った場合

故人の財産から葬式費用を支払った場合や、故人の私物(宝石類や絵画、骨董品を除く)を受け取った場合は単純承認には当たらないとされています。

また、故人が生命保険に加入していた場合の死亡保険金は、契約者が亡くなったことをきっかけとして遺族に対して支払われることから、故人の財産には含まれません。

上記に該当する場合は単純承認とはならないので、ぜひ覚えておきましょう。

単純承認の手続き方法

限定承認や相続放棄をする場合は「相続が発生したことを知った日から数えて3か月以内」に家庭裁判所へ申立を行う必要がありますが、この熟慮期間中に一切の手続きをしなければ自動的に単純承認をしたものとみなされます。

そのため、遺産相続が発生して単純承認を選択する場合、特別な手続きは必要ありません

なお、単純承認を選んでしまうとそれ以降は限定承認や相続放棄の申立を行うことができなくなります

上述の「法定単純承認とみなされるケース」に該当する法律行為をおこなった場合も自動的に単純承認を選んだものと扱われるので、限定承認や相続放棄を考えている人は熟慮期間中に必ず手続きを行うようにしてください。

滝 文謙
ナビナビ保険監修
公認会計士・税理士・AFP資格者
滝 文謙

相続放棄や限定承認などは3ヶ月という期日がありますが、これと並行して他の手続も意識する必要があります。亡くなられた方が自分で確定申告するような人だったり、申告すると税金が還付される人であれば、準確定申告と税金が発生している場合は相続の開始を知った日から4ヶ月以内にその納付を相続人がする必要があります。
また、相続財産が多くある人など相続税の納付をする必要があるような人は、相続の開始を知った日から10ヶ月以内に相続税の申告と納付をする必要があります。

まとめ

単純承認は、故人のプラス財産・マイナス財産の全てを相続することを指します。

遺産相続が発生した場合、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかの方法を選択することになりますが、単純承認を選ぶ場合は特に手続きをする必要はありません。

ただし、限定承認や相続放棄は「相続が発生してから3か月以内」に申し立てを行わないと自動的に単純承認を選んだものとみなされ、以降はこれらの申立を行うことができなくなってしまうのでご注意ください。

中村 翔也
この記事の執筆者

中村 翔也

携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
藤田 匡紀
この記事の監修者

藤田 匡紀

新卒で日本生命保険相互会社に入社し、販売企画・代理店営業など多様な業務に従事。13年間勤務した後「もっと多くの人に、保険の必要性を正しく理解してもらいたい」という思いを胸にエイチームフィナジーに入社、ナビナビ保険の運営に参画。金融機関における顧客向け相続セミナー・研修会の実績も多数あり。
所有資格
AFP資格、証券外務員Ⅱ種
ナビナビ保険編集部
この記事の編集者

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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