退職金は、慎重に運用先を選ばないと損をする可能性があるにもかかわらず、金融機関に勧められたとおりに、退職金の投資先を決めてしまう人は少なくありません
どの運用方法にも必ずメリットとデメリットがあるため、ご自身で把握して運用先を決めることが大切です。
退職金をより効果的に運用するには、運用する資金の配分や運用方法を慎重に決める必要があります。
退職金の運用に失敗しないための注意点や投資先の特徴をまとめているので、退職金の運用先の選択で後悔したくないと考えている方は、ぜひご一読ください。
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この記事の目次
退職金を運用する際のポイント
退職金の全額を何も考えずに特定の金融商品へ投資するのはおすすめできません。退職金を運用する場合は、以下3つのポイントを守りましょう。
退職金の運用ポイント
- ライフプランに応じて運用方針を決める
- リスクを抑えた運用方法を選ぶ
- 投資先はなるべく分散する
ライフプランに応じて運用方針を決める
退職金の運用先を考えるときは、資金がどのタイミングでいくら必要になるのか考えましょう。必要となる資金の種類によって、運用方法が異なるためです。
老後に必要となる資金は、以下の通りです。
資金の例 | 運用方法 | |
---|---|---|
短期的な資金(1年以内) |
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|
中期的な資金(1〜5年以内) |
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長期的な資金(5年以上先) |
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病気やケガを負ったときの支払いや、住宅ローン・マイカーローンなどの返済に退職金を充てる場合は、運用に回すのではなく預貯金で準備しましょう。
預貯金は、元本が約束されており、必要になったときにすぐに引き出せるためです。
近くにある金融機関や、手数料が安い銀行で口座を作ると、支払いや返済が必要になったお金をタイミングで引き出しやすくなります。
年金受給開始までの生活費や、家具や家電の買い替え費用などに対する資金は、定期預金や個人向け国債のような、安全性が高く引き出しづらい手段で運用するのがおすすめです。
投資期間が短いにもかかわらず、リスクの高い投資をすると損をする可能性が高まるためです。
年金受給開始後の生活費や、子供や孫への援助(結婚式代、住宅購入資金など)は、お金が必要になるまで期間が空きます。そのため、保険や投資信託などで時間をかけて投資すると、退職金が増えて戻ってきやすくなります。
リスクを抑えた運用方法を選ぶ
老後生活において大切なことは、資金を減らさないことです。
老後生活では主な収入源が年金となるだけでなく、再雇用や嘱託職員で働くとしても、退職前と比較して収入が低下するためです。
総務省統計局によると、夫婦世帯における家計の収支は、毎月約4万円の赤字が発生するといわれています。
※「家計調査報告(家計収支編)2018年(平成30年)II 総世帯及び単身世帯の家計収支」をもとに作成
上記の図は、平均収入と平均支出を比較したものですので、老後生活で必ず4万円の赤字が発生するわけではありません。年金収入に加えて、賃料収入が得られる不動産、あるいは配当のある株式などの収入源を確保している方もいるはずです。
しかし、平均値がマイナスということは、普通に生活していたのでは家計が赤字となるリスクがあるとも考えられます。
また、生命保険文化センターのアンケートによる、老後の最低日常生活費とゆとりある老後生活費の金額は、それぞれ以下のとおりです。
老後の最低日常生活費とゆとりある老後生活費
- 最低日常生活費:平均22.1万円
- ゆとりある老後生活費:平均36.1万円
※出典:生命保険文化センター令和元年度「生活保障に関する調査」
前述の総務省の調査で、平均収入が約22万円であったことを踏まえると、公的年金だけでは最低限の生活を送るだけで精一杯となる可能性が高いです。そのため、退職金などの資産を取り崩しながら、老後生活を送っているのです。
そのため、リスクの高い方法で資産運用を行って損をした場合、取り崩せる資産が減ってしまい、ゆとりのある老後生活をおくれる期間が減ってしまいかねません。
退職金は、リスクが低く堅実なリターンが期待できるところで運用し、減らさないように心がけることが大切です。
投資先はなるべく分散する
退職金は、一箇所にまとめるのではなく、複数に分けて運用することでリスクを分散できます。
例えば、退職金の全額で特定の投資信託を購入した場合、その投資信託の価値が低下すると、退職金の価値も下がることになります。反対に、退職金をすべて預貯金や定期預金に預けていても、お金は増えていきません。
そのため、退職金を運用する際は、複数の金融商品に分散して投資し、元本割れするリスクを抑えつつ、効率的に殖やしていくことが大切です。加えて、投資信託や株式投資のようなリスクがある金融商品での運用は、退職金の3割程度に留めましょう。
また、投資信託のような金融商品に投資する場合、退職金をまとめて投じるのではなく、時間をかけて毎月一定額ずつ投資する方がおすすめで、このように、常の一定の価格を投資することを、ドルコスト平均法といいます。
ドルコスト平均法では、金融商品が値下がりしているときには口数を多く購入し、値上がりしているときは口数を少なく購入するため、価格が変動したときのリスクを抑えられるのが特徴です。
退職金の運用では、リスクを抑えるために運用先だけでなく運用する金額も分散させることが大切です。
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退職金の主な運用方法
退職金の運用に有効な方法は、以下の4種類です。それぞれ特徴やリスクが異なるため、ご自身に合ったもので退職金を運用する必要があります。
退職金の運用方法4選
退職金向けの定期預金
定期預金とは、一定の期間引き出せない預金のことです。預ける期間は、3ヶ月や6ヶ月、1年などから選択できます。
定期預金では、銀行が倒産しても1,000万円の元本までが保証されるだけでなく、普通の預金より金利が高いため、リスクを抑えた運用が可能です。
退職金向けの定期預金では、通常の定期預金よりも金利がさらに高く設定されているだけでなく、所定の条件を満たすと金利を優遇してもらえる場合があります。
ただし、金利が高いものは、3ヶ月などの短期間しか預け入れられない場合が多いです。
また、金利を優遇してもらうには、販売手数料のかかる投資信託を一定割合以上、契約しなければならないケースがあります。
投資信託は定期預金よりもリスクが高いため、増える可能性がある一方で、元本割れの可能性も高くなります。目先の金利だけで判断しないようにしましょう。
また、定期預金の利息には20.315%の税金が発生するため、増えたお金のすべてが戻ってくるわけではない点にも注意が必要です。
貯蓄型保険
終身保険や養老保険のような貯蓄型保険による退職金の運用は、預貯金と並んで多くの方が利用してきました。
貯蓄型保険は、定期預金よりも高い利回りが期待できるだけでなく、支払った保険料が生命保険料控除の対象となるため、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。
退職金の運用先になる保険には、以下のような種類があります。
なかでも、退職金の運用先として多くの方に選ばれているのが、終身保険です。
終身保険は、一生涯の死亡保障を得られる保険で、一定期間が経過した後に解約すると支払った保険料以上の解約返戻金を受け取れます。
また、介護保障特約がセットされている終身保険では、所定の介護状態に該当すると保険金が支払われるため、同時に介護費用に備えることも可能です。
ひと昔前の利率が良かった頃は、退職金の運用先として一時払終身保険に入る方が多かったです。
しかし、低金利の時代に突入し、一時払終身保険を販売停止する保険会社が増えたため、現在では低解約返戻金型終身保険や、外貨建て終身保険が主流です。
外貨建て終身保険は、契約者が支払った保険料が日本円よりも金利の高い米ドルや豪ドルで運用される保険です。そのため、円建て終身保険よりも高い利回りが期待できます。また、個人年金保険や養老保険でも、外貨建て商品が多数販売されています。
しかし、外貨建て保険には為替リスクがあるため、契約したときとお金を受け取るときの為替相場の差によっては必ず増えるとは限りません。
利回りの高さだけでなく、他の運用方法と同様にリスクを理解して加入することが大切です。
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個人向け国債
個人向け国債とは、国にお金を貸す運用方法です。国債を購入すると、定期的に利息を受け取ることができ、満期になると元本が返還されます。
国債の利率には年0.05%の最低保証があるだけでなく、国が責任を持って元本を保証してくれるため、資産運用の中でも比較的安全性が高いといえます。そのため、投資をしたことが無い方にもおすすめです。
個人向け国債の種類は、以下の通りです。
個人向け国債の種類
- 変動10年:満期が10年で金利が半年に1度見直される
- 固定5年:満期が5年である国債
- 固定3年:満期が3年である国債
固定3年と固定5年は、満期まで金利が変わりません。
また個人向け国債は、加入から1年が経過すれば中途換金によって、購入金額の一部もしくは全部を換金できるので、途中換金をしても元本割れする心配はありません。
投資信託
投資信託とは、投資家から集めたお金を、運用の専門家が代わりに日本国内外の株式や債券、不動産などに投資して運用してくれる金融商品です。
投資信託は資産運用をプロに任せられるだけでなく、日本や世界中の企業や不動産に分散投資するため、資産が大きく減るリスクを減らせます。
また、NISA(少額投資非課税制度)口座を開設して投資信託を購入すると、運用で得た利益に課される20.315%の税金が非課税となり、年間120万円までの投資に対する運用益に税金がかからなくなります。
仮に、NISAで投資信託を購入して15万円の利益が得られると、通常では約3万円の税金が非課税となるのです。
NISAの非課税期間は最長で5年間、非課税枠は最大で600万円です。
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まとめ
今回は、退職金の運用方法について解説しました。退職金を運用する際のポイントを振り返りましょう。
- 退職金の運用先は、資金が必要なタイミングごとに運用方法を変える
- 退職金の運用は積極的にリターンを狙いに行くのではなく、できるだけ資産を減らさないようにリスクを抑えて堅実に運用する
- 退職金の投資先や投資金額はできるだけ分散させるとリスクを抑えられる
次に、退職金の運用手段をまとめます。
内容・特徴 | |
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退職金向け定期預金 |
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貯蓄型保険 |
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個人向け国債 |
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投資信託 |
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退職金は、老後生活の貴重な資金源です。多くのリターンを狙うのではなく、ご自身に合った方法で堅実な運用を心がけましょう。
また、有効な投資先を見つけるには、自分自身でも投資の知識を身につけることが大切です。投資は奥が深いので、できれば退職する前に少しずつでもよいので投資を始めておくと良いでしょう。
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