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更新 更新:2021.04.08

財産管理委任契約とは?メリット・デメリットと他制度との比較を解説します

財産管理委任契約とは?メリット・デメリットと他制度との比較を解説します

財産管理委任契約とは

財産管理委任契約とは、身体上の不調などの理由から自分の財産を自己管理できなくなった場合を想定して、自分の代わりに財産の管理を他人に委ねるための契約のことをいいます。

任意代理契約とも呼ばれており、体調不良や老化などが原因で外出が困難になることで財産の管理が難しくなった場合に「受任者(代理で手続きを行う人)」が一定の法律行為を代行できるようになります。

財産管理のみならず、私生活におけるサポートなども契約に含められることから「財産管理等委任契約」と呼ばれることもあります。

なお、財産管理委任契約を結ぶことで一定の財産管理における手続きを代行してもらえるようになりますが、金融機関によっては財産管理委任契約を結んでいたとしても対応してもらえないことが多くあります

そのため、財産管理委任契約を結ぶことを想定している場合は、委任者(自分)の口座がある金融機関で「財産管理委任契約での窓口対応が可能か否か」を事前に確認しておきましょう

また、不動産の売却などの手続きに関しては、その不動産の所有者(委任者)に売却の意思があるかどうかを確認する必要性があることから、不動産の管理はできても財産管理委任契約の受任者の判断だけで売却することはできません。

このように、一定の法律行為に関しては財産管理委任契約を結んでいても受任者が代行できないケースもあるので、必ずしもすべての手続きを代行できるわけではないということを覚えておいてください。

成年後見制度との違い

自分自身の財産管理を他人に代行してもらうための契約として「成年後見制度」があります。

財産管理委任契約と成年後見制度の違いは以下のとおりです。

財産管理委任契約と成年後見制度の違い
財産管理委任契約 成年後見制度
  • 利用するための要件が特に定められていない
  • 公正証書の作成や後見登記といった手続きは行われないので社会的信用が十分ではない
  • 監督者がいないため、実際に契約した内容が行われているか確認する術がない
  • 成年後見制度に認められている「取消権」がない
  • 判断能力の減退が認められなければ利用できない
  • 公正証書が作成されることから社会的信用が得られる
  • 家庭裁判所によって専任される「任意後見監督人」に手続内容を報告する必要がある
  • 法律行為をキャンセルできる「取消権」が認められている

どちらも自分の代わりに自身の財産を管理してもらうための契約制度ですが、成年後見制度が利用できるのは「精神上の障害による判断能力の減退」が認められる場合に限られます

精神上の障害による判断能力の減退とは、加齢に伴う認知症や知的障害などの精神疾患のことを指し、正常な判断ができない人の代わりにその人の財産を保護することを目的とした制度です。

一方の財産管理委任契約は、成年後見制度のような要件が定められていないので、今すぐに財産管理を他人に委ねたい場合や判断能力の減退が認められる前から手続きを代行してもらいたい場合に活用できます

ただし、成年後見制度では認められている「取消権」が、財産管理委任契約では認められていません

取消権とはたとえば、委任者が詐欺の被害にあったとしても受任者が代行して契約のキャンセルをすることはできないので気をつけましょう。

他の財産管理方法との比較

自身の財産管理を他人に委ねる財産管理委任契約ですが、それ以外にも財産管理を行う方法があります。

財産管理委任契約以外の財産管理方法

それぞれの特徴と財産管理委任契約との違いについて解説します。

日常生活自立支援事業

日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者などにおいて、判断能力が低下している人が自立した生活を送るための福祉サービスの利用援助を行うための事業です。

財産管理委任契約と日常生活自立支援事業との違いは以下のとおりです。

財産管理委任契約と日常生活自立支援事業との違い

  • 委任者の財産管理を行う点は共通
  • 日常生活支援事業では自己所有の不動産における管理等は委任できない
  • 判断能力が不十分とされる人でなければ日常生活自立支援事業による援助は受けられない

日常生活自立支援事業は各都道府県や指定都市社会福祉協議会が実施している事業で、基本的な援助の内容は以下のとおりとなっています。

日常生活自立支援事業の援助内容

  • 福祉サービスの利用援助
  • 苦情解決制度の利用援助
  • 住宅改造、居住家屋の貸借、日常生活上の消費契約及び住民票の届出等の行政手続に関する援助等

参照:日常生活自立支援事業|厚生労働省

上記の援助内容における具体的な手続きに関しては、預金の払い戻しや預金の解約、預金の預け入れといった日常生活費の管理が主とされています。

ただし、利用できる人が以下に限定されているため、万人が利用できる制度というわけではありません。

日常生活自立支援事業の対象者

  • 判断能力が不十分な人
  • 認知症高齢者
  • 知的障害者
  • 精神障害者等
  • 上記に該当し、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な人
  • 本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる人

参照:日常生活自立支援事業|厚生労働省

日常生活自立支援事業は、あくまで「判断能力が不十分な人がその地域で自立した生活が送れるように福祉サービスの利用援助等を行うもの」です。

日常生活における金銭を管理することはできますが、不動産を含む財産管理を代行してもらいたい場合には財産管理委任契約を利用するようにしましょう

家族信託

家族信託とは、自身の財産の管理や処分に関する判断を「信頼できる家族に託す」という財産管理の方法です。

基本的な内容としては財産管理委任契約とほぼ同じですが、家族信託だけに認められている権限があります。

財産管理委任契約と家族信託との違い

  • 委任者の財産を管理する点は共通
  • 家族信託は信託口口座を作っておけば受託者の権限で委任者の預貯金を自由に引き出せる
  • 家族信託の契約内容に記載があれば不動産の売買についても受任者の判断で売却が可能
  • 家族信託の場合は二次相続の対策にもなる

財産管理委任契約と家族信託における最大の違いは、受任者が委任者の信託口座を管理できる点です。

財産管理委任契約の場合、金融機関によっては代理人による手続きが認められない場合がありますが、家族信託の場合にはそれがありません。

また、不動産の売買を行う際も受任者の判断で売却ができるので、委任者の確認などの手間がかからないことがメリットです。

さらに、家族信託の場合は受益者が死亡したあとの第二の受益者を指定することもできるので、二次相続の対策にもなります

このように、一般的には財産管理委任契約よりも家族信託のほうが多くのメリットを享受できることが特徴です。

財産管理委任契約のメリット・デメリット

財産管理委任契約には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリットばかりに目が行きがちな財産管理委任契約ですが、デメリットも存在します。

その両面をしっかりと確認した上で利用するようにしましょう。

メリット1. 本人の判断能力が不十分ではない場合も利用できる

財産管理委任契約は、委任者の判断能力が不十分ではない場合も利用できます

任意後見制度は「認知症や知的障害などで委任者の判断能力が減退していると認められる場合のみ」に利用できる制度なので、第三者が委任者の財産を保護するための手続きを行うことができません。

取消権は認められていないものの、体調不良で外出ができないなどの理由でいつでも気軽に利用することができるので、将来を見越してあらかじめ財産管理を第三者に一任させたい場合などに有効な方法と言えます。

メリット2. 財産管理の開始時期・内容を自由に決められる

財産管理委任契約は、開始時期や契約内容を自由に定めることができます。

当事者間での合意のみで効力が生じることから、推奨はされないものの、契約書や役場での手続きを行う必要もありません。

財産管理に関する手続代行はもちろん、私生活におけるサポートといった内容までを含むことができるので、非常に自由度が高い制度と言えるでしょう。

メリット3. 判断能力が減退しても契約は終了しない

財産管理委任契約は、判断能力が減退した場合であっても契約そのものが自動的に終了となることはありません

また、特約によって委任者の死後における手続きに関しても委任することができるので、信頼できる人に諸々の手続きを代行してもらうことができます。

デメリット1. 社会的信用という観点では他制度に劣る

任意後見制度の場合は、公証人役場での手続きが必要であったり後見登記がされたりと後見人としての社会的信用が得られます。

一方の財産管理制度は、当事者間の合意で成立するため、特別な手続きを行わずとも契約を締結することができます。

手軽に利用できるのが大きなメリットですが、第三者機関を経由せずとも契約締結ができてしまうという意味で、社会的信用という観点では他制度に劣ってしまうことがデメリットです。

デメリット2. 公的監督者がいないため、チェックが難しい

任意後見制度を利用する場合、家庭裁判所によって選任される「任意後見監督人」によって、契約によって取り決められた業務が遂行されているか否かの確認が行われます。

ですが、財産管理委任契約の場合には公的監督者がいないため、受任者が契約内容の業務を遂行しているかどうかのチェックが難しいという欠点があります。

デメリット3. 成年後見制度のような取消権はない

財産管理委任契約には、成年後見制度に認められている「取消権」がありません

取消権が認められていないため、たとえ委任者が詐欺などの被害に遭っても、その契約内容を受任者が取り消すことはできないので注意が必要です。

財産管理委任契約書の作成方法

財産管理委任契約は、当事者間の合意があれば口頭であっても有効とされています。

ですが、口約束での契約は文書での証拠がなくトラブルに発展しやすいことから、財産管理等委任契約書を作成するのがおすすめです

また、財産管理等委任契約書はどのような形式で作成しても有効ですが、後日、契約の効力が争いにならないように公正証書で作成することが推奨されています。

加齢に伴う判断能力の低下を見越して、財産管理委任契約書を作成するのと同時に「任意後見契約」も作成しておくとより安心です。

公正証書は、委任者と受任者で公証人役場まで行き、第三者である公証人の立ち会いのもとで作成することになります。

基本的には公証人からの質問事項等に委任者が口頭で内容を伝え、それを公証人が文書としてまとめて契約書を作成するので、具体的な作成方法を知らなくても全く問題ありません。

取り決める内容としては「対象の財産」「対象財産に関する代理権の範囲」「財産管理委任契約を行うことによる受任者への報酬」「契約の解除事由」が挙げられるので、これらの内容については事前に決めておくようにしましょう。

なお、公証人役場は日本全国300箇所以上に設置されているので、日本公証人連合会の公式ホームページから最寄りの役場をお探しください。

まとめ

財産管理委任契約は、身体上の不調などの理由から自分の財産を自己管理できなくなった場合を想定して、自分の代わりに財産の管理を他人に委ねるための契約のことをいいます。

財産管理を第三者に委任する方法としては「任意後見制度」が挙げられますが、任意後見制度は認知症や知的障害などの精神疾患が認められないと利用することができません。

財産管理委任契約は、判断能力の減退といった要件が定められていないので、今後を見据えてあらかじめ財産管理を委任しておきたい場合などに有効的な方法です。

当事者間の合意があれば口頭での契約も有効ですが、契約内容などを明確にするためにも公正証書にて「財産管理等委任契約書」を作成することを推奨いたします。

公正証書は日本全国に設置された公証人役場にて作成することができるので、財産管理委任契約を検討中の人はぜひ覚えておくようにしましょう。

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中村 翔也
この記事の執筆者

中村 翔也

携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
藤田 匡紀
この記事の監修者

藤田 匡紀

新卒で日本生命保険相互会社に入社し、販売企画・代理店営業など多様な業務に従事。13年間勤務した後「もっと多くの人に、保険の必要性を正しく理解してもらいたい」という思いを胸にエイチームフィナジーに入社、ナビナビ保険の運営に参画。金融機関における顧客向け相続セミナー・研修会の実績も多数あり。
所有資格
AFP資格、証券外務員Ⅱ種
ナビナビ保険編集部
この記事の編集者

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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