11月15日は「いい遺言の日」ですが、2019年には社会環境の変化に適応するため、約40年ぶりに相続法の大幅な見直しが行われました。
高齢化社会の現代において、相続は注目度の高い社会的な問題ですが、相続に関心を寄せている人でも、相続の知識や相続税対策への理解度が高くないことがわかりました。
調査サマリー
- 相続法改正の内容を理解できていない・知らない人は70%以上、直筆証書遺言書保管制度の内容を理解できていない・知らない人は80%以上
- 相続を「これから検討」と考えている人が最多の40%以上
- 生命保険を相続に活用できることを知らない人は50%以上
調査概要
- 調査方法:インターネットによる調査
- 調査対象:全国にお住まいの既に相続・相続対策をした、もしくは現在・今後相続を検討している30代以上の男女
- 調査期間:2020年9月28日
- 調査エリア:全国
- サンプル数:326名
相続法改正の内容を理解できていない・知らない人は70%以上、直筆証書遺言書保管制度の内容を理解できていない・知らない人は80%以上
2019年の相続法改正の内容を「理解している」「ほぼ理解している」と回答した人は26.1%。
逆に「あまり理解していない」「全く理解していない」「法改正自体を知らなった」と回答した人は70%以上で、多くの人が相続法の改正内容を理解していないことがわかりました。
また、2020年7月から開始された直筆証書遺言書保管制度の内容を「理解している」「ほぼ理解している」と回答した人は17.8%。
「あまり理解していない」「全く理解していない」「制度自体を知らなかった」と回答した人は80%以上に上ることがわかりました。
- 「直筆証書遺言書制度」とは?
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遺言者が手書きで作った遺言書の偽造や改ざん、紛失などを防ぐため、遺言書の原本、及び画像データを法務局で保管することが可能になった制度。
遺言者が亡くなった後、相続人は法務局に手続きをすることで遺言内容の閲覧が可能です。また、直筆遺言書保管制度を利用すれば遺言者の死亡後に検認が不要となります。(従来は家庭裁判所にて遺言書の検認が必要)
相続を「これから検討」と考えている人が最多の40%以上の結果に
相続を検討するきっかけについて質問したところ、「まだ検討していない」と回答した人が42.9%と最も多く、相続を「これから検討」と考えている人が多いことがわかりました。
また、具体的に検討するきっかけは、「過去に、親族、知人にて相続関係で揉め事があったため」「節税のため」が最多で、同数の19%となりました。
生命保険を相続に活用できることを知らない人は50%以上!
相続に生命保険を活用できることを「知っている」人はわずか15.3%、逆に「知らない」と回答した人が50.1%という結果になりました。
相続に関心を寄せている人たちであっても、生命保険に相続対策として役に立つ機能があることは認知していないということが浮き彫りになりました。
【まとめ】専門家からのワンポイントアドバイス

- 藤田 匡紀
昨今、『争族』といって遺産分割の話し合いがうまくまとまらずに争いごとになる話をよく耳にします。
遺産分割をスムーズに進めるために、最終的には遺言などもご準備いただき資産全体の方向性を決めていただくのがベストです。しかし、資産全体の相続の方向性までは決めきれないという方は、すぐにできる対策として生命保険で受取人を指定し、特に想いのある方に当面のご資金を渡すのが良いでしょう。
また、生命保険を利用し財産を遺していただく場合、契約者(保険会社に保険料を支払う義務がある人)、被保険者(保険の対象者)を同一人物にして、保険金受取人(保険金を受け取る人)を相続人にすると、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が利用できますので、相続税がかかる可能性がある方は、結果的に相続税の軽減につながります。
相続は、家族構成や遺産額によってケースバイケースの内容が多く、一人で判断するのは極めて難しい分野です。とは言え、相続税対策や相続争いを回避するためにも、相続に関する知識はぜひ身につけておきたい知識の一つです。
2019年、2020年と法改正や新たな制度が開始されたこのタイミングで、ご自身の遺産相続を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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