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更新 更新:2021.06.14

孫に遺産相続ができる7つの方法とは?デメリットや注意点を詳しく解説

孫に遺産相続ができる7つの方法とは?デメリットや注意点を詳しく解説

孫に遺産を相続するのは実は簡単ではありません。

遺産を相続する権利のある法定相続人に、亡くなった人(被相続人)の孫は含まれていないためです。

被相続人の配偶者は常に相続人になります。被相続人に子供や父母がいた場合は、以下の相続順位にしたがって、配偶者以外の相続人が決まります。

被相続人との関係 法定相続分
第1順位 子供 配偶者1/2、子供1/2
第2順位 父母 配偶者1/2、父母1/2
第3順位 兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

孫が遺産を相続できるのは、被相続人の子供(孫の親)が相続の時点で亡くなっているときのような、限られたケースのみです。

孫に遺産を相続する方法や注意点を幅広く解説します。

孫に遺産相続をする7つの方法

孫への遺産を引き継ぎたい場合、以下の7つの方法を検討することになります。

1. 遺言書で言及する

被相続人が生前に遺言(公正証書遺言)を作成していた場合は、遺言に記載されている内容が優先されて財産が移転されます。

よって、孫に遺産を相続したい場合は、遺言書の作成が有効です。

遺贈の方法は「包括遺贈」「特定遺贈」の2種類です。


遺贈の方法
内容 遺言の記載例
包括遺贈 遺言に相続させる財産の割合を記載して移転させる方法 「全財産のうち1/4を孫に譲る」
特定遺贈 不動産や預貯金など特定の財産を指定して移転させる方法 「私が所有するうち不動産を孫に譲る」

上記のように、遺言では財産の割合や財産の種類を指定して孫に相続させることが可能です。

ただし、後述する「遺留分減殺請求権」を他の法定相続人から行使されると、遺言書に記載された財産を孫が相続できない恐れがあります

包括遺贈を放棄する場合、孫は遺贈が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申述が必要です。

一方で、特定遺贈は放棄に期限が設けられていません。

2. 代襲相続で相続する

本人、子が死亡して孫が代襲者になるケース

法定相続人となる子供が、相続の開始時点で死亡していた場合は、孫が遺産を相続します。これを、代襲相続といいます。

代襲相続に特別な手続きは必要ありません。 相続の開始時点で子供が亡くなっていた場合、自動的に孫が代襲相続人となります。

ただし、法定相続人となる予定の子供が生前に相続放棄をしていた場合、孫は遺産を代襲相続できません。

孫が代襲相続人となる場合の相続割合

孫が代襲相続人となった場合は、孫の親(被相続人の子供)が相続するはずだった割合の遺産を相続します。

例えば、相続人が配偶者と子供ども2人(長男、長女)の合計3人であったとしましょう。

遺産の相続割合は、配偶者が2分の1、子供が4分の1ずつです。相続の開始時点で長男が亡くなっていた場合、その子供(被相続人の孫)が遺産の4分の1を代襲相続します。

もし、相続人の長男に子供が2人いた場合、遺産の4分の1を2人で分け合って8分の1ずつを相続します。

また、本来の相続人が被相続人の配偶者と子供で、相続開始の際にどちらも亡くなっており孫のみが生存している場合は、孫がすべての財産を相続します。

3. 孫を養子縁組する

法定相続人の第一順位である「子」には、被相続人の実子だけでなく、養子縁組をした養子も含まれます

生前に孫と養子縁組を行い、法律上の子供とすることで、相続の発生時に孫は相続人とみなされて遺産の分割が行われるのです。

また、養子縁組を行うことで法定相続人が増えるため、相続税の税負担軽減にもつながる場合があります

相続税の計算時には「3,000万円 + (600万円 × 法定相続人)」の基礎控除が遺産の総額から差し引かれます。

法定相続人の数が増えると基礎控除額が増えて、相続税の課税対象となる遺産の金額が下がるため、相続税の税負担を軽減できる場合があるのです。

ただし、基礎控除の計算する際に法定相続人としてカウントされる養子の人数には制限があります。養子が増えるほど、相続税を軽減できるわけではありません。

養子縁組になる場合の相続割合

養子縁組をしている孫は、被相続人の子供と同じ割合の遺産を相続します

例えば、被相続人に配偶者と子供2人、孫2人(Aさん、Bさん)がいたとしましょう。生前にAさんを養子にしていると、遺産は配偶者に2分の1、子供2人と孫Aさんにそれぞれ6分の1ずつ相続されます。

養子縁組をしていない孫Bさんは、遺産を相続できません。遺産を相続させたい孫とそうでない孫がいる場合は、相続させたい孫のみを養子にするのもひとつの方法です。

滝 文謙
ナビナビ保険監修
公認会計士・税理士・AFP資格者
滝 文謙

養子縁組を行う事で法定相続人が増えるため、相続税の税負担軽減としては有利になります。

しかし、例えば、基礎控除を増やすためだけに危篤状態で亡くなる直前に急いで養子縁組するなどの、あまりに形式的であからさまな税逃れと思われるような養子縁組では、相続税の税負担の軽減とはならず、税務署に指摘される可能性がありますので注意してください。また、他の相続人の相続分を減らす事にもなりますので、その点も留意する必要があります。

4. 遺産分割で全員が主張する

遺産分割協議をする際に、相続人全員が孫に対して遺産を相続しても良いと主張した場合、孫は遺産を相続できます。

遺産は法定相続分に従って分割されるのではなく、相続人の間で遺産の分け方を話し合って、遺産分割協議書を作成して決まります

もし、遺産分割協議の話し合いの場で相続人全員が孫にも遺産の一部または全部を渡しても良いと認めると、 孫は遺産を相続できるのです。

ただし、被相続人が生前に、相続人に対して孫に遺産を分け与えるようにお願いしていても、遺産分割協議の場でその通りに話が進むとは限りません。

遺産分割協議は、被相続人ではなく相続人の意思が尊重されます。孫に財産を渡したいのであれば、遺言書を作成する方が有効でしょう。

5. 生前贈与をする

生前贈与は、文字通り生きているうちに財産を第三者に贈与することです。

生前に財産を贈与して遺産を減らすことで、相続税の負担を軽減できる可能性があります

ただし、暦年(1月1日〜12月31日)の間で贈与された財産の合計額が、110万円を超えると贈与税がかかります

そのため、生前贈与では贈与税がかからないように年間の贈与額を110万円以下にして、毎年財産を贈与していく暦年贈与が用いられるのが一般的です。

また、相続時精算課税制度を利用すると、最大で2,500万円までの贈与が何度でも非課税となります。

その代わり、相続時精算課税制度で贈与された財産は、相続税の課税対象です。贈与額が2,500万円を超えると、一律20%の贈与税がかかります。

相続時精算課税制度を適用すると、財産の贈与時に基礎控除額の110万円が適用されなくなります。そして相続時精算課税制度は、財産を贈与する人が死亡するまで継続され途中で暦年贈与に変更できません。

6. 教育資金として贈与する

孫に教育資金が必要なタイミングで資金を贈与する場合、贈与税は課税されません

例えば、孫が大学を進学するときに、入学金として300万円を渡したとしましょう。

孫に贈与された財産は基礎控除額である110万円を超えているため、贈与税が課税されるはずです。しかし、教育資金が必要なタイミングで贈与されているため、孫は贈与税を負担しなくて済みます。

一方で、孫が大学に進学するときに備えて、事前に300万円を渡すと贈与税がかかります。教育資金が必要なタイミングで贈与されていないためです。

「教育資金一括贈与の非課税制度」を利用すると、孫の教育資金が必要でないタイミングで資金を贈与しても、1,500万円まで贈与税が課税されません

しかし、教育資金一括贈与の非課税制度を利用するには、銀行や信託銀行などの金融機関で専用口座を開設する必要があります。

また、贈与された教育資金を管理するのは孫自身です。開設した教育資金口座からお金を引き出す場合は、領収書のような支払ったお金が教育資金であったことを証明する書類を、金融機関に提出する必要があります。

非課税の対象となるのは、授業料や塾代などの教育資金です。もし、教育資金口座にあるお金のうち、教育資金以外に使った金額には贈与税が課税されますので注意が必要です。

滝 文謙
ナビナビ保険監修
公認会計士・税理士・AFP資格者
滝 文謙

教育資金一括贈与の非課税制度は、2019年4月1日以降の分は、贈与者が死亡した日に受遺者が23歳未満であるか、学校に在学しているか、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講していない限り、口座を開設してから3年内に相続が発生すると相続税の対象となります。

また、受贈者が30歳に達したなどで契約が終了した段階で口座に使い残しがあると、その分は贈与税が発生しますので、十分に留意してください。

7. 生命保険の受取人を孫にする

保険金受取人を孫に指定した生命保険に加入して、保険料を支払うことで財産を孫に渡すことが可能です。

生命保険の保険金は「みなし相続財産」であり、受取人固有の財産となるため遺産分割協議の対象に含まれません

そのため、孫が受け取った保険金が、他の相続人に相続されることもありません。

ただし、生命保険の保険金受取人を孫にすると、相続税が余分にかかる可能性がある点に注意が必要です

受取人を孫にすると相続税が増える理由は、次の項目で解説します。

孫へ遺産相続をする際に注意するポイント

孫へ遺産を相続したり、財産を渡したりする際の注意点としては以下の通りです。

もし注意点を知らないと孫に財産を贈与できなかったり、孫に対して想定外の税負担が発生したりする恐れがあります。

孫を生命保険の受取人にすると相続税の非課税枠が適用されない

生命保険の死亡保険金には「500万円×法定相続人」の非課税枠があります

仮に、法定相続人の数が3人である場合、1,500万円までの死亡保険金は、相続税の課税対象外です。

しかし、孫が死亡保険金受取人である場合、非課税枠は適用されず、全額が贈与税の課税対象となってしまいます

死亡保険金の非課税枠は、受取人が法定相続人であった場合のみに適用されるためです。

たとえ、法定相続人が3人いたとしても、孫が死亡保険金を1,500万円受け取った場合は、1,500万円全額が相続税の課税対象となります。

また、法定相続人ではない孫が、死亡保険金というみなし相続財産を受け取った場合、相続人と同じ扱いを受けます。

相続人は、相続で受け取った財産だけでなく、被相続人の亡くなる前の3年以内に贈与された財産も相続税の課税対象となります。

通常、孫は相続人にはならないため、被相続人が亡くなる3年以内に財産を贈与されていたとしても相続税はかかりません。

しかし、孫が死亡保険金を受け取った場合は、他の相続人と同様に、被相続人が亡くなる3年以内に贈与された財産に対して相続税がかかります。

相続税が2割増しになる可能性がある

相続や遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の一親等血族または配偶者以外の人であった場合、相続税額が2割増しとなります

一親等血族とは、被相続人の両親や子供のことです。被相続人の孫や兄弟は一親等血族ではないため、 遺産を相続すると相続税に2割加算が適用されるのです。

もし、孫が被相続人と養子縁組をしていたとしても、 被相続人の実子が相続の開始時点で生存している場合は、2割加算が適用されます。

一方で、被相続人の子供が死亡しており、孫が代襲相続人となった場合、2割加算は適用されません。

もし、孫に遺産を相続させる予定である場合は、2割加算を想定して相続税の税額を事前にシミュレーションしておくと良いでしょう。

なお、孫が生命保険の死亡保険金を受け取った場合も2割加算は適用されます。

よって、孫を生命保険の死亡保険金受取人にすると「相続税の非課税額が適用される」「相続開始の3年以内に贈与された財産が相続税の対象となる」「2割加算が適用される」 の3つが重なって、相続税負担が重くなります。

孫に財産を相続させれば、一世代飛ばして相続することができるというメリットはありますが、そのことで高額な相続税負担が発生する恐れがあるため、慎重に検討しましょう。

暦年贈与が一括贈与とみなされることがある

孫に財産を暦年贈与する場合、毎年110万円以内で贈与すると贈与税はかかりません

しかし「定期贈与」とみなされると、贈与を開始した時点からのすべての贈与額が贈与税の課税対象となる可能性があります

定期贈与とは「これから私は10年間にわたって110万円を贈与します」といった契約です。

定期贈与契約を孫と結んでしまうと、1,100万円から110万円を引いた990万円に贈与税が課せられます。

契約を取り交わしていなくても、金融機関で「孫の口座に毎年110万円ずつ自動送金する」と設定していると、定期贈与とみなされる恐れがあります。

そのため、毎年110万円を贈与する場合は定期贈与ではなく毎年贈与契約書を作成して、暦年贈与をしましょう。

相続人同士のトラブル

もし、遺言で孫に遺産を与えすぎると、法定相続人である配偶者や子供などが不満を感じて、被相続人の死亡後にトラブルに発展するかもしれません。

遺産を相続できると考えていた配偶者や子供が、遺言によって孫に遺産が相続され、想定よりも相続できる遺産が少ないと不満に感じて争いに発展する場合もあるでしょう。

ですので、孫に遺産を相続する場合は、必ず家族間で話し合って同意を得ておくことが大切です。

遺留分侵害請求をされる場合がある

遺言で、孫に財産を移転するようにしても安心はできません。

法定相続人に遺留分を主張されると、孫の取り分が減ってしまうことがあるからです。

遺留分とは、法定相続人が最低限の遺産を受け取れる権利です。

兄妹姉妹を除く法定相続人は、遺留分減殺請求権を行使することで、以下の割合の遺産を取得できます。

  • 直系尊属だけが相続人の場合:相続財産の1/3
  • 上記以外の場合:相続財産の1/2

たとえ、遺言に「私の財産をすべて孫に相続させる」と記載しても、配偶者や子供に遺留分を主張されると孫は財産の全てを取得できません。

まとめ

最後に、孫への遺産相続に関する要点をまとめます。

孫に財産を相続する方法

  • 遺言を作成することで、遺産の一部または全部を孫に相続できる
  • 法定相続人である子供が相続の開始時点で亡くなっていた場合は、孫が代襲相続人となって遺産が相続される
  • 養子縁組で孫を養子とすることで、実の子供と同じ割合で遺産を相続できる
  • 遺産分割協議時に、相続人全員の合意が得られれば孫は財産を相続できる
  • 生前に財産を毎年110万円ずつ暦年贈与すると、贈与税がかかることなく財産を孫に贈与できる
  • 「教育資金一括贈与の非課税制度」を利用すると、1,500万円までの贈与が非課税となる
  • 生命保険金の死亡保険金受取人に孫を指定して財産を渡す方法もある

孫に遺産を相続したり財産を渡したりするときの注意点

  • 孫を生命保険金の受取人にすると、死亡保険金に対して相続税の非課税額が適用されない
  • 孫が遺産を相続すると、相続税が2割増しとなる
  • 孫が相続人になると、相続が開始される前の3年以内に贈与された財産が相続税の課税対象となる
  • 孫に遺産を相続させると、相続人同士でトラブルに発展する恐れがある
  • 相続人が遺留分を主張すると、孫は遺言に記載された割合の財産を相続できない恐れがある

孫に遺産を相続できる方法は限られているだけでなく、税負担が高額になったり、トラブルが発生したりする恐れがあります。

相続は仕組みが複雑なだけでなく、トラブルに発展しやすいものです。もし、孫への遺産相続を考えている方は、事前に弁護士や税理士、ファイナンシャルプランナーといった専門家に相談することで、相続に対する不安を解消することをおすすめいたします。

品木 彰
この記事の執筆者

品木 彰

大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後、人材会社で転職コンサルタントとしての勤務を経て、2019年1月よりwebライター/監修者として独立。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士2級, 日商簿記検定3級
藤田 匡紀
この記事の監修者

藤田 匡紀

新卒で日本生命保険相互会社に入社し、販売企画・代理店営業など多様な業務に従事。13年間勤務した後「もっと多くの人に、保険の必要性を正しく理解してもらいたい」という思いを胸にエイチームフィナジーに入社、ナビナビ保険の運営に参画。金融機関における顧客向け相続セミナー・研修会の実績も多数あり。
所有資格
AFP資格、証券外務員Ⅱ種
滝 文謙
この記事の監修者

滝 文謙

大手監査法人にて上場企業の監査業務に携わった後に、地元の岐阜県多治見市に戻り、関係のあった税理士と税理士法人森本会計を設立、業務執行社員となる。地方では数十名規模の事務所として税務や監査・経営助言などを行っている。
所有資格
公認会計士・税理士・AFP資格者
ナビナビ保険編集部
この記事の編集者

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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