贈与税とは?
贈与税とは、個人が個人から財産を受け取ったときに課税される税金のことです。
たとえば、子供が父親から不動産を譲り受けた(生前贈与された)場合などに、その不動産の評価額に対して一定の税率を乗じた贈与税を納めなければなりません。
財産を受け取った場合に課される税金としては主に「贈与税・相続税・所得税」の3種類が挙げられますが、これらの中で最も税率が重いとされているのが贈与税です。
贈与税が発生するのはあくまで個人間での財産のやり取りのみであり、法人から財産を受け取った場合には贈与税の課税対象とはならず、代わりに所得税が発生することになります。
また、自分が保険料を負担していない生命保険から保険金や給付金を受け取った場合、または債務の免除などにより事実上の利益を得た場合には贈与を受けたものとみなして贈与税が課されます(みなし贈与)。
ただし、保険金や給付金を受け取ったからといって必ず贈与税が発生する訳ではなく、契約者が自身を被保険者として契約していた生命保険から保険金などを受け取った場合は贈与税ではなく相続税の対象となります。
贈与税と相続税の税負担の違い
財産を受け取った場合に課される税金として「贈与税」と「相続税」の2種類が有名ですが、これらの違いを理解している人は意外と多くありません。
贈与を受けた場合に発生するのが「贈与税」、財産を相続した場合に発生するのが「相続税」であることはもちろんですが、両者は自身が取得した金額に対しての税率が異なります。
贈与税と相続税の税率の違いを一覧表にしてまとめました。
贈与税 | 相続税 | ||||
---|---|---|---|---|---|
特例贈与 (直系尊属から20歳以上の子や孫への贈与) |
一般贈与 (特例贈与に当たらない贈与) |
||||
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 法定相続分に応じた取得額 | 税率 |
200万円以下 | 10% | 200万円以下 | 10% | 1,000万円以下 | 10% |
400万円以下 | 15% | 300万円以下 | 15% | 3,000万円以下 | 15% |
600万円以下 | 20% | 400万円以下 | 20% | 5,000万円以下 | 20% |
1,000万円以下 | 30% | 600万円以下 | 30% | 1億円以下 | 30% |
1,500万円以下 | 40% | 1,000万円以下 | 40% | 2億円以下 | 40% |
3,000万円以下 | 45% | 1,500万円以下 | 45% | 3億円以下 | 45% |
4,500万円以下 | 50% | 3,000万円以下 | 50% | 6億円以下 | 50% |
4,500万円超 | 55% | 3,000万円超 | 55% | 6億円超 | 55% |
※上記は税率をまとめたものであり、実際には各取得額に応じた控除額が設けられています※贈与税は取得額から「110万円」の基礎控除額を差し引いた金額に対して所定の税率を乗じて課税額を計算します※相続税は取得額から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除額を差し引いた金額に対して所定の税率を乗じて課税額を計算します
参照:贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁参照:相続税の税率|国税庁
贈与税と相続税を比べると、贈与税のほうが基礎控除額は少なく、取得金額に対する税率が高くなっています。
たとえば、贈与として1,000万円の財産を受け取った場合は30%の贈与税が発生しますが、相続の場合には10%の相続税しか発生しません。
金額が大きくなるほど納税額も大きくなり、4,500万円を超える贈与を受けた場合は55%の税率が課されますが、5,000万円以下の財産を相続した場合は20%の税率で課税されます。
ただし、贈与税の負担を緩和できる特例を活用すると実質的に贈与税率を下げることができるので、必ずしも相続のほうが税負担は軽くなるという訳ではないという点は覚えておくようにしましょう。
贈与税の課税対象となるパターン
贈与税の課税方法には大きく分けて2パターンがあります。
一般的には毎年110万円までの基礎控除額が適用される暦年課税が選ばれることが多いですが、贈与対象の価額が大きい場合には相続時精算課税制度が選ばれるケースもあります。
それぞれの課税対象となるパターンについて、わかりやすくご紹介していきます。
暦年課税
暦年課税とは、個人が1月1日から12月31日までの1年間のうちに受け取った財産の合計額より、基礎控除額110万円を差し引いた金額に対して贈与税を課税する方式のことをいいます。
基礎控除額は毎年適用されるため、1年間のうちに受け取った財産額が合計で110万円を超えなければ贈与税は課税されず、確定申告にて贈与税の申告を行う必要もありません。
また、年をまたげば何度でも利用できることから、相続税を緩和するための方法として基礎控除額の枠内にとどめた生前贈与が行われるケースも多いです。
ただし、毎年定期的に贈与を行うと「定期贈与」とみなされてしまい、最初からまとまった金額を贈与する予定だったものとして扱われ、複数回に分けて贈与した合計額に対して贈与税が課されることになってしまいます。
相続税を緩和するための方法として気軽に利用できる方法ですが、上記のような注意点もあるので、暦年課税について具体的に解説している以下の記事も合わせて確認しておくようにしましょう。
相続時精算課税
相続時精算課税制度とは、贈与者(贈与する側の人)ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間で贈与として受け取った財産に対して最大2,500万円までの特別控除が受けられる制度のことをいいます。
最大2,500万円を差し引いた残りの金額に対して贈与税が発生し、贈与税の申告期限内に申告書を提出した場合のみ控除が受けられるようになるので、暦年課税に比べて手続きの手間がかかることがデメリットです。
ただし、暦年課税では1年間で最大110万円までの基礎控除額しか受けられないので、贈与として受け取る財産の価額が110万円以上2,500万円以下の場合は相続時精算課税制度を選んだほうがメリットは大きいといえるでしょう。
なお、前年以前に相続時精算課税制度を利用していた場合、2,500万円からその金額を控除した残額がその年における特別控除限度額となります。
また、相続時精算課税制度を選んだ場合に被相続人が亡くなってしまうと、贈与税を非課税とした財産を他の相続財産に加算した上で相続税が計算されます。
簡単にいうと、相続時精算課税制度は「生前贈与を受けた場合の贈与税を相続が発生した時点に先送りにする制度」と言いかえることができるので、注意点としてぜひ覚えておくようにしましょう。
贈与税の課税対象とならないパターン
上述の通り、1年のうちに受け取った財産に対して課税される税金のことを贈与税と呼びますが、贈与を受けた場合であっても贈与税の課税対象とならないパターンも存在します。
国税庁公式ホームページにて明記されているので、贈与税が課税されないパターンについてもご紹介します。
贈与税の課税対象とならないパターン
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法人からの贈与により取得した財産
- 贈与税は個人から財産を贈与により取得した場合にかかる税金であり、法人から財産を贈与により取得した場合には贈与税ではなく所得税が発生する
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夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
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生活費とは、その人にとって通常の日常生活に必要な費用のことを指す
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教育費とは、学費や教材費、文具費などを指す
- 贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られる
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生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税が発生する
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生活費とは、その人にとって通常の日常生活に必要な費用のことを指す
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宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う一定の者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
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奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣の指定した特定公益信託から交付される金品で一定の要件に当てはまるもの
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地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
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公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し取得した金品その他の財産上の利益で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの
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特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
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国内に居住する特定障害者(特別障害者又は特別障害者以外で精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるなどその他の精神に障害がある者として一定の要件に当てはまる人)が特定障害者扶養信託契約に基づいて信託受益権を取得した場合には、その信託の際に「障害者非課税信託申告書」を信託会社などの営業所を経由して特定障害者の納税地の所轄税務署長に提出することにより、信託受益権の価額(信託財産の価額)のうち、6,000万円(特別障害者以外の者は3,000万円)までの金額に相当する部分については贈与税が発生しない
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国内に居住する特定障害者(特別障害者又は特別障害者以外で精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるなどその他の精神に障害がある者として一定の要件に当てはまる人)が特定障害者扶養信託契約に基づいて信託受益権を取得した場合には、その信託の際に「障害者非課税信託申告書」を信託会社などの営業所を経由して特定障害者の納税地の所轄税務署長に提出することにより、信託受益権の価額(信託財産の価額)のうち、6,000万円(特別障害者以外の者は3,000万円)までの金額に相当する部分については贈与税が発生しない
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個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
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直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
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直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
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直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
- 相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産
上記に該当する場合、財産を受け取ったとしても贈与税が課されることはありません。
ですが、その判断はあくまで税務署に委ねられているので、贈与を受けた財産について贈与税が課されるかどうかが気になる人は税理士などの専門家までご相談ください。
贈与税の税負担を軽減する方法
財産を受け取った場合の税率が最も重い贈与税ですが、以下に該当する方法により贈与税による税負担を軽減することができます。
贈与税の税負担を軽減する方法
それぞれの方法について具体的な内容を解説していきます。
贈与を受ける予定がある人、すでに贈与として財産を受け取っている人は、上記のケースに該当するかどうかを確認した上で手続きを行うようにしてください。
年間110万円以内の贈与
贈与税の課税対象となるパターンとして、年間110万円以内であれば贈与税が課されない「暦年贈与」があります。
暦年贈与は年をまたげば、基礎控除額110万円の枠が何度でも復活するので、毎年110万円ずつの贈与を行えば贈与税を発生させることなく多額の財産を贈与することができます。
複数年に分けて暦年課税を利用して生前贈与を行うことで、贈与税はもちろんのこと、相続税の対策にもなることから最も手軽な税負担の軽減方法といえるでしょう。
ただし、定期贈与とみなされて多額の贈与税を課されてしまう可能性も考えられるので、上記の方法で贈与を行う場合は贈与のたびに「贈与契約書」を取り交わすように心がけてください。
2,000万円までの居住用不動産(おしどり贈与)
婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与では、「贈与税の配偶者控除(別名“おしどり贈与”)」が認められています。
最大2,000万円までの配偶者特別控除に加えて、暦年課税の基礎控除額110万円も適用されることから、最高2,110万円までの居住用不動産を無税で贈与することが可能です。
ただし、贈与税の配偶者控除を利用するためには以下の要件を満たしている必要があるのでご注意ください。
贈与税の配偶者控除の要件
-
夫婦間の婚姻期間が20年を過ぎた後に行われた贈与であること
-
配偶者から贈与された財産が「居住用不動産」または「居住用不動産を取得するための金銭」であること
-
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与によって取得した居住用不動産または贈与された金銭によって取得した居住用不動産に、受贈者が現実に住んでいること
- 受遺者がそれ以降も対象の居住用不動産に済み続ける見込みであること
参照:夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁
結婚・子育て資金の一括贈与の特例
結婚・子育て資金の一括贈与の特例は、結婚や子育ての支払いのために贈与された財産について、最大1,000万円までが非課税となることが認められた特例です。
最大1,000万円までが非課税になることが魅力的な特例ですが、結婚費用として充てることができるのはそのうちの最大300万円までとなっています。
また、贈与者が死亡した場合は特例が適用できなくなってしまうので、贈与資金を相続人が50歳になるまでに使い切れないと残額に対して贈与税が発生するという注意点があります。
なお、2015年(平成27年)の税制改正で新設されたばかりの制度であり、利用できる期限が2021年3月31日までとなっているので、利用を検討される人はお早めにお申し込みください。
教育資金の非課税の特例
教育資金の非課税の特例は、子供や孫に対して教育資金としての贈与を行う場合、最大1,500万円までが非課税となる特例です。
最大1,500万円までの枠内であれば何度でも非課税で贈与を行うことができますが、その一方で30歳になるまでに使い切れなかった贈与分に対しては贈与税が発生してしまいます。
また、学校関係以外(習い事など)に対しては、最大500万円までと上限が設けられている点にもご注意ください。
なお、2019年(平成31年)に行われた税制改正で、教育資金としての贈与であっても3年以内に贈与者が死亡してしまった場合は、その時点で使い切れていない残額分が相続財産に持戻されるようになったので気をつけましょう。
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度は、子供や孫が住宅を購入または増改築するための資金を贈与した場合に一定の要件を満たせば最大3,000万円まで(※)が非課税とされることが認められた制度です。
※住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が2021年3月31日まで、省エネ等住宅の要件を満たす場合
他の特例とは異なり、贈与者が死亡してしまったとしても本制度が適用された贈与については相続財産への持戻が行われないため、非常に大きな税負担の軽減効果が期待できます。
ただし、非課税となる限度額は工事契約や売買契約の時期等によって変動するため、贈与額を使い切れなかった場合はその残額に対して贈与税が課されることになるのでご注意ください。
離婚時の財産分与
離婚をして財産分与を行う場合、個人間での財産のやり取りではあるものの、贈与税が課されることはありません。
ただし、以下に該当する場合は贈与税が発生してしまうので注意が必要です。
離婚時の財産分与で贈与税が発生する場合
-
分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多すぎる場合
- 多すぎると考えられる分に対して贈与税が課される
-
離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
- 離婚によって受け取った財産のすべてに対して贈与税が課される
なお、財産分与が土地や建物などの不動産で行われた場合、財産分与した人に対して事業所得税が課されることになります。
財産分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになるので、将来的に分与を受けた土地や建物を売却した場合には、長期譲渡・短期譲渡のどちらに該当するかを判定されることになります。
長期譲渡・短期譲渡のどちらに該当するかによって税金の計算方法が変わってくるので、不動産で財産分与を受ける場合には「売却時期によって税金が変動する」ということを覚えておきましょう。
参照:離婚して土地建物などを渡したとき|国税庁参照:譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁
贈与税の税率
贈与税の税率は、大きく分けて2つのパターンに分類されます。
それぞれで取得額に対しての税率や控除額が大きく異なるので、しっかりと内容を確認しておくようにしましょう。
なお、後半では取得価額に対しての「贈与税実質負担率」もまとめているのでぜひ参考にしてください。
特例税率の場合
父母や祖父母などの直系尊属から、20歳を超える子や孫に対して贈与が行われた場合には、以下の「特例税率」が適用されます。
- 「直系尊属」とは?
- 父母・祖父母など自分より前の世代で血の繋がりがある親族のこと
- 養父母は直系尊属に含まれるが、叔父叔母や配偶者の父母・祖父母は含まれない
- 対義語として直系卑属(自分より後の世代で血の繋がりがある子どもや孫、養子のこと)がある
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
たとえば、1,000万円の贈与を受けた場合の特例税率による納税額は、以下の計算式で算出することができます。
例:1,000万円の贈与を受けた場合の特例税率
-
贈与財産1,000万円 - 基礎控除110万円 = 課税対象890万円
- 課税対象890万円 × 税率30% - 控除額90万円 = 177万円
なお、特例税率が適用されるのは直系尊属から20歳以上の子や孫に対しての贈与が行われたときだけです。
それ以外の贈与においてはすべて「一般税率」で贈与税を計算することになるので気をつけましょう。
一般税率の場合
上述の特例税率に当たらない贈与が行われた場合、以下の「一般税率」を元にして贈与税の計算を行います。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
たとえば、1,000万円の贈与を受けた場合の一般税率による納税額は、以下の計算式で算出することができます。
例:1,000万円の贈与を受けた場合の一般税率
-
贈与財産1,000万円 - 基礎控除110万円 = 課税対象890万円
- 課税対象890万円 × 税率30%-控除額65万円 = 202万円
上述の特例税率での計算例を見るとわかりますが、同じ1,000万円の贈与を受けた場合であっても特例税率と一般税率のどちらに当てはまるかによって贈与税の金額は大きく変動します。
今回の計算例では、1,000万円の贈与を受けた場合に特例税率が適用されると177万円、一般税率が適用されると202万円の贈与税が発生することとなり、その差額は25万円となっています。
特例税率と一般税率とでは控除額に大きな差が見られるので、贈与を行う場合や受ける場合には税率の区分についても確認しておきましょう。
贈与税実質負担率
ここでは、贈与によって取得した価額に対しての贈与税の実質負担率をご紹介していきます。
基礎控除110万円を差し引く前の金額である点に注意して、実質負担率をご確認ください。
取得額 (基礎控除前) |
特例税率 (直系尊属から20歳以上の子や孫への贈与) |
一般税率 (特例税率に当たらない贈与) |
||
---|---|---|---|---|
100万円 | 0万円 | 0.0% | 0万円 | 0.0% |
200万円 | 9万円 | 4.5% | 9万円 | 4.5% |
300万円 | 19万円 | 6.3% | 19万円 | 6.3% |
400万円 | 33.5万円 | 8.4% | 33.5万円 | 8.4% |
500万円 | 48.5万円 | 9.7% | 53万円 | 10.6% |
600万円 | 68万円 | 11.3% | 82万円 | 13.7% |
700万円 | 88万円 | 12.6% | 112万円 | 16.0% |
800万円 | 117万円 | 14.6% | 151万円 | 18.9% |
900万円 | 147万円 | 16.3% | 191万円 | 21.2% |
1,000万円 | 177万円 | 17.7% | 231万円 | 23.1% |
2,000万円 | 585.5万円 | 29.3% | 695万円 | 34.8% |
3,000万円 | 1,035.5万円 | 34.5% | 1,195万円 | 39.8% |
4,000万円 | 1,530万円 | 38.3% | 1,739.5万円 | 43.5% |
5,000万円 | 2,049.5万円 | 41.0% | 2,289.5万円 | 45.8% |
1億円 | 4,799.5万円 | 48.0% | 5,039.5万円 | 50.4% |
贈与税の計算方法
贈与税の計算を行う場合、基本的には以下の計算式に従って贈与税を算出します。
贈与税の計算方法
-
贈与財産の価額から基礎控除額(110万円)を差し引き、課税価格を出す
- [ 贈与を受けた財産の合計 ] - [ 基礎控除額 110万円 ] = [ 贈与税の課税価格 ]
- 税率一覧表に基づき、贈与税の計算を行う
すでにご紹介した「贈与税の税負担を軽減する方法」を活用する場合、基礎控除額110万円の後に各種特例の特別控除額を差し引いて課税価格を出すことになります。
ただし、特例の内容によっては基礎控除額が適用されない可能性も考えられるので、贈与税の負担を緩和する方法を活用する場合にはその要件をしっかりと調べた上でご利用ください。
贈与税の場合の計算例
上記の計算式に則って、具体的な贈与税の計算例をご紹介します。
同じ金額の贈与を受けた場合の「特例税率・一般税率」の両方で贈与税を計算しているので、ぜひ参考にしてみてください。
贈与による取得額 | 特例税率 | 一般税率 |
---|---|---|
300万円の場合 |
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500万円の場合 |
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1,000万円の場合 |
|
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3,000万円の場合 |
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まとめ
贈与税は、個人が個人から財産を受け取ったときに課税される税金のことです。
贈与税の計算は、贈与で取得した価額から基礎控除額110万円を差し引いた「課税価格」に対して、特例税率・一般税率によって定められた所定の税率を乗じて納税額を算出します。
財産を受け取った場合に最も重い税率が課される贈与税ですが、贈与税による税負担を緩和するための様々な特例が設けられています。
贈与税の税負担を軽減する方法
贈与を行う・贈与を受ける場合のどちらにおいても、上記のような特例を知るか知らないかで税負担を大きく緩和することができます。
贈与が行われる可能性がある人は、ぜひこの記事を参考にして贈与税対策の方法をお試しください。