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更新 更新:2022.08.01

賃貸住宅で火災保険は事実上必須!自分で加入すべき理由と補償範囲を解説

賃貸住宅で火災保険は事実上必須!自分で加入すべき理由と補償範囲を解説
監修者

前田 祐治

関西学院大学教授
所有資格
ARM(米国リスクマネジメント士資格)、CPCU(米国保険士資格)、PhD(博士)、MBA(経営学修士)
専門分野・得意分野
生命保険全般、リスクマネジメント、ファイナンス、経営学
執筆者

中村 翔也

ファイナンシャルプランナー
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般

現在、賃貸住宅にお住まいの人は、賃貸契約を結ぶ際に不動産会社から事務的に火災保険の案内をされ、「こちらに加入して下さい。」と言った形で、半ば強制的に保険の加入をさせられたという人は多いのではないでしょうか?

実際に、賃貸契約の条件に火災保険も含まれており、さらに保険会社も指定されているといったことも多いのが事実です。

確かに、保険会社が指定されているというのは、自ら保険会社を探す手間を省けるという点は良いかもしれませんが、賃貸契約時の火災保険はご自身で民間の損害保険会社に連絡をして、加入をした方が割安で補償の手厚い保険に加入することができるでしょう。

この記事では、ご自身で納得して賃貸住宅の火災保険を加入できるために、「加入すべき理由」と「補償範囲」を解説していきます。

賃貸住宅の入居時は、火災保険の加入が事実上必須

大家さんの立場から考えると、借主が何か事故を起こして、お部屋のリフォーム費用が必要になった場合に、その費用を回収できるかどうかはとても大事なポイントです。

ゆえに、借主に請求をしても借主のお金がなく、支払うことができないと困るので、借家人賠償責任特約を義務付けています。

火災保険と呼ばれる場合が多いが、風災や水災、盗難や外部からの衝突など

火災保険は火災のためだけの保険ではありません。

各種自然災害や盗難外部からの衝突漏水不測かつ突発的な事故まで広範囲に補償される商品です。

「住まい」に関するリスクを総合的に補償

火災保険は住まいに関する様々なリスクを補償することができます。

例えば、自宅で火災を発生させてしまい、大家さんに現状復帰のリフォーム費用の請求を受けた場合やお風呂の水を出しっぱなしにして、下の階に漏水をさせてしまった場合など、様々なリスクに備えることができます。

前田 祐治
ナビナビ保険監修
関西学院大学教授
前田 祐治

火災保険は家計部門では「火災総合保険」と言われており、地震以外のオールリスクを補償するものです。物保険ですので、人への補償ではありません。賃貸物件を借りている人であれば、建物や設備の火災保険は大家さんが入っているかと思いますので、ご自身の家財を対象とする火災保険に入れば良いでしょう。家財といっても、貴金属や貨幣(限度額があります)も対象になります。高価な貴金属を火災保険の対象にしてもらうには、保険契約時に明記すれば対象になります。

火災保険は大きく分けて、3つの保険で構成されている

火災保険は、大きく分けて以下の3つの保険で構成されています。

おすすめ・メリットのポイント

一つ一つ詳しい内容を確認していきましょう。

家財保険

保険の対象が家財の火災保険のことです。
家財とは、簡単に説明すると、「入居した時に持ってきた物」全てを対象にしています。

家財は机、TV、冷蔵庫などの大型な物だけではなく、洋服、時計、鞄なども含んでいますので、思っている以上に金額が大きくなることがあります。

例えば、家財が火災で焼失してしまった場合には、通常、全て新品を買い直す必要が生じますので、家財の保険金額は時価ではなく、新価(新しく買い直すためのお金)で契約するのが一般的です。

借家人賠償責任保険

大家さんへの賠償責任を補償する保険です。

例えば、家の中で火災を起こしてしまい、大家さんからリフォーム費用を請求された際に補償をしてもらうことができます。

この借家人賠償が賃貸契約において、火災保険が必要な一番の理由になっています。

借主の過失によって高額なリフォーム費用が発生しても大家さんが借主から確実に回収できるように、借家人賠償を付帯された火災保険を賃貸契約の条件にしているのです。

個人賠償責任保険

日常に起因する賠償責任を補償する保険です。

マンションなどで一番多い事故例は、漏水事故です。
下の階の室内まで漏水させてしまったというケースです。

例えば、お風呂の排水口を詰まらせてしまった場合や洗濯機のホースが外れて水が出しっぱなしになり、部屋中が水浸しの状態になり、下の階の室内まで漏水した場合など事故の例は様々です。

また、個人賠償責任保険の適用範囲は、自宅での事故だけではありません。
日常生活に起因する事故全ても対象になるので、例えば自転車に乗っていて、他人を怪我させた場合やスポーツ中に他人を怪我させたなど補償範囲が広いのが特徴です。

こちらは、火災保険以外にも、自動車保険や傷害保険にも特約として付帯ができるので、重複して入らないように注意しましょう。

家財保険・借家人、個人賠償責任保険の役割と補償範囲

保険の種類 保険の対象 保険の目的 補償内容
家財保険 家財 家財の修理や買い直し費用 自然災害だけでなく、盗難、漏水、個人の過失による事故によって損害が生じた家財の修理費用や買い直し費用を補償
借家人賠償責任保険 大家さんから賃貸しているマンションや戸建ての室内 大家さんに対する賠償責任の費用 火災や偶然な事故により部屋に損害を与えた場合の、大家さんに対する賠償責任にかかる費用を補償
個人賠償責任保険 自宅以外の他人または他人の所有物 大家さん以外の他人や他人の物に対する賠償責任の費用 被保険者(保険の対象となる人)の所有、専有するもの以外に対する他人や他人の物に対する賠償責任にかかる費用を補償

類焼損害保険など、特殊な補償は特約で加入する

類焼損害は自分が火元になって、隣家に類焼させてしまった場合のリフォーム費用や類焼しなくても、消火活動に伴う損害に基づくリフォーム費用も補償されます。

ただし、煙損害や臭気不着といった被害は、対象外になりますので、注意しましょう。

実際に、火災が起きると煙が充満し、煙は上に上がるため、上階の人に煙による匂いの損害を与えてしまうケースがあります。

ただし、目に見えない損害であり、損害額の算定も出来ないことから、対象外になっています。

賃貸住宅で火災保険が必須な理由

賃貸住宅では賃貸借契約書を結び、大家さんに対してさまざまな責任が生じます。

その一つに建物に被害を与えてしまった場合の修繕義務です。

例えば、借主が火災を発生させてしまい、原状復帰のリフォーム費用が発生した場合、保険に入っていなければ、全額自己負担でリフォーム費用を払わないといけないことになります。

高額な自己負担を強いられるリスクを避けるために、保険があるのです。

貸主(大家)に対して原状回復義務を負うため

大家さんに対して、借主は経年劣化を除き、原状回復義務を負っています。
借主は入居中に様々なリスクがあり、時に大家さんの建物に対して、被害を与えてしまう可能性があります。

保険に加入していれば、自己資金ではなく、保険から払ってもらうことができるので、安心して住むことができます。

隣室・隣家からの火災被害で、損害賠償請求ができないため

火災は、隣家や隣室からの類焼によって被害を受けても、火元に対して、賠償請求が出来ません
その理由について、説明を致します。

失火責任法

日本には古来からある法律で、失火責任法があります。

これは、日本はもともと長屋が多かったことから、火災が起きると、多くの建物が類焼します。火元に賠償責任があるということにしてしまうと、火元に過大な請求が生じてしまうことになります。

火元に過大な賠償請求がいかないために、故意や重過失を除いて、火元に賠償責任かないという法律を失火責任法と言います

重過失の例

重過失とは、一般人に要求される注意義務を著しく欠くことをいいます。
事例としては、寝たばこにより火災を発生させてしまったものなどがあります。

判例では、「通常人に要求される程度の相当な注意をしないまでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然とこれを見過ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」と判示しています。
(最高裁/昭和32年7月9日判決)

下の階にお住まいの人に漏水をして被害を与えてしまった時のため

こちらは、個人賠償責任特約の補償範囲になります。

事例としては、「お風呂の水を出しっぱなしの間に、寝てしまって部屋中が浸水してしまい、下の階にお住まいの人の部屋に漏水してしまった」場合など入居者の過失による漏水事故が対象になります。

補償される項目としては、下の階にお住まいの人の部屋の現状復帰のためのリフォーム代や家財への損害があれば、クリーニング費用があります。

また、住むことができない状況になった場合には、仮住まい費用も補償します。
更に、仕事場にしている人であれば、休業損害も補償対象になります。

漏水事故が起きると、下の階にお住まいの人に大きな損害を与えてしまうケースが多く、保険に入っておくことで、自己資金ではなく、保険で補償されるので安心して住むことができます。

賃貸住宅で加入すべき火災保険は「家財保険」と「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」

ここまで、説明をしてきましたが、賃貸住宅とはいえ、火災保険に加入することは必要だということがお分かりいただけたのではないでしょうか?

まとめると、3つの補償が必要です。

それぞれ、改めて説明します。

家財保険

自らが所有している家財は少額だから、保険は必要ないと思っている人も多いのではないでしょうか?
今持っている家財が全部なくなっても、買い直すお金は貯蓄で賄えると思っている人も多いでしょう。

確かに、最近はミニマリストの人も増えたため、家財をたくさん置いていない人もいるでしょう。
ただ、家財に対する火災保険も必要な保険です。

なぜなら、自宅内が全焼してしまえば、靴下1枚から全ての生活用品を買い直さないといけないため、思っている以上にお金がかかることがあるためです。

生活復旧のために、家財保険は必要な保険と言えるでしょう。

また、賃貸住宅にお住まいの人は、家財に対する火災保険に加入しない限り、特約である「借家人賠償責任保険」および「個人賠償責任保険」に加入することができません。

それも、家財保険が必要と言われている理由です。

借家人賠償責任保険

借家人賠償責任保険は、賃貸契約する上で条件として、必要になることも多い保険です。
家財保険の特約として加入が可能です。単独では加入できません。

大家さんへの賠償責任を補償する保険なので、事故の頻度は少ないと思いますが、発生すると金額が大きくなることが多いで、保険に加入しておきましょう。

賃貸契約の契約時には、火災保険の加入を求められますが、賃貸契約の更新の際には、特に火災保険の加入確認を求められないケースもあります。

そのため、火災保険の契約の更新を失念してしまい、失効している人もいるでしょう。
必ず、保険証券を見て、ご自身の火災保険の加入状況を確認しましょう
漏れていたら早急に火災保険に加入しましょう。

賃貸での火災保険加入時に知っておきたいポイント

賃貸契約において、不動産屋から案内される火災保険は少額短期保険というジャンルで、一般的な損害保険とは異なる場合が多いです。

少額短期保険は割と簡単に販売登録のできる保険で、売り手側に使い勝手が良いのが特徴です。販売手数料も通常の損害保険の火災保険よりも高いため、多くの不動産会社で採用されていますが、補償内容は、一般的な損害保険よりも手薄なケースが多いです。

火災保険に加入するのであれば、損害保険会社から加入しましょう

前田 祐治
ナビナビ保険監修
関西学院大学教授
前田 祐治

「少額短期保険会社」とは、2006年の保険業法改正から始まった小規模保険会社のことで、「保険期間が短期であり、補償金額が少額かつ、ある補償に特化した」保険を提供する会社です。設立時の必要資本金などが通常の保険会社より小さいので、比較的容易に設立できる保険会社です。たとえば、「ペット保険」や「イベント保険」など特徴がある補償を提供しています。

引越しの際、重複加入しないよう注意

引越しの際、転居先で新たに火災保険に契約し、引越し前の住居の火災保険の解約を忘れてしまう人は多いのではないでしょうか?

火災保険には契約期間があり、一般的には賃貸契約に合わせて2年契約が多く、2年間の保険料を一括して支払っております。

そのため、賃貸契約の満期で引越しをする人以外には、火災保険の未経過期間があるため、未経過期間に対する保険料の返戻を受けることができます。
必ず保険証券に記載の保険会社に連絡をして、解約の手続きを行いましょう

また、引越しの際には本来であれば、転居先で火災保険を契約する必要はありません
理由は、転居前の火災保険の契約を転居先に移動することができるからです。

ただ、その場合にも手続きは必要なので、保険会社に連絡をして、契約住所および保険の対象所在地の変更の手続きをしておきましょう。

地震が原因の火災は火災保険では補償されない

火災保険は地震が原因の事故は全て対象外です。
借家人賠償特約および個人賠償責任特約も同じく対象外です。

2つの賠償責任保険について、地震が原因の事故が対象外となるのは、地震は不可抗力として判断されるため、賠償責任がそもそも生じないからです。

火災保険に加入した人は、地震保険にも加入できます。損害保険料算出機構の調査によると、2020年度に新規契約された火災保険の68.3%に地震保険が付帯されています。※出典:損害保険料算出機構「グラフで見る!地震保険統計速報
地震が原因の火災が心配な人は、地震保険に加入すると良いでしょう。

前田 祐治
ナビナビ保険監修
関西学院大学教授
前田 祐治

以前の火災保険は、保険会社どこでも同じ補償内容を提供していました。
しかし、1996年に「保険の自由化」があり、それ以来、損害保険会社がそれぞれ違った補償内容で、火災保険を提供するようになりました。補償内容で保険料も違いますので、十分に説明を受けたうえで、保険契約をしましょう。損害保険は、基本的には毎年更新がありますので、生命保険のように10年間保険料が同じというわけではありません。最近の日本では災害が多く、火災保険の保険料も上昇してきていますので、保険料の推移には要注意です。

まとめ

ここまで、賃貸物件の火災保険の必要性や補償内容について解説をしてきました。賃貸物件の火災保険のことは、住宅購入時の火災保険の時よりも更に、多くの人が考えずに不動産屋に言われた通りに契約しているのが実態でしょう。

賃貸物件の場合には、購入とは異なり、「大家さんへの賠償責任」という大きなリスクがあります。大家さんに対して、賠償責任が生じる事例は意外と身近にあります。

簡単な例でいうと、お風呂の物干し竿を落下させてしまい、浴槽に傷をつけて、更に物干し竿を破損させてしまった場合についても、借家人賠償責任保険があれば、保険で補償してもらうことができます。

自己資金0円で修理ができるのです。恐らく、多くの人が知らないことでしょう。知らなければ、退去時にそのまま費用請求をされて、敷金の中から支払うケースや、ご自身で費用負担をしている人も多いでしょう。

火災保険は賃貸住宅も所有住宅も同様に大事な保険であることには変わりありません。今一度、ご自身の火災保険について、確認してみてはいかがでしょうか。

保険料の削減に繋がったり、補償が手厚くなったりするケースも多いです。相談される際には、必ず損害保険会社に直接電話をするか、保険代理店に相談しましょう。

相談のポイントは、事故時の対応をしてもらえる保険代理店であるかどうかがとても大事です。火災保険の請求をご自身で全て行うには、どうしても手間がかかります。

代理店がフォローしてもらえると、スムーズに請求が可能になります。安心して火災保険を利用することができるでしょう。請求漏れも減らすことができます。

前田 祐治

前田 祐治

インディアナ大学ビジネススクールにてMBA(ファイナンス)取得。その後、マーシュ株式会社、東京海上日動保険会社、滋賀大学国際センター特任准教授を経て、現在の関西学院大学 経営戦略研究科 教授に至る。
所有資格
ARM(米国リスクマネジメント士資格)、CPCU(米国保険士資格)、PhD(博士)、MBA(経営学修士)
専門分野・得意分野
生命保険全般、リスクマネジメント、ファイナンス、経営学
中村 翔也

中村 翔也

携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
専門分野・得意分野
保険全般・金融全般・通信全般
ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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