エンディングノートとは
エンディングノートとは、終活をする中でこれまでの人生を振り返り、自分の考えや家族への想いをまとめて残しておくことを目的に作成する備忘録を指します。
別名“終活ノート”ともよばれており、自分の死後、遺された家族が様々な手続きをする際に必要な情報を残すために使われることが多いようです。
経済産業省が2012年に発表した報告書によると、幅広い年齢層の人たちがエンディングノートの作成に関心を示していることがうかがえます。
参照:安心と信頼のある「ライフエンディング・ステージ」の創出に向けた普及啓発に関する研究会報告書|経済産業省
上記のデータを見ると、年齢が若い30代でも約3割、70歳以上になると2人に1人がエンディングノートを作成する意向を持っていることがわかります。
エンディングノートは書き方や記載内容は自由に決めることができ、財産分与などに関する法的拘束力があるわけではありません。
これまでの人生を振り返る目的で使われることもあるので、年齢が若いうちから日々の備忘録としてエンディングノートを作成しておくのも良いでしょう。
記載内容を自由に決められる反面、何を書いていいかわからない人も多いかと思うので、この記事でエンディングノートにまとめておくべき必要項目をご紹介していきます。
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エンディングノートと遺言書の違い
終活をする中で「遺言書」の作成を検討している人も多いことでしょう。
ここで、エンディングノートと遺言書の違いについて簡単にまとめてご紹介します。
エンディングノート | 遺言書 | |
---|---|---|
法的効力 | なし | あり |
形式・様式 | なし | あり ※規定の要件を満たさないと無効になる |
費用 | 数百円〜 | 自筆証書遺言:数百円〜 公正証書遺言:数万円〜 |
記載内容 | 自由 | 主に財産分与 |
エンディングノートは、記載内容や形式などは一切決められておらず、自分の好きなように作成することができます。
自分でノートを用意したり市販のエンディングノートを使用したり、ワードやエクセル、スマホのメモ帳などデジタルツールで作成されることもあります。
自分の保有する財産や不動産について記載することも可能ですが、法的効力は一切ないため、遺言書のような使い方をすることはできません。
一方、遺言書は自分の死後における財産分与について記載されるのが一般的で、民法で定められている規定の要件に従って作成する必要があります。
財産分与に関する法的効力を持つ一方で、規定の要件を満たしていないとその遺言書は無効となってしまうことから気軽に作成できるものではありません。
エンディングノートと遺言書では作成する際の目的が異なるので、それぞれの違いを理解した上で作成するようにしましょう。
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エンディングノートの書き方に決まりはない
エンディングノートには決まった形式やルールが一切ないので、自分の好きなように作成することができます。
日々の出来事を日記のように書き記したり、写真を使ってアルバムのように作成したり、パソコンやスマホを使ってまとめるなど、エンディングノートの作成方法は自由に決められます。
一般的には「遺された家族へのメッセージ」や「自分の死後における様々な手続きを行う際に必要な情報」を記入しておくことが多いようです。
市販のエンディングノートを使うのも有効的
エンディングノートを作成する際、書く内容に困ったときは市販のエンディングノートを使うのも有効的です。
書く内容があらかじめ決まっているので、それに従って記入していけば誰でも簡単に迷うことなくエンディングノートを作成することができます。
おすすめの市販のエンディングノートは以下のとおりです。
市販のエンディングノートでおすすめの商品
- コクヨ『もしもの時に役立つノート』:エンディングノートに必要な項目がわかりやすくまとめられている
- 一般社団法人終活カウンセラー協会『終活ノート「マイ・ウェイ」』:講演活動を通して参加者からのリアルな声を反映して作成されたことで評判が高い
昨今ではエンディングノートの需要が高まっていることから、文房具店や書店などで専門コーナーが用意されていることもあるので、使いやすい様式のものをお選びください。
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エンディングノートに記載したい内容
エンディングノートは自由に書く内容を決めることができますが、中には「何を書けばいいかわからない」という人も多いことでしょう。
そこでこの章では、エンディングノートに記載したい内容の一例を挙げてご紹介していきます。
エンディングノートに記載したい内容の一例
上記の内容はあくまで一例なので、必ずしもすべての項目が必要なわけではありません。
自分にとって必要な項目をピックアップしてエンディングノートを作成してみてください。
基本情報
まずは自分自身の基本情報を書いてまとめておきましょう。
基本情報としてまとめておきたい項目は以下のとおりです。
基本情報としてまとめておきたい項目
- 氏名
- 生年月日
- 現住所
- 本籍地
- 血液型
- 家族構成
これらの情報は、自分の死後、住民票の抹消届を提出する際や年金受給停止手続きなどを行う際に必要となるので、正確な情報を記載するようにしてください。
これまでの自分の人生を振り返る目的で作成する場合は、今までの自分の趣味や特技、好きな食べ物、愛読書、普段からよく利用するお店などの情報をまとめておくのも良いでしょう。
遺言書の有無
遺言書の有無についても記載しておくと、自分の死後に行われる財産分与の際に混乱を避けられるかもしれません。
遺言書の有無について記載すべき項目
- 遺言書の有無
- 遺言書の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)
- 遺言書の保管場所
遺言書を作成している場合は、保管場所についてもまとめておくと探す手間が省けて手続きを行うまでの時間の節約になります。
なお、エンディングノートには法的効力がないので、財産分与の割合や相続人を指定したい場合は遺言書を作成しておくようにしましょう。
預貯金
預貯金については、預け入れている金融機関や支店名、口座番号等をまとめておきます。
預貯金について記載すべき項目
- 金融機関名(金融機関コード)
- 支店名(支店番号)
- 預貯金の種類(普通預金など)
- 口座番号
- 口座名義
- 口座の種類
- 連絡先
- 通帳または印鑑の保管場所
なお、これらの情報を記載する場合はエンディングノートの紛失に注意してください。
万が一、預貯金に関する情報を正確に記載したエンディングノートを紛失してしまうと不正引き出しの被害に遭う恐れがあります。
暗証番号などの重要情報については記載せず、預貯金の存在を家族に伝えられる範囲にとどめて記載するようにしましょう。
不動産
不動産を保有する場合は、その不動産に関する必要情報をまとめておきます。
不動産について記載すべき項目
- 不動産の種類(土地、戸建て、アパート、マンション、田畑、山林など)
- 不動産の用途(自宅、別荘、事務所、投資など)
- 不動産の住所(登記上の住所、異なる場合は実際の住所)
- 不動産の名義
- 想定時価
- 利用者の連絡先(利用者や管理者が別にいる場合)
不動産の相続に関する遺言がある場合は、エンディングノートでは法的効力がないので遺言書を作成するようにしてください。
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株式・投資信託など
株式や投資信託などの金融商品を保有している場合は、以下の情報をまとめておくのが良いでしょう。
株式・投資信託などについて記載すべき項目
- 金融商品の種類(株式、投資信託など)
- 金融機関(証券会社)
- 数量
- 確定申告の有無
不動産と同様、遺言がある場合はエンディングノートとは別に遺言書を作成するようにしてください。
その他の資産
以下に該当するものは「その他の資産」としてまとめておきましょう。
その他の資産に該当するもの
- 自動車、バイク
- ゴルフ会員権
- リゾート会員権
- 骨董品・絵画等の資産価値があるもの
- 金・宝石・高級ブランド品など
絵画や骨董品などの場合は、ざっくりとした資産価値(購入額や評価額)もまとめておくことをおすすめします。
思い出が詰まった品ではあるものの、経済的に見て資産価値がないものについては、形見分けとしてリストを作っておくと良いかもしれません。
人に貸しているお金
人に貸しているお金がある場合は、貸している相手の氏名・連絡先・貸している金額などについてもまとめておきましょう。
ただし、自分の死後、遺された家族が返済を求めても相手が応じないといったケースも考えられるので、基本的には自分が生存している間に返済してもらうようにしてください。
生命保険
生命保険に加入している場合は、以下の情報をまとめておきましょう。
生命保険について記載すべき項目
- 保険の種類(保険名称)
- 保険会社
- 連絡先
- 担当者名
- 証券番号
- 契約者名
- 保険金の受取人
- 保険証券などの保管場所
なお、生命保険の死亡保険金や満期返戻金などは受取人が誰であるかによって「相続税」と「贈与税」のどちらが課税されるかが変わります(自身が受け取る場合は所得税・住民税)。
保険の契約者・被保険者・受取人をすべて違う人にすることで相続税ではなく贈与税が発生するようになり、贈与税は毎年110万円までの控除が利用できるので税負担の軽減効果が期待できます。
遺された家族が納めることになる税負担を減らせるかもしれないので、あわせて生命保険の見直しをするのもおすすめです。
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PC・携帯電話
パソコンや携帯電話がある場合、暗証番号またはパスワードをまとめておきます。
特に、故人の携帯電話を解約するためには携帯電話本体が必要になるケースが多いので、保管場所についても書くようにしてください。
また、SNSや各種Webサイトで登録しているメールアドレスとパスワードについても忘れずに書いておきましょう。
ローン・サブスクリプション
住宅や車のローン支払い、毎月の利用料支払いが発生するサブスクリプションサービスがある場合はそれらについてもまとめておくようにしてください。
特に、住宅ローンや車の購入ローンは遺族が継続して支払わなければならないケースが多く、後々トラブルになる可能性があります。
サブスクリプションは解約手続きをしない限り永久に利用料金が請求されることになってしまうので、不要なサービスがある場合は事前に解約しておくか、エンディングノートに解約手順を記しておきましょう。
葬儀・納骨・埋葬の希望
自分の死後、葬儀に参列してほしい人や喪主を任せたい人、納骨・埋葬場所の希望がある場合はそれらについてもまとめておくようにしてください。
葬儀・納骨・埋葬の希望がある場合
- 葬儀の規模感(一般葬、家族葬など)
- 遺影の有無、保管場所
- 墓石の購入有無
- 希望の納骨先(寺院名、霊園名、所在地、連絡先など)
親戚・知人・友人・勤務先の連絡先
訃報の連絡をする際に役立つので、親戚や知人・友人、勤務先の連絡先についてもまとめておきましょう。
昨今ではLINEやTwitter、FacebookなどのSNSで連絡を取り合う人も増えてきているので、連絡手段についても書いておくと親切です。
また、親戚との間柄をあらわす親族表をまとめておくと、相続問題が発生した際の相続人と相続順位を把握する際に便利です。
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ペットについて
ペットを飼っている場合、自分の死後におけるペットの扱いについてもまとめておきましょう。
また、ペットの名前や年齢、生年月日、好きなもの、普段から利用する動物病院などの情報についても残しておくのがおすすめです。
ペットについて記載すべき項目
- ペットの名前
- 年齢
- 生年月日
- 好きな食べ物、おもちゃ
- 普段から利用する動物病院
- 保険加入の有無
- 手術の有無
家族へのメッセージ
エンディングノートは書く内容を自由に決められるのが最大の特徴です。
普段はなかなか言葉にできない感謝の気持ちや、家族に伝えたいメッセージを書いておきましょう。
言葉とともに写真を貼っておくのもおすすめの方法なので、ぜひ覚えておいてください。
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エンディングノートに関するよくある質問 Q&A
エンディングノートで聞かれることが多い「よくある質問」にお答えします。
エンディングノートに関するよくある質問 Q&A
Q.エンディングノートはいつから書くべき?
A.エンディングノートはいつから書き始めても問題ありません。
作成する時期に悩んでいる人は、以下のようなタイミングでエンディングノートを作成してみてください。
エンディングノートを作成するおすすめのタイミング
- 30歳、40歳、50歳などの節目となる誕生日を迎えたとき
- 結婚をしたとき
- 子供が生まれたとき
- 仕事を定年退職するとき
なお、人の死は突然やってくることもありますから、エンディングノートに関心がある今から書き始めることをおすすめします。
Q.エンディングノートを作成するメリットとは?
A.エンディングノートを作成するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
エンディングノートを作成するメリット
- 自分が死亡したあとの諸々の手続きを簡略化できる
- 遺された家族に対して自分の気持ちを伝えられる
- 自分のこれまでの人生を振り返る転機となる
エンディングノートは、自分の死後、遺された家族が様々な手続きをする際に必要な情報を残すために使われることが一般的です。
人が亡くなると諸々の手続きを行うために様々な情報が必要となり、その情報を集めるだけで途方も無い時間がかかってしまいます。
ですが、あらかじめ必要な情報をエンディングノートにまとめておけば、遺された家族はその情報をもとにすれば済むので諸々の手続きを簡略化できます。
また、普段はなかなか言葉にできないような自分の素直な気持ちを家族に伝える手段としても有効です。
自分のこれまでの人生を振り返ることで、今後の人生設計を見直す良い機会にもなり得るので、終活を目的とする以外にも様々なメリットがあります。
Q.エンディングノートの安全な保管場所は?
A.エンディングノートには個人情報や自身の全財産に関わる重要な内容が記載されることが多いため、保管場所に気をつけなければなりません。
ですが、見つけやすい場所に保管するのは盗難や紛失のリスクが高く、かといって見つかりづらい場所(貸し金庫など)ではいざというときに見つけられず、エンディングノートとしての役割を果たせない可能性があります。
基本的に配偶者や家族にはエンディングノートの存在を伝えておき、家族だけが知っている共有スペース(自宅内の金庫、家族で共有の貸し金庫など)に保管しておくのが良いでしょう。
また、エンディングノートを複数に分けて作成し、家族一人一人に別々の保管場所を伝えておくことで盗難や紛失のリスクを下げることができます。
とはいえ、人によって住んでいる家の構造や家族構成が異なることから「保管場所はここがおすすめ」と一概には言うことができません。
家族と事前に相談をした上で、盗難や紛失のリスクが低いながらも家族には見つけやすい場所を作って保管しましょう。
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まとめ
エンディングノートとは、終活をする中でこれまでの人生を振り返り、自分の考えや家族への想いをまとめて残しておくことを目的に作成する備忘録のことです。
昨今では30代の若い人からも関心が高まっており、70歳以上になると2人に1人がエンディングノートを作成する意向を持っていることがわかっています。
記載方法や形式は定められていないので、この記事でご紹介した項目の中から必要なものをピックアップして、自分好みのエンディングノートを作ってみてください。
なお、エンディングノートには法的効力がないので、財産分与に関する内容は別途「遺言書」を作成して保管するようにしましょう。
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