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更新 更新:2021.01.04

義務化が広がる自転車保険とは? 加入の必要性や選び方、補償内容をわかりやすく解説

義務化が広がる自転車保険とは? 加入の必要性や選び方、補償内容をわかりやすく解説

自転車保険とは

自転車保険とは、自転車を運転中に起きる事故に備えるための保険です。

自転車は運転するために免許が必要ないことから気軽に利用できる身近な乗り物ですが、日本の法律上では自動車と同じく「車両」として扱われます。

自転車保険の必要性

以下の都道府県や自治体では自転車保険への加入が義務付けられています。

自転車保険の加入が義務付けられている主な自治体
項目 自治体
努力義務 北海道、茨城県、群馬県、千葉県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、香川県、高知県、福岡県、熊本県
加入義務 仙台市、埼玉県、神奈川県、長野県、静岡県、名古屋市、金沢市、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、鹿児島県
2020年4月1日より義務化 東京都、奈良県、愛媛県

実際に加入義務がされていない地域の人を対象に、ナビナビ保険独自でアンケート調査を行ったところ、約7割強の人が自転車保険に未加入であることがわかりました。

また、自転車保険に加入しない理由の上位が「月々の保険料が高い・勿体ないから」「必要性を感じないため」といった理由でした。

自転車保険に対する独自アンケート調査結果
自転車保険への加入が義務化されていない地域の自転車保険への加入率 自転車保険未加入者の加入しない理由
自転車保険に加入しているかアンケート調査の結果 自転車保険に加入していない理由についてのアンケート調査結果

このアンケート結果からも見て取れる通り、自転車保険に未加入でも罰則がある訳ではないため、月々の保険料が勿体ない理由から加入しない人は多いでしょう。

しかし、どれだけ注意していても事故を確実に防げる訳ではなく、自転車を運転する以上は自転車保険の保険料は決して無駄な出費ではありません

万が一、事故を起こしてしまった場合は、自転車の運転手に対して刑事責任や数千万円以上の賠償責任が問われることになります。

過去には子供が起こした自転車事故で1億円近い金額の賠償命令が出された事例もあり、普通に考えれば賠償金の支払いによって生活を送ることが難しくなってしまいます

そのため、自転車に乗る機会がある人は、万が一の事態に備えるために自転車保険への加入を検討すべきと言えます。

自転車保険の補償内容

自転車にまつわる補償の分類

自転車保険の補償内容は、以下の2つに分類されます。

自転車保険の補償内容

自転車保険における「個人賠償責任補償」と「傷害補償」の金額は、それぞれいくら程度に設定すればいいか確認していきましょう。

「個人賠償責任補償」は手厚く準備

個人賠償責任補償とは、自分が自転車を運転し他人を死傷させたり、他人の財物に損害を与えてしまうなど、自分が加害者になってしまった場合に備える補償です。

自転車保険の個人賠償責任補償の金額は、数千万円〜3億円程度であることが一般的です。毎月支払う保険料とのバランスを見て、個人賠償責任補償が少なくとも1億円以上に設定して加入するのがおすすめです。

過去の自転車事故における判決事例は、以下の通りです。

自転車事故における判決事例
判決認容額※ 事故の概要
9,521万円

男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の障害を負い、意識が戻らない状態となった。(神戸地方裁判所 2013年7月4日判決)

9,266万円

男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。(東京地方裁判所 2008年6月5日判決)

6,779万円

男性が夕方、ペットボトルを片手にスピードを落とさずに下り坂を走行し交差点に侵入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。(東京地方裁判所 2003年9月30日判決)

5,438万円

男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に侵入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。(東京地方裁判所 2007年4月11日判決)

4,746万円

男性が昼間、赤信号を無視して交差点を直進し、青信号で横断歩道を歩行中の女性(75歳)に衝突。女性は脳挫傷等で5日後に死亡した。(東京地方裁判所 2014年1月28日判決)

※上記の損害賠償額は、上記裁判における判決文で命じられた支払金額です※上記裁判後の上訴等により、加害者が実際に支払う金額とは異なる可能性があります参照:冊子「知っていますか?自転車の事故〜安全な乗り方と事故への備え〜」|日本損害保険協会

いずれのケースも決して特別な場面に限定された事故ではなく、普通に自転車を運転して事故を起こした場合でも、これだけの高額な損害賠償責任に問われる可能性があります

当然ながら事故を起こさないことが第一ではありますが、もし仮に自転車事故を起こしてしまった場合でも自転車保険に加入していれば、経済的な負担を大きく減らすことができます

「傷害補償」は加入済の保険とのバランスをみる

傷害補償とは、自分が自転車でケガや後遺障害を負ってしまった、もしくは死亡した場合に備える補償となります。

具体的には、加入することで以下の補償受けられます。

自転車保険の傷害補償

  • 入院給付金
  • 入院一時金
  • 通院給付金
  • 死亡補償
  • 後遺障害補償

これらの傷害補償は、他の加入済の保険(特に医療保険)などと重複する部分が多いので、すでに別の保険に加入している人は過剰補償にならないか注意が必要す。

すでに加入している保険と自転車保険を合わせて、入院給付金が日額10,000円程度、死亡保険金は200〜300万円程度の補償額になることを目安にするといいでしょう。

自転車保険と医療保険のバランス

入院1日あたりの自己負担額が平均23,300円(※参考1)であることも踏まえて、入院給付金日額の半分を目安とした10,000円程度の入院給付金日額を、自転車保険と医療保険を合算して準備することをおすすめします。

自転車事故で多い入院ケースの入院費用総額の平均額は、骨折の場合866,760円、脊柱障害の場合612,790円(※参考2、3)です。※参考1:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」より『入院1日あたりの自己負担額』は平均23,300円※参考2:厚生労働省「平成29年度患者調査」より『骨折の平均入院日数』は37.2日、『脊柱障害の平均入院日数』は26.3日※参考3:平均入院日数×入院1日あたりの自己負担額」から入院費用の必要額を算出。平均入院日数、入院1日あたりの自己負担額は以下資料を参考

なお、これらの治療が公的医療保険の対象治療であった場合、高額療養費制度の対象となるため、自己負担額は軽減されます。

「高額療養費制度」とは?
収入に応じた自己負担限度額を差し引いた、同月内(該当月1日〜月末まで)に支払った医療費が返ってくる制度

高額療養費制度が適応されても自転車保険や医療保険との併用は可能なため、高額療養費制度にて自分の自己負担額を算出した上で不足する分を補う形で自転車保険の入院給付金を決める方法もいいでしょう。

高額療養費制度における自己負担限度額については、全国健康保険協会の「医療費が高額になりそうなとき」や、以下の記事にてお確かめください。

自転車保険と死亡保険とのバランス

死亡保障の備えがある生命保険に加入しているのであれば、自転車保険での死亡保険金はそこまで重視する必要はありません。

もし自転車保険でも死亡補償を備えたい場合は、葬祭費用代を目安にするといいでしょう。

一般的な葬祭にかかる費用は200〜300万円のため、これらの金額を既に加入済の死亡保険と自転車保険の死亡保険金で賄える金額設定にすることをおすすめします。

自転車保険の選び方

自転車保険を選ぶ際は、以下の点を比較検討しましょう。

1.補償内容(個人賠償責任補償、傷害補償)

自転車にまつわる補償の分類

先ほど詳しく説明した通り、個人賠償責任補償・傷害補償は、以下のポイントに沿って選ぶようにしましょう。

自転車保険の補償内容の適応範囲とポイント
補償内容 保障適応範囲 義務化の対象 ポイント
個人賠償責任補償
  • 他人の死傷
  • 他人の財物(車・自転車など)
  • 賠償額は1億円を目安にする
  • 自動車保険や火災保険、クレジットカードの付帯保険でカバーできる可能性もある
傷害補償
  • 自分自身の死傷
×
  • 目安となる補償額は、入院給付金が日額10,000円程度、死亡保険金は200〜300万円程度
  • 医療保険や死亡保険でカバーできる可能性もある

通常の自転車保険では、他人と自分自身の死傷、他人の財物破損に関しては補償されていますが、自分自身の自転車の破損や盗難は対象外であることがほとんどです。

ロードバイクのような高額な自転車に乗っている場合など、自分の自転車が破損・盗難されたことに備える「自転車盗難保険」もあります。

自身の自転車破損や盗難に備えたい場合は、破損・盗難補償が付帯されている自転車保険を選ぶ、もしくは、自転車保険とは別途、自転車盗難保険に加入することをおすすめします。

2.補償範囲(個人型・家族型)

自転車保険の補償範囲は、大きく分けて2種類あります。

自転車保険の補償範囲

  • 被保険者だけが補償対象の「個人型」
  • 被保険者とその家族が補償対象の「家族型」

家族型とは、自分の配偶者や子供が自転車事故を起こしてしまった場合でも補償が適用されるタイプの自転車保険です。

家族内で複数人が自転車の乗車機会がある場合は、家族型の自転車保険に加入することをおすすめします。

なぜなら、家族全員がバラバラに個人型の自転車保険に加入するよりも保険料が抑えられることが多いからです。

逆に、自分しか自転車に乗らないのであれば個人型を選ぶといいでしょう。

保険商品によって被保険者以外の補償範囲が異なる場合があるので、家族型の自転車保険に加入する場合は補償範囲と条件をしっかりと確認しておくことをおすすめします。

3.付帯サービス、特約

自転車保険に付帯可能なサービス・特約(オプション)の代表的なものは、以下の3つです。

自転車保険の主な付帯サービスや特約について
付帯サービス・特約 補償内容
自転車ロードサービス 自己や故障によって自転車が走行不能となった場合に希望の場所まで自転車を運搬してくれるサービス
(タイヤのパンクやサドルの盗難時、チェーン切れなど)
示談代行サービス 自転車事故での示談交渉を保険会社が代行してくれるサービス
弁護士費用特約 過失割合0で示談代行サービスが利用できない場合の弁護士費用を補償するサービス

自転車事故では、自転車本体が故障・破損するケースも考えられるので、基本的に「自転車ロードサービス」が付いている自転車保険を選ぶのがおすすめです。

自転車保険に加入する際の注意点

自転車損害賠償保険に関する加入状況のフローチャート

参考:国土交通省「自転車事故の損害賠償に係る現状について

自転車保険の主な補償内容である「個人賠償責任補償」と「傷害補償」は、自転車保険以外でも補償されている場合があります

たとえば、自動車保険や火災保険には「個人賠償責任補償」が付帯されていることが多く、既にこれらの保険に加入している人は補償内容が被る可能性があります。

また、単独で傷害保険や医療保険、死亡保険に加入している場合は「傷害補償」が適用されるので、自転車保険に未加入であっても入院費や手術費が補償されます。

自転車保険を選ぶ際は、まずは自分が既に加入済の保険の補償内容を確認し、不足分を補う形の自転車保険を選びましょう

自転車保険に関するよくある質問 Q&A

自転車保険に関して、特にユーザー様からお問い合わせが多い質問をQ&A形式でまとめました。

Q.自転車保険はどこで加入できますか?

A.インターネットで加入できる他、コンビニエンスストアや、保険会社や自転車購入店で加入することが可能です。

Q.子供であっても自転車保険は義務化の対象ですか?

A.子供であっても自転車保険への加入が義務付けられている自治体では、加入義務化の対象です。

家族の中で自転車を運転するのが子供だけでない場合は、家族型の自転車保険への加入を検討してもいいでしょう。

また、幼稚園・保育園や学校を通してPTA連合会などの各団体で、生徒を対象とした総合保険を用意している場合もあります。

ただし、加入時期が進級したタイミングのみなど決まっている場合もあるため、事前に学校やPTA事務局、総合保険センターに確認することをおすすめします。

Q.自分自身のケガに対する補償は必須ですか?

A.加入の義務化がされているのは、基本的に他人を死傷させたり、他人の財物に損害を与えてしまう場合に備える個人賠償責任補償のみのため、自分自身へのケガの補償は義務化の対象ではありません。

Q.自転車保険の「義務」と「努力義務」の違いは?

A.「義務」は自転車保険への加入が義務であり、「努力義務」は自転車保険への加入を促すもののため加入の強制力はありません。

しかし、段階的に努力義務から義務へと引き上げる自治体や、義務化への流れは強まると言われているため、各自治体のアナウンスを都度確認しましょう。

Q.県外から自転車で乗り入れた場合はどうなりますか?

A.県外からの乗り入れる場合でも自転車保険に加入する必要性がある可能性があります。

県によってもルールが異なりますので、乗り入れ先の件のルールを確認してください。

まとめ

自転車保険は、自転車を運転している時に起きた事故に備えるための保険です。

自転車は、日本の法律上では「車両」扱いとなるので、万が一事故を起こしてしまった場合は刑事責任や賠償責任が問われます。

過去には、子供が起こした自転車事故で1億円近い賠償命令が出された事例があるなど、非常に高額な賠償リスクが伴う乗り物です。

そうした場合の経済的な負担を減らせるので、自転車に乗る機会がある方は自転車保険への加入を検討すべきだと言えます。

自転車保険の主な補償内容である個人賠償責任補償・傷害補償は、以下のポイントに沿って自身に最適な保険商品を選ぶようにしましょう。

自転車保険の補償内容の適応範囲とポイント
補償内容 保障適応範囲 義務化の対象 ポイント
個人賠償責任補償
  • 他人の死傷
  • 他人の財物(車・自転車など)
  • 賠償額は1億円を目安にする
  • 自動車保険や火災保険、クレジットカードの付帯保険でカバーできる可能性もある
傷害補償
  • 自分自身の死傷
×
  • 目安となる補償額は、入院給付金が日額10,000円程度、死亡保険金は200〜300万円程度
  • 医療保険や死亡保険でカバーできる可能性もある

自転車保険を選ぶ際は、自分が現在加入中の別の保険商品の補償内容を確認し、万が一の事故を想定して不足分を補える自転車保険を選ぶのがおすすめです。ぜひ覚えておきましょう。

自転車保険への調査に関しては、以下の記事でも掲載しております。ぜひ参考にしてください。

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中村 翔也
この記事の執筆者

中村 翔也

携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
石田 直樹
この記事の監修者

石田 直樹

ソニー生命、東京海上日動あんしん生命保険、保険代理店等、保険業界を28年間勤務。支社長や管理職を経験、200回以上のセミナーや研修講師の登壇経験あり。その知識を活かし、もっと多くの人に保険の必要性を正しく理解してもらいたい!という思いを胸に、ナビナビ保険の事業立ち上げメンバーとして異業種のIT企業に転職し、現在に至る。
所有資格
AFP資格、TLC(生保協会認定FP)資格
ナビナビ保険編集部
この記事の編集者

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。