同年代の知人や会社の同僚が資産形成を始めたと聞いて、少し焦りを感じている30代・40代の人は多いのではないでしょうか。
結婚や出産などのライフイベントを経て、将来のことや老後に向けた資産形成を意識し始める年代でもありますが、「今からじゃもう遅いよな…」と諦めている人も少なくありません。
ですが、30代は資産形成に取り組み始めるのに適した年代とされており、40代の人も今から資産形成を始めればまだまだ老後に間に合います。
本記事では、30代や40代の人が資産形成に取り組む際に意識しておきたいポイントや、おすすめの資産形成についての情報をご紹介します。
資産形成の必要性を感じているものの、何から始めて良いかわからないという人に役立つ情報をまとめていますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

- 小宮 崇之
- (株)コミヤ保険サービス代表取締役/損害保険プランナー
30代から資産形成を始めていけば、65歳の基礎年金の開始まで、概ね30年程時間があるので、長期的に資産形成が可能になります。給料が入ったら、一定の金額を先取り貯金をして、そのお金を預金に置くのではなく、保険や投資にお金を移動させることで、少しでもお金を増やすことが出来ます。銀行預金の利息では、ほとんどお金は増えませんので、それ以外の選択肢を積極的に活用していきましょう。


30代から資産形成が勧められる理由
一般的に、30代は資産形成を始めるのに適した年代といわれています。
その理由は、20代の頃よりも収入が増えており、業務内容に対しても慣れてきて、時間を「自分自身」や「家族」のために自由に使えるケースが多いからです。
また、結婚や出産などのライフイベントを経験し、将来のことをより強く意識し始める年代でもあるので、資産形成に取り組み始めるのに適しています。
一方で、金融庁が平成31年4月12日に公開した「人生100年時代における資産形成」を参照すると、30代や40代の収入・貯蓄は減少傾向にあることがわかっています。
これはつまり、収入が減少することによって上手く資産形成を行えていない30代や40代の人が多いことを意味しています。
資産形成は、取り組み始める時期が早ければ早いほど複利効果が期待でき、着実に貯蓄を増やしていくことが可能です。
たとえ40代の人でも、今から資産形成に取り組み始めれば、老後までの10〜20年程度の時間を資産形成に当てられるのでまだまだ間に合います。
貯蓄性のある保険商品に加入すれば、将来を見据えた資産形成を行いながら、万一の事態が起きた場合に家族の生活を補償することもできます。
次に解説する「資産形成を始める際に覚えておくべきポイント」を意識しながら、積極的に取り組んでいきましょう。
30代で資産形成を始める際に覚えておくべきポイント
30代で資産形成を始める際には、次の5つのポイントを覚えておきましょう。
30代で資産形成を始める際に覚えておくべきポイント
それぞれのポイントについて解説していくので、これから本格的に資産形成を始めようと思っている人はかならず目を通すようにしてください。
資産形成は長期運用が前提
資産形成は長期運用が前提であることを念頭に置いておきましょう。
資産形成とは「0から1の状態へ着実に資産を増やすこと」を意味する言葉です。
株式やFX投資といった短期間でリターンが得られるものは振れ幅が大きく、場合によっては元本割れを起こして損失が出てしまうこともあります。
また、日本では20.315%の税金が課せられてしまうので、大きなリスクを取って、利益が出てもその全てを受け取ることはできません。
長期に渡って運用を続けたほうが、リターンの振れ幅を最小限に留めることができるので、着実に安定した収益を得て資産を増やしていくことが可能です。
家計簿などで普段のお金の使い方を把握する
30代が資産形成で着実に資産を増やしていくためには、日々のお金の使い方を把握しておくことが必要不可欠です。
なぜなら、いくら資産が増えてもそれを無闇矢鱈(むやみやたら)と使い込んでしまえば、結果的に資産が目減りする一方となってしまうからです。
普段のお金の使い方を把握する方法としては「家計簿」をイメージする人が多いと思いますが、家計収支を管理できるのであればスマホのメモなどでも構いません。
最近では「家計簿Zaim」や「マネーフォワードME」といった家計簿アプリが登場しているので、過去に挫折してしまった人でも手軽に家計簿をつけられるようになりました。
スマホで写真を撮るだけで、家計簿を付けられるので、使ってみると良いでしょう。
また、家計簿の項目を細かく分けすぎると途中で面倒に感じて長続きしなくなってしまうので、大まかなグループ分けにとどめておき、ざっくりとお金の流れをつかめるようにしましょう。
資産形成の目的や達成時期を明確にしておく
資産形成を失敗させないためには、目的と達成時期を明確にしておくのがおすすめです。
たとえば、現在の年齢が35歳で、資産形成の目的を「定年退職を迎える65歳までに3,000万円の貯蓄をすること」としましょう。
このように目的や達成時期を明確にしておくと、残り30年の間に3,000万円、つまり1年間で100万円を貯蓄する必要があると計算ができます。
1ヶ月あたり約8.3万円を貯金しておかないと目的を達成できないので、日々のお金の使い方や毎月の支払いに対して深く考えられるようになります。
これまでに貯金が上手く続けられなかった人は、目的や達成時期を明確にできていなかったことが原因かもしれません。
将来が不安で資産形成を始めるなら、今回は必ず「目的と達成時期」を明確にしてから取り組み始めましょう。

- 小宮 崇之
- (株)コミヤ保険サービス代表取締役/損害保険プランナー
出来れば、単に銀行預金で貯蓄するのではなく資産運用などを行い複利を使ってお金を増やすことができれば、2,000万円を全て貯金で準備しなくても良いことになります。金融庁のサイトでは、資産運用シュミレーションがあり、そこで「毎月の積立額」「想定利回り」「積立期間」を入力すれば、毎年どのようにお金が貯まっていくのか試算ができます。
生活用資金・教育用資金・貯蓄用資金を分ける
資産形成を始める際は、生活用資金・教育用資金・貯蓄用資金という具合で口座を分けておくようにしましょう。
ひとつの口座しか持たずに資産形成を始めようとすると、ついつい手元のお金を使い込んでしまって、いつまで経っても資産形成を進められません。
最低でも「生活用」と「貯蓄用」の2つは切り分けておかないと、効率良く資産形成を行うのは難しくなってしまうので、事前に準備しておきましょう。
「先取り貯金」を意識する
資産形成を効果的に進めていくためには「先取り貯金」を意識するのがおすすめです。
先取り貯金とは、給料や報酬が支払われたら、一定額をまっさきに貯蓄へ回してしまい、残った分のお金でやりくりして生活する方法をいいます。
今までに貯蓄が上手く続かなかったという人は、先取り貯金を意識して、収入から真っ先に一定額を貯金に回す癖を身につけるように心がけましょう。


30代からでも遅くないおすすめの資産形成の6つの方法
30代からでも遅くないおすすめの資産形成の方法を6つご紹介します。
これらの中でも「つみたてNISA」と「iDeCo」、「積立保険」の3種類は、手間を掛けずに資産形成を進められるので非常におすすめの方法です。
どれから始めればよいかわからないという人は、上記の3つから取り組むようにしてみてください。
それぞれの制度や保険について詳しく解説していきます。
1. つみたてNISA
30代や40代の人に特におすすめの資産形成の方法が「つみたてNISA」です。
つみたてNISAは、その名前の通り「積み立て」に特化した国の制度で、1年間で最大40万円を最長25年間、1,000万円までを非課税で運用できます。
積み立てに特化しているので、基本的には自分で売買のタイミングを決める必要がないので、投資知識が乏しい初心者の人でも着実に資産を増やしていくことが可能です。
また、つみたてNISAで選べる運用商品は、金融庁が厳選したお墨付きの金融商品の中から選ぶことになるので、比較的リスクも抑えられています。
日本国内在住の20歳以上の人であれば誰でも利用可能で、金融機関によっては数百円程度の少額から始められるのも魅力的なポイントです。
ただし、投資可能期間が2042年までと定められているので、つみたてNISAにまだ取り組んでいない人は早めに手続きを行うようにしてください。
2.イデコ
30代や40代の人につみたてNISAと合わせておすすめしたいのが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。
iDeCoは、自分で決めた掛け金を積み立て(拠出)して運用を行い、その運用益や資産などは60歳以降に受け取れるようになる制度です。
大前提として「60歳になるまで引き出せない」というデメリットがありますが、それ以上に大きなメリットがあります。
iDeCoのメリット
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自動的に積み立て(拠出)ができる
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拠出した金額が全額所得控除として申告ができる
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運用で得られた利益に対しては非課税
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60歳以降に受け取る際も大きな所得控除が適用される
- 転職や離職、独立をする場合は「移管」をすればiDeCoの資産を継続可能
iDeCoを活用すれば、将来を見据えた資産形成を進めながら、大きな所得控除によって税負担も軽減できます。
これほど大きな恩恵が得られる制度は他に存在しないので、公的年金だけでは老後の生活が不安に感じている30代や40代の人は、積極的に活用してみてください。
3. ロボアドバイザー
ロボアドバイザーは、投資初心者の人でも取り組みやすいおすすめの資産形成の方法です。
運用会社やプロの専門家の知識をAIに反映させ、機械学習による自動判別で、投資家に対して最適な資産運用を提案してくれます。
あとはその提案内容(ポートフォリオ)を見ながら運用方法を決めれば、あとはAIが自動的に資産運用を代行してくれるサービスです。
自分で売買のタイミングを決める必要がないので、投資知識が身に付いていない初心者の人でも安心して金融投資が始められます。
また、株式などのように数十万円や数百万円の資金を用意する必要がなく、10万円前後の初期費用があれば誰でも簡単に始められることが特徴です。
ただし、機械学習による自動判別とはいえ、確実に利益が得られるようなサービスではないので、時として元本割れが発生するリスクもあります。
ロボアドバイザーを利用する場合は、あなたに代わって資産運用を代行してくれるだけで、あくまでリスクのある金融投資であることを忘れないようにしてください。
4. 財形貯蓄制度
会社に勤めている30代や40代の人におすすめの資産形成が「財形貯蓄制度」です。
財形貯蓄制度は、会社の給与から天引きされる形で、自動的に貯蓄が進められる制度のことをいいます。
給与から直接「先取り貯金」を行うことができるので、自分で貯蓄用口座にお金を移すのが手間に感じられる人や、お金を使い込んでしまいがちな人におすすめです。
大きく分けると「一般財形」「住宅財形」「年金財形」の3種類からひとつを選ぶことになりますが、選んだ財形貯蓄制度によっては税制上の優遇が期待できます。
その一方で、勤め先が本制度を導入していることが必要不可欠なので、会社に勤めているからといって必ずしも利用できる制度ではありません。
まずは勤め先の担当部署に問い合わせをして、財形貯蓄制度の利用が可能かどうかを確認するところから始めてみてください。
5. 個人年金保険
30代や40代の人で老後の生活資金が不安な人におすすめなのが「個人年金保険」です。
個人年金保険は、契約時に定めた期間中は保険料を払い続けることで、老後になってからの一定期間、または生涯に渡って年金形式で給付金が受け取れます。
公的年金だけでは老後が不安な人は、個人年金保険に加入すれば追加で年金が受け取れるようになるので、老後の生活資金についても安心です。
また、個人年金保険料は払った保険料の一定の金額を所得控除として申告ができるので、現在の税負担を緩和する効果も期待できます。
6. 積立保険(学資、養老、終身など)
最後におすすめする資産形成の方法が「積立保険」です。
積立保険とは、いわゆる貯蓄性のある保険商品の総称で、終身保険や養老保険、学資保険、個人年金保険などがこれに該当します。
これらの保険商品は、保険料の払込期間を満了したときの「満期保険金」や、解約時の「解約返戻金」といった形で、それまでに払い込んだ保険料が戻ってくることが特徴です。
つまり、銀行にお金を預けるのと同様で、保険会社に対して保険料という形でお金を預けているのと同じような意味合いとなります。
ただ、保険料の払込期間中に解約すると、元本割れのリスクがある商品もあるので、注意しましょう。
貯蓄型の保険商品では、一般的に払込期間が満了すると、それまでに払い込んだ保険料以上の返戻金が受け取れる場合が多くあります。す。
当然のことながら、これらは死亡保障としての役割を担っているので、自分や家族に万一のことがあっても安心です。
30代や40代になると結婚や出産で家族が増える人が多い傾向にあるので、これを機に貯蓄性のある保険に加入して、家族や自分の安全に備えてみるのはいかがでしょうか。


30代・40代の投資に関してよくある質問 Q&A
30代・40代の投資に関してよくある質問
- Q. 40歳代から投資を始めるのは遅いですか?
- Q. 30〜40代で資産運用をしている人の割合は?
Q. 40歳代から投資を始めるのは遅いですか?
40代から投資を始めるのも遅くありません。
40代は定年を迎えるまでにまだまだ時間がある上に若い世代に比べると資金の余裕があり、投資をする機会に恵まれていると言えます。
Q. 30〜40代で資産運用をしている人の割合は?
アイブリッジ株式会社が行った調査によると、30〜40代で投資を行っている人の割合は36%でした。
まとめ
一般的に、30代は資産形成に取り組み始めるのに適した年代といわれています。
40代の人でも、老後とされる65歳になるまで10〜20年以上の時間があるので、資産形成を始めるのは今からでも決して遅くはありません。
本記事でご紹介した「覚えておくべきポイント」や「おすすめの資産形成の方法」を参考にして、積極的に資産形成へ取り組んでいただければ幸いです。

- 小宮 崇之
- (株)コミヤ保険サービス代表取締役/損害保険プランナー
例えば、自動販売機やコンビニで飲み物を買ったり、お昼ご飯にコンビニでお弁当を買ったりなどの費用があれば、削減できる余地があると言えるでしょう。飲み物は、自宅から水筒を持参し、お昼ご飯は、自宅からお弁当を持参すれば、買う必要がありません。貯蓄というのは、こうした小さなことの積み重ねが大事になります。家計簿をつけて、自分自身のストレスにならない範囲で、支出の見直しを実践していきましょう。