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更新:2020.11.05

成年後見制度とは? 仕組み・メリット・デメリットを分かりやすく説明します

成年後見制度とは? 仕組み・メリット・デメリットを分かりやすく説明します

成年後見制度とは

成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、認知症や知的障害などの精神疾患が原因で自己判断能力が低下した人の財産を保護するために設けられた制度です。

家庭裁判所によって専任された人を「成年後見人」とよび、本人の代わりに財産管理や様々なサービスの利用締結・取り消しといった手続きができるようになります。

成年後見人を選定することで、たとえば認知症の父親が契約してしまった不要なサービスのキャンセルができたり、遺産相続の際に判断能力不十分で押印が無効になることを防いだり、お金にまつわるトラブルを未然に防げることがメリットです。

昨今では平均寿命の延伸化が進んでおり、それに伴い精神疾患等を患う人も多く、成年後見制度の利用者が年々右肩上がりで増加傾向にあります。
成年後見制度の利用者数の推移参照:成年後見制度の現状(令和2年6月)|厚生労働省

ただし、成年後見人という言葉は聞いたことがあるものの、制度については詳しく知らないという人も少なくありません。

そこでこの記事では、成年後見制度の仕組みや利用するメリットとデメリットについて解説していきます。

「法定後見」と「任意後見」

成年後見制度には、大きく分けて2つの種類があります。

成年後見制度の種類

  • 【法定後見】:家庭裁判所によって成年後見人を選任する制度
  • 【任意後見】:本人に十分な判断能力があるうちに、自分で後見人を選任する制度

法定後見は、配偶者や相続人が家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てることで手続きが開始され、成年後見制度で最も利用者が多い方法です。

実際に精神疾患等を発症し判断能力が不十分となった場合、配偶者や相続人が家庭裁判所に申し立てをすることで手続きが行われます。

任意後見は、将来的に認知症などを発症した際に備えて、判断能力があるうちに自分で後見人を選任してする方法です。

成年後見人になれる人

法定後見と任意後見の申立人と対象者の違い

成年後見人には資格などの条件はないため、誰でも成年後見人になることができます

法定後見の場合は家庭裁判所の判断によって決定されますが、決定の際は民法第843条で定められている事情を考慮して選任されます。

第八百四十三条 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。 2 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する。 3 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。 4 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

成年後見人の選任 から引用

また、成年後見制度は「精神疾患等を患った人の財産を保護する」という目的があるため、以下に該当する人は民法第847条によって成年後見人に不適格(欠格者)とされています。

第八百四十七条 次に掲げる者は、後見人となることができない。 一 未成年者 二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人 三 破産者 四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族 五 行方の知れない者

後見人の欠格事由 から引用

任意後見の場合は、上記に加えて「配偶者・直系血族・本人の兄弟姉妹」は後見人に不適格とされています(任意後見法5条)。

親族以外の第三者が成年後見人になるケース

成年後見人は、法定後見・任意後見のどちらにおいても、一般的には親族から選ばれることが圧倒的に多いです。

ただし、家族関係の問題や様々な都合上、親族から成年後見人を選任することが難しいケースもあります。

そうした場合は、親族以外の第三者から成年後見人を選任することとなっています。

なお、第三者が成年後見人に選ばれる基準は明確にされていませんが、東京弁護士会の「成年後見の実務」を読み解くと、一般的には以下のケースに該当する場合に第三者後見人が選任されるようです。

第三者後見人の選任基準

  • 親族間に意見対立がある場合
  • 本人に賃料収入等の事業収入がある場合
  • 本人の財産(資産)が大きい場合
  • 後見人等候補者ないしその親族と事件本人との利害対立がある場合
  • 後見人等候補者が高齢の場合


参照:成年後見の実務|LIBRA2010年12月号|東京弁護士会

なお、平成31年(令和元年度)においては、成年後見人に選任されたうちの約78%が親族以外の第三者後見人となっています。

成年後見人等と本人との関係別件数(親族・親族以外の内訳)
参照:成年後見制度の現状(令和2年6月)|厚生労働省

成年後見人のメリット・デメリット

成年後見人になるメリットとデメリットは以下のとおりです。

成年後見人のメリット

  • 自己判断能力が低下した人の財産管理と身上看護ができる
  • その内容が登記されるので成年後見人等の地位が公的に証明される
  • 本人(被後見人)が詐欺にあっても成年後見人が手続きをすることで契約の取り消しができる
  • 被後見人の財産の中から相当な報酬が成年後見人に与えられる

成年後見人のデメリット

  • ある一定の職種や資格につくことができない資格制限がある(※補助は除く)
  • 手続きに時間と手間がかかる

成年後見人になると、会社の取締役や弁護士や医師等の一定の職種や資格につくことができない資格制限があります

さらに手続きを行う手間や時間がかかるため、この2点がデメリットと言えるでしょう。

ですがその反面、成年後見人になることで自己判断能力が低下した被後見人の財産を保護することができます

たとえば、被後見人が不要な商品を契約して詐欺の被害に遭っても、成年後見人が手続きを行うことでその契約を取り消すことが可能です。

成年後見人が受け取れる報酬

成年後見人として各種手続きを行うことで、家庭裁判所の判断で被後見人の財産の中から一定額を報酬として受け取ることができます

後見人が受け取れる報酬
報酬種別 成年後見人の管理財産額 報酬額
基本報酬 1,000万円以下 月額2万円
1,000万円〜5,000万円 月額3万〜4万円
5,000万円以上 月額5万〜6万円
付加報酬 身上監護等に特別困難な事情があった場合 基本報酬額の50%の範囲内で相当額の報酬が付加される
成年後見人が特別な事務を行った場合 相当額の報酬が付加される

参照:成年後見制度の現状(令和2年6月)|厚生労働省

法定後見人を選ぶ流れ

家庭裁判所によって選任される「法定後見制度」を利用して後見人を選ぶ時の流れは以下のとおりです。

1.家庭裁判所に「後見開始の申立」を行う

法定後見制度を利用する場合は、被後見人が現住所を管轄する家庭裁判所に「後見開始の申立」を行います。

後見開始の申立は、以下に該当する人だけが申立を行うことができます。

後見開始の申立ができる人

  • 被後見人(本人)
  • 配偶者
  • 四親等内の親族(父母、祖父母、子、孫、叔父叔母、従姉妹など)
  • 法定代理人(弁護士など)

申立を行う際には、必要書類を提出する必要があります

また、手続きを行う際にある程度の費用も必要です。

後見開始の申立に必要な書類

後見開始の申立を行うために必要な書類は以下のとおりです。

後見開始の申立を行うために必要な書類
書類 内容
申立書及び診断書 申立書は家庭裁判所、または裁判所ホームページ、家事手続き情報サービスから入手できます。
被後見人 (本人)の戸籍謄本 本籍地の市区町村役場で入手できます。
成年後見人候補者にまつわる書類 成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書、計4種類の書類を各1通ずつ用意する必要があります。
本籍地の市区町村役場で入手できます。

法定後見人の選定にかかる費用

法定後見人の選定にかかる費用は以下のとおりです。

法定後見人の選定にかかる費用

  • 収入印紙:800円
  • 登記手数料:2,600円
  • 郵便切手:800円〜
  • 鑑定料:5万円〜10万円(※不要の場合あり)

鑑定料とは、被後見人の判断能力を専門医に確認してもらう際に発生します

必ず鑑定料が発生する訳ではありませんが、金額が大きいので裁判所で手続きを行う際に確認しておきましょう。

また、郵便切手代は手続きの内容によって金額が変動するので、こちらについても合わせて確認するようにしてください。

2.家庭裁判所による事実関係の調査

家庭裁判所に後見開始の申立を行うと、家庭裁判所による事実関係の調査が行われます。

調査対象は「被後見人(本人)・申立人・成年後見人候補者」の3名で、それぞれが家庭裁判所に招集され、調査官との面談を行います

3.家庭裁判所が選任する専門医による鑑定

その後、必要に応じて家庭裁判所が選任する専門医による鑑定が行われます。

被後見人の判断能力により、後見人候補者は「成年後見人」「保佐人」「補助人」のいずれかに区分されます

これらの区分は医師の鑑定結果に基づいて決められるため、後見人候補者が自分で区分を選べる訳ではありません。

成年後見人・保佐人・補助人の違い

医師の判断に基づいて区分される「成年後見人・保佐人・補助人」の違いは以下のとおりです。

主に、成年後見人として行う職務の範囲が異なります。

法定後見制度における3つの類型と権限
名称 成年後見人 保佐人 補助人
判断能力の程度 常に判断能力に欠けている状態
(重度の認知症など)
 判断能力が著しく不足している状態
(軽度の認知症など)
判断能力が不足していると判断される状態
(ぼけの始まり程度)
同意見の有無 ×
※借金、相続の承認など、民法13条1項記載の行為のほか、申立により裁判所が定める行為

※借金、相続の承認など、民法13条1項記載の行為の一部に限られる
取消権の有無
※借金、相続の承認など、民法13条1項記載の行為のほか、申立により裁判所が定める行為

※借金、相続の承認など、民法13条1項記載の行為の一部に限られる
代理権の有無
※申立により裁判所が定める行為

※申立により裁判所が定める行為

参照:成年後見制度における鑑定書作成の手引(PDF)|最高裁判所事務総局家庭局

重度の認知症などで、被後見人の判断能力が常に欠けている状態と判断された場合は、最も広い範囲の職務ができる「成年後見人」に区分されます。

保佐人・補助人に区分された場合であっても被後見人の財産の保護、または契約の取り消しや代理契約が可能ですが、成年後見人に比べると限られた範囲内での権限となります。

4.家庭裁判所による審判の告知と通知

ここまでに行われた面談や鑑定の内容から総合的に判断し、家庭裁判所が成年後見人を選定します。

家庭裁判所から送付される「審判調書」によって、成年後見人の通達が行われます

なお、審判について不服がある場合は審判書を受領してから2週間以内に不服の申立(即時抗告)を行うことが可能です。

ただし、不服の申立を行ったからといって要望通りの人が後見人になれる訳ではないので気をつけましょう。

5.成年後見人選定後、法務局にて登記が行われる

成年後見人が選定されると、その事実は法務局にて登記が行われます。

以降、成年後見人である事実が記載された「登記事項証明書」をもって被後見人に代わって様々な手続きを行うこととなります

登記事項証明書は、お住まいの市区町村を管轄する法務局の窓口、または郵送で請求手続きを行うことが可能です。

請求手続きができるのは「被後見人(本人)・成年後見人・成年後見監督人等の当事者・四親等内の親族・法定代理人」に限られます。

また、登記事項証明書を請求する際には収入印紙を貼る必要があるので、ある程度の費用が発生することを覚えておきましょう。

成年後見人の選定が終わったあとは、成年後見人の職務を行うこととなります。職務内容については後述します。

任意後見人を選ぶ時の手続きの流れ

被後見人本人が健康なうちに後見人を選任する「任意後見制度」を利用する時の手続きは以下の流れで行います。

1.公証役場にて任意後見契約を締結する

任意後見制度を利用する場合、将来的に自分の後見人になって欲しい人をあらかじめ決めておく必要があります

その後、被後見人と後見人候補者で公証役場まで行き、「任意後見契約」を締結して公正証書の作成を行います。

公正証書を作成する中で、将来的にサポートしてもらう内容を決めておく必要があるので、以下の内容を参考にして契約内容を決めてください。

任意後見契約で決めておくべき内容

  • 日々の生活や介護、療養について
  • 現金や不動産、株式といった財産の活用方法について
  • 任意後見人に依頼する代理権を行使して行う事務手続きの範囲について
  • 任意後見人が受け取る報酬及び経費について

公証役場は日本全国にあるので、日本公証人連合会の公式ホームページから最寄りの公証役場を調べておきましょう。

公正証書を作成する際に必要な書類

公正証書を作成する際には以下の書類を準備する必要があります。

公正証書を作成する際に必要な書類
書類 内容
被後見人(本人)に関する必要書類
  • 戸籍謄本または住民票
  • 印鑑登録証明書
  • 身分証明書
任意後見人に関する必要書類
  • 住民票(法人の場合は登記簿謄本)
  • 印鑑登録証明書
  • 身分証明書
その他 場合によって被後見人の診断書や財産目録、不動産の登記簿謄本が必要です。
詳細については公証役場にてご確認ください。

公正証書を作成するためにかかる費用

公正証書を作成するためにかかる費用は以下のとおりです。

公正証書を作成するためにかかる費用

  • 任意後見契約書作成の手数料:11,000円
  • 登記嘱託手数料:1,400円
  • 登記の際に必要な印紙代:2,600円
  • その他証書代、登記嘱託所有装用切手代など

2.任意後見契約の締結後、法務局への登記が行われる

任意後見契約を締結すると、法務局への登記が行われます。

登記は約2〜3週間程度で完了し、以降は登記事項証明書に任意後見人である旨が記載されるようになります。

任意後見人として各種手続きを行う際に必要な書類で、取得するためには最寄りの法務局にて手続きを行う必要があります。

3.認知症等の精神疾患が見られた時に家庭裁判所に申し立てを行う

任意後見契約を締結した後、被後見人に認知症等の精神疾患が見られた時に家庭裁判所へ「任意後見開始の申立」を行います

家庭裁判所への申立は、以下に該当する人だけが手続きを行うことができます。

後見開始の申立ができる人

  • 被後見人(本人)
  • 配偶者
  • 四親等内の親族(父母、祖父母、子、孫、叔父叔母、従姉妹など)
  • 法定代理人(弁護士など)
  • 任意後見人

4.家庭裁判所によって任意後見監督人が選任される

任意後見開始の申立が行われると、家庭裁判所によって「任意後見監督人」が選任されます。

任意後見監督人とは、任意後見人が締結した任意後見契約の内容通りに職務を全うしているかどうかを監督する人のことです。

そのため、任意後見人に選任された人は任意後見監督人に対して職務内容について報告する義務があります。

上記以外に、被後見人と任意後見人の利益が相反する法律行為を行う場合は、任意後見監督人が代理で手続きを行います。

任意後見監督人は、家庭裁判所が適格と認める者を選任するため、自由に選ぶことはできません

成年後見人が行う職務内容・携われない業務内容

成年後見人が行うことになる職務内容は以下のとおりです。

成年後見制度は、被後見人の財産を保護することを目的としており、直接的に財産管理を行うほか、判断能力が低下した状態の被後見人に代わって各種サービスの利用締結を行います。

また、年1回の頻度で成年後見人として全うした職務内容について家庭裁判所へ報告する義務があります。

上記とは別に、成年後見人が携わることができない業務内容もあるので、合わせて確認していきましょう。

被後見人の財産管理

成年後見人が行う職務内容は、第一に「被後見人の財産管理」が挙げられます。

財産管理の具体的な方法は、被後見人の財産についての目録を作成し、その財産についての処理内容を定期的に家庭裁判所へと報告します

財産目録のフォーマットは、裁判所の公式ホームページから書式のダウンロードが可能です。


画像引用:財産目録書式|裁判所

被後見人の診療・療養介護・福祉サービスの利用締結

成年後見人は、被後見人の財産や収入状況を財産目録にて管理して状況を把握した上で、必要に応じて診療や介護、福祉サービスの利用締結を行います。

また、判断能力が低下した状態の被後見人が契約した商品購入やサービスの利用申込みを取り消す権利が認められています。

これにより、被後見人が詐欺などの犯罪被害に遭遇してしまっても、成年後見人が手続きを行うことで被後見人の財産を保護することにつながります。

家庭裁判所への報告(年1回)

成年後見人には、年1回の頻度で家庭裁判所へ全うした職務内容について報告をする義務があります

家庭裁判所への報告には、被後見人の財産目録、預貯金通帳のコピーなどのほかに報告書を作成しなければなりません。

初回と2回目以降の報告書ではフォーマットが異なり、それ以外にも被後見人が死亡して成年後見人としての職務を終える際の書類などもあります。

後見人等のための書式

  • 【初回報告時】・・・財産目録、年間収支予定表、添付資料等を提出
  • 【定期報告時】・・・貢献等事務宝庫高所、財産目録、添付資料等を提出
  • 【被後見人の死亡時】・・・死亡診断書又は除籍謄本のコピー、引継書を提出
  • 【事務手続きの中で家裁に連絡事項がある場合】・・・連絡表を提出
  • 【信託等関係】・・・連絡表を提出
  • 【各種申立】・・・手続内容によって異なる書類を提出

参照:後見人等に選任された方へ 東京家庭裁判所後見センター|裁判所

これらの書類は裁判所の公式ホームページからダウンロードすることができます。

記載例も合わせて掲載されているので、書類作成時にお役立てください。

成年後見人が携われない業務内容

成年後見人となっても、被後見人に関する一部の業務内容については携わることができません。

成年後見人が携われない業務内容

  • 戸籍に関する契約変更(婚姻・離婚・離縁・養子縁組・認知等)
  • 遺言書の作成
  • 医療行為への同意(軽度の診察・緊急を要するものを除く)

上記以外にも、不動産の処分といった一部の財産管理行為を行う際には家庭裁判所による許可が必要となるので覚えておきましょう。

成年後見制度に関するよくある質問Q&A

成年後見制度に関する「よくある質問」にお答えします。

Q. 成年後見人と成年後見監督人の違いはなんですか?

A. 成年後見監督人は、任意後見契約を締結した後見人(任意後見人)が契約した内容通りに職務を全うしているかどうかを監督する人のことをいいます。

家庭裁判所によって選任されるため、自己の希望で任意後見監督人になることはできません。

任意後見人となった人は、後見人としての職務内容について、任意後見監督人へ定期的に報告を行う義務があります。

また、被後見人と任意後見人の利益が相反する法律行為を行う場合は、任意後見人監督人が代理で手続きを行います。

Q. 家族信託との違いはなんですか?

A. 財産を他人が管理する制度として、成年後見制度の他に「家族信託」があります。

成年後見制度と家族信託の違いは以下のとおりです。

成年後見制度と家族信託の違い
成年後見制度 家族信託
制度の目的 精神疾患等が原因で判断能力が低下した人の財産の保護 認知症への備えや生前からの財産の承継など
財産を管理する人 後見人 受託者
業務内容 財産の管理・処分、身上監護権、契約の代理締結、法律行為の同意・取り消しなど 信託財産の管理・処分のみ
業務内容を監督する人 成年後見監督人 信託監督人
監督者の選任方法 家庭裁判所による選任 任意
初期費用 10万円〜30万円程度 50万円〜100万円程度
月額報酬 1万円〜3万円/月 0円/月

家族信託の場合は財産管理者を「受託者(成年後見制度でいう“後見人”)」と呼び、財産の管理と処分しかできないことが特徴です。

ただし、家族信託の場合は財産管理に家庭裁判所が入り込むことがなく、身上監護に関しては後見人でなくとも本人の家族が変わりに手続きを行うことができるので、そこまで大きなデメリットはありません

また、成年後見制度の場合は初期費用が安く済むものの、被後見人が死亡するまで(相続が発生するまで)の期間中は任意後見に対する月額報酬支払などが発生するので、家族信託のほうがコストはかかりにくいといえます。

これらの制度は併用が可能なので、それぞれのメリットとデメリットを理解した上でどちらか一方を選ぶか、併用するかをご判断ください。

Q. 成年後見に選任されても辞退することはできますか?

A. 成年後見人に選任された場合、家庭裁判所が認める正当な事由がある場合には成年後見人を辞退することができます。

明確な基準については公表されていませんが、一般的には以下の事由に該当する場合に辞退が可能なようです。

成年後見を辞退する場合の正当な事由(一例)

  • 後見人が高齢または病気などの理由で業務継続が困難な場合
  • 後見人が遠方へ転居することになった場合
  • 後見業務を円滑に行えなくなった場合

成年後見人は、被後見人の財産を保護することを目的としているため、後見人の辞任を容易に認めてしまうと本人の利益を損なう可能性が出てきてしまいます。

そのため、一度選任されると被後見人の判断能力が回復するか、本人が存命する限りは半永久的に業務を行うこととなります。

後見人としての業務があまりに多くて大変な場合は、あらかじめ司法書士や弁護士などの専門家に依頼するか、業務内容を複数人の後見人で分担するなどの方法があるので覚えておきましょう。

Q. 成年後見の職務が終了した場合はどうすればよいですか?

A. 成年後見の職務が終了してから2か月以内に管理していた財産等の計算を行い、財産目録を作成し直して家庭裁判所に提出しなければなりません。

また、成年後見の職務は、以下の事由に該当する場合にその業務が終了となります。

成年後見人の職務終了事由

  • 被後見人が死亡したとき
  • 能力回復による後見開始の審判の取り消しが行われたとき
  • 成年後見人が死亡したとき
  • 成年後見人が辞任、解任、欠格事由に該当したとき

成年後見人の辞任や解任など、家庭裁判所の判断によって職務を終了する場合は登記内容の変更手続きが法務局へ自動的に嘱託されます。

ただし、被後見人の死亡によって終了となる場合は、成年後見人だった人が法務局へ登記変更の申請をする必要があります

また、成年後見が終了した後はこれまで管理していた財産を引き渡すことになりますが、終了事由によって引き渡し先が異なります。

管理財産の引き渡し先

  • 被後見人の死亡:遺言がある場合には遺言執行者または受遺者に引き渡し
  • 遺言がない場合、遺言の対象となっていない財産がある場合は相続人に引き渡し
  • 成年後見人の辞任、解任:後任の成年後見人に引き渡し
  • 能力回復による終了:被後見人本人へ引き渡し

これらの手続きが終わったあとで、成年後見人だった人は家庭裁判所へ「後見終了の報告書」を提出して全ての作業が完了となります。

成年後見が終了した場合でも様々な手続きを行うこととなるので、詳細は家庭裁判所の担当部署へご確認ください。

まとめ

成年後見制度は、精神疾患等が原因で判断能力が低下した人(被後見人)の財産を保護するために設けられた制度です。

財産を保護するためには、家庭裁判所によって管理者が選任される「法定後見制度」と、本人が選任する「任意後見制度」の2種類があります。

これらの制度によって選任された人を「成年後見人」とよび、被後見人の財産管理や様々なサービスの利用における契約を代理で行うことになります。

ただし、業務内容については複雑な部分もあるので、被後見人の財産を損なうことがないように司法書士や弁護士といった専門家の指導のもとで手続きを行うことをおすすめします。

公開:2020.10.19
この記事の執筆者

中村 翔也

携帯代理店法人部門にて営業職として2年半勤務後、2017年12月よりwebライターとして独立。通信ジャンルをメインに金融系、保険記事を毎月30本以上執筆。
所有資格
ファイナンシャル・プランニング技能士3級
この記事の監修者

藤田 匡紀

新卒で日本生命保険相互会社に入社し、販売企画・代理店営業など多様な業務に従事。13年間勤務した後「もっと多くの人に、保険の必要性を正しく理解してもらいたい」という思いを胸にエイチームフィナジーに入社、ナビナビ保険の運営に参画。金融機関における顧客向け相続セミナー・研修会の実績も多数あり。
所有資格
AFP資格、証券外務員Ⅱ種
この記事の編集者

ナビナビ保険編集部

ナビナビ保険編集部は「どこよりも分かりやすい保険情報を届けること」をコンセプトにコンテンツの配信を行っています。

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